ビタミンDは抜け毛に効く?

ビタミンDは抜け毛に効く?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.01
答え関連はない

飲むビタミンDと、円形脱毛症になるかどうかの関連は見られません。

根拠

ビタミンDのサプリを飲んで抜け毛が減るかを調べたランダム化試験は、見つかっていません。手がかりは観察研究が一本だけで、米国の女性55,929人を12年追跡し、食事やサプリでとるビタミンDの量と円形脱毛症の発症に関連はありませんでした [1]。根拠の確かさは低めです。飲む試験が無く、参考にできる研究が一本だけのためです。

この答えの範囲

飲むサプリと抜け毛の話です。調べられたのは円形脱毛症の発症で、薄毛全般に効かないと証明されたわけではありません。病院での塗り薬や注射は別の話です。

じゃあ、どうする?

サプリを足す前に、抜け毛が続くなら皮膚科で相談を。血液検査でビタミンDなどの値を確認する選択肢もあります [2]。不足が見つかったときは、医師と補い方を決めましょう。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。8 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 63 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 63 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 63 点です。 判定に使った研究は、観察研究 1 本。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ビタミンDとは

ビタミンDは、骨の健康に関わる脂溶性のビタミンです。魚やきのこ類に含まれ、日光を浴びると皮膚でも作られます。サプリでも売られています。注意点は、脂溶性のため、とりすぎると体にたまりやすいことです。この説明は一般的な知識で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ブラウン大学などの研究チームが2016年に発表した観察研究です [1]。観察研究とは、人を追跡して生活とその後の病気を調べる方法で、サプリを飲む群と飲まない群に分ける試験ではありません。

研究の種類女性の追跡調査(観察研究)
対象米国の看護師の女性(55,929人)
比べたもの食事・サプリ・合計のビタミンD摂取量と、円形脱毛症の発症
結果12年間で133人が発症し、摂取量との関連はなかった
追跡調査の結果食事やサプリからとるビタミンDの量と、円形脱毛症になるかどうかに関連はありませんでした。

推定した血液中のビタミンDが多いグループと少ないグループでも、発症リスクに差はありませんでした [1]。

注意したいのは、これが円形脱毛症の発症だけを見た研究で、自己申告をもとにしていることです。すでに抜け毛がある人が飲んで減るかは、この研究では分かりません。飲むサプリで抜け毛が減るかを調べたランダム化試験は、見つかっていません。

血液中のビタミンDが低い人は、脱毛症に多い

別の角度の研究では、はっきりした関連が出ています。傷あとを残さないタイプの脱毛症の人と健康な人を比べた23件・10670人のまとめで、ビタミンD不足のオッズは3.11倍でした [3]。円形脱毛症では2.48倍(34件・4931人)[4]、タイプ別のまとめでは円形脱毛症で2.84倍、女性の薄毛で5.24倍でした [5]。男性型(AGA)は4.42倍と出ましたが誤差が大きく、はっきりした差とは言えませんでした。

ただし、これは血液の値を比べた観察研究の関連です。不足が抜け毛の原因なのか、抜け毛や体調の影響で値が低いのかは分かりません。追跡調査でも、ビタミンDの多さとその後の発症に関連はありませんでした [1]。

よく言われていることは本当?

  • ビタミンDのサプリを飲むと抜け毛が減る・髪が増える研究が足りません。 飲む試験は見つからず、観察研究は摂取量と発症の関連なしでした [1]
  • ビタミンD不足が抜け毛の原因になる原因かどうかは分かりません。 脱毛症の人で血液中の値が低い関連は、まとめ研究でそろっています [3]
  • ビタミンDは毛包や毛周期を整える研究が見つかっていません。 人で毛周期への作用を測った研究は、見つかっていません
  • AGA(男性型脱毛)にも効く研究が足りません。 血液中の値との関連も、はっきりしませんでした [5]
  • 頭皮の炎症を抑える研究が見つかっていません。 飲むビタミンDで頭皮の炎症を測った試験は、見つかっていません
  • 抜け毛が続くなら血液検査で確認するとよい条件によります。 女性の薄毛の専門家の提言では検査は必須ではないが勧められています [2]。一方、慢性の休止期脱毛の女性90人と対照の女性90人の比較では、血液中のビタミンDに差がありませんでした [6]
  • 円形脱毛症にはビタミンDの塗り薬や注射が使われる本当ですが、飲むサプリとは別の話です。 次の節で扱います [7]

ほかの研究では、結果が異なる場合も

病院で使う塗り薬や患部への注射では、結果が分かれています。軽症〜中等症の円形脱毛症の臨床試験のまとめでは、ビタミンD3の患部への注射は毛の再生のオッズが3.20倍でしたが、塗り薬でははっきりした差が出ませんでした [7]。試験は少なく小規模です。

ステロイド注射に塗り薬を足した試験頭皮またはひげの円形脱毛症の73人

ビタミンDの仲間の塗り薬を足しても、毛の密度は注射だけの場合と差がありませんでした [8]。

これは病院での治療の話で、飲むサプリの効果を示すものではありません。

02注意点

ビタミンDの飲む量を決めた試験は無いため、研究にもとづく量は示せません。脂溶性でたまりやすいので、自己判断で多くとらないでください。血液検査で不足が分かったときの補い方は、医師や薬剤師に相談してください。持病や服薬がある人も同様です。

抜け毛が急に増えたとき

円形脱毛症や休止期脱毛は病気や体調が関わるため、皮膚科で原因を確かめるのが先です。

03まとめ

飲むビタミンDと抜け毛を調べた試験は無く、根拠の確かさは低めです。
血液中の値が低い人に脱毛症が多い関連はありますが、不足が原因かは分かっていません。
抜け毛が続くなら、サプリより先に皮膚科で相談しましょう。

04よくある質問

Q血液中のビタミンDが低いと、抜け毛になりますか?

低い人に脱毛症が多い関連は見られますが、不足が原因かは分かっていません [[38010941]]。追跡調査では、ビタミンDの多さと円形脱毛症の発症に関連はありませんでした [[27664090]]。

QビタミンDのサプリで薄毛は治りますか?

飲んで薄毛が改善するかを調べた試験は、見つかっていません。研究で確かめられていないため、治るとは言えません。

Q円形脱毛症のビタミンD注射は、サプリと同じですか?

別のものです。患部への注射や塗り薬は、病院での治療として調べられた研究です [[40814988]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(8本)

[1]米国の女性でのビタミンD摂取量・血中値と円形脱毛症の発症

発表年
2016年
研究機関
アメリカ・ブラウン大学
掲載誌
Archives of dermatological research
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
55,929人
結果の向き
差なし

米国の女性55,929人を12年追跡し、ビタミンDの摂取量と円形脱毛症の発症に関連はなかった。

[2]女性型脱毛とアンドロゲン過剰に関する委員会報告

発表年
2019年
研究機関
イタリア・パレルモ大学
掲載誌
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

女性の薄毛の専門家の提言で、ビタミンDなどの血液検査は勧められた。

[3]傷あとを残さない脱毛症の血清ビタミンD値のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
中国・四川大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
10,670人
結果の向き
悪い方向

研究23件のまとめで、脱毛症の人はビタミンD不足のオッズが3.11倍だった。

[4]円形脱毛症と血清微量元素のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・北京中医薬大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,931人
結果の向き
悪い方向

34件・4931人のまとめで、ビタミンD不足の人は円形脱毛症のオッズが2.48倍だった。

[5]脱毛症のタイプ別にみたビタミンD欠乏のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
タイ・マヒドン大学
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

ビタミンD不足のオッズは円形脱毛症で2.84倍、女性の薄毛で5.24倍だった。

[6]休止期脱毛患者の血液検査値の包括的調査

発表年
2024年
研究機関
トルコ・アフヨンカラヒサル健康科学大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
180人
結果の向き
差なし

慢性の休止期脱毛の女性90人と対照の女性90人で、血液中のビタミンDに差がなかった。

[7]軽症〜中等症の円形脱毛症におけるビタミンDとその類似薬のメタ解析

発表年
2026年
研究機関
サウジアラビア・ジュバイル総合病院
掲載誌
Indian dermatology online journal
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

患部への注射は毛の再生のオッズが3.20倍だったが、塗り薬でははっきりした差が出なかった。

[8]ステロイド注射へのカルシポトリオール塗り薬の上乗せを比べた試験

発表年
2025年
研究機関
インド・インド全土医科学研究所
掲載誌
Journal of cutaneous medicine and surgery
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
73人
結果の向き
差なし

73人の試験で、塗り薬を足しても毛の密度は注射だけと差がなかった。

ほかに参考にした論文(16本)

判定「関連はない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。