ホワイトノイズで集中力は上がる?

ホワイトノイズで集中力は上がる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え注意が必要

ADHD の人には、小さく効きます。ADHD でない人は、注意が必要です。集中力が少し下がることがあります。

根拠

ADHD の子どもや若い大人では、ホワイトノイズ・ピンクノイズで注意を使う課題の成績が少し良くなりました(13件・335人のメタ解析)[1]。同じ解析で、ADHD でない人では成績がわずかに下がりました(11件・335人)[1]。根拠の確かさは低めです。ADHD でない人の結果は、ADHD の研究に参加した比較グループの成績が元になっているためです。

この答えの範囲

音を流して課題の成績を測った実験の話です。

じゃあ、どうする?

ADHD の人は、小さめの音量で試す価値があります。ADHD でない人は、ホワイトノイズに頼らず、静かな場所や休憩で整えるほうが研究に近い選択です。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量13.620研究件数と参加人数
一致度14.225結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 82.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・その他のヒトの研究 3 本・RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ホワイトノイズとは

ホワイトノイズは、すべての高さの音を同じ強さで混ぜた「ザー」という音です。集中や睡眠を助けるとされ、アプリや専用の機器などで流せます。低い音を強めたピンクノイズも、同じ目的でよく研究されます。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。音量が大きいと逆に負担になった研究もあります。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのオレゴン健康科学大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を統計でまとめる方法です。ホワイトノイズ・ピンクノイズを流した条件と、静かな条件やごく小さなノイズの条件を、ランダムに割り当てて比べた研究が集められました。

研究の種類ランダム化した条件の研究を集めたメタ解析
対象ADHD または症状が強い子ども・若い大人(13件・335人)と、ADHD でない子ども・若い大人(11件・335人)
比べたものホワイトノイズ・ピンクノイズと、静かな環境や小さなノイズ
結果ADHD の人は少し良くなり、ADHD でない人はわずかに下がった
まとめて分析した結果ADHD の人では、注意を使う課題の成績が静かなときより少し良くなりました(g = 0.249)。

ADHD でない人では、わずかに下がりました(g = -0.212、95%信頼区間 -0.355〜-0.069)[1]。

「g」は、グループの差を標準化した効果の大きさです。どちらも大きな差ではありません。ADHD の人の側は研究ごとのばらつきが小さく、出版の偏りも見つかりませんでした。根拠の確かさは低めです。ADHD でない人の結果は、同じ研究に参加した比較グループの成績が元になっているためです。

効くのはどんなとき?

  • ADHD の診断があるか、不注意の傾向が強い人です [1]。
  • 8〜10歳の子どもの実験では、不注意の傾向がある子どもの実行機能の成績が上がりました [2]。
  • 中学・高校生51人の実験では、不注意の生徒の記憶の成績が上がりました [3]。

効かないのはどんなとき?

  • 注意力が高い子どもでは、成績が下がりました [2] [3]。
  • ADHD の子ども52人と ADHD でない子ども45人の実験では、耳から聞くホワイトノイズでも目に見せるノイズでも、目の動きをこらえる課題の成績は、どちらのグループも良くなりませんでした [4]。
  • ADHD の子ども43人の実験では、全体としてノイズの効果ははっきりしませんでした。不注意の傾向が強い子は良くなり、多動・衝動の傾向が強い子は悪くなりました [5]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ADHD でない人でも、良い結果が出た小さな実験はあります。ただし、音量や課題で結果が変わります。

  • 健康な若い大人80人で、ホワイトノイズを聞きながら新しい単語を覚えたグループは、静かな中で覚えたグループより、思い出す正確さが回を追うごとに高くなりました [6]。
  • ADHD でない若い大人が個室のオフィスで作業した実験では、45 dB の小さめのホワイトノイズで、注意の持続・正確さ・速さが、ふだんのオフィスの音より良くなりました。65 dB では作業記憶は良くなりましたが、ストレスが高くなりました [7]。
良い結果が出た実験健康な若い大人80人(単語の学習)

静かな環境より、思い出す正確さが高くなりました。

これらはメタ解析より小規模な実験です。結果が割れているので、ADHD でない人に「上がる」とは言えません。

よく言われていることは本当?

  • ホワイトノイズを流すと、勉強や仕事の集中力が上がるADHD でない人では、上がるとは言えません。 メタ解析では成績がわずかに下がりました [1]。
  • ADHD の人の集中に効く効きますが、効果は小さいです。 ADHD の人の成績が少し良くなりました [1]。ただし、そのあとの小さな実験では、全体として差が出ないものもありました [4] [5]。
  • 周りの話し声や物音を消して、集中しやすくなる研究が見つかっていません。 マスキングで成績が上がるかを直接比べた研究は確認できませんでした。騒音と作業成績の242研究のまとめでは、影響は課題の種類や音の種類で変わりました [8]。
  • 暗記や記憶の成績が上がる条件によります。 健康な大人80人の単語学習では良くなりましたが [6]、メタ解析では ADHD でない人の成績は下がりました [1]。
  • 雨音・自然音・カフェの音で集中できる研究が足りません。 自然音で不安や心拍数は下がりましたが、頭の働きが回復するかは結論がそろいませんでした [9]。
  • 聞きすぎると脳に悪影響がある研究が見つかっていません。 集中のために長い時間使った影響を調べた研究は、確認できませんでした。

02注意点

調べられているのは、短い課題の最中に音を流した影響です。たとえば45 dB と65 dB を比べた実験では、大きいほうでストレスが高くなりました [7]。ADHD の幼児の実験では、ホワイトノイズで注意のテストの成績が良くなった一方、ADHD でない幼児には役に立たず負担になりました [10]。ADHD の診断や治療中の人は、ノイズを使い始める前に、医師や薬剤師に相談してください。持病や服薬がある人も同じです。

音量は小さめから

大きな音は負担やストレスにつながることがあるので、小さめの音量で試してください。

03まとめ

ホワイトノイズは、ADHD の人の集中には小さく効きます。
ADHD でない人は、集中力が上がるとは言えず、少し下がることがあります。
試すなら小さめの音量で、合わなければ静かな環境に戻しましょう。

04よくある質問

QADHD の診断がなくても、集中が苦手なら効きますか?

不注意の傾向が強い子どもでは、成績が上がった実験があります [[25393410]]。ただし、診断のない大人で効くかを確かめた大きな研究は、確認できませんでした。

Qピンクノイズならどうですか?

メタ解析では、ホワイトノイズとピンクノイズをまとめて調べています。どちらが良いかは分けられていません [[38428577]]。

Q雨音やカフェの音ならどうですか?

自然音は不安や心拍数を下げましたが、頭の働きの回復は結論がそろいませんでした [[38373459]]。カフェの音を直接調べた研究は確認できませんでした。

Qほかに集中を助ける方法はありますか?

カフェインなど、研究のある方法は、[カフェインで集中力は上がる?](/evidence/caffeine-concentration)や[勉強に集中できないときに効く方法は?](/evidence/study-focus-methods)で解説しています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(11本)

[1]ホワイトノイズ・ピンクノイズは ADHD の若者の課題成績を助けるか

発表年
2024年
研究機関
アメリカ・オレゴン健康科学大学
掲載誌
Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
335人
結果の向き
悪い方向

ADHD では少し良く、ADHD でない比較グループ(11件・335人)では注意の課題の成績がわずかに下がった

[2]ホワイトノイズが注意力の異なる学童の認知成績に与える違い

発表年
2014年
研究機関
イギリス・サウサンプトン大学
掲載誌
PloS one
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

不注意の傾向がある子どもの実行機能は上がり、注意力の高い子どもの成績は下がった

[3]背景のホワイトノイズが不注意な生徒の記憶成績に与える影響

発表年
2010年
研究機関
スウェーデン・ストックホルム大学
掲載誌
Behavioral and brain functions : BBF
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

中学・高校生51人で、不注意の生徒の記憶は上がり、注意力のある生徒は下がった

[4]ADHD の子どもの眼球運動制御に聴覚・視覚のホワイトノイズは効かない

発表年
2024年
研究機関
スウェーデン・ルンド大学
掲載誌
Journal of attention disorders
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
45人
結果の向き
差なし

ADHD でない子ども45人でも、耳のホワイトノイズで目の動きをこらえる課題は良くならなかった

[5]臨床的 ADHD での感覚ホワイトノイズ、誰が得をし誰が悪くなるか

発表年
2024年
研究機関
ノルウェー・西ノルウェー応用科学大学
掲載誌
Scandinavian journal of child and adolescent psychiatry and psychology
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
43人
結果の向き
差なし

ADHD の子ども43人全体ではノイズの効果は見られなかった

[6]ホワイトノイズは健康な大人の新しい単語の学習を助ける

発表年
2017年
研究機関
オーストラリア・クイーンズランド大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
80人
結果の向き
良い方向

健康な若い大人80人で、ホワイトノイズ下の単語の思い出す正確さが静かな中より高かった

[7]ホワイトノイズの音量が若い大人の認知成績・創造性・ストレスに与える影響

発表年
2022年
研究機関
アメリカ・南カリフォルニア大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

45 dB では注意の持続・正確さ・速さが良く、65 dB では作業記憶が良くなったがストレスが高かった

[8]騒音が人の作業成績に与える影響のメタ分析

発表年
2011年
研究機関
アメリカ・中央フロリダ大学
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

242研究のまとめで、騒音の影響は課題や音の種類で変わった

[9]自然音への曝露が健康回復に与える影響のメタ分析

発表年
2024年
研究機関
中国・青島理工大学
掲載誌
The Science of the total environment
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,285人
結果の向き
結果が割れている

自然音で不安や心拍数は下がったが、頭の働きの回復は結論がそろわなかった(15件・1285人)

[10]ADHD の幼児の注意成績に対するホワイトノイズの効果

発表年
2022年
研究機関
台湾・亜洲大学
掲載誌
International journal of environmental research and public health
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

ADHD の幼児では注意のテストが良くなり、定型発達の幼児には負担になった

Spectral content (colour) of noise exposure affects work efficiency.

発表年
2020年
研究機関
台湾・Lu SYほかの研究チーム
掲載誌
Noise & health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
22人
結果の向き
良い方向

22人の実験で、レッド・ピンク・ホワイトノイズを流したときは、静かなときより実行機能 (段取りや切り替え) のテストの成績が良かった。注意を続けるテストで良くなったのはピンクノイズだけだった

ほかに参考にした論文(6本)

判定「注意が必要」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。