[1]記憶術としての場所法の効果を調べたメタ解析
- 発表年
- 2021年
- 研究機関
- アイルランド・ダブリンの地域医療・精神保健センター
- 掲載誌
- Quarterly journal of experimental psychology (2006)
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究13件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
ランダム化比較試験13件で、場所法は中くらいの大きさで記憶を増やした。

役立ちます。場所法では、思い出せる量が増えます。語呂合わせは、覚えた直後のテストで丸暗記より成績が良い試験が多いです。
場所法は、主に大学生で確かめた結果です。語呂合わせは、高校生・大学生・医学生・研修医の小さな試験4件で確かめた結果です。
順番のある長いリストには場所法を使います。語呂合わせは、直前に覚えたいものやイメージしやすい言葉に向きます。数日あとまで残したいときは、思い出す練習の復習を足してください。50歳以上の人の記憶術の練習も、記憶が少し良くなる結果が出ています [5]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 7.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 87.7 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
記憶術は、覚えたいものを語呂やイメージ、場所に結びつけて覚える方法の総称です。語呂合わせ、単語をイメージに置きかえるキーワード法、よく知る道順に覚えるものを置いていく場所法(記憶の宮殿)、歌に乗せる方法などがあります。丸暗記より覚えやすいとされ、受験や資格の勉強で広く使われています。ここまでは一般的な紹介で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、場所法を調べた研究です。場所法は、なじみのある道順の決まった地点に、覚えたいものを思い浮かべて置いていく方法です。主に大学で行われたランダム化比較試験13件のメタ解析で、使わない場合より思い出せる量が多く、効果量は0.65(95%信頼区間0.45〜0.85)でした [1]。中くらいの大きさの差です。ランダム化比較試験とは、くじ引きで組を分けて結果を比べる方法です。ただし多くの試験で、くじ引きの手順の報告が不十分でした。道順は、家の中より職場までの道のほうが多く思い出せた実験もあります [6]。
語呂合わせ(キーワード法やイメージ化を含む)の中心は、学生や医学生を対象にした小さなランダム化比較試験4件です [2] [7] [8] [3]。
| 研究の種類 | 小さなランダム化比較試験4件 |
|---|---|
| 対象 | 高校生・大学生・医学生・研修医 |
| 比べたもの | 語呂合わせ・キーワード法・イメージ化と、丸暗記や文章を読む方法 |
| 結果 | 直後は成績が良い試験が多いが、単語の種類や時間がたつと差が消える試験もある |
高校生363人がラテン語の単語を覚えた試験で、イメージしにくい単語では差がありませんでした。
学習法10種類を比べた総説も、キーワード法は使える教材が限られ、覚えておける期間も短いとして「有用性が低い」と評価しています [10]。
認知症のない50歳以上の4,149人(ランダム化比較試験21件)のメタ解析で、記憶術のトレーニングにより出来事や言葉の記憶が良くなりました。効果量は直後が0.408、追跡期間のあとが0.418で、効果は残っていました。追跡期間は0.5〜32か月(中央値4か月)です [5]。高齢者30人を2組に分けた試験では、顔と名前を結びつける練習の組は、手がかりを少しずつ減らす別の練習の組より、1か月後まで記憶テストの伸びが大きくなりました [11]。一方、場所法を教わった高齢者のうち実際に使い続けたのは最大25%でした [12]。
歌に乗せて覚える方法を調べた37件の系統的レビューでは、28件で記憶の何らかの面に良い結果が報告され、9件では効果がありませんでした。良い結果の28件のうち9件は、アルツハイマー型認知症の人の研究です [4]。結果をまとめて効果の大きさを出した解析がないため、「歌にすると覚えられる」とまでは言えません。根拠の確かさは低めです。
語呂合わせの試験は小さく、対象も高校生から研修医まで幅があります。たとえば医学部1年生80人の試験では、学んだ直後と1週間後・2週間後・4週間後に選択式テストを行っています [7]。受験の科目や年齢が違えば、同じ結果になるとは限りません。記憶の衰えが気になるときは、医師に相談してください。
覚えた直後は点が上がっても、数週間後には差が消える試験があります。
記憶術は暗記に役立ち、場所法を使うと思い出せる量が増えます。
順番のある長いリストには場所法、直前に覚えたいものには語呂合わせが合います。
残したいものは、語呂に加えて思い出す練習の復習を足しましょう。
使ってよい方法です。直後に思い出せる量が増える試験があるためです。数週間後には差が消えた試験もあるので、[暗記には復習とテストのどちらが効果的?](/evidence/memorization-methods)のとおり、思い出す練習を足すのが向いています。
どのくらいの練習で身につくかは、研究では確かめられていません。場所法を教わった高齢者のうち、使い続けたのは最大25%でした [[24625044]]。
歌に乗せる方法は、37件中28件で良い結果と関連していました [[37058191]]。ただし効果の大きさをまとめた解析はなく、根拠の確かさは低めです。
ランダム化比較試験13件で、場所法は中くらいの大きさで記憶を増やした。
高校生363人で、イメージしやすい単語だけキーワード法が丸暗記より良かった。
大学生27人で、直後は記憶術の組が高かったが、4週間後は差がなかった。
37件のうち28件で記憶の何らかの面に良い結果が報告された。
50歳以上の4,149人で、出来事や言葉の記憶が良くなり、効果が残っていた。
場所法では、家の中より職場までの道順のほうが多く思い出せた。
医学部1年生80人で、物語仕立ての動画の組が選択式テストで点が高かった。
語呂合わせの組は、3週間後は差がなく、5〜9か月後に知識がよく残っていた。
語呂合わせを教わった組と教わらなかった組で、模擬の回診の成績に差がなかった。
キーワード法は使える教材が限られ、覚えておける期間も短いと評価した。
高齢者30人で、顔と名前の記憶術の組が1か月後まで伸びが大きかった。
場所法を教わった高齢者のうち実際に使い続けたのは最大25%だった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。