湯船につかると疲れはとれる?

湯船につかると疲れはとれる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

疲れはとれます。湯船につかると、疲れの感じが軽くなります。

根拠

健康な38人が、湯船の入浴とシャワーだけを2週間ずつ交互に試した比較試験で、湯船の期間のほうが疲れ・ストレス・痛みの点数が良くなりました [1]。250人を入浴する群としない群に分けた試験でも、2週間の入浴で疲れと気分の項目が特に良くなりました [2]。根拠の確かさは低めです。参加者が少ない試験が中心で、効果の大きさの数値が示されていないためです。

この答えの範囲

健康な大人が、40℃前後のお湯に10分ほどつかる入浴を続けて、自分で感じる疲れが軽くなった結果です。

じゃあ、どうする?

疲れた日は、シャワーだけで済ませず、40℃前後の湯船に10分ほどつかるのが研究の条件に近い方法です。冬は脱衣所と浴室を20℃以上に保つと安全です [3]。寝る1〜2時間前の入浴は、寝つきにも役立ちます [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。7 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3240いちばん信頼できる研究の種類
研究の量10.220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 73.2 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・その他のヒトの研究 1 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

湯船の入浴とは

湯船の入浴は、肩までお湯につかって体を温める、日本で一般的な入浴の方法です。体が温まって気持ちが楽になるとされ、血流や自律神経に働くと説明されてきました。シャワーだけの入浴と比べて、お湯に長くつかるのが特徴です。注意点は、冬の浴室の寒さと熱すぎるお湯で、事故につながることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

湯船の入浴で疲れはどう変わった?

答えの中心は、日本の温泉医科学研究センターなどの研究チームが2018年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、参加者を無作為に分けて、方法の違いによる結果の差を比べる試験です。この試験では、同じ人が両方の方法を順番に試す交差試験という形が使われました。

研究の種類ランダム化比較試験(順番を入れ替える交差試験)
対象健康な大人38人
比べたもの40℃のお湯に10分つかる入浴の2週間と、シャワーだけの2週間
結果湯船の期間のほうが、疲れ・ストレス・痛みの点数が良かった
試験の結果湯船の期間のほうが、シャワーだけの期間より疲れの点数が良くなりました [1]。

同じ人が両方を試したため、人による違いの影響が小さい比べ方です。

もう一つの試験でも、同じ向きの結果でした。リトアニアのクライペダ大学などの研究チームが2019年に発表した試験で、250人を5つの群に分けました。お湯に週5日・2週間つかる4つの群と、つからない群です。2週間後、入浴した群はつからない群より、疲れと気分の項目が特に良くなりました [2]。

根拠の確かさは低めです。参加者が数十人の試験が中心で、結果は質問票の点数による自己評価です。点数の差の大きさは、要旨に数値で示されていません。「どのくらい疲れが軽くなるか」は、人によって違うと読むのが正確です。

筋肉の疲れの戻りは?

企業の研究部門が2008年に発表した小さな実験では、健康な男性6人が25分のタイピングを4セット行い、肩の筋肉の疲れの戻り方を比べました。10分の入浴で、肩の筋肉の疲れの感じは早く消えました。一方、筋電図で測った筋肉そのものの疲れの戻りは、入浴しても変わりませんでした [5]。

入浴が軽くするのは、主に「疲れた」という感じです。筋肉の働きの回復を早めるとは、この実験では確かめられませんでした。

よく言われていることは本当?

  • 湯船につかると疲れがとれる本当です。 シャワーだけの期間より、疲れの点数が良くなりました [1]。
  • 血流が良くなり、疲労物質が流れて疲れがとれる理由として確かめられてはいません。 疲れの感じが軽くなることは試験で示されましたが、疲労物質の排出が理由かは調べられていません。筋電図で測った筋肉の疲れの戻りも、入浴で変わりませんでした [5]。
  • シャワーだけでは、湯船ほどの効果がない本当です。 38人の交差試験で、湯船の期間のほうがシャワーだけの期間より、疲れとストレスの点数が良くなりました [1]。
  • ぬるめのお湯でリラックスできる、ストレスが減る本当です。 40℃のお湯に10分つかる入浴で、ストレスの点数が良くなりました [1]。
  • 寝る前の入浴で寝つきが良くなる本当です。 13件の研究のメタ解析で、40〜42.5℃のお湯での入浴は睡眠の質の自己評価の改善と関連し、寝る1〜2時間前なら10分でも寝つくまでの時間が短くなりました [4]。
  • 運動のあとに湯船につかると、筋肉の疲れが早く回復する研究の結果は割れています。 運動直後に熱いお湯やサウナで温めた研究は、効果なしが4件、良い効果が4件、悪い効果が1件でした [6]。ランニングのあとに41℃のお湯につかっても、偽の処置と比べて脚の筋力や疲れの感じは良くなりませんでした [7]。
  • 水圧でむくみがとれる、浮力で筋肉や関節がゆるむこれらを取り出して調べた研究は見つかりませんでした。 しくみの説明として知られている話です。

安全に入るために

日本式の入浴の長所と短所をまとめた総説は、冬の事故を防ぐために、脱衣所と浴室の温度を20℃以上に保つよう勧めています [3]。

02注意点

試験で使われたのは、40℃のお湯に10分つかる入浴を2週間続ける方法です [1]。熱すぎるお湯や長風呂は、研究の条件とは違います。入浴中のふらつきが心配な人、高血圧や心臓の病気がある人、高齢の人は、医師や薬剤師に入浴の方法を確認してください。

寒い浴室と熱いお湯に気をつける

冬は脱衣所と浴室を暖めてから入り、お湯は40℃前後にしましょう。

03まとめ

湯船につかると、シャワーだけの場合より疲れの感じが軽くなります。
試験は健康な大人で、40℃前後のお湯に10分ほどつかる入浴の結果です。
疲れた日は湯船にためて入り、寝る前なら1〜2時間前に済ませるのが目安です。関連: 睡眠の質を高める方法は?、寝れないときはどうする?原因と、寝つきやすくなる方法、軽い運動は寝るより疲れが取れる?

04よくある質問

Qシャワーだけでも疲れはとれますか?

38人の交差試験では、湯船の期間のほうがシャワーだけの期間より疲れの点数が良くなりました。シャワーだけで同じ結果になるとは示されていません [[29977318]]。

Q何度のお湯に、何分つかればいいですか?

疲れの試験では、40℃のお湯に10分つかる入浴が使われました [[29977318]]。これより熱い湯や長い時間で比べた研究は、今回は見つかっていません。

Q運動のあとに湯船につかると筋肉の疲れは早く回復しますか?

結果は割れています。運動直後に熱いお湯で温めた研究のまとめでは、筋力など体力の回復について、効果なし・良い効果・悪い効果が混ざっていました。筋肉痛そのものを比べた結果ではありません [[41032138]]。

Q血流が良くなるから疲れがとれるのですか?

理由としては確かめられていません。疲れの感じが軽くなることは試験で示されましたが、血流や疲労物質との関係は調べられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(7本)

[1]入浴が体と心に与える影響:ランダム化比較試験

発表年
2018年
研究機関
日本・温泉医科学研究センター
掲載誌
Evidence-based complementary and alternative medicine : eCAM
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
38人
結果の向き
良い方向

38人が湯船の入浴とシャワーを2週間ずつ交互に試し、湯船の期間のほうが疲れ・ストレス・痛みの点数が良かった。

[2]地熱水による健康状態の改善:ランダム化比較試験

発表年
2019年
研究機関
リトアニア・クライペダ大学
掲載誌
Balneo Research Journal
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
250人
結果の向き
良い方向

250人を入浴する群としない群に分け、2週間の入浴で疲れと気分の項目が特に良くなった。

[3]日本式入浴の短所と長所の総説

発表年
2022年
研究機関
日本・九州大学
掲載誌
Journal of physiological anthropology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

冬の事故を防ぐため、脱衣所と浴室を20℃以上に保つよう勧めている。

[4]寝る前の入浴・シャワーによる温熱は睡眠を改善するか

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・テキサス大学オースティン校
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
良い方向

13件の研究のメタ解析で、寝る1〜2時間前の入浴は寝つくまでの時間を短くした。

[5]タイピング作業で生じる僧帽筋の疲労に対する入浴の効果

発表年
2008年
研究機関
日本・企業の研究部門
掲載誌
KANSEI Engineering International
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
6人
結果の向き
良い方向

6人の実験で、10分の入浴で肩の筋肉の疲れの感じは早く消えたが、筋電図で測った疲れの戻りは変わらなかった。

[6]運動後の温熱による回復の系統的レビュー

発表年
2025年
研究機関
フィンランド・ユヴァスキュラ大学
掲載誌
Sports medicine - open
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
194人
結果の向き
結果が割れている

14件・194人の系統的レビューで、運動直後に温めたときの回復は効果なし4件・良い効果4件・悪い効果1件と割れていた。

[7]ランニング後の温水浸漬による回復の試験

発表年
2025年
研究機関
ブラジル・サンパウロ州立大学
掲載誌
Scandinavian journal of medicine & science in sports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

ランニングのあとに41℃のお湯につかっても、偽の処置と比べて脚の筋力・疲れの感じ・気分は良くならなかった。

ほかに参考にした論文(13本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。