冬の室温は何度に保つと体にいい?

冬の室温は何度に保つと体にいい?
読了目安 3〜5分最終更新日 2026.11.06
答え効く

冬に部屋を暖めると、朝の血圧が下がります。

根拠

日本の健康な大人146人を、暖房を強くした部屋 (平均24.2℃) と弱くした部屋 (平均13.9℃) にくじで分けた試験で、朝の上の血圧は暖かい部屋が5.8mmHg低くなりました [1]。高齢者359人の試験でも、居間を暖める指導で上の血圧が4.43mmHg下がりました [2]。

この答えの範囲

血圧の話です。

じゃあ、どうする?

居間は少なくとも18℃を目安に、血圧が気になる人や高齢の人は起きる前から暖めておくと、研究の条件に近くなります [3] [2]。見るのはエアコンの設定温度でなく、温度計の実際の室温です。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。9 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3240いちばん信頼できる研究の種類
研究の量18.620研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 90.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・その他のヒトの研究 1 本・観察研究 3 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

冬の室温とは

ここでの室温は、居間や寝室で温度計が示す実際の温度のことです。エアコンの設定温度とは別のもので、同じ設定でも部屋の広さや断熱で実際の室温は変わります。寒い部屋では血圧が上がりやすいとされ、冬の室温は少なくとも18℃に暖めることが英国の系統的レビューで勧められています [3]。注意点は、この18℃は研究で境目が確かめられた値ではないことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、奈良県立医科大学などの研究チームが2013年に発表したくじ引き試験です [1]。くじ引き試験とは、参加者をくじで分け、暖房の強さだけが違う状態で比べる方法です。

研究の種類くじ引き試験 (ランダム化比較試験)
対象日本の健康な大人146人
比べたもの実験用の個室で、しっかり暖房する群 (平均24.2℃) と弱い暖房の群 (平均13.9℃)
結果起床2時間後の上の血圧が、しっかり暖めた群で5.8mmHg低い
試験の結果しっかり暖めた部屋で寝た人は、朝の上の血圧が5.8mmHg低くなりました [1]。

服や寝具は自由に調整できる条件でも、この差が出ました [1]。

家に近い条件の試験もあります。平均71.6歳の高齢者359人を、起きる1時間前から居間を24℃設定で暖めるよう指導する群としない群に分けた2015年の試験では、居間の温度が2.09℃上がり、上の血圧が4.43mmHg低くなりました [2]。

室温が上がるほど血圧は低い?

ふだんの暮らしの調査でも、同じ向きの結果がそろっています。ただし、くじ引きではない観察研究なので「室温が高いほど血圧は低い」という関連までが言えることです。

  • 日本の全国調査 (約2900人): 室温が10℃低いと、朝の上の血圧が8.2mmHg高い関連 [4]
  • 気温と血圧を調べた23件のまとめ (室温の分析はその一部): 室温が1℃下がるごとに、上の血圧が0.38mmHg高い関連 [5]
  • 静岡県の高齢者779人: 室温が1℃下がるごとに、朝の上の血圧が0.863mmHg高い関連 [6]

よく言われていることは本当?

  • 冬の室温は18℃以上がよい目安として勧められています。 18℃を境に差が出るかを試した研究はなく、英国の系統的レビューも根拠は限られるとしています [3]。
  • 寒い部屋だと血圧が上がり、脳卒中や心筋梗塞の原因になる血圧が上がる点は本当です [1]。 脳卒中や心筋梗塞が減るかは、研究が見つかっていません。
  • 脱衣所を暖めればヒートショックを防げる研究が足りません。 暖める介入でヒートショックが減るかを確かめた研究は見つかりませんでした。
  • エアコンの設定温度は環境省の目安どおりがよい研究が足りません。 環境省の目安は省エネのためのもので、設定温度そのものを比べた健康の研究は見つかりませんでした。
  • 暖かい家は呼吸器の不調を減らす条件によります。 断熱した家でぜーぜーの訴えが減った試験があります [7]。一方、COPD の高齢者に電気代を補助した試験では、悪化の回数に差がありませんでした [8]。
  • 暖房を効かせすぎると体に悪い研究が足りません。 冬の暖房のしすぎを調べた研究は見つからず、室内の暑さの系統的レビューでは、悪影響は26〜32℃で報告されています [9]。

02注意点

試験で比べた室温は、暖かい群が平均24.2℃、寒い群が平均13.9℃でした [1]。18℃と24℃の差を直接比べたものではありません。弱い立場の人には、室内が暑すぎる場合の上限の目安として26℃が挙げられています [9]。血圧の薬を飲んでいる人や持病がある人は、室温の調整について医師や薬剤師に確認してください。

エアコンの設定温度と室温は別物です

温度計で実際の室温を確かめて、暖房の強さを調整してください。

03まとめ

冬に部屋を暖めると、朝の血圧が下がることは、くじ引き試験で確かめられています。
室温の目安は少なくとも18℃ですが、境目そのものの根拠は限られます。
まずは温度計を置き、起きる前から居間を暖めるところから始めましょう。

04よくある質問

Q何度から暖房をつければいいですか?

外の気温が何度のときにつけるべきか、境目を調べた研究は見つかりませんでした。勧められている室温の最低ラインは18℃なので、部屋の温度計がそれを下回るときが目安になります [[27106281]]。

Qエアコンの設定温度は何度にすればいいですか?

設定温度を比べて健康への影響を調べた研究は見つかりませんでした。同じ設定でも実際の室温は部屋や断熱で変わるので、温度計の値で調整するのが確実です。

Q寝室も暖めたほうがいいですか?

血圧の試験では、実験用の個室で夜から朝まで暖めた群で朝の血圧が低くなりました [[23447647]]。自宅の寝室だけを暖めた効果は、今回の研究では確かめられていません。暖房で乾燥が気になるときは [部屋が乾燥すると肌や喉がつらくなるって本当?](/evidence/humidifier-dry-air-comfort) も参考になります。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]冬の暖房が日常の血圧に与える影響のくじ引き試験

発表年
2013年
研究機関
日本・奈良県立医科大学
掲載誌
Journal of epidemiology and community health
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
146人
結果の向き
良い方向

日本の健康な大人146人を、しっかり暖房する群と弱い暖房の群にくじで分けた。しっかり暖めた群は朝の上の血圧が5.8mmHg低かった。

[2]高齢者への暖房の指導が室温と血圧に与える短期の効果

発表年
2015年
研究機関
日本・奈良県立医科大学
掲載誌
Journal of hypertension
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
359人
結果の向き
良い方向

高齢者359人に居間の暖房を指導すると、居間が2.09℃上がり、上の血圧が4.43mmHg低かった。

[3]英国の住宅の冬の最低室温の目安についての系統的レビュー

発表年
2016年
研究機関
イギリス・ウェスト・サセックス州議会
掲載誌
Public health
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

健康への影響は18℃前後から出始める。根拠は限られるが、冬は少なくとも18℃に暖めることが勧められた。

[4]冬の室温と家庭血圧の関係の全国調査

発表年
2019年
研究機関
日本・慶應義塾大学
掲載誌
Hypertension (Dallas, Tex. : 1979)
研究の種類
横断研究ある一時点での生活習慣と健康状態の関係を調べる研究。
対象
2,900人
結果の向き
良い方向

約2900人の調査で、室温が10℃低いと朝の上の血圧が8.2mmHg高い関連があった。

[5]周囲の気温と大人の血圧の系統的レビュー

発表年
2017年
研究機関
中国・中山大学
掲載誌
The Science of the total environment
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究23件を統合
結果の向き
良い方向

23件をまとめた分析で、室内の温度が1℃下がるごとに上の血圧が0.38mmHg高い関連があった。

[6]室温と朝・夕・睡眠中の家庭血圧の関係 (静岡研究)

発表年
2026年
研究機関
静岡社会健康医学大学院大学
掲載誌
Journal of hypertension
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
779人
結果の向き
良い方向

静岡県の高齢者779人で、室温が1℃下がるごとに朝の上の血圧が0.863mmHg高い関連があった。

[7]既存住宅の断熱が健康の格差に与える影響のくじ引き試験

発表年
2007年
研究機関
ニュージーランド・オタゴ大学
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
ランダム化比較試験(クラスター)学校や病院などの単位でくじ引きのように分け、結果を比べる試験。
対象
4,407人
結果の向き
良い方向

低所得地域の1350世帯を断熱する群としない群に分けた。断熱した家で、ぜーぜーの訴えのオッズが0.57に減った。

[8]COPD の人への暖房費補助が健康に与える影響のくじ引き試験

発表年
2025年
研究機関
ニュージーランド・オタゴ大学
掲載誌
International journal of chronic obstructive pulmonary disease
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
424人
結果の向き
差なし

COPD の高齢者に冬の電気代を補助しても、悪化の回数や入院に差はなかった。

[9]室内の温度と健康の世界的な系統的レビュー

発表年
2020年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
Public health
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

室内が暑すぎる場合の悪影響は26〜32℃で報告され、弱い立場の人には26℃が上限の目安とされた。

北京郊外の大人の冬の室温・外気温と血圧の追跡研究

発表年
2022年
研究機関
Sternbach TJほかの研究チーム
掲載誌
Journal of hypertension
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
1,279人
結果の向き
良い方向

冬の北京郊外の大人で、同じ人の中で室温が1℃高いと上の血圧が0.5mmHg低い関連があった。外の気温とは関連がなかった

ほかに参考にした論文(8本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。