魚をよく食べる子は、頭の働きや成績が良い?

魚をよく食べる子は、頭の働きや成績が良い?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効かない

魚をよく食べる子は、学校の成績が高い傾向と関連しています。頭の働きには、はっきりした差が出ていません。

根拠

スウェーデンの15歳9448人では、魚を週1回より多く食べる子は、週1回未満の子より1年後の成績の合計点が19.9点高くなっていました [1]。一方、魚と肉の昼食を比べた4〜6歳218人の試験では、知能検査の伸びに差はありませんでした [2]。子どもの魚と頭の働きをまとめた14件のレビューは、魚が多いほど良いと結論していますが、確実性は低いと評価しています [3]。根拠の確かさは低めです。観察研究が中心で、試験の結果がそろっていないためです。

この答えの範囲

子ども自身が魚を食べる話です。妊娠中の魚は扱っていません。

じゃあ、どうする?

魚を食べる習慣は、続けて大丈夫です。ただし成績や頭の働きを上げる目的で増やす必要はなく、DHAなどのオメガ3サプリも、子どもの試験のまとめでは効果が確認されていません [4]。詳しい選び方は オメガ3(DHA・EPA)は何に良い? にあります。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量7.920研究件数と参加人数
一致度15.425結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 73.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

魚の栄養とは

魚、とくにサバ・ニシン・サケなど脂の多い魚は、DHAやEPAといったオメガ3脂肪酸を含む食品です。DHAは脳の材料になるとされ、「魚を食べると頭が良くなる」と昔から言われてきました。サプリや魚油もありますが、この記事で中心に見るのは、食事として魚を食べる場合です。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのテキサスA&M大学などの研究チームが2025年に発表した系統的レビューです [3]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。0〜18歳の子どもを対象に、魚を食べさせた北欧の短期の試験5件と、追跡した観察研究9件がまとめられました。

研究の種類子どもの魚介類の摂取と頭の働きを調べた系統的レビュー
対象0〜18歳の子ども(14件)
比べたもの脂の多い魚と肉・鶏肉・魚油サプリ、魚を多く食べる子と少ない子
結果魚介類を多く食べるほど頭の働きが良いという関係。根拠の確実性は低い
系統的レビューの結果魚介類を多く食べる子ほど、頭の働き(認知の発達)が良いという関係が示されました [3]。

ただし数値の統合はされておらず、根拠の確実性は低いと評価されています。

「多いほど良い」という向きは示されていますが、これは観察研究が半分以上を占めるレビューの結論です。魚を食べさせる試験だけを見ると、結果は次のように分かれます。

頭の働きでは、差が出ていない

魚を食べさせる試験の結果はそろっていませんが、知能検査ではっきりした差が出たものは多くありません。

  • ノルウェーの4〜6歳218人に、脂の多い魚の昼食を週3回16週間出しても、肉の昼食と知能検査の伸びは同じでした [2]
  • 4〜6歳205人にサケの食事を週3回16週間出した試験でも、知能検査の得点に差はありませんでした [5]
  • デンマークの8〜9歳199人では、脂の多い魚を食べた子の得点が0.17点伸びる傾向でしたが、統計的にははっきりしませんでした [6]
  • ノルウェーの14〜15歳426人では、脂の多い魚の食事を週3回12週間食べた群が、肉の群より処理の速さが少し伸びました。ただし食べ残しが多く、解釈は難しいとされています [7]

観察研究も割れています。スウェーデンの男子3972人では、15歳のとき魚を週1回より多く食べていた子は、少ない子より18歳の知能検査の総合得点が0.58段階高く、英国とスウェーデンの子どもの研究では、魚の量と知能に関係は見られませんでした [8] [9] [10]。

学校の成績とは、関連がある

成績では、良い関連が報告されています。スウェーデンの15歳9448人で、魚を週1回より多く食べる子は、週1回未満の子より1年後の成績の合計点が19.9点高くなっていました(親の学歴などを調整した観察研究) [1]。

関連が見られなかった研究米国の出生コホート。子どものころの魚の摂取は、留年・補習・最終学歴のどれともはっきりした関係がなかった。

成績の記録ではなく、大人になってから思い出して答えてもらった調査です [11]。

成績の研究はどちらも観察研究です。魚をよく食べる子は、家庭の食事や生活のほかの違いも持っていることがあり、親の学歴などを調整しても、その違いを完全には取り除けません。「魚を食べたから成績が上がった」とは言えず、関連しているという読み方になります。

よく言われていることは本当?

  • 魚を食べると頭が良くなる研究では、はっきりした差が出ていません。 魚を食べさせた試験の多くで知能検査に差はなく、レビューも確実性は低いと評価しています [3] [2]。
  • DHAのサプリで記憶力や集中力が上がる効きません。 子ども・若者のRCT 29件(4247人)のメタ解析で、記憶や注意などのどの認知テストも全体として上がりませんでした [4]。13〜14歳が16週間飲んだ配合サプリで記憶の成績が伸びた試験が1件ありますが、1件だけです [12]。
  • 魚をよく食べる子は学校の成績が良い関連しています。 スウェーデンの9448人の観察研究の結果で、因果は言えません [1]。
  • DHAは脳の材料なので欠かせない脳の材料になるとされますが、足りている子が食べ足して頭の働きが伸びるかは、上の試験で差が出ていません。
  • 妊娠中に魚をとると生まれた子の頭が良くなるこの記事では扱っていません。 子ども自身が食べる場合とは別の疑問です。

02注意点

試験で使われた量は、デンマークの研究で脂の多い魚を週約300gを12週間、ノルウェーの研究で週3回の昼食を16週間です [6] [2]。魚の昼食で子どもの髪の水銀は増えましたが、安全の目安より低く、水銀の量と知能検査の得点に関係は見られませんでした [13]。魚アレルギーのある子や、食事に不安がある場合は、医師や管理栄養士に相談してください。

成績と頭の働きは、別の結果です

成績との関連は観察研究のみで、魚を増やせば上がると読むことはできません。

03まとめ

魚をよく食べる子は成績が高い傾向と関連していますが、頭の働きには、はっきりした差が出ていません。
この関連は観察研究のもので、魚を食べたからとは言えず、サプリで補っても効果は確認されていません。
魚はふだんの食事の一つとして楽しむ程度で十分です。朝食と集中力の研究は 朝食を食べると午前中の集中力は上がる? で読めます。

04よくある質問

Q魚は週に何回食べさせればいいですか?

成績との関連が見られたのは、スウェーデンの研究で、週1回未満の子と週1回より多い子を比べた結果です [[19817726]]。何回が最適かは、研究では確かめられていません。

Q魚が苦手な子は、サプリで補えば頭の働きが上がりますか?

上がりません。子ども・若者のRCT 29件のメタ解析で、オメガ3のサプリは認知テストの成績を全体として上げませんでした [[32070694]]。魚が苦手でも、それだけで成績が下がるとは言えません。

Q魚は頭のために食べさせても意味がありませんか?

頭の働きへの効果は確認されていませんが、魚を食べること自体を控える理由はありません。ふだんの食事の選択肢の一つとして続けて大丈夫です。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]スウェーデンの10代の魚の摂取と学校の成績

発表年
2010年
研究機関
スウェーデン・ヨーテボリ大学
掲載誌
Acta paediatrica (Oslo, Norway : 1992)
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
9,448人
結果の向き
良い方向

15歳9448人で、魚を週1回より多く食べる子は1年後の成績の合計点が19.9点高かった。

[2]就学前の子どもの脂の多い魚と認知機能のRCT

発表年
2018年
研究機関
ノルウェー・海洋研究所
掲載誌
BMC medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
218人
結果の向き
差なし

4〜6歳218人で、魚の昼食を週3回16週間出しても、肉の昼食と知能検査の伸びに差はなかった。

[3]子どもの魚介類と神経認知の発達の系統的レビュー

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・テキサスA&M大学
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究14件を統合
結果の向き
良い方向

0〜18歳の子どもで、魚介類を多く食べるほど頭の働きが良いという関係が示されたが、確実性は低い。

[4]子ども・若者の認知テストへのオメガ3の効果のメタ解析

発表年
2020年
研究機関
スイス・チューリッヒ大学
掲載誌
Neuroscience and biobehavioral reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,247人
結果の向き
差なし

子ども・若者のRCT 29件(4247人)で、オメガ3のサプリはどの認知テストの成績も全体として上げなかった。

[5]サケの摂取と就学前の子どもの認知機能のRCT

発表年
2019年
研究機関
ドイツ・ミュンヘン大学
掲載誌
Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
205人
結果の向き
差なし

4〜6歳205人で、サケの食事を週3回16週間食べても、肉の食事と知能検査の得点に差はなかった。

[6]8〜9歳の子どもの脂の多い魚と認知・社会情緒機能のRCT

発表年
2020年
研究機関
デンマーク・コペンハーゲン大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
199人
結果の向き
差なし

8〜9歳199人で、脂の多い魚を食べた子は得点が0.17点伸びる傾向だったが、はっきりしなかった。

[7]Fatty fish intake and attention performance in 14-15 year old adolescents: FINS-TEENS - a randomized controlled trial.

発表年
2017年
研究機関
ノルウェー・Handeland Kほかの研究チーム
掲載誌
Nutrition journal
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
426人
結果の向き
良い方向

ノルウェーの14〜15歳426人で、脂の多い魚の食事を週3回12週間食べた群は、肉の群やサプリの群より処理の速さが少し伸びたが、食べ残しが多く解釈は難しい (上の系統的レビューに含まれる時期のRCT)

[8]スウェーデンの男子の魚の摂取と認知機能

発表年
2009年
研究機関
スウェーデン・ヨーテボリ大学
掲載誌
Acta paediatrica (Oslo, Norway : 1992)
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
3,972人
結果の向き
良い方向

男子3972人で、15歳のとき魚をよく食べていた子は18歳の知能検査の総合得点が0.58高かった。

[9]7歳の魚介類の摂取と神経発達の観察研究

発表年
2025年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
差なし

英国の子どもで、7歳の魚介類の摂取量と8歳の知能指数に関係は見られなかった。

[10]魚介類の摂取量と子どもの認知・行動の評価

発表年
2026年
研究機関
スウェーデン・カロリンスカ研究所
掲載誌
Environmental research
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
—
結果の向き
差なし

スウェーデンの母子で、子どもの魚介類の摂取量は4歳時の知能検査の成績と関係していなかった。

[11]子どものころの魚の摂取と学習・行動の問題

発表年
2016年
研究機関
アメリカ・ボストン大学
掲載誌
International journal of environmental research and public health
研究の種類
横断研究ある一時点での生活習慣と健康状態の関係を調べる研究。
対象
—
結果の向き
差なし

米国の出生コホートで、子どものころの魚の摂取は留年や補習などとはっきりした関係がなかった。

[12]10代の学習と記憶へのオメガ混合油の試験

発表年
2026年
研究機関
イギリス・レディング大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な13〜14歳が配合サプリを16週間飲んだ群だけ、単語を思い出す記憶の成績が伸びた。

[13]魚の昼食、髪の水銀と就学前の子どもの認知機能

発表年
2018年
研究機関
ノルウェー・ノルウェー研究センター
掲載誌
Environment international
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
232人
結果の向き
差なし

魚の昼食で髪の水銀は増えたが安全の目安より低く、水銀の量と知能検査の得点に関係は見られなかった。

ほかに参考にした論文(12本)

判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。