[1]冬の暖房が日常の血圧に与える影響のくじ引き試験
- 発表年
- 2013年
- 研究機関
- 日本・奈良県立医科大学
- 掲載誌
- Journal of epidemiology and community health
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 146人
- 結果の向き
- 良い方向
日本の健康な大人146人を、しっかり暖房する群と弱い暖房の群にくじで分けた。しっかり暖めた群は朝の上の血圧が5.8mmHg低かった。

冬に部屋を暖めると、朝の血圧が下がります。
血圧の話です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 32 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 90.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・その他のヒトの研究 1 本・観察研究 3 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ここでの室温は、居間や寝室で温度計が示す実際の温度のことです。エアコンの設定温度とは別のもので、同じ設定でも部屋の広さや断熱で実際の室温は変わります。寒い部屋では血圧が上がりやすいとされ、冬の室温は少なくとも18℃に暖めることが英国の系統的レビューで勧められています [3]。注意点は、この18℃は研究で境目が確かめられた値ではないことです。
答えの中心は、奈良県立医科大学などの研究チームが2013年に発表したくじ引き試験です [1]。くじ引き試験とは、参加者をくじで分け、暖房の強さだけが違う状態で比べる方法です。
| 研究の種類 | くじ引き試験 (ランダム化比較試験) |
|---|---|
| 対象 | 日本の健康な大人146人 |
| 比べたもの | 実験用の個室で、しっかり暖房する群 (平均24.2℃) と弱い暖房の群 (平均13.9℃) |
| 結果 | 起床2時間後の上の血圧が、しっかり暖めた群で5.8mmHg低い |
服や寝具は自由に調整できる条件でも、この差が出ました [1]。
家に近い条件の試験もあります。平均71.6歳の高齢者359人を、起きる1時間前から居間を24℃設定で暖めるよう指導する群としない群に分けた2015年の試験では、居間の温度が2.09℃上がり、上の血圧が4.43mmHg低くなりました [2]。
ふだんの暮らしの調査でも、同じ向きの結果がそろっています。ただし、くじ引きではない観察研究なので「室温が高いほど血圧は低い」という関連までが言えることです。
試験で比べた室温は、暖かい群が平均24.2℃、寒い群が平均13.9℃でした [1]。18℃と24℃の差を直接比べたものではありません。弱い立場の人には、室内が暑すぎる場合の上限の目安として26℃が挙げられています [9]。血圧の薬を飲んでいる人や持病がある人は、室温の調整について医師や薬剤師に確認してください。
温度計で実際の室温を確かめて、暖房の強さを調整してください。
冬に部屋を暖めると、朝の血圧が下がることは、くじ引き試験で確かめられています。
室温の目安は少なくとも18℃ですが、境目そのものの根拠は限られます。
まずは温度計を置き、起きる前から居間を暖めるところから始めましょう。
外の気温が何度のときにつけるべきか、境目を調べた研究は見つかりませんでした。勧められている室温の最低ラインは18℃なので、部屋の温度計がそれを下回るときが目安になります [[27106281]]。
設定温度を比べて健康への影響を調べた研究は見つかりませんでした。同じ設定でも実際の室温は部屋や断熱で変わるので、温度計の値で調整するのが確実です。
血圧の試験では、実験用の個室で夜から朝まで暖めた群で朝の血圧が低くなりました [[23447647]]。自宅の寝室だけを暖めた効果は、今回の研究では確かめられていません。暖房で乾燥が気になるときは [部屋が乾燥すると肌や喉がつらくなるって本当?](/evidence/humidifier-dry-air-comfort) も参考になります。
日本の健康な大人146人を、しっかり暖房する群と弱い暖房の群にくじで分けた。しっかり暖めた群は朝の上の血圧が5.8mmHg低かった。
高齢者359人に居間の暖房を指導すると、居間が2.09℃上がり、上の血圧が4.43mmHg低かった。
健康への影響は18℃前後から出始める。根拠は限られるが、冬は少なくとも18℃に暖めることが勧められた。
約2900人の調査で、室温が10℃低いと朝の上の血圧が8.2mmHg高い関連があった。
23件をまとめた分析で、室内の温度が1℃下がるごとに上の血圧が0.38mmHg高い関連があった。
静岡県の高齢者779人で、室温が1℃下がるごとに朝の上の血圧が0.863mmHg高い関連があった。
低所得地域の1350世帯を断熱する群としない群に分けた。断熱した家で、ぜーぜーの訴えのオッズが0.57に減った。
COPD の高齢者に冬の電気代を補助しても、悪化の回数や入院に差はなかった。
室内が暑すぎる場合の悪影響は26〜32℃で報告され、弱い立場の人には26℃が上限の目安とされた。
冬の北京郊外の大人で、同じ人の中で室温が1℃高いと上の血圧が0.5mmHg低い関連があった。外の気温とは関連がなかった
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。