ガムを噛むと集中力は上がる?

ガムを噛むと集中力は上がる?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効くが、差はごく小さい

わずかに上がります。ただし、差はごく小さいです。

根拠

健康な大人を対象にした研究をまとめたメタ解析で、噛みながらのほうが、注意の持続のテストの成績がわずかに良いと報告されています [1]。2025年のランダム化試験でも、ふつうのガムを噛むと、数字を見張るテストの誤りが減りました [2]。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

健康な大人の、短い注意力テストの話です。眠気覚ましと記憶には効きません。睡眠不足でない人の試験では差が出ませんでした [3]。

じゃあ、どうする?

作業を始める前に噛むのは、負担の少ない小さな後押しとして試せます。大きな上乗せは見込めないので、眠いときはガムに頼らず、仮眠や休憩を。記憶を上げたいときも、噛むより別の方法を選ぶほうが確実です。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。13 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 76 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3240いちばん信頼できる研究の種類
研究の量13.920研究件数と参加人数
一致度15.525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 76.4 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 76 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ガムとは

ガムは、飲み込まずに噛んで味わうお菓子です。気分転換や集中のために噛む人が多く、砂糖入りやシュガーレス、ミント味やフルーツ味など種類があります。研究では、味や香りを付けたふつうのガムがよく使われます。注意点は、あごに負担がかかる人もいることと、砂糖入りは虫歯が気になることです。

ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

集中力のテストの成績は、わずかに良くなる

答えの中心は、企業の研究部門の研究者が2019年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じテーマの研究を集めて、結果を数字で合わせる方法です。健康な大人を対象にした21本の研究が集められました。

研究の種類噛むことと注意の持続を調べた研究のメタ解析
対象健康な大人(21本の研究)
比べたものガムなどを噛みながら作業する場合と、噛まない場合
結果注意の持続のテストの成績がわずかに良かった
まとめて分析した結果噛みながらだと、注意の持続のテストの成績がわずかに良くなりました [1]。

差の大きさを表す効果量は約0.15で、研究では「弱い」と表現されています。研究どうしのばらつきは小さいです。

「注意の持続」とは、同じ作業に注意を向け続ける力です。差は統計的に意味があるとされましたが、信頼区間の端はほぼゼロに近く、「ぎりぎり差が出た」と読むのが正確です。

2025年の試験も同じ向きでした。健康な若い36人が、成分入りのガム、ふつうのガム、味をそろえた偽物(プラセボ)を順番に試したところ、ふつうのガムは偽物より、数字を見張るテストの誤りが減りました。噛んでいる間も、噛み終えた1時間後も同じでした [2]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

睡眠不足でない健康な大人58人が、昼間に40分のテストを2回受け、片方でガムを噛んだ2025年の試験では、成績にも眠気の評価にも意味のある差は出ませんでした [3]。この試験は、疲れていない人が短いテストを受ける条件でした。

差がなかった試験睡眠不足でない健康な大人 58人

注意力のテストの成績にも、眠気の自己評価にも差はありませんでした。

また、2012年の実験では、ガムで選んで注意を向ける力は良くなった一方、見張り作業の正確さは4分目に一時的に下がりました [4]。

よく言われていることは本当?

  • 噛むと集中力・注意力が上がる効きますが、差はごく小さいです。 メタ解析で注意の持続の成績がわずかに良くなりました [1]。
  • 眠気覚ましになる効きません。 メタ解析では、頭を使う作業中に目が覚めている感じが下がりにくい傾向はありましたが、統計的に意味のある差ではありませんでした [1]。睡眠不足でない人の試験でも、眠気の評価に差はありませんでした [3]。徹夜の実験では、味もにおいもない物を噛んでも、偽物と比べて覚醒感や成績は変わらないか悪く、カフェインでは覚醒感が上がりました [5]。徹夜した学生で眠気の評価が低かった1999年の報告もあり、結果は割れています [6]。
  • 記憶力が上がる効きません。 ボランティア133人の試験では、ガムで反応の速さや注意は良くなりましたが、記憶の成績は良くなりませんでした [7]。覚えるときや思い出すときに噛む実験でも差はなく [8]、文字を短い時間覚えておく記憶はむしろ下がりました [9]。良い結果を出した実験は、ミントの飴をなめた場合との比較でした [10]。根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、どれも古いためです。
  • ストレスや不安がやわらぐ研究が足りず、ここではまだ分かりません。 模擬面接の場面で不安の高まりが抑えられた報告はありますが [11]、まとめて確かめた研究は扱っていません。
  • 脳が活性化する・血流が増える研究が足りません。 脳画像の総説は、前頭前野の血流が増えるなどの変化を認めつつ、それが成績の良さにつながるとは、まだ言えないとしています [12]。

なぜ集中力が上がると考えられている?

理由は、研究ではまだ確かめられていません。脳波の研究では、噛んでいる間にだけ覚醒の高まりが報告され、噛むのをやめるとすぐに消える傾向でした [12]。作業の前に少し噛むと注意と作業記憶のテストの成績が良くなり、前頭部の脳波のまとまりも強まったという報告もありますが、噛んだ物がガムかは要旨に書かれていません [13]。どれも原因が証明されたわけではありません。

02注意点

最初に紹介したメタ解析は、企業の研究部門の研究者によるものです。ただし、大学の研究チームの2025年の試験でも、同じ向きの結果と差がない結果の両方が出ており、結果は一方向に偏っていません [2] [3]。

また、効果は噛んでいる間、または直後の短いテストで調べられたもので、長時間の勉強や仕事の成績が上がるかは確かめられていません。あごに痛みや違和感がある人、持病や服薬のある人は、歯科医や医師に相談してください。

眠いときの運転や作業をガムに頼らない

眠気の評価に差は出ていないため、眠いときは休憩や仮眠を優先してください。

03まとめ

ガムは、集中力のテストの成績をわずかに上げます。
眠気覚ましと記憶には、効くという結果が出ていません。
作業の前に気分転換として噛むのは試せますが、大きな効果は期待しないでください。

04よくある質問

Qどのくらい噛めば集中力が上がりますか?

メタ解析からは、何分噛めばよいかは分かりません。2025年の試験では、噛んでいる間と、噛み終えた1時間後のどちらでも誤りが減りました [[39039933]]。

Q眠いときの勉強や運転にガムは使えますか?

眠気には効きません。メタ解析でも睡眠不足でない人の試験でも、眠気の評価に差はありませんでした [[30611764]] [[41138598]]。眠気にはカフェインの記事 ([カフェインで集中力は上がる?](/evidence/caffeine-concentration)) や昼寝の記事 ([昼寝は何分がおすすめ?集中力と記憶力](/evidence/nap-concentration-memory)) も参考になります。

Qテスト前に噛むと、暗記に効きますか?

研究では確かめられていません。ガムで記憶の成績が良くならなかった試験が複数あります [[20132649]] [[17055609]]。

Q飲み物で集中力を上げる方法と比べるとどうですか?

コーヒー(カフェイン)は、寝不足のときに効果がはっきりするとされています。ガムは眠気の評価に差が出ていません。仕事の集中については [コーヒーを飲むと仕事に集中できる?](/evidence/coffee-work-focus) で扱っています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(13本)

[1]健康な大人の咀嚼と注意の持続に関するメタ解析

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Physiology & behavior
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究21件を統合
結果の向き
良い方向

噛みながらだと注意の持続のテストの成績がわずかに良かった。効果は弱い。

[2]機能性ガムが注意の持続と気分に与える即時・残存効果

発表年
2025年
研究機関
イギリス・ニューカッスル大学
掲載誌
Nutritional neuroscience
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
36人
結果の向き
良い方向

ふつうのガムは偽物より、数字を見張るテストの誤りが減った。噛み終えた1時間後も同じ。

[3]休息した健康な人では咀嚼で注意の持続は上がらない

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・ワシントン州立大学
掲載誌
Acta psychologica
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
58人
結果の向き
差なし

睡眠不足でない大人では、注意力のテストにも眠気の評価にも差がなかった。

[4]ガムの注意と気分への影響に関わる要因

発表年
2012年
研究機関
イギリス・カーディフ大学
掲載誌
Appetite
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

選んで注意を向ける力は良くなったが、見張り作業の正確さは一時的に下がった。

[5]徹夜中の覚醒度に対する咀嚼とカフェインの比較

発表年
2006年
研究機関
オーストラリア・サウスオーストラリア大学
掲載誌
Journal of sleep research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

味もにおいもない物を噛んでも、偽薬と比べて覚醒感や成績は変わらないか悪かった。

[6]徹夜の夜に咀嚼は眠気をやわらげる

発表年
1999年
研究機関
クロアチア・Hodoba Dほかの研究チーム
掲載誌
Sleep research online : SRO
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

徹夜した学生で、夜中から噛んだ群は眠気の自己評価が低かった。

[7]ストレスのある人とない人でのガムの認知機能・気分への影響

発表年
2010年
研究機関
イギリス・カーディフ大学
掲載誌
Nutritional neuroscience
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

ガムで反応の速さや注意は良くなったが、記憶の成績は良くならなかった。

[8]ガムと文脈依存記憶効果の再検討

発表年
2007年
研究機関
イギリス・カーディフ大学
掲載誌
Appetite
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

2つの実験のどちらでも、覚えるときや思い出すときに噛んでも記憶は変わらなかった。

[9]ガムで記憶がじゃまされる:短期の想起への影響

発表年
2012年
研究機関
イギリス・カーディフ大学
掲載誌
Quarterly journal of experimental psychology (2006)
研究の種類
症例対照研究ある病気の人とそうでない人で、過去の生活習慣などを比べる研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

噛みながらだと、文字を短い時間覚えておく記憶の成績がむしろ下がった。

[10]ガムによる認知機能の促進におけるブドウ糖の役割

発表年
2004年
研究機関
イギリス・キール大学
掲載誌
Appetite
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

ガムを噛むと、ミントの飴をなめたときより記憶などのテストの成績が良かった。

[11]ガムは社会的ストレス下の不安と覚醒度を変える

発表年
2011年
研究機関
イギリス・コベントリー大学
掲載誌
Nutritional neuroscience
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

模擬面接の場面で、ガムを噛んだ人は不安の高まりが抑えられた。

[12]ガムを噛むことの脳活動への影響の神経画像レビュー

発表年
2025年
研究機関
ポーランド・シュチェチン大学
掲載誌
Brain sciences
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

前頭前野の血流が増えるなどの変化は見られるが、成績との結びつきはまだ言えない。

[13]咀嚼が注意と作業記憶の前頭部シータ波に与える影響

発表年
2025年
研究機関
チリ・バルパライソ大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

作業の前に少し噛むと、注意と作業記憶のテストの成績が良くなった。

ほかに参考にした論文(5本)

判定「効くが、差はごく小さい」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。