[1]米国の女性でのビタミンD摂取量・血中値と円形脱毛症の発症
- 発表年
- 2016年
- 研究機関
- アメリカ・ブラウン大学
- 掲載誌
- Archives of dermatological research
- 研究の種類
- コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
- 対象
- 55,929人
- 結果の向き
- 差なし
米国の女性55,929人を12年追跡し、ビタミンDの摂取量と円形脱毛症の発症に関連はなかった。

飲むビタミンDと、円形脱毛症になるかどうかの関連は見られません。
ビタミンDのサプリを飲んで抜け毛が減るかを調べたランダム化試験は、見つかっていません。手がかりは観察研究が一本だけで、米国の女性55,929人を12年追跡し、食事やサプリでとるビタミンDの量と円形脱毛症の発症に関連はありませんでした [1]。根拠の確かさは低めです。飲む試験が無く、参考にできる研究が一本だけのためです。
飲むサプリと抜け毛の話です。調べられたのは円形脱毛症の発症で、薄毛全般に効かないと証明されたわけではありません。病院での塗り薬や注射は別の話です。
サプリを足す前に、抜け毛が続くなら皮膚科で相談を。血液検査でビタミンDなどの値を確認する選択肢もあります [2]。不足が見つかったときは、医師と補い方を決めましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 20 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 12 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 63 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 63 点です。 判定に使った研究は、観察研究 1 本。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ビタミンDは、骨の健康に関わる脂溶性のビタミンです。魚やきのこ類に含まれ、日光を浴びると皮膚でも作られます。サプリでも売られています。注意点は、脂溶性のため、とりすぎると体にたまりやすいことです。この説明は一般的な知識で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、ブラウン大学などの研究チームが2016年に発表した観察研究です [1]。観察研究とは、人を追跡して生活とその後の病気を調べる方法で、サプリを飲む群と飲まない群に分ける試験ではありません。
| 研究の種類 | 女性の追跡調査(観察研究) |
|---|---|
| 対象 | 米国の看護師の女性(55,929人) |
| 比べたもの | 食事・サプリ・合計のビタミンD摂取量と、円形脱毛症の発症 |
| 結果 | 12年間で133人が発症し、摂取量との関連はなかった |
推定した血液中のビタミンDが多いグループと少ないグループでも、発症リスクに差はありませんでした [1]。
注意したいのは、これが円形脱毛症の発症だけを見た研究で、自己申告をもとにしていることです。すでに抜け毛がある人が飲んで減るかは、この研究では分かりません。飲むサプリで抜け毛が減るかを調べたランダム化試験は、見つかっていません。
別の角度の研究では、はっきりした関連が出ています。傷あとを残さないタイプの脱毛症の人と健康な人を比べた23件・10670人のまとめで、ビタミンD不足のオッズは3.11倍でした [3]。円形脱毛症では2.48倍(34件・4931人)[4]、タイプ別のまとめでは円形脱毛症で2.84倍、女性の薄毛で5.24倍でした [5]。男性型(AGA)は4.42倍と出ましたが誤差が大きく、はっきりした差とは言えませんでした。
ただし、これは血液の値を比べた観察研究の関連です。不足が抜け毛の原因なのか、抜け毛や体調の影響で値が低いのかは分かりません。追跡調査でも、ビタミンDの多さとその後の発症に関連はありませんでした [1]。
病院で使う塗り薬や患部への注射では、結果が分かれています。軽症〜中等症の円形脱毛症の臨床試験のまとめでは、ビタミンD3の患部への注射は毛の再生のオッズが3.20倍でしたが、塗り薬でははっきりした差が出ませんでした [7]。試験は少なく小規模です。
ビタミンDの仲間の塗り薬を足しても、毛の密度は注射だけの場合と差がありませんでした [8]。
これは病院での治療の話で、飲むサプリの効果を示すものではありません。
ビタミンDの飲む量を決めた試験は無いため、研究にもとづく量は示せません。脂溶性でたまりやすいので、自己判断で多くとらないでください。血液検査で不足が分かったときの補い方は、医師や薬剤師に相談してください。持病や服薬がある人も同様です。
円形脱毛症や休止期脱毛は病気や体調が関わるため、皮膚科で原因を確かめるのが先です。
飲むビタミンDと抜け毛を調べた試験は無く、根拠の確かさは低めです。
血液中の値が低い人に脱毛症が多い関連はありますが、不足が原因かは分かっていません。
抜け毛が続くなら、サプリより先に皮膚科で相談しましょう。
低い人に脱毛症が多い関連は見られますが、不足が原因かは分かっていません [[38010941]]。追跡調査では、ビタミンDの多さと円形脱毛症の発症に関連はありませんでした [[27664090]]。
飲んで薄毛が改善するかを調べた試験は、見つかっていません。研究で確かめられていないため、治るとは言えません。
別のものです。患部への注射や塗り薬は、病院での治療として調べられた研究です [[40814988]]。
米国の女性55,929人を12年追跡し、ビタミンDの摂取量と円形脱毛症の発症に関連はなかった。
女性の薄毛の専門家の提言で、ビタミンDなどの血液検査は勧められた。
研究23件のまとめで、脱毛症の人はビタミンD不足のオッズが3.11倍だった。
34件・4931人のまとめで、ビタミンD不足の人は円形脱毛症のオッズが2.48倍だった。
ビタミンD不足のオッズは円形脱毛症で2.84倍、女性の薄毛で5.24倍だった。
慢性の休止期脱毛の女性90人と対照の女性90人で、血液中のビタミンDに差がなかった。
患部への注射は毛の再生のオッズが3.20倍だったが、塗り薬でははっきりした差が出なかった。
73人の試験で、塗り薬を足しても毛の密度は注射だけと差がなかった。
判定「関連はない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。