[1]砂糖・ブドウ糖が認知機能に与える影響のメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- オーストラリア・クイーンズランド工科大学
- 掲載誌
- Nutrients
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 3,831人
- 結果の向き
- 良い方向
健康な人の実験研究65件・3831人などをまとめ、ブドウ糖で単語をすぐ思い出す成績が上がったとした。

記憶力に効きます。飲んだ直後の単語の思い出しが良くなります。目安は研究で多く使われた1回25〜60gです。
健康な人が飲んだ直後の、記憶力(単語の思い出し)の話です。
記憶力のために試すなら、研究で多く使われた1回25〜60gの範囲が目安です [3]。多いほど良いとは分かっていないので、増やしすぎないでください。糖尿病などの持病がある人、服薬中の人は、先に医師・薬剤師に相談してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 94 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ブドウ糖は、ごはんやパン、砂糖などに含まれる糖の一種で、体や脳の主なエネルギー源です。とると記憶力が良くなるとされ、タブレットや粉末、飲み物など、手軽にとれる形があります。研究では、水に溶かした飲み物がよく使われているのが特徴です。注意点は、とると血糖値が上がることで、糖尿病の人や血糖値に不安がある人は医師に相談が必要なことです。
答えの中心は、オーストラリアのクイーンズランド工科大学などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどのような違いがあるかを調べる方法です。健康な人の砂糖・ブドウ糖の研究を集めたレビューで、実験研究は65件・3831人分でした。そのうち、ブドウ糖と単語の思い出しを調べた一部の研究だけが、統合して解析されています。
| 研究の種類 | 砂糖・ブドウ糖の研究を集めた系統的レビューとメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 健康な人(実験研究65件・3831人など) |
| 比べたもの | ブドウ糖の飲み物 / プラセボ(偽の飲み物) |
| 結果 | 覚えた単語をすぐ思い出す課題の成績が良かった(p = 0.002) |
差の大きさは0.22(95%信頼区間 0.08〜0.36)で、統計では小さめの差です。
「65件・3831人」は集めた実験研究の数で、統合解析に使われた数ではありません。統合解析に入ったのは、ブドウ糖25〜50gを使い、直後の思い出しを測った13件です [1]。0.22は標準化平均差で、単位の違う研究を同じものさしで比べる指標です。何個多く思い出せるかは、この指標からは分かりません。
一方、時間をおいて思い出す課題は、統合すると差がはっきりしませんでした(0.24、95%信頼区間 −0.04〜0.51)。著者らは、解析に入れられなかった論文の多くが「効果なし」と報告するか結果を十分に載せていなかったため、効果を実際より大きく見積もっている可能性があると書いています。
量を比べた試験は3本だけで、「この量が最適」という答えは出ていません。
25gで良くなった試験もあれば [5]、60gのときだけ良かった試験もあります。多いほど良いとも、少なくてよいとも言えません。
理由は研究ではまだ確かめられていません。
最初の2つが記憶力の話です。そのあとの集中力・頭の疲れ・低血糖・体重は、記憶以外に調べられたことです。
単語の思い出し以外や高齢者では、結果が割れています。
ブドウ糖50gは、記憶を含むどの認知機能も、プラセボと差がありませんでした。
結果が割れる理由は確かめられていませんが、試験ごとに対象者(健康な人か、物忘れが気になる人か)、量、測った課題が違い、単純には比べられません。
研究で使われた量は、1回につき15gから75gまで幅があります。誰にでも適した量ではありません。多くは絶食後など、普段の食事とは違う状況で行われています。
今回集めた研究の要旨では、副作用や長期の安全性は確かめられていません。同じレビューには、添加糖を多くとる習慣と認知機能の低下の危険との関連を示した観察研究も含まれ [1]、日常的にたくさんとる根拠にはなりません。血糖値に不安がある人、糖尿病などの持病がある人、服薬中の人は、医師・薬剤師に確認してください。
絶食後の健康な人の結果を、普段の食事や持病のある人の場面にそのまま当てはめないでください。
ブドウ糖は、記憶力のうち飲んだ直後の単語の思い出しを小さめの差で良くしますが、最適な量は決まっていません。
記憶力のために試すなら、研究で多く使われた1回25〜60gを目安に、増やしすぎないでください。
持病や服薬がある人は、医師・薬剤師に確認してから試してください。
一致していません。60〜80歳の20人で出来事の記憶が良くなった試験がある一方、物忘れが気になる高齢者43人では差がありませんでした。
多くの研究は飲んだ直後を見ています。2010年の試験では、1週間後に差は残っていませんでした。
研究で多く使われたのは、ブドウ糖の飲み物です。タブレットやお菓子の形で記憶を調べた研究は、今回集めた中にありません。同じ量なら同じ結果になるかは、確かめられていません。
18〜25歳の72人の試験では、ブドウ糖75gだけでも単純な反応の速さなど一部の課題が良くなりました。持続的な注意や言葉の記憶の改善は、カフェインと一緒にとったときにだけ見られました [[20521321]]。
健康な人の実験研究65件・3831人などをまとめ、ブドウ糖で単語をすぐ思い出す成績が上がったとした。
30人が0g・15g・25g・50g・60gを飲み、中くらいの量が最良の形に近かったのは長期記憶の課題だけだった。
25gと60gを比べ、単語の思い出しなどが良くなったのは60gのときで、1週間後には効果が残っていなかった。
24人の試験で、25gは血糖の調整がうまい人の単語の思い出しの正確さを下げ、調整が悪い人では良くなった。
健康な若い女性で、ブドウ糖25gを飲むと、言葉を覚えて後で思い出す課題の成績が良くなった
11件の研究のほぼすべてで脳の活動に変化があったが、成績の改善がはっきり出たのは5件だけだった。
93人の実験で、ブドウ糖が良くしたのは時間をおいて思い出す課題だけだった。
48人の試験で、ブドウ糖50gだけだと選んで反応する課題の反応が遅くなった。
60歳以上の44人で、ブドウ糖50gを飲んだ人は注意を切り替える課題が速かった。
27人で、ブドウ糖25gは頭を使う作業を続けたときの疲れの感じ方の増え方を抑え、暗算の成績も良くした。
18人で、ブドウ糖25gで頭がはっきりした感じは増えたが、脂肪・たんぱく質・プラセボでも同じだった。
意識のある糖尿病の人で、食べ物の糖分は錠剤より15分後に症状がおさまった割合が低かった(比0.89。レビューに含まれた研究は4件)。
60〜80歳の20人で、ブドウ糖を飲むと出来事の記憶の成績が良くなった。
血糖の調整がうまい男性は記憶が良くなったが、調整が悪い男性では下がった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。