[1]目標を立てることが行動の変化に与える固有の効果:系統的レビューとメタ解析
- 発表年
- 2017年
- 研究機関
- イギリス・マンチェスター大学
- 掲載誌
- Journal of consulting and clinical psychology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 16,523人
- 結果の向き
- 良い方向
目標を立てた人は、目標にした行動が小さいながらはっきり増えた(d=0.34)。

成果は上がります。やる気や自信とは、わずかな関連が見られます。
成人や学生が、運動・勉強・作業課題・チーム課題に取り組んだ研究の結果です。やる気の結果は、運動不足の成人を対象にした研究です。
目標は、具体的で、少し難しめのものにします。進み具合を紙などに書き残し、人に伝えると、さらに達成しやすくなっています [4]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 96 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本・観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
目標設定は、「何を・どれくらい」やるかを先に決めて取り組む方法です。仕事、勉強、運動、ダイエットなどで使われ、やる気や成果を高めるとされます。研究では、「週に3回歩く」のような具体的な目標と、「ベストを尽くす」のようなあいまいな目標を比べてきました。
答えの中心は、イギリスのマンチェスター大学などの研究チームが2017年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た研究の結果をまとめて計算し直す方法です。目標を立てることだけの効果を調べた比較試験が集められました。
| 研究の種類 | 目標を立てる効果を調べた比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 運動・食事などの行動に取り組む人(141件・16,523人) |
| 比べたもの | 目標を立てた人と、立てなかった人 |
| 結果 | 目標にした行動が、小さいながらはっきり増えた(効果量 d=0.34) |
目標が難しいとき、人前で立てたとき、グループの目標のときに、特に効果が大きくなりました。
運動の目標に絞った別のメタ解析(45本・5,912人)でも、運動量が中くらいに増えました(d=0.55)[5]。成績に苦しむ大学生85人が、目標を書き出すプログラムを受けた試験では、4か月後の成績が対照群より良くなりました [6]。
運動不足の成人1,208人(13件の研究)のまとめでは、具体的な運動の目標は、運動量を大きく増やしました(g=1.11)。一方で、やる気・自信・気分などの心理面は、小さな改善と結びついていただけです(g=0.25)[3]。やる気が大きく上がるというより、行動が増える効果のほうがはっきりしています。この心理面の根拠の確かさは低めです。研究の種類が要旨に書かれていないためです。
チームの課題のメタ解析では、自分の成績だけを上げようとする個人の目標は、チームの成果を下げていました [2]。目標そのものが悪いのではなく、目標が向いている先がチームの成果とずれていたためです。
個人の成績だけを狙う目標は、チームの成果を下げました。
また、課題の難しさでも効き方が変わります。125件の研究のメタ解析では、効果は単純な課題で大きく(d=0.76)、経営シミュレーションや研究の生産性のような複雑な課題では小さめでした(d=0.42)[8]。
運動の研究では、目標を立てる取り組みは3〜24週間で、ご褒美を出さない取り組みのほうが運動量の増え方が大きくなりました [3]。ここまでの結果は、目標を立てたこと自体の効果を見た平均の話で、一人ひとりの結果を約束するものではありません。チームで取り組むときは、個人の数字だけでなく、チーム全体の目標も一緒に決めると、研究の結果と矛盾しません。気分の落ち込みが続く、目標に追われて眠れないなどのときは、医師や専門家に相談してください。
個人の目標だけを追うと、チームの成果が下がった研究があります。
具体的な目標を立てると、成果は上がります。
やる気そのものへの効果は小さいので、目標で行動を増やし、進み具合を記録して人に伝えるところまで進めてみましょう。
仕事のチームでは、個人の目標とチームの目標をそろえるのが、研究に沿った進め方です。
この点を直接調べた研究は、見つかっていません。進み具合を記録すると達成しやすくなる結果はあります [[26479070]]。
難しい目標は、成果が大きくなる傾向がありました [[29189034]]。高校生の腹筋運動では、難しいが現実的な目標(20%アップ)がいちばん伸びています [[9258843]]。
自分の成績だけを上げようとする個人の目標は、チームの成果を下げた結果があります [[21744940]]。チーム全体の具体的で難しい目標は、成果を高めました。
目標を立てた人は、目標にした行動が小さいながらはっきり増えた(d=0.34)。
チーム課題で、具体的で難しい目標は、あいまいな目標より成果が高かった(d=0.80)。
運動量は大きく増え(g=1.11)、心理面は小さく改善した(g=0.25)。
進み具合を記録・確認した人は目標を達成しやすかった(138件・19,951人、d=0.40)。
運動の目標を立てると、運動量が中くらいに増えた(45本・5,912人)。
成績に苦しむ大学生85人で、4か月後の成績が対照群より良くなった。
高校生の腹筋運動で、具体的な目標のグループはあいまいな目標より伸びた。
目標の効果は単純な課題で最も大きく、複雑な課題では小さめだった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。