フィナステリドは何年効き続ける?

フィナステリドは何年効き続ける?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

10年続けた調査でも効いています。日本人532人で、改善した人は91.5%でした。

根拠

プラセボ(偽薬)と比べた試験12件・3927人のまとめで、長期の髪の本数の増え方はプラセボより平均24.3%大きく、短期の9.42%より差が広がっていました [1]。比べる相手のいない調査では、5年後に改善した人が日本人801人で99.4% [2]、韓国人126人で85.7% [3]、10年後は日本人532人で91.5% [4]でした。

この答えの範囲

男性型の薄毛の成人男性の話です。20〜30歳の42.8%は10年後も改善せず [5]、改善のあとに再び進んだ人もいます。

じゃあ、どうする?

飲み続けている間は、5年・10年と効果が続く人が多いと分かっています。長期の副作用は日本の調査で6.8%と少ない一方 [6]、性機能の不調が気になるときは処方した医師に早めに相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。12 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量16.520研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 92.5 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 3 本・RCT のメタ解析 1 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

フィナステリドとは

フィナステリドは、男性型の薄毛(AGA)に使われる飲み薬です。薄毛の原因になる男性ホルモンの一種が頭皮でできるのを抑えるとされ、医師の処方が必要な医薬品です。同じ成分のジェネリック薬もあります。注意点は、女性、とくに妊娠中の女性は使えないことと、性機能の不調が報告されていることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アルゼンチンのアレマン病院などの研究チームが2010年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で研究を集め、結果を整理する方法です。フィナステリドの飲み薬とプラセボを比べた試験12件・3927人がまとめられました。

研究の種類プラセボと比べた試験の系統的レビュー
対象男性型の薄毛の男性(12件・3927人)
比べたものフィナステリドの飲み薬とプラセボ
結果長期では、髪の本数の増え方がプラセボより平均24.3%大きかった
まとめて分析した結果長期の髪の本数の増え方は、プラセボより平均24.3%大きくなりました [1]。

短期の9.42%より差が広がっていました。

プラセボと比べた試験で最も長いのは5年間のものです。フィナステリドでは髪の改善が続き、プラセボでは薄毛が進みました [7]。同じ試験の写真を分析し直すと、5年間で見た目に分かる薄毛の進行が起こる可能性は、プラセボより93%低くなっていました [8]。

2.5年・5年・10年の調査では

それより長い話は、飲み続けた人を追った調査が中心です。比べる相手がいないため、薬のおかげとまでは言い切れません。

  • 2.5年後: 日本人男性2561人で、髪が増えた人は87.1%でした [9] [6]。
  • 5年後: 日本人男性801人で、写真の評価で改善した人は99.4%でした [2]。韓国人男性126人では、108人(85.7%)が改善していました [3]。
  • 10年後: 日本人男性532人で、改善した人は91.5%、薄毛の進行を防げた人は99.1%でした。薄毛の段階は平均3.35から2.55へ下がっています [4]。
  • 10年後: イタリアの男性118人の観察で、効果は年数がたっても落ちず、1年目に変化がなかった人の多くがその後に改善しました [5]。

数字は、対象者と判定の基準が研究ごとに違うため、横並びでは比べられません。日本の5年の調査では、903人のうち5年後に評価できたのは801人で、残りは数字に入っていません [2]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

改善した人が9割前後でも、全員ではありません。20〜30歳の42.8%は、10年後も改善しませんでした [5]。日本の5年の調査では、40歳以上で始めた人や薄毛が進んでいた人ほど、効果が小さくなっています [2]。

5年以上飲んだ韓国人男性126人の調査いちばん良くなったあとに再び薄毛が進んだ人は、頭頂部で10.3%、前頭部で16.2%でした [3]。

大学病院2か所のカルテと写真をさかのぼって調べた、比べる相手のいない研究です。

よく言われていることは本当?

  • 長く飲んでも効果は続く研究で確かめられています。 上の5年・10年の調査のとおりです。
  • 髪が太く育つ(ヘアサイクルが戻る)髪の本数の増加は確かめられています。 18〜41歳の男性1553人の試験で、頭頂部の一定の範囲の髪がプラセボより1年で107本、2年で138本多くなりました [10]。ヘアサイクルのしくみ自体は調べられていません。
  • やめるとまた進むやめたあとの髪の変化を数値で示した研究は見つかっていません。 わかっているのは、プラセボを飲み続けた群で5年間に薄毛が進んだことです [7]。同じ薄毛の薬のミノキシジルでは、やめた後を追った小さな試験があります(ミノキシジルは何か月で効く?やめたら戻る?)が、フィナステリドに当てはまるとは言えません。
  • 長く飲むと効かなくなる10年の観察で効果は落ちませんでした [5]。 ただし、改善のあとに再び進んだ人もいます(上のカード)。
  • 長く飲んでも副作用は少なく安全5年の試験では、長く飲むことによる新しい安全上の問題は見つかりませんでした [7]。 一方、医療保険の記録で、1390人のやめた男性は胃薬の利用者より、性機能の不調と診断される割合が1.62倍でした(おおよその幅は1.14〜2.29倍)[11]。観察研究なので、薬が原因とは断定できません。
  • 早く始めるほど効く研究で結果が割れています。 日本の3つの調査のまとめでは、40歳未満で始めた人や初期の薄毛の人ほど改善が大きい一方 [6]、20〜30歳でも42.8%は改善しませんでした [5]。

02注意点

副作用は、長期の調査では少なめです。10年の観察で副作用を訴えた人は6%でした [5]。一方、飲むのをやめた男性で性機能の不調と診断される割合が高かった、という医療保険の記録の分析もあり、注意は必要です [11]。2年以上治療を続けた130人の調査では、ミノキシジルと併用した人に勃起の不調3%、性欲の低下4%、射精量の減少7%がありました [12]。どれもプラセボと比べた調査ではなく、薬が原因かは分かりません。持病や服薬がある人、副作用が気になる人は、医師や薬剤師に確認してください。

性機能の不調が続くとき

気になる症状は、自己判断でやめる前に、処方した医師に伝えてください。

03まとめ

5年・10年の調査で、飲み続けた人の9割前後は髪が改善していました。
20〜30歳でも改善しない人や、改善のあとに再び進む人がいるので、自分の経過は写真で残して確かめましょう。
副作用が気になったら、やめる前に医師へ相談しましょう。

04よくある質問

Q何年目から差が出ますか?

18〜41歳の男性の試験では、頭頂部の髪がプラセボより1年で107本、2年で138本多く、2年目のほうが差が大きくなりました [[9777765]]。何か月で実感できるかは、確かめられていません。

Qやめるとどうなりますか?

やめた人の髪の経過を調べた研究は見つかっていません。プラセボを飲んだ群では5年間で薄毛が進んでいますが [[11809594]]、やめた人を追ったものではありません。

Q10年飲んでも、効かなくなりませんか?

イタリアの10年の観察では、効果は年数がたっても落ちませんでした [[21910805]]。ただし、韓国の調査では改善のあとに再び進んだ人が、頭頂部10.3%、前頭部16.2%いました [[30536893]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]フィナステリドの薄毛への効果と安全性を調べたレビュー

発表年
2010年
研究機関
アルゼンチン・アレマン病院
掲載誌
Archives of dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
3,927人
結果の向き
良い方向

12件・3927人のまとめで、長期の髪の本数の増え方がプラセボより平均24.3%大きかった。

[2]日本人男性801人でみたフィナステリドの5年間の効果

発表年
2015年
研究機関
日本・北里大学
掲載誌
The Journal of dermatology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
801人
結果の向き
良い方向

5年間で改善した人は99.4%。40歳以上で始めた人や薄毛が進んでいた人ほど効果が小さかった。

[3]韓国人男性でみたフィナステリドの長期の効果

発表年
2019年
研究機関
韓国・ソウル大学盆唐病院
掲載誌
The Journal of dermatology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
126人
結果の向き
良い方向

5年以上飲んだ126人のうち108人(85.7%)が5年後に改善していた。

[4]日本人男性でみたフィナステリドの10年間の効果

発表年
2019年
研究機関
日本・慶應義塾大学
掲載誌
Clinical Research and Trials
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
532人
結果の向き
良い方向

10年間飲んだ日本人男性532人で、改善した人が91.5%、進行を防げた人が99.1%だった。

[5]年齢別にみたフィナステリドの10年間の経過観察

発表年
2011年
研究機関
イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学
掲載誌
Dermatologic therapy
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
118人
結果の向き
良い方向

118人を10年観察し、効果は落ちなかった。20〜30歳の42.8%は10年後も改善しなかった。

[6]日本人男性でみたフィナステリドの10年超の効果と安全性のまとめ

発表年
2022年
研究機関
日本・Masayuki Yanagisawaほかの研究チーム
掲載誌
International Society of Hair Restoration Surgery
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

日本の3つの調査で改善した人は87.1%、99.4%、91.5%。副作用は2.5年で0.7%、10年で6.8%だった。

[7]プラセボと比べたフィナステリドの5年間の試験

発表年
2002年
研究機関
Finasteride Male Pattern Hair Loss Study Groupほかの研究チーム
掲載誌
European journal of dermatology : EJD
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,553人
結果の向き
良い方向

5年間で、フィナステリドでは髪の改善が続き、プラセボでは薄毛が進んだ。

[8]フィナステリドの長期服用と見た目に分かる薄毛の進行

発表年
2008年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
European journal of dermatology : EJD
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,553人
結果の向き
良い方向

5年間で見た目に分かる薄毛の進行が起こる可能性が、プラセボより93%低かった。

[9]Evaluation of efficacy and safety of finasteride 1 mg in 3177 Japanese men with androgenetic alopecia.

発表年
2012年
研究機関
日本・北里大学
掲載誌
The Journal of dermatology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
2,561人
結果の向き
良い方向

日本人男性2561人で、髪が増えた人は87.1%で、飲む期間が長いほど効いた人の割合が高かった

[10]男性型の薄毛へのフィナステリドの効果を調べた試験

発表年
1998年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of the American Academy of Dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,553人
結果の向き
良い方向

1553人の試験で、頭頂部の髪がプラセボより1年で107本、2年で138本多かった。

[11]薄毛のためのフィナステリドと性機能の不調が続くこと

発表年
2016年
研究機関
カナダ・ブリティッシュコロンビア大学
掲載誌
Pharmacotherapy
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
21,390人
結果の向き
悪い方向

やめた男性1390人は、胃薬の利用者より性機能の不調と診断される割合が1.62倍だった。

[12]長く治療した男性の薄毛でみたフィナステリドの副作用

発表年
2015年
研究機関
Perez-Mora Nほかの研究チーム
掲載誌
Skinmed
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
130人
結果の向き
悪い方向

2年以上治療した130人で、併用した人に勃起の不調3%、性欲の低下4%、射精量の減少7%があった。

ほかに参考にした論文(1本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。