[1]冷水に繰り返し入ると、入った直後の呼吸や心拍の乱れは慣れるのか(メタ解析)
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- イギリス・リーズ・トリニティ大学
- 掲載誌
- Journal of thermal biology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 145人
- 結果の向き
- 良い方向
17群・145人のメタ解析で、心拍の上がり方は毎分14拍少なくなった。

寒さに繰り返し体を慣らすと、震えや寒さの感じ方が小さくなることと関連しています。
健康な成人が、寒さや冷水に繰り返しさらされた実験の話です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 13.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 22.5 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 70.3 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、その他のヒトの研究 9 本・観察研究 2 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
「寒さに強い」は、震えにくい、寒さを苦に感じにくい、体温を保ちやすい、といった意味で使われます。研究で調べられてきた方法は、寒さに慣らす(寒冷順化)、運動で体力や筋肉をつける、食事の3つです。長く寒さにさらされると、熱を作る褐色脂肪が増え、震えずに熱を作る力が高まって寒さに強くなると説明されています [6]。
答えの中心は、イギリスのリーズ・トリニティ大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の数値をまとめて計算する方法です。冷水に繰り返し入った17群・145人が集められました。
| 研究の種類 | 冷水に繰り返し入る実験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 冷水に繰り返し入った人(17群・145人) |
| 比べたもの | 繰り返し入る前と後の、冷水に入った直後の反応 |
| 結果 | 心拍の上がり方が毎分14拍少なくなった |
慣れはおよそ4回の入水で起こり始めるとされています。
ここで測ったのは冷水に入った直後の反応で、寒い部屋での震えとは別です。震えや寒さの感じ方は、次の小さな試験で調べられています。
同じ4週間の慣らしでも、震えに差がなかった試験があります [4]。ただしこれは弱い寒さ(18℃)で震えを測ったときで、同じ研究チームが4℃の強い寒さで測ると震えは21%減りました [3]。20℃の水に毎日1時間・5週間つかった試験でも、寒い空気の中での体温と熱の量は変わりませんでした [9]。20℃の水の試験は、水温や冷やし方、参加者の数が上の研究と違い、理由ははっきり分かっていません。皮膚だけを冷やす短い入水でも冷水ショックは小さくなりましたが、熱の作り方が変わるには体の芯まで冷えることが必要でした [10]。
10℃の水を流すスーツで1日2時間・週5日、4週間体を冷やしても、弱い寒さ(18℃)で測った震えの強さは前後で変わりませんでした [3]。
寒さに慣らすと、熱を作る褐色脂肪が増えて働きます。男性6人が4週間慣らすと、働いている褐色脂肪の量が45%増え(66mLから95mL)、寒いときの褐色脂肪の酸素を使う働きは2.2倍になりました [4]。10日間の慣らしでも、褐色脂肪の働きと震えずに作る熱の量がそろって増えています [5]。肥満の男性10人でも同じ方向でした [11]。
褐色脂肪の働きが低い健康な人が17℃で毎日2時間、6週間過ごした比較試験では、褐色脂肪の働きと寒いときに作る熱の量が増え、体脂肪が減りました [12]。ただし、小さな研究が中心です。夜の室温を変えた男性5人の研究では、褐色脂肪は増減したものの、寒いときに作る熱の量は変わりませんでした [13]。ふだんから寒さにさらされる北極圏の成人でも、褐色脂肪の働きが高い結果がそろっています(観察研究8件のレビュー) [14]。
研究が足りず、まだ分かりません。小さな試験で良い結果と変化のない結果が混ざっています。
筋トレと代謝は筋トレで代謝は上がる?で別に扱っています。
唐辛子の成分(カプサイシン類・カプシノイド)は、研究によって結果が分かれます。13件のメタ解析では、安静時の代謝が毎日平均33.99kcal増えました [20]。一方、料理に使う量の唐辛子を調べた24件のランダム化比較試験のまとめでは、エネルギー消費に有意な差がありませんでした [21]。9件のメタ解析では、BMIが25未満の人の研究で差が見られませんでした [22]。中高年69人が3か月とった試験で、冷えの訴えが和らいだのは80歳以上の人でした [23]。
生姜は研究が少なく、結果もそろっていません。体脂肪の多い女性66人が生姜エキスを毎日600mg、3か月とっても、安静時代謝に差はありませんでした [24]。100人が8週間とった試験で、年齢と性別で分けた分析で、体の温かさの感じ方が良くなったのは51歳以上の男性でした [25]。生姜と冷え性は冷え性に生姜は効く?で別に扱っています。
研究の多くは、健康な成人男性が実験室で、10℃から14℃の水や部屋に毎日1〜2時間、7日間から4週間さらされたものです。冷水に入った直後は、心拍や呼吸が急に乱れる冷水ショック反応が起こり、水の中では溺れる危険にもつながります [1]。14℃の水に20日間で17回つかった試験では、体の自然免疫の働きが下がったという結果もありました [8]。持病のある人、血圧や心臓が気になる人、高齢の人は、冷水に入る方法を始める前に医師に確認してください。
実験は管理された環境で行われたもので、家庭の冷水浴は同じ安全性とは言えません。
寒さに繰り返し体を慣らすと、震えや寒さの感じ方が小さくなることと関連しています。
筋肉と食事は、寒さへの強さを上げるという確かな研究がまだありません。
試すなら、涼しい環境に短時間から身を置くところから始め、冷水は医師に相談してからにしましょう。
冷水に入る実験では、およそ4回の入水で慣れが起こり始めるとされています [[38211547]]。震えが減った研究は、7日間 [[30896355]] や4週間 [[28025824]] の慣らしでした。
シャワーを調べた研究は見つかっていません。研究は、冷水に入る、涼しい部屋で過ごすといった方法です。皮膚だけを冷やす短い入水では、熱の作り方は変わりませんでした [[24229801]]。
研究では確かめられていません。筋肉量と震えが始まるまでの時間の関連は女性だけで見られ [[36031206]]、筋トレそのものの効果を測った研究は見つかっていません。
寒さへの強さを直接調べた研究は見つかっていません。唐辛子は代謝が増えた研究と差がなかった研究があり [[33063385]] [[42186269]]、生姜も結果がそろっていません [[36058007]]。
17群・145人のメタ解析で、心拍の上がり方は毎分14拍少なくなった。
成人男性7人が14℃の冷水に1日1時間、7日間入ると、震えの強さが36%減った。
成人男性9人が4週間、寒さに慣らすと、震えの強さが21%減った。
男性6人の4週間の慣らしで、働く褐色脂肪の量が45%増えた。震えの強さは変わらなかった。
10日間の慣らしで、褐色脂肪の働きと震えずに作る熱の量がそろって増えた。
長く寒さにさらされると褐色脂肪が増え、震えずに熱を作る力が高まると説明されている。
男性10人が10℃の部屋で毎日2時間、10日過ごすと、皮膚の温度が0.6℃高くなった。
男性14人が14℃の水に20日間で17回つかると、不快感と冷たさの感じ方が小さくなった。
20℃の水に毎日1時間・5週間つかっても、体温と体が作る熱の量は変わらなかった。
皮膚だけを冷やしても冷水ショックは小さくなるが、熱の作り方が変わるには体の芯まで冷えることが必要だった。
肥満の男性10人で、10日間の慣らしのあと、寒いときに褐色脂肪がブドウ糖を取り込む量が増えた。
17℃で毎日2時間を6週間過ごすと、褐色脂肪の働きと寒いときに作る熱の量が増え、体脂肪が減った。
夜の室温を1か月ずつ変えると、19℃の月に褐色脂肪が増えた。寒いときに作る熱の量は変わらなかった。
観察研究8件のまとめで、北極圏の成人は褐色脂肪の働きが高い結果がそろっていた。
男性8人が8週間のインターバル走をすると、寒い空気の中の直腸温は高くなったが、皮膚温や熱の量は変わらなかった。
男性18人が4週間自転車をこぐと、指の平均温度が11.9℃から13.5℃に上がった。
冷え性の女性16人が2週間運動すると、指先・足・つま先の冷たさの感じ方が減った。
110人の研究で、震えが始まるまでの時間は女性では筋肉が多いほど長く、男性では関係がなかった。
男性18人が週2回・10週間の筋トレをしても、褐色脂肪に似た組織の血管の量に差はなかった。
13件のメタ解析で、安静時代謝が毎日平均33.99kcal増えた。
24件のランダム化比較試験のまとめで、エネルギー消費の増え方に有意な差はなかった。
9件のメタ解析で、エネルギー消費が58.56kcal増えたが、BMIが25未満の人の研究では差がなかった。
中高年69人が3か月とると、冷えの訴えは80歳以上の人でだけ和らいだ。
女性66人が生姜エキスを毎日600mg、3か月とっても、安静時代謝に差はなかった。
100人が8週間とると、体の温かさの感じ方が良くなったのは51歳以上の男性だけだった。
健康な女性20人で、冷たさの感じ方と不快さは最初の数回のうちに慣れて小さくなった。
12℃の水に10分つかるのを6回繰り返すと、冷水に入ったときの最大の呼吸量が約20%減った。
判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。