[1]アロマと睡眠の質の31件のメタ解析
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- 台湾・台北医学大学
- 掲載誌
- Complementary therapies in medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究31件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
RCT31件のまとめで、アロマは睡眠の質を良くしていたが、結果のばらつきが大きく、出版バイアスも見つかった。

良くなります。本人が答える睡眠の質の点数が改善しました。
点数の多くは、本人が質問票に答えた睡眠の質です。香りのない油と比べて差が出なかった試験もあります。病気としての不眠の治療の話ではなく、研究ごとの結果のばらつきも大きいです。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 98.3 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 98 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・RCT のメタ解析 5 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
アロマ(アロマテラピー)は、植物の香り成分を集めた「精油(エッセンシャルオイル)」を使う方法です。リラックスや眠りを助けるとされ、香りを吸う使い方と、油に薄めて肌にぬるマッサージなどがあります。ラベンダーやカモミール、ベルガモットなど香りの種類は多く、研究ではラベンダーが最もよく調べられているのが特徴です。注意点は、精油を原液のまま肌につけないことと、妊娠中や持病のある人は医師に確認することです。
答えの中心は、台湾の台北医学大学などの研究チームが2019年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて調べる方法です。ランダム化比較試験(くじで群を分ける試験)31件がまとめられています。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 英語・中国語のデータベースから集めた31件の試験 |
| 比べたもの | アロマを使った群 / 使わなかった群 |
| 結果 | 睡眠の質が改善(効果量1.103) |
研究ごとの結果のばらつきが大きく、出版バイアスも見つかっています。
31件のうち、バイアス(偏り)のリスクが低いと評価されたのは4件だけで、26件は不明でした [1]。効果量は別々の尺度をそろえた数値なので、「何割良くなる」とは読めません。控えめに見ると、ラベンダー精油だけの11件・628人の分析で標準化平均差-0.56、中くらいの差です [2]。
研究で使われる「睡眠の質」は、多くが本人が答える質問票の合計点です。項目別に調べた試験は次のとおりです。
香りのない油と比べると、結果は割れます。差が出ない試験がある一方 [8]、高血圧のある中年58人では、ラベンダーの群のほうが睡眠の質の点数が大きく上がりました [20]。
ラベンダー精油とひまわり油を29日間吸い、睡眠の質に群間の差はありませんでした。
がん患者のまとめでは、10件の試験のうち副作用を報告したのは4件で、そのうち1件で頭痛とくしゃみがありました [19]。妊娠中の人、持病や服薬のある人、においで体調が悪くなる人は、医師・薬剤師に確認してください。
不眠のある人や患者の結果をそのまま当てはめず、不調が続くときは医療機関に相談してください。
睡眠の質の点数は、アロマで良くなります。
寝つきや自律神経の話は、睡眠の質ほど確かではありません。
寝る前に短時間使い、合わなければ使わない。環境づくりなら、寝室を暗くすると眠りは良くなる?も参考になります。
カモミールやベルガモットなどでも、睡眠の質が良くなった試験があります [[39545336]] [[42033381]]。香りごとの優劣を比べた結論は、得られていません。
香りを吸う方法でも、改善が見られた分析があります [[40230824]]。マッサージで使うほうが大きかったとする分析もあります [[31932562]]。
今回確認した研究では、睡眠薬と直接比べていません。不眠が続くときは、薬を自己判断で変えず、医師に相談してください。
RCT31件のまとめで、アロマは睡眠の質を良くしていたが、結果のばらつきが大きく、出版バイアスも見つかった。
大人628人(RCT11件)のまとめで、ラベンダー精油を使った人は睡眠の質が良くなっていた(標準化平均差-0.56)。
不眠のある人1043人(RCT14件)のまとめで、精油のアロマを使った群は対照群より不眠の点数が良くなっていた(標準化平均差-1.63)。
高齢者施設の65歳以上60人で、精油を吸う群は、何もしない群と比べて日中の眠気が減り、本人が感じる睡眠の質も良くなった。
大学生48人が、ベルガモットのスプレーを1週間ずつ使うクロスオーバー試験。目覚めの眠気・すっきり感・睡眠の長さの項目が良くなった。
不眠のある18〜35歳の80人で、カモミール精油を毎日10分・15日間吸った群は、いつも通り過ごした群より睡眠の質と不眠の点数が良くなった。
介護施設に住む高齢者37人で、寝る前に精油の香りを吸った群は、香りのないアーモンドオイルの群より睡眠の質が良くなった。
不眠のある閉経後の女性35人で、ラベンダー精油を吸った群とひまわり油を吸った群の睡眠の質(主な評価項目)に差はなかった。
精油の香りを吸う研究のレビューで、多くが睡眠に良い影響を示した。最も多く調べられたのはラベンダー。
ダマスクローズのアロマのRCT28件のまとめで、不安やストレスが減り、睡眠の質も良くなっていた。
疲れや睡眠の不調があるICUの看護師96人で、精油を使ったマッサージの2群は、香りのないホホバオイルの群よりPSQIの点数が良くなった。
混合精油の期間はPSQIの点数が低かったが、寝つくまでの時間と睡眠時間に差はなかった。
緩和ケアの患者で、ラベンダーを使った群は寝つきやすくなった。
寝つくまでの時間の点数に差はなかった。睡眠の質と睡眠時間の点数は精油の群で良くなった。
ベルガモットの香りを吸った群で、心拍変動の指標が副交感神経が優位になる方向に変わった。
精油を吸った群は、スイートアーモンドオイルの群より自律神経の働きが良くなったと著者は結論している。
香りを吸った群は群の中では副交感神経の働きが高まったが、何もしない群との差は大きくなかった。
不安のある患者3419人(RCT44件)のまとめで、精油を使った群は、その時の不安の点数(状態不安の質問票)が平均6.63点低かった
がん患者933人(RCT10件)のまとめで、アロマは睡眠の質を良くしていた。副作用を報告した研究は4件で、そのうち1件で頭痛とくしゃみがあった。
高血圧のある中年58人で、ラベンダー精油を吸った群は、香りのないスイートアーモンドオイルの群より睡眠の質の点数が大きく上がった小規模な予備的研究。
ほかの病気があって不眠のある患者2072人(27件)のまとめで、香りを吸うアロマで不眠の症状の点数が平均2.90点下がった。
重い病気でICUにいる患者690人(11件)のまとめで、香りを吸うアロマは睡眠の質を良くしていたが、根拠の確実性は低いと評価された。
高齢者を対象にしたRCTのまとめで、アロマを使った人は睡眠の質が良くなっていた(標準化平均差-1.02)。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。