甘い物(ブドウ糖)をとると勉強の集中力は上がる?

甘い物(ブドウ糖)をとると勉強の集中力は上がる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え

空腹できつい課題を続けた試験では、注意の正確さが上がりました。覚えた単語をすぐ思い出す成績も良くなります。

根拠

一晩絶食した若い大人27人がきつい課題を続けた試験では、ブドウ糖で注意の正確さが上がりました [1]。12時間絶食した60歳以上の44人でも、注意を切り替える課題が速くなりました [2]。著者が課題がやさしかった可能性を挙げた大人48人の試験では反応がかえって遅くなり [3]、子どもと砂糖の23件のまとめでは差が出ませんでした [4]。集中力の根拠の確かさは限定的です。数十人規模の試験が中心で、結果もそろっていないためです。覚えた単語をすぐ思い出す成績は、健康な人の研究77件のレビューで、プラセボより良くなりました [5]。

この答えの範囲

健康な子ども〜大人が、ブドウ糖25〜50 gの飲み物をとった直後の短い時間で確かめた結果です。集中力が上がった試験は、どちらも絶食していて、頭を使う課題が難しいときでした。

じゃあ、どうする?

勉強のために甘い物を多くとる必要はありません。試すなら、研究で使われた量(25〜50 gの飲み物)の範囲で。ブドウ糖は量を増やすほど良いかどうかは、研究では確かめられていません。とった直後の1時間は疲れが強く覚醒度が低いこととの関連が報告されているので [6]、眠さを感じたら暗記は間をあけて試してください。朝食を抜いても大人の成績がはっきり下がる根拠はありませんが [7]、子どもや中高生は朝食を食べたほうが午前中の注意・記憶の結果が良い研究がそろっています [8]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。限定的
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。結果は混在
判定の内訳を見る(スコア 39 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1420研究件数と参加人数
一致度7.125結果の向きがそろっているか
新しさ310最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 58.1 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ブドウ糖とは

ブドウ糖は、ご飯やパン、果物などに含まれる糖の一種で、体と脳のおもなエネルギー源とされています。食べると血液中の糖(血糖)になり、飲み物やタブレットなどの形でとることもできます。砂糖はブドウ糖と果糖がつながったもので、研究ではブドウ糖と砂糖が分けて調べられています。注意点は、糖尿病など血糖に関わる持病がある人や服薬中の人は、とり方を医師や薬剤師に確認することです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

集中力が上がるのはどんなとき?

集中力が上がった試験は、どちらも絶食していて、頭を使う課題が難しいときでした。

  • 空腹(一晩絶食)で、きつい課題を続けるとき: 健康な若い大人27人が10分間の頭を使うテストを休まず続けた試験では、ブドウ糖25 gで注意のテストの正確さが上がりました [1]。
  • 空腹で、難しい注意の課題のとき: 12時間絶食した60歳以上の44人(高齢者)では、ブドウ糖50 gで注意を切り替える課題が速くなりました [2]。

集中力が上がらないのはどんなとき?

  • 課題がやさしいとき: 大人48人(ブドウ糖50 g)では、選んで反応する課題の反応がかえって遅くなりました。著者は、課題がやさしかった可能性を挙げています [3]。
  • 子どもと砂糖: 23件の試験のメタ解析で、学力テストを含む14項目のどれにもはっきりした差は出ませんでした [4]。
  • 9〜11歳の子ども: 記憶と授業中に課題に取り組む時間は良くなりましたが、注意を持続する力は変わりませんでした [9]。
  • ブドウ糖と砂糖を比べたとき: 高齢者43人では、ブドウ糖50 gはどの項目も変えず、砂糖100 gは注意と処理の速さを少し良くしました [10]。量を変えて比べた試験ではなく、量を増やせば良くなるかは分かりません。

覚えた単語を思い出す成績は良くなります

覚えた単語の思い出しについての答えの中心は、オーストラリアのクイーンズランド工科大学などの研究チームが2023年に発表したレビューです [5]。砂糖(ブドウ糖など)と頭の働きの関係を調べた健康な人の研究77件が集められ、一部の試験は結果をまとめて計算し直す「メタ解析」にかけられました。

研究の種類健康な人の研究77件のレビュー(一部はメタ解析)
対象健康な人
比べたものブドウ糖と、偽の飲み物(プラセボ)
結果覚えた単語をすぐ思い出す成績が、プラセボより良かった
まとめて分析した結果ブドウ糖をとると、覚えた単語をすぐ思い出す成績がプラセボより良くなりました [5]。

効果の大きさは要旨に書かれていません。多くは、とった直後の効果を見た試験です。

よく言われていることは本当?

  • ブドウ糖で暗記がはかどる一部は本当です。 とった直後に、覚えた単語を思い出す成績は良くなりました [5]。
  • 脳のエネルギー源だから集中力が上がる根拠は弱いです。 ブドウ糖で脳の働き方が変わる研究は多い一方、テストの成績まで変わった研究は半分に満たないとまとめられています [11]。
  • 疲れた脳に糖分を補給すると、すっきりする研究では逆です。 31件・1259人のメタ解析で、糖分をとった直後の1時間は、プラセボより疲れが強く覚醒度が低いことと関連していました [6]。ただし頭を使うテストを続けた27人の試験では、後半の疲れの感じ方は和らぎました [1]。
  • 血糖値が急に上がって下がり、眠くなる半分本当です。 疲れと覚醒度の低下は研究と合いますが、血糖値の上下が原因かは確かめられていません [6]。
  • 朝食を抜くと午前中に集中できない大人では、3,484人の実験で絶食した人と食べた人にほとんど差がありませんでした(根拠の確かさは低め) [7]。 子ども・中高生は、午前中の注意・判断・記憶の成績が良くない結果が比較的そろっています [8]。
  • ご飯やパンのほうが集中が長く続く決め手はありません。 大人の朝食のメタ解析では、上がり方がゆるい朝食が良かったのは120分を過ぎてからの一部の記憶で、差の境目でした [12]。子ども・中高生のメタ解析は、差なしでした [13]。
  • 集中が切れる前にこまめに補給すると続く研究が見つかりませんでした。 補給の間隔を比べたヒトの試験を探しましたが、勉強や頭の作業を扱うものはありませんでした。

「思い出しは良くなる」と「子どもに差がない」は矛盾する?

対象などが違います。思い出しは健康な人のレビューで、とったものはブドウ糖、測ったものは覚えた単語をすぐ思い出す成績です。差がなかったのは子どものメタ解析で、とったものは砂糖、測ったものは14項目です [4]。思い出しだけを取り出した結果は要旨に書かれておらず、2つは直接比べられません。ブドウ糖を飲んだ9〜11歳の試験では、記憶は良くなりました [9]。

02注意点

研究の多くは、ブドウ糖25〜50 gの飲み物を一度とり、直後の短い時間を測ったものです [1] [3]。毎日続けたときや試験本番の成績は、調べられていません。砂糖を多くとり続けることは、観察研究で認知の低下の危険と関連していました [5]。糖尿病など血糖に関わる持病や服薬中の人は、医師や薬剤師に確認してください。

とった直後の1時間は、疲れと覚醒度に注意

糖分をとった直後の1時間は、疲れが強く覚醒度が低いこととの関連が報告されています。原因までは言えません [6]。

この関連は、ランダム化試験かどうかが要旨に書かれておらず、根拠の確かさは低めです。

03まとめ

空腹できつい課題を続けた試験では、ブドウ糖で注意のテストの正確さが上がりました。
とった直後は、覚えた単語をすぐ思い出す成績も良くなります。
試すなら、研究で使われた量の範囲で、とったあとの眠気を見ながら決めましょう。

04よくある質問

Qブドウ糖ラムネでも同じ結果になりますか?

研究の多くは飲み物の試験です。ラムネそのものを調べた研究は、この記事で紹介した研究にはありません。

Qジュースやお菓子の砂糖でも同じですか?

砂糖を調べた研究は少なく、結果もそろっていません。高齢者では砂糖100 gが注意と処理の速さを少し良くしましたが [[24839862]]、子どもの23件のまとめでは差が出ませんでした [[7474248]]。

Q勉強が始まる何分前にとればよいですか?

研究では確かめられていません。とった直後の1時間は疲れが強く覚醒度が低いことと関連していた、という報告もあります [[30951762]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]頭を使う作業を続けたときの、朝鮮人参とブドウ糖の影響

発表年
2006年
研究機関
イギリス・ノーサンブリア大学
掲載誌
Journal of psychopharmacology (Oxford, England)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
27人
結果の向き
良い方向

一晩絶食した若い大人27人で、ブドウ糖25 gが注意のテストの正確さを上げた。

[2]絶食した健康な高齢者で、ブドウ糖が注意の切り替えに与える短期の影響

発表年
2010年
研究機関
カナダ・ケベック大学モントリオール校
掲載誌
Psychopharmacology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

12時間絶食した60歳以上の44人で、ブドウ糖50 gが注意を切り替える課題を速くした。

[3]エナジードリンクの成分(カフェイン・タウリン・ブドウ糖)が認知に与える違い

発表年
2012年
研究機関
アメリカ・タフツ大学
掲載誌
Pharmacology, biochemistry, and behavior
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
48人
結果の向き
悪い方向

大人48人で、ブドウ糖50 gだけをとると、選んで反応する課題の反応がかえって遅くなった。

[4]子どもの行動や認知に砂糖が与える影響のメタ解析

発表年
1995年
研究機関
アメリカ・ヴァンダービルト大学
掲載誌
JAMA
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究23件を統合
結果の向き
差なし

子どもの試験23件のメタ解析で、砂糖は学力テストを含む14項目のどれにもはっきりした差を出さなかった。

[5]砂糖・ブドウ糖が認知機能に与える影響のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
オーストラリア・クイーンズランド工科大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な人の研究77件のレビューで、ブドウ糖は覚えた単語をすぐ思い出す成績をプラセボより良くした。

[6]糖分で元気が出るか、疲れるか:糖質が気分に与える影響のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
ドイツ・フンボルト大学ベルリン
掲載誌
Neuroscience and biobehavioral reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,259人
結果の向き
悪い方向

31件・1259人のメタ解析で、糖分をとった直後の時間帯は、プラセボより疲れが強く覚醒度が低かった。

[7]絶食が頭の働きに与える短期の影響のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
オーストリア・ザルツブルク大学
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,484人
結果の向き
差なし

健康な大人3,484人の実験をまとめると、絶食した人と食べた人でテストの成績にほとんど差はなかった。

[8]子どもと10代の頭の働きに、朝食と朝食の中身が与える影響のレビュー

発表年
2016年
研究機関
イギリス・リーズ大学
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究45件を統合
結果の向き
悪い方向

子ども・中高生の45件のレビューで、朝食を抜くと午前中の注意・判断・記憶の成績が良くない結果が比較的そろっていた。

[9]ブドウ糖入りの飲み物が学校での子どもの行動に与える影響

発表年
2008年
研究機関
イギリス・ウェールズ大学スウォンジー校
掲載誌
Biological psychology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

9〜11歳の子どもで、授業中に課題に取り組む時間は長くなったが、注意を持続する力は変わらなかった。

[10]高齢者でブドウ糖とショ糖が認知機能と気分に与える短期的な影響

発表年
2014年
研究機関
オランダ・ワーヘニンゲン大学
掲載誌
Journal of clinical and experimental neuropsychology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

高齢者43人で、ブドウ糖50 gはどの項目も変えず、砂糖100 gは注意と処理の速さを少し良くした。

[11]脳画像研究のレビュー:ブドウ糖は認知成績を高めるか

発表年
2020年
研究機関
オーストラリア・スウィンバーン工科大学
掲載誌
Neuropsychology review
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

脳の働き方は変わったが、テストの成績まで変わった研究は半分に満たなかった。

[12]血糖の上がり方(グリセミック負荷)が頭の働きに与える影響のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
イギリス・スウォンジー大学
掲載誌
Neuroscience and biobehavioral reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

大人の試験15件のメタ解析で、上がり方がゆるい朝食は、120分を過ぎるとすぐ思い出す記憶がわずかに良かった。

[13]血糖が上がりにくい朝食と上がりやすい朝食が頭の働きに与える影響の比較

発表年
2019年
研究機関
スペイン・カスティーリャ・ラ・マンチャ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

子ども・中高生で、朝食の血糖の上がりやすさの違いは、記憶や注意に差を出さなかった。

ほかに参考にした論文(17本)

この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。