[1]精油の香りは不安にどう影響するか、ランダム化比較試験のネットワークメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- 中国・中国中医科学院西苑医院
- 掲載誌
- Frontiers in public health
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 3,419人
- 結果の向き
- 良い方向
精油と不安を調べた44件・3419人のまとめ。ビターオレンジで「いまの不安」が平均9.62点低下。

和らげます。ビターオレンジの精油で、不安の点数が平均9.62点下がっています。
検査や手術の前の患者、出産中の妊婦など、不安が強まる場面の研究が中心です。
不安が高まる場面の前に、好みの柑橘の香りを嗅いでみる価値があります。妊婦の試験では、精油 5 滴をしみ込ませたマスクを 1 日に二度・20 分ずつ吸う方法でした [4]。妊娠中や持病のある人、薬を使っている人は、医師や薬剤師に確認してから。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 98.8 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 99 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・RCT のメタ解析 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
柑橘の香りは、オレンジ・レモン・ベルガモットなどの果実の皮から取る精油(植物の香り成分を濃縮したもの)の香りです。気持ちを落ち着かせたり、気分を明るくしたりするとされ、ディフューザー(香りを空気中に広げる器具)や、精油をしみ込ませたマスクなどで嗅ぎます。ビターオレンジ、スイートオレンジ、レモン、ベルガモットなど、元になる果実で香りが違うのが特徴です。注意点は、精油が濃縮されたものであることで、妊娠中の人、持病のある人、薬を使っている人は医師や薬剤師に確認してください。
答えの中心は、中国中医科学院西苑医院などの研究チームが2023年に発表したネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、複数の試験をまとめ、直接比べていない組み合わせも含めて全体の違いを調べる方法です。不安のある人を対象に、10種類の精油(植物から取り出した香り成分を濃縮したもの)を比べた試験が集められました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたネットワークメタ解析(精油と不安を調べた44件・3419人) |
|---|---|
| 対象 | 不安のある人(精油は10種類) |
| 比べたもの | 精油の香り / 比較対照 |
| 結果 | ビターオレンジの精油で「いまの不安」の点数が平均9.62点低下 |
レモンの精油も、ふだんの不安(特性不安)の点数を平均8.48点下げていました。
「いまの不安」はその時の緊張の強さ、「ふだんの不安」は日ごろから感じやすい不安の傾向を、質問票で測った点数です。3419人は柑橘以外も含む全体の人数で、ビターオレンジの推定の幅(信頼区間)は5.93点から13.32点の低下です [1]。レモンは幅が広く、0.33点から16.67点の低下で、下限はほぼ差のない値です [1]。
ビターオレンジはスイートオレンジとは別の種類です。大きな差が出たのは、ビターオレンジとレモンです。ただし香りの種類を直接比べた試験ではないので、どれが一番とは言えません。
なお、妊婦68人の不安・抑うつの結果と睡眠の結果は、同じ試験の別の結果です [4] [10]。
全部の試験で差が出たわけではありません。2024年のICUの看護師の試験では、スイートオレンジなどを混ぜた精油と偽物で、不安に差がありませんでした [12]。中絶手術前の女性66人の試験では、ベルガモットなどの精油と、ヘアコンディショナーの香りで差がありませんでした [13]。歯科の患者486人の試験では、オレンジなどの香りを部屋に流すと不安の点数がわずかに低かったものの、はっきりした差は女性など一部だけでした [14]。放射線治療中の患者では、ラベンダー・ベルガモットなどを混ぜた精油のほうが、香りのない油より不安の点数が高くなった試験もあります [15]。
偽物と比べて、不安の点数に統計的な差はありませんでした。
差が出なかった試験の多くは、柑橘以外の精油が混ざっているか、比べた相手が別の香りでした。「柑橘が効かない」とは言えず、何と比べるか・どんな場面かで差の出方が変わる可能性があります。しくみは、この解析では確かめられていません。
研究で使われた条件は試験ごとに違います。妊婦68人の試験は、精油5滴のマスクを1日に二度・20分ずつ、1か月です [4]。集中治療室の患者54人の試験は、精油3滴を枕に垂らして20分、2晩でした [3]。看護学生の試験では、レモンの精油を15分嗅ぎました [5]。長期の使用の安全性は、ここで扱った研究からは判断できません。妊娠中の人、持病のある人、薬を使っている人は、医師や薬剤師に確認してください。
患者や妊婦の結果を、健康な人の日常の不安にそのまま当てはめないでください。
柑橘の香りは、不安の点数を下げる方向の結果が多くの試験でそろっています。
気分は小規模な試験で支持され、睡眠は割れていて、集中力とやせる効果は研究が見つかっていません。
不安が高まる場面の前に、好みの香りを試してみましょう。
誰でもとは言えません。点数が下がった試験が多い一方、偽物と差がなかった試験もあります。香りの好みにも個人差があります。
2023年のまとめ解析では、「いまの不安」の点数の低下は、ビターオレンジが平均9.62点、ラベンダーが平均5.41点でした [[37325306]]。香りを直接比べた試験ではなく、推定の幅も重なるため、どちらが上とは言えません。
研究では確かめられていません。ここで扱った試験は、精油を使ったものです。
研究では確かめられていません。このページで扱ったのは、アンケートで測った不安の点数の変化です。つらい状態が続くときは、医療機関に相談してください。
精油と不安を調べた44件・3419人のまとめ。ビターオレンジで「いまの不安」が平均9.62点低下。
出産中の妊婦で、スイートオレンジの精油を嗅いだグループは蒸留水より不安が下がった。
外科ICUの患者54人で、ベルガモットの精油を嗅いだグループの不安の点数が下がった。
妊婦68人で、ビターオレンジの精油を1か月嗅ぐと不安の点数が -3.37点 対 +0.79点。
看護学生46人で、レモンの精油を15分嗅いだグループは試験不安の点数が対照より低かった。
健康な男性40人で、スイートオレンジの香りを嗅ぐと、不安を起こすテスト中も不安の点数が上がらなかった。
産後の女性60人で、ベルガモットの香りを嗅いだグループは水の香りより気分の落ち込みの点数が低く、睡眠の質には差がなかった。
大学生48人のクロスオーバー試験。ベルガモットのスプレーで不安などの点数が改善した。
眠りに悩む閉経後の女性80人で、ビターオレンジの精油を4週間嗅ぐと睡眠の質の点数が良かった。
眠りに悩む妊婦68人で、ビターオレンジの精油を嗅いだグループは睡眠の質の点数が良かった。
冠動脈の治療を受ける患者85人で、ビターオレンジの香りは偽の香りと睡眠の点数がほぼ同じだった。
ICUの看護師で、柑橘などを混ぜた精油は偽物と比べて不安に差がなかった。
中絶手術前の女性66人で、精油はヘアコンディショナーの香りと不安の下がり方に差がなかった。
歯科の患者486人で、オレンジなどの香りを流すと不安の点数がわずかに低く、はっきりした差は一部だけだった。
放射線治療中の患者で、ラベンダー・ベルガモット・シダーウッドの精油は香りのない油より不安の点数が高かった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。