運動を続けると疲れにくくなる?

運動を続けると疲れにくくなる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

疲れにくくなります。運動を続けると疲労感が減り、元気さが増します。差は小さめです。

根拠

運動を続けた人は、運動しない人より疲労感が減り元気さが増したことが、メタ解析で示されています (効果の大きさ0.37の小さめの差) [1]。疲れが続く若い大人36人の試験でも、6週間の運動で元気さが増しました [2]。ただし、会社員の試験では、最後まで続けた人だけで数えた場合に疲労感が低く、途中でやめた人も含めると差はありませんでした [3]。主な試験は参加者が少なく、効果は小さめと読むのが正確です。

この答えの範囲

大きな病気のない大人の、ふだんの疲労感の話です。運動後の回復法や、病気による疲れは別の話です。

じゃあ、どうする?

疲れているときこそ、軽めの運動から始めましょう。試験では、軽い運動のほうが疲労感がよく減りました [2]。週3日、6週間続けて変化を見るのが、研究の条件に近いやり方です。睡眠の質も良くなる傾向があります [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。6 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 62 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3240いちばん信頼できる研究の種類
研究の量7.120研究件数と参加人数
一致度16.625結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 61.7 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 62 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

運動による疲れの変化とは

ここでいう「疲れにくくなる」は、体力ではなく、本人が感じる疲労感と元気さのことです。研究では質問票の点数で測られています。運動を続けるとは、数週間以上、ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行うことを指します。注意点は、疲労感の変化と体力の変化は、別のものとして調べられていることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのジョージア大学などの研究チームが2006年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を集めて、数値でまとめる方法です。

研究の種類運動を続けたときの元気さと疲労感を調べた研究のメタ解析
対象病気のある人・ない人の両方の研究を含む
比べたもの運動を続けた群と、運動しない対照
結果元気さが増え、疲労感が減った (効果の大きさ0.37の小さめの差)
まとめて分析した結果運動を続けた人は、運動しない対照と比べて元気さが増え、疲労感が減りました [1]。

偽の運動と比べた研究だけでみると、差はありませんでした。

効果の大きさ0.37は「小さめの差」です。劇的に変わる、という数字ではありません。ここでの「効きます」は、運動しない場合より疲労感が減る、という向きの話です。

2008年に同じ研究チームが行った比較試験では、疲れが続いている運動不足の若い大人36人を、軽い運動・中くらいの強さの運動・何もしない群に分け、運動の群は6週間・週3日、運動しました [2]。軽い運動でも中くらいの強さの運動でも、元気さは同じように増えました。疲労感は、軽い運動のほうがよく減りました。ランダム化比較試験は、この試験と次に紹介する会社員の試験の2本だけで、どちらも参加者は多くありません。人数が少ないことが、この結果の弱さです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

仕事の疲れが強い会社員を、6週間の運動プログラムと順番待ちの群に分けた、オランダのラートバウド大学などの2017年の試験があります [3]。最後まで続けた人だけで数えると、運動の群の疲労感は低くなりました。途中でやめた人も含めて数えると、差はありませんでした。睡眠の質と仕事をこなす力は、どちらの数え方でも良くなりました。

数え方で結果が分かれた試験仕事の疲れが強い会社員が、6週間の運動プログラムに参加した。

疲労感の差は、最後まで続けた人だけで数えた場合に見られた。

続けられた人では効き、続けられなかった人も含めると見えにくくなる、と読めます。まず続けられる強さから始めることが大切です。

よく言われていることは本当?

  • 運動で体力がつくから疲れにくくなる理由としては確かめられていません。 疲労感の改善は、体力 (有酸素能力) の向上とは関係がありませんでした [2]。
  • 疲れたときは寝ているより軽く動くほうが回復が早い (アクティブレスト)研究が足りません。 研究はスポーツの後の回復だけで、遅れて出る筋肉痛は減りました。疲れの感じ方に勧められたのは、マッサージや冷水につかる方法でした [5] [6]。デスクワークの疲れに当てはめた研究は見つかっていません。
  • 軽い運動で血流が良くなり、疲労物質が流れて疲れが取れる研究が見つかっていません。 血流や疲労物質と疲労感の改善を結びつけて、人で調べた研究は確認できませんでした。
  • 疲れない程度の運動を続けると睡眠の質が上がる睡眠の質は良くなります。 病気のない大人のランダム化比較試験22件のまとめで、睡眠の質の点数は平均2.19点良くなりました [4]。根拠の確かさは低めです。自分で答える質問票の点数が中心で、機器で測った睡眠は睡眠効率が上がった以外はほとんど差がなかったためです。それで疲れが残りにくくなるかは、調べられていません。
  • 激しすぎる運動は逆効果で、軽い運動がよい逆効果を示した研究はありません。 ただ、36人の試験では、疲労感は軽い運動のほうがよく減りました [2]。

02注意点

研究で使われた量は、疲れが続く運動不足の大人が6週間、週3日ほど運動する、という範囲です [2]。長期間の効果や、高齢の人・持病のある人に同じ結果が当てはまるかは、この記事の研究からは言えません。運動でけがや体調不良が起きることもあります。持病や服薬がある人、強い疲れが続く人は、医師に相談してから始めてください。

強い疲れが長く続くときは、病気のことも

ふだんの疲れと違う強い疲れや体重の変化があるときは、運動の前に受診してください。

03まとめ

運動を続けると、疲労感は減り、元気さは増します。ただし差は小さめです。
理由は体力がつくからとは限らず、まず続けられる軽さで始めるのが合っています。
睡眠の質も良くなる傾向があるので、週3日ほどの習慣から試してみましょう。

04よくある質問

Qどのくらい続ければ疲れにくくなりますか?

試験では6週間で評価しています [[18277063]]。何週間目から変わるかは、研究から言えません。

Qデスクワークの合間に動くだけでも意味はありますか?

大学の授業中に体を動かす休憩を入れると、学生の疲労感が減ったというメタ解析があります。根拠の確かさは低めです [[35805432]]。会社員の仕事中の休憩については、確かめられていません。

Q運動のあとに疲れが残るときはどうしますか?

スポーツ後の回復法の研究では、疲れの感じ方にマッサージや冷水につかる方法が勧められました [[35961644]]。ふだんの疲れへの効果は確かめられていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(6本)

[1]運動を続けると元気と疲労感はどう変わるかのメタ解析

発表年
2006年
研究機関
アメリカ・ジョージア大学
掲載誌
Psychological bulletin
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

運動を続けた人は、運動しない対照より元気さが増え、疲労感が減った (効果の大きさ0.37)。

[2]疲れが続く運動不足の若い成人への運動の試験

発表年
2008年
研究機関
アメリカ・ジョージア大学
掲載誌
Psychotherapy and psychosomatics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
36人
結果の向き
良い方向

疲れが続く座りがちな若い大人36人が6週間運動すると、元気さが増え、疲労感は軽い運動のほうがよく減った。

[3]仕事の疲れを運動で減らせるかの比較試験

発表年
2017年
研究機関
オランダ・ラートバウド大学
掲載誌
Scandinavian journal of work, environment & health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

仕事の疲れが強い会社員が6週間運動すると、最後まで続けた人だけで数えた場合に疲労感が低かった。

[4]運動が大人の睡眠の質と不眠に与える影響のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
中国・華中科技大学同済医学院
掲載誌
Frontiers in psychiatry
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究22件を統合
結果の向き
良い方向

病気のない大人のランダム化比較試験22件で、運動により睡眠の質の点数が平均2.19点良くなった。

[5]運動後の回復法を比べて筋肉痛・疲労・炎症への効果を調べたメタ解析

発表年
2018年
研究機関
フランス・ポワティエ大学
掲載誌
Frontiers in physiology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究99件を統合
結果の向き
良い方向

アクティブレストは遅れて出る筋肉痛を減らしたが、疲労感に勧められた方法には挙がらなかった。

[6]プロサッカーの試合後72時間の回復法の系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
ポルトガル・リスボン大学
掲載誌
International journal of sports physiology and performance
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究39件を統合
結果の向き
差なし

疲れの感じ方に勧められたのはマッサージと冷水につかる方法だけで、アクティブレストは勧められなかった。

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。