マッサージでストレスは減る?

マッサージでストレスは減る?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

減ります。仕事のストレスや、その場の不安が下がります。

根拠

医療従事者の仕事のストレスを調べたランダム化比較試験のメタ解析で、マッサージを受けた人は何もしない人よりストレスの尺度が小さめに下がりました [1]。ランダム化研究37件のまとめでも、一度のマッサージでその場の不安が下がっています [2]。根拠の確かさは中程度です。健康な人に短いストレスをかけた試験では、休むだけや形だけのマッサージと差がありませんでした [3] [4]。

この答えの範囲

人の手によるマッサージの話です。マッサージチェアなどの機械は含みません。根拠の中心は医療従事者などを対象にした研究です。

じゃあ、どうする?

気持ちを楽にしたいときに、試す価値があります。休むだけでも同じくらい楽になる場面があるので、受けられないときは横になって休むことも選べます。ヨガのほうが効果が大きかった解析もあります [1]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。11 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.120研究件数と参加人数
一致度17.825結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 89.9 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・RCT のメタ解析 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

マッサージとは

マッサージは、手で体をなでる・もむ・押すなどして、筋肉や皮膚に刺激を与える方法です。リラックスや疲れの軽減に役立つとされ、全身・背中・手足・頭などの種類があります。日本の按摩(あんま)やタイ古式マッサージのように、国ごとの方法も研究されています。この記事で扱うのは人の手によるもので、機械は含みません。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのサザンネバダ保健局などの研究チームが2021年に発表したネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、複数の方法を同じ土台で比べられるように、ランダム化比較試験の結果をまとめる方法です。

研究の種類医療従事者の仕事のストレスを調べたランダム化比較試験のネットワークメタ解析
対象医療従事者(15件・688人)
比べたものマッサージやヨガなどと、何もしない場合
結果マッサージだけを受けた人は、何もしない人よりストレスの尺度が下がった(標準化平均差 -0.43。標準化平均差とは、尺度が違う研究を比べるための差の表し方で、マイナスはストレスが下がったことを示します)
まとめて分析した結果マッサージを受けた人は、何もしない人より仕事のストレスが小さめに下がりました [1]。

ヨガのほうが効果は大きく、くわしくは[ヨガでストレスは減る?](/evidence/yoga-stress)にまとめています。

2004年のメタ解析では、ランダムに割り付けた研究37件をまとめると、一度のマッサージでその場の不安・血圧・心拍数が下がりました。続けて受けると、ふだんの不安の強さや気分の落ち込みも下がっています [2]。

研究で調べられたマッサージには、次のようなものがあります。

  • 背中のマッサージ: がん患者を介護する家族44人で、毎日15分・1週間受けたあとに不安が下がりました [5]
  • 按摩: 首と肩のこりがある女性15人で、こりの感じ方とその場の不安が下がりました [6]
  • タイ古式マッサージ・リズミカルマッサージ: 健康な人の試験があり、結果は下の節のとおりです

ほかの研究では、結果が異なる場合も

健康な人に短いストレスをかけた試験では、休むだけ・形だけのマッサージと差がない結果が複数あります。暗算でストレスをかけた健康な人30人では、タイ古式マッサージでもベッドで休むだけでもストレスは下がり、両者に差はありませんでした [3]。人前で話す課題でストレスをかけた健康な大人118人では、リズミカルマッサージを受けた人の気分・心地よさは、形だけのマッサージと差がありませんでした [4]。

差がなかった試験暗算でストレスをかけた健康な人 30人

タイ古式マッサージでもベッドで休むだけでも下がり、両者に差はありませんでした。

健康な男性14人の試験でも、20分のマッサージでも20分の読書でも不安の尺度は下がりました [7]。何もしない人と比べた研究では下がり、休む人と比べた研究では差がない、という違いがあります。

よく言われていることは本当?

  • ストレスや不安がやわらぐ・リラックスできる効きます。 医療従事者のメタ解析で、受けた人のストレスは小さめに下がりました [1]。ただし休むだけとの差がない試験もあります [3]。
  • ストレスホルモン (コルチゾール) が下がる効きません。 コルチゾールを調べたメタ解析では、受けない群との差はほとんどが小さく、統計的に意味のある差ではありませんでした [8]。健康な大人118人や、勉強のストレスを感じている学生36人の試験でも、比べた群と差はありませんでした [4] [9]。主に患者を対象にした手技療法のRCT88件のまとめでは、コルチゾールなどの体の指標も改善したと書かれていますが、数値は要旨に示されていません [10]。がん患者を介護する家族44人では下がった報告もあり、「大きく下がる」という紹介は、研究をまとめた結果とは食い違います [5]。
  • よく眠れる・睡眠の質が上がる効きます。 ただし根拠は主に患者を対象にした研究です。手技療法のランダム化比較試験88件・5,524人のメタ解析で、睡眠の質の尺度が平均4.06点良くなりました [10]。更年期の女性だけのまとめでは改善しませんでした [11]。健康な人だけで確かめた研究は少なく、根拠の確かさは低めです。睡眠の別の方法はアロマで睡眠の質は良くなる?にあります。
  • 自律神経が整う研究が足りません。 心拍変動を測った小さな試験はありますが、休息との差が出ない結果が多く、まとめて答えられる研究は見つかっていません。
  • 疲れがとれる研究が足りません。 健康な人の疲労を比べた試験は、今回の検索では見つかっていません。更年期の女性のまとめで、疲労の症状が改善したという報告があるだけです [11]。

02注意点

研究の多くは、一度のマッサージの直後の変化を測っています [2]。受けたあと何時間・何日続くかは、ここで確かめられていません。強く押しすぎて痛みが出る場合や、骨折・血栓・皮膚の炎症・妊娠中・持病や服薬中の人は、受ける前に医師に相談してください。

直後の気持ちの変化を見た研究が中心

「ストレスホルモンが下がる」ことを期待して受けるより、気持ちを楽にする時間として考えるのが研究に近い使い方です。

03まとめ

マッサージは、仕事のストレスやその場の不安を小さめに下げます。
休むだけとの差がない試験もあり、コルチゾールが下がるとは言えません。
気持ちを休めたいときの選択肢の一つとして、無理のない強さで受けましょう。

04よくある質問

Q休むだけでも同じ効果がありますか?

健康な人に短いストレスをかけた試験では、タイ古式マッサージでもベッドで休むだけでもストレスは下がり、差はありませんでした [[26387408]]。一方、医療従事者のメタ解析では、何もしない人と比べるとマッサージを受けた人のほうが下がっています [[34235817]]。

Q自分でやっても効果はありますか?

自分で行う場合の研究は、今回は見つかっていません。認知症の家族にマッサージを「する側」の介護者で、ストレスの尺度が良かったという試験はあります [[37540911]]。受ける側の話ではありません。

Qどのくらいの頻度や時間が良いですか?

研究では確かめられていません。一度の直後の変化と、続けて受けたあとの変化が別々に調べられています [[14717648]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]医療従事者の仕事のストレスへの身体的リラクセーション:ランダム化比較試験のネットワークメタ解析

発表年
2021年
研究機関
アメリカ・サザンネバダ保健局
掲載誌
Journal of occupational health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
688人
結果の向き
良い方向

マッサージだけを受けた人は、何もしない人よりストレスの尺度が下がった。ヨガのほうが効果は大きかった。

[2]マッサージ療法の研究のメタ解析

発表年
2004年
研究機関
アメリカ・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究37件を統合
結果の向き
良い方向

37件で、一度のマッサージでその場の不安が下がり、続けるとふだんの不安も下がった。

[3]タイ古式マッサージで心理的ストレスは下げられる

発表年
2015年
研究機関
Sripongngam Tほかの研究チーム
掲載誌
Journal of the Medical Association of Thailand = Chotmaihet thangphaet
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
差なし

暗算でストレスをかけた健康な人30人で、マッサージでも休むだけでも下がり、差はなかった。

[4]健康な大人へのリズミカルマッサージ一回の効果:気分と唾液コルチゾールの単盲検ランダム化比較試験

発表年
2015年
研究機関
ドイツ・シャリテ・ベルリン医科大学
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
118人
結果の向き
差なし

健康な大人118人で、気分・心地よさもコルチゾールも、形だけのマッサージと差がなかった。

[5]がん患者を介護する家族への背中のマッサージ:不安・コルチゾール・血圧・睡眠のランダム化比較試験

発表年
2015年
研究機関
トルコ・セラハディン・エユビ大学
掲載誌
Asian Pacific journal of cancer prevention : APJCP
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
44人
結果の向き
良い方向

家族44人で、その場の不安・コルチゾール・血圧・脈拍が下がり、睡眠の質が上がった。

[6]按摩(日本の伝統的マッサージ)が体と心に与える効果

発表年
2010年
研究機関
日本・筑波技術大学
掲載誌
Journal of bodywork and movement therapies
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
15人
結果の向き
良い方向

首と肩のこりがある女性15人で、こりの感じ方とその場の不安が下がった。

[7]健康な男性のマッサージへのホルモン反応の探索的研究

発表年
2008年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of alternative and complementary medicine (New York, N.Y.)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
14人
結果の向き
結果が割れている

健康な男性14人で、マッサージでも読書でも不安の尺度が下がった。

[8]マッサージ療法でコルチゾールは下がるか:網羅的な定量レビュー

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・ウィスコンシン大学ストウト校
掲載誌
Journal of bodywork and movement therapies
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

受けない群との差はほとんどが小さく、統計的に意味のある差ではなかった。

[9]勉強のストレス下でのタイ古式マッサージの短期効果:コルチゾール・血圧・ストレスの感じ方

発表年
2016年
研究機関
タイ・コンケン大学
掲載誌
Journal of bodywork and movement therapies
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
36人
結果の向き
差なし

学生36人で、マッサージでも対照でもコルチゾールは下がり、差はなかった。

[10]成人の心身の健康への手技療法の効果:系統的レビューとメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・湖北中医薬大学
掲載誌
Frontiers in psychology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,524人
結果の向き
良い方向

主に患者のRCT88件・5524人で、睡眠の質の尺度が平均4.06点良くなった。

[11]マッサージは更年期・閉経後の女性の症状を和らげるか:系統的レビューとメタ解析

発表年
2026年
研究機関
中国・上海中医薬大学
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

更年期の女性で不安・疲労は改善したが、睡眠の質の尺度は改善しなかった。

ほかに参考にした論文(11本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。