[1]傷やけどの治療にはちみつを使った比較試験のコクランレビュー
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- ニュージーランド・オークランド大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 992人
- 結果の向き
- 良い方向
浅いやけどの人992人(RCT2件)で、はちみつの被覆材は傷が治るまでの日数が平均4.68日短かった。

医療用のはちみつは、傷ややけどに効きます。浅いやけどは平均4.68日早く治ります。がん治療中の口内炎の予防にも効きます。
浅いやけどの人992人(RCT2件)では、はちみつの被覆材で傷が治るまでの日数が平均4.68日短くなりました。確実性は高い結果です [1]。ただし、治りにくい慢性の傷を含む傷全体では、根拠の確かさは低めです。慢性の傷の研究の作りに弱さがあるためです [2]。がんの放射線治療や抗がん剤治療を受けている人では、はちみつを口に含む・塗ると、がまんできない口腔粘膜炎になるリスクは、RCT19件・1276人のメタ解析のうち、予防に使った解析で0.18倍でした(0.18倍は予防の解析だけの値です)[3]。かぜなどの急な咳で眠りにくい子どもの睡眠にも効きますが、根拠の確かさは低めです [4]。咳そのものは研究が足りません [5]。
傷ややけど、口腔粘膜炎は、医療用のはちみつやがん治療中の人の研究です。睡眠は、急な咳がある子どもの研究です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 13.9 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 93.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
はちみつは、ミツバチが花の蜜から作る食品で、のどや体に良いとされ、料理や飲み物に加えたり、そのまま食べたりします。食用のものとは別に、傷の治療に使う医療用のはちみつ(被覆材)もあります。主成分は糖分で、花の種類によって色や風味が変わるのが特徴です。注意点は、1歳未満の赤ちゃんには与えないことです。
答えの中心は、オークランド大学(ニュージーランド)などの研究チームが2015年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果をまとめる方法です。やけど・すり傷・足の潰瘍などにはちみつを塗る治療を調べた、RCT26件・3011人が集められました。
| 研究の種類 | 傷の治療にはちみつを使った比較試験のコクランレビュー |
|---|---|
| 対象 | 浅いやけどの人(RCT2件・992人) |
| 比べたもの | はちみつの被覆材 / ふつうの被覆材 |
| 結果 | 傷が治るまでの日数が平均4.68日短かった(確実性は高い) |
はちみつの糖分は、砂糖などと同じ「遊離糖類」に数えられます。WHOは、遊離糖類を一日のエネルギーの10%未満にとどめるよう勧めています。一日約2000キロカロリーの人で約50 gが目安です。さらに5%以下にすると、追加の健康上の利点につながりうる、とも述べています。
1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを与えないでください。厚生労働省は、赤ちゃんは腸内環境が整っておらず、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出し、便秘や元気の消失などの症状が出ることがあると説明しています。糖分が多いので、血糖の管理が必要な人や服薬中の人は、医師・薬剤師に確認してください。傷ややけどに食用のはちみつを塗ることは、研究で確かめられていません。
乳児ボツリヌス症の原因になるため、離乳食やおやつにも使わないでください。
はちみつが効くと言える用途は、医療用の傷の被覆材と、がん治療中の口腔粘膜炎の予防です。
咳・のどの痛み・睡眠は対象が限られ、血糖と運動は結果が分かれ、美肌と腸内環境は研究が見つかっていません。
使うなら1歳以上で、量は砂糖と同じ糖分として考え、傷や治療中の症状は医師に相談しましょう。
研究は医療用のはちみつを被覆材に使ったものです。食用のはちみつを家庭で傷に塗ることは、研究で確かめられていません。やけどや治りにくい傷は、医療機関で相談してください。
1歳以上の子どもの急な咳は、研究が足りず、まだ分かりません。偽薬より咳の評価がよかった試験はありますが、研究はまだ少ないです。大人の急性気管支炎の194人の試験では効果が見られませんでした。
はちみつだけの上限量は、研究では確かめられていません。砂糖などと合わせて遊離糖類として数え、血糖の管理が必要な人は医師に相談してください。
厚生労働省は、1歳を過ぎてからと案内しています。1歳未満は与えません。
浅いやけどの人992人(RCT2件)で、はちみつの被覆材は傷が治るまでの日数が平均4.68日短かった。
慢性の傷がある906人(研究8件)で、治るまでの時間が短くなったが、根拠の質は非常に低い。
放射線治療・抗がん剤治療を受けている人で、がまんできない口腔粘膜炎になるリスクが0.18倍だった(RCT19件・1276人のメタ解析のうち、予防に使った解析の値)。
子どもの急な咳のRCT10件で、咳を減らす傾向があったが、根拠の質は低い〜非常に低い。
急な咳がある子ども402人(RCT2件)で、咳の回数の評価が7段階で平均1.62点よかった。
治療を受けている子ども316人(研究5件)で、重い口腔粘膜炎のリスクが0.18倍だった。
急性気管支炎の大人194人で、咳が続いた日数は、はちみつで6日、通常のケアで5日だった。
扁桃腺の手術を受けた子ども710人(RCT7件)で、痛みの強さが平均0.90点低かったが、根拠の質は低い。
扁桃腺の手術を受けた子ども400人で、痛みの経過は偽薬や通常の治療だけと差がなかった。
くり返す口内炎の塗り薬など29種類を比べ、はちみつは効果が高いグループに入った。
鍛えている男性12人が180分間自転車をこぐ間、疲れきるまでの時間に差がなかった。
運動とはちみつを調べた9件の研究で、パフォーマンスはほかの糖分と同じくらい。糖分のない飲み物と比べて良かった研究もあった。
日本の1〜5歳の子ども161人で、夜の咳や睡眠に差がなかった。
比較試験18件・1105人で、空腹時の血糖が平均0.20 mmol/L低かった。
比較試験23件で、総コレステロールや中性脂肪などに差がなかった。
毎日10 gで、HbA1cは下がる可能性がある一方、中性脂肪や空腹時の血糖には悪い影響が見られた。
動物実験では体重が減ったが、ヒトの試験(3件)では結果が分かれた。体重が増えた試験はなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。