[1]ビタミンDのサプリと急性呼吸器感染症のメタ解析
- 発表年
- 2025年
- 研究機関
- イギリス・ロンドン大学クイーン・メアリー校
- 掲載誌
- The lancet. Diabetes & endocrinology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 61,589人
- 結果の向き
- 差なし
二重盲検のRCTをまとめた解析で、急性呼吸器感染症にかかるオッズに偶然を超える差はなかった。年齢や量で分けても同じだった。

インフルエンザは約2割減りますが、かぜなどの急性呼吸器感染症には効きません。
飲むサプリの結果です。
かぜの予防だけが目的なら、サプリに頼る理由は研究から見えません。魚やきのこを食べ、日光を無理のない範囲で浴び、不足が心配なら血液検査で確かめて医師に相談を。サプリはD3型を、脂を含む食事と一緒に飲み、多い量は自己判断で続けないでください [4]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 20.1 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 2 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.1 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 92 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
答えの中心は、イギリスのロンドン大学クイーン・メアリー校などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて調べる方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 0歳から高齢者までの一般の人(40件・61,589人) |
| 比べたもの | ビタミンDのサプリ / プラセボなど |
| 結果 | かぜなどの急性呼吸器感染症のかかりやすさの比(オッズ)が0.94倍(0.88〜1.00) |
年齢・もとの血中濃度・飲み方・量で分けても、効き方の違いは見られませんでした [1]。
( )の中は本当の値がありそうな範囲で、1.00をまたぐので差があるとは言えません。
介護施設の高齢者の試験で、夏に平均21分の日光浴を週5日、4週間続けた群は、しない群より血液中のビタミンDが高くなりました [28]。国立環境研究所の試算では、顔と両手の甲で10µgを作るのに必要な日光浴は、12月の晴天日の正午で、札幌が139分(約2時間20分)、つくばが41分、那覇が14分で、肌に有害な影響が出始める時間は、その約2〜3倍です。夏は必要な時間が短くなります(国立環境研究所の発表)。
SPF50+の日焼け止めを毎日塗った成人628人の試験では、1年後の上がり方が5.2nmol/L小さくなりました [29]。ふだんの使い方の研究では、下がる根拠はほとんどありませんでした [30]。日焼け止めをやめる必要はありません。
脂の多い魚を食べた群は平均6.8nmol/L [31]、強化食品の23件のまとめは平均25.4nmol/L、対照より高くなりました [32]。紫外線を当てたきのこは、もとが低い人でだけ上がりました [33]。ビタミンDがとても不足したモンゴルの小学生では、強化牛乳で呼吸器感染症が0.52倍に減りましたが、試験は1本で、日本の人に当てはまるとは言えません [34]。
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の、可食部100gあたりの量です。
| さけ(しろさけ・生) | 32.0µg |
|---|---|
| さんま(皮つき・生) | 16.0µg |
| しらす干し(半乾燥品) | 61.0µg |
| きくらげ(乾) | 85.0µg |
| 鶏卵(全卵・生) | 3.8µg |
カルシウムと一緒にとると骨折は0.91倍で差はごく小さく、ビタミンDだけでは1.00倍でした [39]。筋力・がん・心臓・血管の病気も変わりませんでした [40] [41] [42]。
カナダの373人の3年間の試験では、軽い高カルシウム血症が毎日400IUで0%、4000IUで3%、1万IUで9%でした [4]。毎日2800IU以上を1年以上飲むと、高カルシウム血症が増える傾向でした [43]。年に一度500,000IUを飲んだ70歳以上の女性2,256人では、転倒が1.15倍に増えました [44]。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認を。
不足が心配なら、血液検査で確かめてから、医師に相談しましょう。
ビタミンDは、かぜなどの感染症を防ぎません。インフルエンザは減った結果がありますが、大人では確かめられていません。
自己免疫の病気とぜんそくにも効きません(自己免疫は試験1本で確かさ低め)。新型コロナは結果が割れています。
魚・きのこと日光で補い、サプリはD3型を脂を含む食事と一緒に。多い量は医師に相談を。
季節だけの飲み方は、研究では確かめられていません。飲み方で分けても、風邪への効き方に違いはありませんでした [[39993397]]。
地域と季節で大きく違い、冬の札幌は長く、夏は短い計算です。
足りるかどうかは、研究では確かめられていません。魚の試験の著者は、すすめられる量の魚だけで十分にするのは難しいとしています [[26354531]]。
二重盲検のRCTをまとめた解析で、急性呼吸器感染症にかかるオッズに偶然を超える差はなかった。年齢や量で分けても同じだった。
RCT10件・4,859人のまとめで、インフルエンザにかかるリスクが0.78倍だった。
日本の高校生の試験で、ビタミンD3を毎日2000IU飲んでもインフルエンザAは減らなかった。
3年間で、軽い高カルシウム血症は毎日400IUで0%、4000IUで3%、1万IUで9%だった。
免疫細胞にはビタミンD受容体があり、自然免疫と獲得免疫の両方を調節できる。
実験の研究で、活性型ビタミンDは自然免疫と獲得免疫の多くの部分に作用する。
試験管ではっきり作用するが、人の病気への効果として示す試みはほとんど成功していない。
6200人の非盲検の試験で、毎日800IUを6か月配っても急性呼吸器感染症は減らなかった。
小学生が冬にビタミンD3を毎日1200IU飲むと、インフルエンザAにかかった子が少なかった。
RCTでは新型コロナにかかるオッズが0.403倍だった。
米国の成人で、毎日4000IUか10000IUを飲んでも、400IUと比べて新型コロナにかかる割合ははっきり下がらなかった。
医療従事者228人の試験で、ビタミンD2を飲んでも新型コロナにかかった割合に差がなかった。
RCT19件・2495人のまとめで、患者の死亡のオッズが0.72倍だった。
診断直後の成人1747人で、ビタミンD3を4週間飲んでも受診・入院・死亡に差がなかった。
毎日2000IUを中央値5.3年飲み、自己免疫疾患は0.78倍。後の再集計で差は小さくなった。
症例を加えた再集計で0.85倍(0.70〜1.04)。飲み終えて2年後には差が消えた。
14件・1778人で、ステロイドの飲み薬が必要な発作は減らなかった。
RCT11件・686人で、皮膚炎の重さの点数が対照より下がった(標準化平均差 -0.41)。
RCT5件のまとめで、症状を軽くする方向だったが、はっきりした差ではなかった。
RCT8件で、免疫の暴走を抑える制御性T細胞の割合が増える方向だった。
男性の運動選手39人で、ビタミンD3を毎日5000IU飲むと血液のカテリシジンの増え方が大きかった。
131人で、血中のビタミンDが上がっても、カテリシジンの遺伝子の働きはプラセボと変わらなかった。
血中濃度がいちばん低い群は、いちばん高い群より感染症のオッズが1.83倍だった。
14件で、ビタミンD不足の人は多発性硬化症である割合が1.54倍だった。
生まれつきビタミンDが低くなりやすい人は、多発性硬化症のオッズが2.0倍だった。
7件の解析で、血中ビタミンDと後の関節リウマチに関連は見られなかった。
10件の解析で、関連は見られなかった。
夏に日光浴を4週間続けた群は、しない群より血液中のビタミンDが有意に高かった。
SPF50+を毎日塗った群は、1年後の血中ビタミンDの上がり方が5.2nmol/L小さかった。
ふだんの生活の研究では、日焼け止めでビタミンDが下がる根拠はほとんどなかった。
魚を食べた群は血中ビタミンDが平均4.4nmol/L高く、脂の多い魚では6.8nmol/Lだった。
強化食品を食べると、血中ビタミンDが平均25.4nmol/L高くなった。
もとの濃度が低い人でだけ、血中ビタミンDが上がった。
ビタミンDがとても不足した小学生で、強化牛乳を飲んだ子は急性呼吸器感染症が0.52倍だった。
毎日飲む試験12件で、D2はD3より血中濃度の上がり方が10.39nmol/L小さかった。
高齢者50人で、脂を含む朝食と一緒に飲むと、12時間後の血中ビタミンD3が32%高かった。
90日後までの血中の25(OH)Dの上がり方は、食事の条件で差がなかった。
毎日800IUで97.5%の人が50nmol/Lを超え、3200IUを超えると頭打ちになった。
カルシウムとの併用で骨折は0.91倍。ビタミンD単独では1.00倍だった。
RCT54件・8747人で、ビタミンDは筋力や体の動きを良くしなかった。
RCT13件で、がんにかかるリスクは変わらなかった。
RCT21件・83291人で、心臓・血管の病気は減らなかった。
毎日2800IU以上で、有害事象全体も腎臓結石も増えなかった。高カルシウム血症は増える傾向だった。
年に一度500,000IUを飲んだ70歳以上の女性で、転倒が1.15倍に増えた。
デンマークの6〜8歳の子ども200人で、冬にビタミンDを飲んだ群は呼吸器感染症で休んだ日数が少なかった。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。