ブドウ糖は何gとると記憶力に効く?

ブドウ糖は何gとると記憶力に効く?
読了目安 6〜8分最終更新日 2026.11.06
答え効く

記憶力に効きます。飲んだ直後の単語の思い出しが良くなります。目安は研究で多く使われた1回25〜60gです。

根拠

健康な人を対象に砂糖・ブドウ糖を調べた研究をまとめたメタ解析で、ブドウ糖の飲み物をとると、覚えた単語をすぐ思い出す課題の成績がプラセボ(偽の飲み物)より良くなりました。統合された13件での差は小さめです [1]。一方、量を変えて比べた小さな試験は3本で、効き方は記憶の課題や人(血糖の調整の良し悪し)によって違い、「何gがいちばん良い」とは言えませんでした [2] [3] [4]。

この答えの範囲

健康な人が飲んだ直後の、記憶力(単語の思い出し)の話です。

じゃあ、どうする?

記憶力のために試すなら、研究で多く使われた1回25〜60gの範囲が目安です [3]。多いほど良いとは分かっていないので、増やしすぎないでください。糖尿病などの持病がある人、服薬中の人は、先に医師・薬剤師に相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 94 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量1920研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 94 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 94 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ブドウ糖とは

ブドウ糖は、ごはんやパン、砂糖などに含まれる糖の一種で、体や脳の主なエネルギー源です。とると記憶力が良くなるとされ、タブレットや粉末、飲み物など、手軽にとれる形があります。研究では、水に溶かした飲み物がよく使われているのが特徴です。注意点は、とると血糖値が上がることで、糖尿病の人や血糖値に不安がある人は医師に相談が必要なことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、オーストラリアのクイーンズランド工科大学などの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて、全体としてどのような違いがあるかを調べる方法です。健康な人の砂糖・ブドウ糖の研究を集めたレビューで、実験研究は65件・3831人分でした。そのうち、ブドウ糖と単語の思い出しを調べた一部の研究だけが、統合して解析されています。

研究の種類砂糖・ブドウ糖の研究を集めた系統的レビューとメタ解析
対象健康な人(実験研究65件・3831人など)
比べたものブドウ糖の飲み物 / プラセボ(偽の飲み物)
結果覚えた単語をすぐ思い出す課題の成績が良かった(p = 0.002)
まとめて分析した結果ブドウ糖をとった人は、覚えた単語をすぐ思い出す課題の成績が良くなりました [1]。

差の大きさは0.22(95%信頼区間 0.08〜0.36)で、統計では小さめの差です。

「65件・3831人」は集めた実験研究の数で、統合解析に使われた数ではありません。統合解析に入ったのは、ブドウ糖25〜50gを使い、直後の思い出しを測った13件です [1]。0.22は標準化平均差で、単位の違う研究を同じものさしで比べる指標です。何個多く思い出せるかは、この指標からは分かりません。

一方、時間をおいて思い出す課題は、統合すると差がはっきりしませんでした(0.24、95%信頼区間 −0.04〜0.51)。著者らは、解析に入れられなかった論文の多くが「効果なし」と報告するか結果を十分に載せていなかったため、効果を実際より大きく見積もっている可能性があると書いています。

何gで記憶力に効く?

量を比べた試験は3本だけで、「この量が最適」という答えは出ていません。

  • 0g・15g・25g・50g・60gを比べた30人の試験では、「中くらいの量でいちばん良い」形に近かったのは長期記憶の課題だけでした [2]
  • 25gと60gを比べた試験で、単語の思い出しや見覚えが良くなったのは60gのときでした。顔の記憶は良くならず、1週間後には効果が残っていませんでした [3]
  • 25gと60gを比べた24人の試験では、25gで、血糖の調整がうまい人は単語の思い出しの正確さが下がり、調整が悪い人は良くなりました [4]

25gで良くなった試験もあれば [5]、60gのときだけ良かった試験もあります。多いほど良いとも、少なくてよいとも言えません。

なぜ記憶力に効く?

理由は研究ではまだ確かめられていません。

  • 脳の活動は変わる: 脳波やfMRIを使った11件の研究のほぼすべてで脳の活動に変化がありましたが、成績の改善がはっきり出たのは5件だけでした [6]
  • 思い込みだけでは説明できない: 93人の実験で、ブドウ糖が良くしたのは時間をおいて思い出す課題だけでした。ただし、ブドウ糖を飲んだと信じること自体も、この課題の成績を上げました [7]

よく言われていることは本当?

最初の2つが記憶力の話です。そのあとの集中力・頭の疲れ・低血糖・体重は、記憶以外に調べられたことです。

  • とると記憶力が良くなる確かめられています。 ただし、飲んだ直後の単語の思い出しの話です [1]
  • 量やタイミングで記憶力への効き方が変わる量による違いは、上の3本で決まっていません。 45分ごとなど飲むタイミングを比べた研究は、今回集めた中にありません
  • 集中力が上がる(記憶以外)根拠は弱く、結果は割れています。 ふだんカフェインをとる人が24時間カフェインを控えたうえで50gを飲んだ48人の試験では、ブドウ糖だけだと選んで反応する課題がかえって遅くなりました [8]。60歳以上の44人では、注意を切り替える課題が速くなりました [9]
  • 頭の疲れがとれる、眠気が覚める(記憶以外)効きますが、根拠の確かさは低めです。 研究は2本で、結果もそろっていません。25gを飲んだ27人では、作業を続けたときの疲れの感じ方の増え方が、プラセボより抑えられました [10]。18人の試験では、頭がはっきりした感じは増えましたが、脂肪やたんぱく質の飲み物、プラセボでも同じでした [11]
  • 低血糖のときは、ブドウ糖がすぐ効く意識のある糖尿病の人に限り、確かめられています。 ブドウ糖の錠剤のほうが、砂糖やジュースなど食べ物の糖分より、15分後に症状がおさまった割合が高くなりました(食べ物の糖分と錠剤の比は0.89。レビューに含まれた研究は4件) [12]。記憶力とは別の話で、手当ては医師の指示に従ってください
  • とりすぎると太るブドウ糖だけを取り出して体重や内臓脂肪を調べた研究は見つかっていません

ほかの研究では、結果が異なる場合も

単語の思い出し以外や高齢者では、結果が割れています。

  • 60〜80歳の20人では、出来事の記憶が良くなりました [13]
  • 高齢の男女では、血糖の調整が悪い男性で、ブドウ糖を飲むと一部の項目の成績が下がりました [14]
差がなかった試験物忘れが気になる高齢者 43人

ブドウ糖50gは、記憶を含むどの認知機能も、プラセボと差がありませんでした。

結果が割れる理由は確かめられていませんが、試験ごとに対象者(健康な人か、物忘れが気になる人か)、量、測った課題が違い、単純には比べられません。

02注意点

研究で使われた量は、1回につき15gから75gまで幅があります。誰にでも適した量ではありません。多くは絶食後など、普段の食事とは違う状況で行われています。

今回集めた研究の要旨では、副作用や長期の安全性は確かめられていません。同じレビューには、添加糖を多くとる習慣と認知機能の低下の危険との関連を示した観察研究も含まれ [1]、日常的にたくさんとる根拠にはなりません。血糖値に不安がある人、糖尿病などの持病がある人、服薬中の人は、医師・薬剤師に確認してください。

研究の条件と、自分の状況を分けて考える

絶食後の健康な人の結果を、普段の食事や持病のある人の場面にそのまま当てはめないでください。

03まとめ

ブドウ糖は、記憶力のうち飲んだ直後の単語の思い出しを小さめの差で良くしますが、最適な量は決まっていません。
記憶力のために試すなら、研究で多く使われた1回25〜60gを目安に、増やしすぎないでください。
持病や服薬がある人は、医師・薬剤師に確認してから試してください。

04よくある質問

Q高齢者でも同じ結果ですか?

一致していません。60〜80歳の20人で出来事の記憶が良くなった試験がある一方、物忘れが気になる高齢者43人では差がありませんでした。

Q効果はどのくらい続きますか?

多くの研究は飲んだ直後を見ています。2010年の試験では、1週間後に差は残っていませんでした。

Qタブレットやお菓子の形でも同じですか?

研究で多く使われたのは、ブドウ糖の飲み物です。タブレットやお菓子の形で記憶を調べた研究は、今回集めた中にありません。同じ量なら同じ結果になるかは、確かめられていません。

Qカフェインと一緒にとると変わりますか?

18〜25歳の72人の試験では、ブドウ糖75gだけでも単純な反応の速さなど一部の課題が良くなりました。持続的な注意や言葉の記憶の改善は、カフェインと一緒にとったときにだけ見られました [[20521321]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]砂糖・ブドウ糖が認知機能に与える影響のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
オーストラリア・クイーンズランド工科大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,831人
結果の向き
良い方向

健康な人の実験研究65件・3831人などをまとめ、ブドウ糖で単語をすぐ思い出す成績が上がったとした。

[2]健康な若い大人で、ブドウ糖の量と記憶・気分の関係を調べた試験

発表年
2011年
研究機関
イギリス・ランカスター大学
掲載誌
Journal of psychopharmacology (Oxford, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
30人
結果の向き
結果が割れている

30人が0g・15g・25g・50g・60gを飲み、中くらいの量が最良の形に近かったのは長期記憶の課題だけだった。

[3]ブドウ糖が長期記憶に与える影響の持続と課題ごとの違い

発表年
2010年
研究機関
オーストラリア・ブレイン・サイエンス研究所(メルボルン)
掲載誌
Psychopharmacology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

25gと60gを比べ、単語の思い出しなどが良くなったのは60gのときで、1週間後には効果が残っていなかった。

[4]ブドウ糖による認知機能向上の個人差

発表年
2013年
研究機関
イギリス・キール大学
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
24人
結果の向き
結果が割れている

24人の試験で、25gは血糖の調整がうまい人の単語の思い出しの正確さを下げ、調整が悪い人では良くなった。

[5]ブドウ糖と記憶:効果が出る記憶とそうでない記憶

発表年
1998年
研究機関
イギリス・マンチェスター大学
掲載誌
Psychopharmacology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康な若い女性で、ブドウ糖25gを飲むと、言葉を覚えて後で思い出す課題の成績が良くなった

[6]脳画像研究のレビュー:ブドウ糖は認知成績を高めるか

発表年
2020年
研究機関
オーストラリア・スウィンバーン工科大学
掲載誌
Neuropsychology review
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究11件を統合
結果の向き
結果が割れている

11件の研究のほぼすべてで脳の活動に変化があったが、成績の改善がはっきり出たのは5件だけだった。

[7]ブドウ糖と記憶:飲み物・期待・思い込みの影響

発表年
2013年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
Psychopharmacology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
93人
結果の向き
結果が割れている

93人の実験で、ブドウ糖が良くしたのは時間をおいて思い出す課題だけだった。

[8]エナジードリンクの成分(カフェイン・タウリン・ブドウ糖)が認知に与える違い

発表年
2012年
研究機関
アメリカ・タフツ大学
掲載誌
Pharmacology, biochemistry, and behavior
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
48人
結果の向き
悪い方向

48人の試験で、ブドウ糖50gだけだと選んで反応する課題の反応が遅くなった。

[9]絶食した健康な高齢者で、ブドウ糖が注意の切り替えに与える短期の影響

発表年
2010年
研究機関
カナダ・ケベック大学モントリオール校
掲載誌
Psychopharmacology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
44人
結果の向き
良い方向

60歳以上の44人で、ブドウ糖50gを飲んだ人は注意を切り替える課題が速かった。

[10]頭を使う作業を続けたときの、朝鮮人参とブドウ糖の影響

発表年
2006年
研究機関
イギリス・ノーサンブリア大学
掲載誌
Journal of psychopharmacology (Oxford, England)
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
27人
結果の向き
良い方向

27人で、ブドウ糖25gは頭を使う作業を続けたときの疲れの感じ方の増え方を抑え、暗算の成績も良くした。

[11]三大栄養素の飲み物が記憶と注意に与える影響の違い

発表年
2012年
研究機関
イギリス・ランカスター大学
掲載誌
Biological psychology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
18人
結果の向き
差なし

18人で、ブドウ糖25gで頭がはっきりした感じは増えたが、脂肪・たんぱく質・プラセボでも同じだった。

[12]低血糖の応急手当て:食べ物の糖分とブドウ糖錠剤の比較

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・アレゲニー・ヘルス・ネットワーク
掲載誌
Emergency medicine journal : EMJ
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
良い方向

意識のある糖尿病の人で、食べ物の糖分は錠剤より15分後に症状がおさまった割合が低かった(比0.89。レビューに含まれた研究は4件)。

[13]年齢・ブドウ糖摂取・血糖調整が出来事の記憶に与える影響

発表年
2004年
研究機関
イギリス・グラスゴー・カレドニアン大学
掲載誌
Age and ageing
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
20人
結果の向き
良い方向

60〜80歳の20人で、ブドウ糖を飲むと出来事の記憶の成績が良くなった。

[14]高齢者の記憶に対するブドウ糖と血糖調整の影響

発表年
1997年
研究機関
カナダ・オタワ大学
掲載誌
Neurobiology of aging
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

血糖の調整がうまい男性は記憶が良くなったが、調整が悪い男性では下がった。

ほかに参考にした論文(6本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。