[1]室内の過熱にさらされたベッド安静の高齢者への天井扇風機の効果
- 発表年
- 2026年
- 研究機関
- カナダ・オタワ大学
- 掲載誌
- Journal of the American Geriatrics Society
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 20人
- 結果の向き
- 良い方向
31℃の部屋で8時間休んだ高齢者20人で、天井の扇風機を回すと深部体温の最高値が扇風機なしより0.2℃低かった。

暑さのつらさは和らぎます。ただ体温を下げる力は小さく、扇風機だけでは足りません。
気温30℃台の部屋の話です。40℃以上のとても暑い部屋では、体温が下がらないか、逆に上がった試験があります。
暑さが楽になる補助として使い、体を冷やす役目はエアコン・水分・涼しい場所に任せましょう。室温が高いときは風を当て続けず、特に高齢の方は涼しい場所へ移動を。体調が悪いときは医療機関へ相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 34 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 9.2 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 15.7 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 73.9 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 74 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・その他のヒトの研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
扇風機は、羽根で風を起こして体に当てる家電です。風で汗が蒸発しやすくなり、涼しく感じるとされています。部屋の空気をかき混ぜるだけなので、気温そのものを下げる機械ではありません。注意点は、とても暑いときの使い方です。
答えの中心は、カナダのオタワ大学などの研究チームが2025年に発表したランダム化試験です [2]。ランダム化試験とは、参加者をくじ引きで分けて比べる方法です。36℃・湿度45%の部屋で、高齢者18人が8時間座って過ごしました。
| 研究の種類 | ランダム化試験(扇風機の風の強さを変えて比べた) |
|---|---|
| 対象 | 36℃・湿度45%の部屋で8時間過ごした高齢者18人 |
| 比べたもの | 風なし、秒速2m、秒速4mの扇風機 |
| 結果 | 深部体温・皮膚の温度・心拍数の8時間の合計は、扇風機なしと差がなかった |
同じ参加者で、暑さによる症状の合計点は扇風機なしの0.89倍に下がっています [2]。
試験の結果は、部屋の気温で分かれます。
42℃で湿度を上げていった実験では、扇風機は若い人9人の体の負担を変えず、高齢者9人では心拍数・深部体温・皮膚の温度を高くしました [8]。これらを検討した総説は、気温が35℃を超えると扇風機では体温を意味のあるほど下げられないと述べ、特に65歳以上には35℃を超えるときは勧めないよう提言しています [9]。根拠の確かさは中程度です。
体温とは別に、心拍数にも差が出た試験があります。31℃の部屋では天井の扇風機で心拍数が5拍/分低くなりました。ただ、立ち上がったときの血圧などの自律神経の働きは守られませんでした [11]。
深部体温・皮膚の温度・心拍数の8時間の合計に、扇風機なしとの差はありませんでした [2]。
研究の多くは、健康な高齢者や若い成人を、実験室の暑い部屋で数時間から8時間調べたものです。参加者は10〜20人台で、家庭の暮らしそのままではありません。扇風機は汗をかく力に頼る方法なので、汗で水分が失われます。38℃の試験でも汗で失う水分は多くなりました [5]。持病がある人、薬を飲んでいる人は、医師や薬剤師に確認してください。
高温の部屋では風を当て続けず、体を冷やす方法を組み合わせてください。
扇風機は、暑さのつらさを和らげる助けになります。
ただ体温を下げる力は小さく、40℃前後では扇風機だけでは足りません。
暑い日は、水分と涼しい場所を使い、扇風機は補助として使いましょう。
エアコンと併用して節電になるかを、人で調べた試験は見つかっていません。40℃の作業環境の試験では、エアコンで深部体温が下がりました [[41130225]]。
窓に向ける置き方を人で比べた研究は見つかっていません。氷については試験があります。38℃の試験では、扇風機の風そのものは体温の上がり方を変えませんでしたが、氷のシャーベット・冷水・足を水に浸ける方法を足すと、上がり方が小さくなりました [[37698186]]。36.5℃の試験でも、扇風機とシャーベットなどの組み合わせが比べられています [[40516396]]。
睡眠中の扇風機と体調を比べた研究は見つかっていません。31℃のベッドで休む試験では、天井の扇風機で心拍数が低くなりました [[42693775]]。
36℃の試験でも体温は下がりませんでした [[40020224]]。35℃を超えるときは勧めないという提言もあります [[38580427]]。エアコンなどを使ってください。
31℃の部屋で8時間休んだ高齢者20人で、天井の扇風機を回すと深部体温の最高値が扇風機なしより0.2℃低かった。
36℃の部屋で8時間過ごした高齢者18人で、扇風機を使うと暑さによる症状の合計点が扇風機なしの0.89倍に下がった。
31℃の部屋の高齢者20人で、天井の扇風機がないと暑さによる症状の合計点が扇風機ありの1.3倍に高かった。
36.5℃の部屋で8時間過ごした若い男性14人で、扇風機を使うと深部体温が下がったが、体の水分は多く失われた。
38℃・湿度60%の若い男性10人で、扇風機だけでは直腸温・心拍数の上がり方は変わらなかった。
40℃の部屋で作業した42人で、扇風機だけでは深部体温は下がらず、エアコンなどで下がった。
47℃・湿度15%の部屋に3時間いた高齢者23人で、扇風機を使うと深部体温の上がり方が0.60℃大きかった。
42℃の実験で、扇風機は若い人9人では体の負担を変えず、高齢者9人では心拍数・深部体温を高くした。
気温が35℃を超えると深部体温を意味のあるほど下げるには足りないとし、35℃を超えるときは扇風機を勧めないよう提言した。
熱波のときの扇風機で死亡や入院が変わるかを調べた試験を見つけられず、使うべきかは決められないとした。
天井の扇風機で心拍数は5拍/分低かったが、立ち上がったときの血圧などの自律神経の働きは守られなかった。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。