[1]小テストは授業での学習を後押しするか
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- 中国・北京師範大学
- 掲載誌
- Psychological bulletin
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 48,478人
- 結果の向き
- 良い方向
実際の授業で行われた研究222件・48478人の学生をまとめると、小テストをすると成績が中くらいの大きさで上がった(Hedges g 0.499)。

授業の小テストと間隔をあけた復習は、成績を上げます。読み返しより思い出すテストも効きますが、根拠の確かさは低めです。
大学生を中心にした研究が多く、科目や年齢で効き方は変わります。音読・語呂合わせ・書き写しは、効くかどうかを言える研究がまだ少ない方法です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 36 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 13.1 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 14.2 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 73.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 6 本・その他のヒトの研究 2 本・観察研究 3 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
復習とテストは、どちらも覚えたことを定着させるための勉強法です。ここでの「復習」は教科書やノートを読み返すこと、「テスト」は教科書を閉じて自分で思い出して答える練習(思い出すテスト)で、小テストや問題集もこれにあたります。世間では「読み返すより自分でテストするほうが覚えられる」「間隔をあけて繰り返すと忘れにくい」とされ、音読や語呂合わせなど、ほかの方法もあります。注意点は、効き方が科目や年齢で変わることです。
答えの中心は、アメリカのコロラド州立大学の研究者が2014年に発表したメタ解析です [3]。メタ解析は、複数の実験をまとめた分析です。
| 研究の種類 | テストと読み直しを比べた実験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 研究の数と人数は要旨に書かれていません |
| 比べたもの | テスト(思い出す形・選ぶ形) / 読み直し |
| 結果 | テストのほうが記憶に残る効果があった |
選択肢から選ぶテストより、自分で思い出して答えるテストのほうが効果が大きくなりました。
医療系の学生や医療者を対象にした研究19件を集めて整理した系統的レビューでも、記憶の保持を見た23の結果のうち21で、思い出すテストが有利でした [12]。一方、数学を学ぶ研究7件をまとめた2025年のメタ解析では、効果は小さく(g 0.18)、はっきりした差とは言えませんでした [5]。結果が割れているため、根拠の確かさは低めです。
思い出そうとする努力が、記憶を強めると考えられています。自分で思い出して答える形のほうが効果が大きかったことが、この説明を支えています [3]。原因までは確かめられていません。
実際の授業での小テストの研究222件・48478人をまとめると、成績が中くらいの大きさで上がりました(Hedges g 0.499)[1]。選択肢の問題でも成績は上がっています。理学療法を学ぶ大学院生の授業では、記述式でも選択肢式でも、復習問題を解いた内容のほうが、解かなかった内容より試験の正答率が良い結果でした [13]。一方、麻酔科の研修医の研修では、学習中にテストを受けた群と受けなかった群で、研修のあとの試験の成績に差がありませんでした [14]。
実際の授業での研究22報をまとめたメタ解析では、間隔をあけて学んだほうが、まとめて学ぶより成績が中くらいの大きさで良い結果でした(d=0.54)[2]。医療系の学生を対象にしたランダム化比較試験9件をまとめた2026年のメタ解析も同じ向きでした(g=0.62)が、含まれた研究は、結果が偏るリスクが高いと評価されています [15]。一方、大学生235人が数学の解き方を練習した実験では、間隔をあけても、1週間後・5週間後のテストの成績に差は見られませんでした [16]。
何日あければよいかは、テストまでの期間で変わります。単語などを覚える実験をまとめたメタ解析では、テストまでの期間が長いほど、最もよい復習の間隔も長くなっていました [17]。
文章を学ぶ実験では、直後のテストではノート取りが最も良く、2週間後には思い出すテストで学んだ人が最も良い結果でした [21]。研究は数日〜数週間後の成績が中心です。
「AはBより大きい、BはCより大きい」から「AはCより大きい」と考える推論では、思い出すテストは読み直しより成績が悪い結果でした(d -0.37)[22]。学習や睡眠に困りごとがある場合は、先生や医師に相談してください。
大学生や医療系の学生の結果を、そのまま自分の科目や試験に当てはめないでください。
復習は、読み返すだけで終わらせず、思い出すテストを入れて、日を置いて繰り返すほうが成績につながります。
科目や年齢で効き方は変わり、マーカーは効かず、音読・語呂合わせ・書き写しは研究が足りません。
まずは、読み返す時間の一部を、教科書を閉じて思い出す時間に置き換えてみましょう。
白紙に書き出す方法そのものを調べた研究は確認できていません。近い方法では、読んだあとに思い出せるだけ書き出して読み直すと、読むだけより一週間後の記憶が良かった試験があります [[24838598]]。
そうとは限りません。授業の小テストを集めた研究では成績が上がりましたが [[33683913]]、数学の研究や、薬学部の新入生では差が見られませんでした [[W4412730051]] [[31871348]]。
組み合わせた効果の大きさは、研究では確かめられていません。10種類の学習法を比べた総説では、どちらも有用性が高いと評価されています [[26173288]]。
実際の授業で行われた研究222件・48478人の学生をまとめると、小テストをすると成績が中くらいの大きさで上がった(Hedges g 0.499)。
実際の授業で行われた研究22報をまとめると、間隔をあけて学んだほうが、一度にまとめて学ぶより成績が中くらいの大きさで良かった(d=0.54)。
前に学んだ内容のテストと読み直しを比べた実験をまとめ、テストのほうが記憶に残ること、自分で思い出すテストのほうが効果が大きいことを示した。
論文177本をまとめると、覚えたあとに眠った人は、同じ時間起きていた人より多くを思い出せ、差は中くらいの大きさだった(g=0.44)。
数学の学習で、テストと読み直しを比べた研究7件をまとめると、テストの効果は小さく(g 0.18)、はっきりした差とは言えなかった。
薬学部の新入生102人で、録画の見直しと思い出すテストのあいだに、翌週の抜き打ちテストの成績の差がなかった。
成人の場所法の研究のメタ解析。くり返し唱えるより、直後に順番どおり思い出せる量が大きく多かった(d=0.88)が、研究の質は低い〜非常に低い。
研究28件をまとめると、人に教えるつもりで準備して実際に教えた人は、ただ勉強した人より成績が良かった(g=0.56)。
音読する人と黙読する人を比べた実験のメタ解析。見覚えを答えるテストでは音読が良く、思い出して書き出すテスト全体では差がなかった。
大学生170人が画面上で文章を読む実験で、自分でマーカーを引きながら読んでも、線を引かずに読むのと比べて、理解や応用のテストの成績に差はなかった。
覚えたあとに一晩以上徹夜した研究をまとめると、眠った場合より記憶が悪く、差は小さめだった(g=0.277)。
医療系の学生や医療者を対象にした研究19件で、記憶の保持を見た23の結果のうち21で、思い出すテストが有利だった。
理学療法を学ぶ大学院生の授業で、記述式または選択肢式の復習問題を解いた内容は、解かなかった内容より試験の正答率が良かった。
学習中にテストを受けた群と受けなかった群のあいだに、研修のあとの試験の成績の差がなかった。
医療系の学生を対象にしたRCT9件をまとめると、間隔をあけた学習で、時間がたってからの知識の定着が良かった(g=0.62)。ただし含まれた研究は全体にバイアスのリスクが高い。
大学生235人が数学の解き方を練習した実験で、間隔をあけた練習と一度にまとめた練習の間に、1週間後・5週間後のテストの差は見られなかった。
単語などを覚える実験317件(184本の論文)をまとめたメタ解析。復習の間隔と、テストまでの期間の組み合わせで記憶が変わり、テストまでの期間が長いほど、最もよい復習の間隔も長くなっていた
健康な成人56人の実験で、夜に覚えてすぐ眠った人は、朝に覚えて日中を過ごした人より12時間後の記憶が良かったが、24時間後には差がなくなった。
10種類の学習法を比べた総説で、思い出すテストと間隔をあけて学ぶ方法は有用性が高く、マーカーや下線は有用性が低いと評価された。
小学生57人の実験で、文章の要約は読み直しと2週間後の理解が同じくらいで、内容を覚えている量では思い出すテストのほうが良かった。
くり返し読む・テストする・ノートを取るを比べ、2週間後にはテストで学んだ人が最も成績が良かった。
推論の課題では、思い出すテストのほうが読み直しより成績が悪かった(d -0.37)。
インターネット上で集めた参加者の実験で、思い出すテストと読み直しのあいだに、時間をおいたテストの成績の差がなかった。
英語を話す成人36人が耳で聞いた新しい単語を覚える実験で、3つの方法のあいだに言える正確さの差がなかった。
平均10歳の子ども88人の実験で、単語を思い出すテストをした場合は、読み直した場合よりあとのテストの成績がはっきり良かった。
8〜12歳の小学生が地理の知識を覚える実験で、思い出すテストをした子どもは、数日後により多くの事実を思い出せた。
119人が単語のリストを覚える実験で、思い出すテストをした群は読み直した群より、2日後に思い出せた単語が多かった。
150人が単語のリストを覚える実験で、思い出すテストをした群は、読み直す練習をした群より、後日のテストで多くの単語を思い出せた。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。