語呂合わせなどの記憶術は暗記に役立つ?

語呂合わせなどの記憶術は暗記に役立つ?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

役立ちます。場所法では、思い出せる量が増えます。語呂合わせは、覚えた直後のテストで丸暗記より成績が良い試験が多いです。

根拠

場所法は、ランダム化比較試験13件のメタ解析で、使わない場合より思い出せる量が中くらいの大きさで多くなりました [1]。語呂合わせやイメージ化は、直後は丸暗記より成績が良い試験がある一方、イメージしにくい単語では差がなく [2]、4週間後に差が消えた試験もあります [3]。歌に乗せる方法は、37件中28件で記憶の良さと関連していましたが、根拠の確かさは低めです。効果の大きさをまとめた解析がないためです [4]。

この答えの範囲

場所法は、主に大学生で確かめた結果です。語呂合わせは、高校生・大学生・医学生・研修医の小さな試験4件で確かめた結果です。

じゃあ、どうする?

順番のある長いリストには場所法を使います。語呂合わせは、直前に覚えたいものやイメージしやすい言葉に向きます。数日あとまで残したいときは、思い出す練習の復習を足してください。50歳以上の人の記憶術の練習も、記憶が少し良くなる結果が出ています [5]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。12 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量7.720研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 87.7 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

記憶術とは

記憶術は、覚えたいものを語呂やイメージ、場所に結びつけて覚える方法の総称です。語呂合わせ、単語をイメージに置きかえるキーワード法、よく知る道順に覚えるものを置いていく場所法(記憶の宮殿)、歌に乗せる方法などがあります。丸暗記より覚えやすいとされ、受験や資格の勉強で広く使われています。ここまでは一般的な紹介で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

場所法は効く

答えの中心は、場所法を調べた研究です。場所法は、なじみのある道順の決まった地点に、覚えたいものを思い浮かべて置いていく方法です。主に大学で行われたランダム化比較試験13件のメタ解析で、使わない場合より思い出せる量が多く、効果量は0.65(95%信頼区間0.45〜0.85)でした [1]。中くらいの大きさの差です。ランダム化比較試験とは、くじ引きで組を分けて結果を比べる方法です。ただし多くの試験で、くじ引きの手順の報告が不十分でした。道順は、家の中より職場までの道のほうが多く思い出せた実験もあります [6]。

語呂合わせを調べた研究

語呂合わせ(キーワード法やイメージ化を含む)の中心は、学生や医学生を対象にした小さなランダム化比較試験4件です [2] [7] [8] [3]。

研究の種類小さなランダム化比較試験4件
対象高校生・大学生・医学生・研修医
比べたもの語呂合わせ・キーワード法・イメージ化と、丸暗記や文章を読む方法
結果直後は成績が良い試験が多いが、単語の種類や時間がたつと差が消える試験もある
試験の結果イメージしやすい単語に限って、キーワード法は丸暗記よりよく思い出せました [2]。

高校生363人がラテン語の単語を覚えた試験で、イメージしにくい単語では差がありませんでした。

語呂合わせが効くのはどんなとき?

  • 覚える言葉がイメージしやすいとき。高校生363人の試験では、イメージしやすい単語だけで差が出ました [2]
  • 覚えた直後にテストするとき。大学生27人が生化学のクエン酸回路を覚えた試験で、イメージを使った組は直後のテストで丸暗記の組より点が高くなりました [3]
  • 数字や手順を覚えるとき。医学生96人と研修医94人の試験で、数字の語呂合わせ「44-55-66-PM」を使った組は、5〜9か月後に知識がよく残っていました [8]
  • 物語仕立てにするとき。医学部1年生80人の試験で、物語仕立ての動画で学んだ組は、文章を読んだ組より選択式テストの点が高くなりました [7]

語呂合わせが効かないのはどんなとき?

  • イメージしにくい言葉。差はありませんでした [2]
  • 4週間後。同じ大学生27人の試験で、両方の組の点が下がり、差が消えました [3]
  • 3週間後。語呂合わせの試験でも、3週間後の知識はふつうの説明の組と差がありませんでした [8]
  • 暗記ではなく実際の動き。医学生が頭文字の語呂合わせ「STRIDOR」を教わっても、模擬の回診の成績に差はありませんでした [9]

学習法10種類を比べた総説も、キーワード法は使える教材が限られ、覚えておける期間も短いとして「有用性が低い」と評価しています [10]。

50歳以上でも練習で記憶は少し良くなる

認知症のない50歳以上の4,149人(ランダム化比較試験21件)のメタ解析で、記憶術のトレーニングにより出来事や言葉の記憶が良くなりました。効果量は直後が0.408、追跡期間のあとが0.418で、効果は残っていました。追跡期間は0.5〜32か月(中央値4か月)です [5]。高齢者30人を2組に分けた試験では、顔と名前を結びつける練習の組は、手がかりを少しずつ減らす別の練習の組より、1か月後まで記憶テストの伸びが大きくなりました [11]。一方、場所法を教わった高齢者のうち実際に使い続けたのは最大25%でした [12]。

歌に乗せる方法は、良い結果と関連している

歌に乗せて覚える方法を調べた37件の系統的レビューでは、28件で記憶の何らかの面に良い結果が報告され、9件では効果がありませんでした。良い結果の28件のうち9件は、アルツハイマー型認知症の人の研究です [4]。結果をまとめて効果の大きさを出した解析がないため、「歌にすると覚えられる」とまでは言えません。根拠の確かさは低めです。

よく言われていることは本当?

  • 語呂合わせで年号・数字・単語が覚えやすくなる条件によります。 直後は良い試験が多く、イメージしにくい単語や数週間後には差が消えました [2] [3]。
  • 場所法で多くのことを順番どおりに覚えられる思い出せる量は多くなります [1]。 順番まで分けた結果は、集めた研究にありません。
  • イメージ化(キーワード法)で外国語の単語が覚えやすい条件によります。 イメージしやすい単語に限られ [2]、総説は有用性が低いと評価しました [10]。
  • 記憶術で覚えたことは長く忘れない条件によります。 4週間後に差が消えた試験と、5〜9か月後に残っていた試験があり、結果が割れています [3] [8]。
  • 歌・リズムに乗せると覚えやすい良い結果と関連していました。 37件中28件です [4]。
  • 記憶術の練習で年をとっても記憶力を保てる効きます。 差は小さめです [5]。
  • 語呂合わせは頼りすぎると理解が伴わない理解への影響は、集めた研究で測られていません。 総説は使える教材が限られると評価しています [10]。

02注意点

語呂合わせの試験は小さく、対象も高校生から研修医まで幅があります。たとえば医学部1年生80人の試験では、学んだ直後と1週間後・2週間後・4週間後に選択式テストを行っています [7]。受験の科目や年齢が違えば、同じ結果になるとは限りません。記憶の衰えが気になるときは、医師に相談してください。

語呂合わせだけに頼らない

覚えた直後は点が上がっても、数週間後には差が消える試験があります。

03まとめ

記憶術は暗記に役立ち、場所法を使うと思い出せる量が増えます。
順番のある長いリストには場所法、直前に覚えたいものには語呂合わせが合います。
残したいものは、語呂に加えて思い出す練習の復習を足しましょう。

04よくある質問

Q受験の暗記に語呂合わせは使ってよい?

使ってよい方法です。直後に思い出せる量が増える試験があるためです。数週間後には差が消えた試験もあるので、[暗記には復習とテストのどちらが効果的?](/evidence/memorization-methods)のとおり、思い出す練習を足すのが向いています。

Q場所法は練習が必要?

どのくらいの練習で身につくかは、研究では確かめられていません。場所法を教わった高齢者のうち、使い続けたのは最大25%でした [[24625044]]。

Q歌にすれば覚えられる?

歌に乗せる方法は、37件中28件で良い結果と関連していました [[37058191]]。ただし効果の大きさをまとめた解析はなく、根拠の確かさは低めです。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]記憶術としての場所法の効果を調べたメタ解析

発表年
2021年
研究機関
アイルランド・ダブリンの地域医療・精神保健センター
掲載誌
Quarterly journal of experimental psychology (2006)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
良い方向

ランダム化比較試験13件で、場所法は中くらいの大きさで記憶を増やした。

[2]キーワード法で単語を作る方法の重要性

発表年
2004年
研究機関
スペイン・サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学
掲載誌
Experimental psychology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
363人
結果の向き
結果が割れている

高校生363人で、イメージしやすい単語だけキーワード法が丸暗記より良かった。

[3]クエン酸回路を教えるイメージ記憶術の使用

発表年
2016年
研究機関
アメリカ・タフツ大学
掲載誌
Biochemistry and molecular biology education : a bimonthly publication of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
27人
結果の向き
結果が割れている

大学生27人で、直後は記憶術の組が高かったが、4週間後は差がなかった。

[4]歌に乗せる記憶術の系統的レビュー

発表年
2024年
研究機関
オランダ・ラドバウド大学
掲載誌
Neuropsychology review
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究37件を統合
結果の向き
良い方向

37件のうち28件で記憶の何らかの面に良い結果が報告された。

[5]健康な高齢者での記憶術トレーニングの長期効果のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
中国・中国科学院心理研究所
掲載誌
Psychology and aging
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,149人
結果の向き
良い方向

50歳以上の4,149人で、出来事や言葉の記憶が良くなり、効果が残っていた。

[6]場所法で効果的な道順を作る指導の効果

発表年
2009年
研究機関
ドイツ・マックス・プランク人間認知・脳科学研究所
掲載誌
Memory (Hove, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

場所法では、家の中より職場までの道順のほうが多く思い出せた。

[7]物語仕立ての動画の記憶術と文章を読む方法の比較

発表年
2021年
研究機関
マレーシア・国際医科大学
掲載誌
The American journal of the medical sciences
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
80人
結果の向き
良い方向

医学部1年生80人で、物語仕立ての動画の組が選択式テストで点が高かった。

[8]足首の骨折判定ルールの記憶を助ける語呂合わせの試験

発表年
2010年
研究機関
カナダ・モントリオール大学
掲載誌
Academic emergency medicine : official journal of the Society for Academic Emergency Medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

語呂合わせの組は、3週間後は差がなく、5〜9か月後に知識がよく残っていた。

[9]頭部頸部がん術後の病棟ケアでの語呂合わせの試験

発表年
2025年
研究機関
オーストラリア・ロイヤル・アデレード病院
掲載誌
Postgraduate medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

語呂合わせを教わった組と教わらなかった組で、模擬の回診の成績に差がなかった。

[10]10種類の学習法の有用性を比べた総説

発表年
2013年
研究機関
ケント州立大学
掲載誌
Psychological science in the public interest : a journal of the American Psychological Society
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
差なし

キーワード法は使える教材が限られ、覚えておける期間も短いと評価した。

[11]高齢者の記憶術トレーニングを別の練習と比べた試験

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・アナーバー退役軍人医療システム
掲載誌
Neuropsychological rehabilitation
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
良い方向

高齢者30人で、顔と名前の記憶術の組が1か月後まで伸びが大きかった。

[12]高齢者は場所法を使うか

発表年
2014年
研究機関
アメリカ・ジョンズ・ホプキンス大学
掲載誌
Experimental aging research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

場所法を教わった高齢者のうち実際に使い続けたのは最大25%だった。

ほかに参考にした論文(4本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。