[1]牛乳を豆乳に置き換えた試験のメタ解析
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- カナダ・トロント大学
- 掲載誌
- BMC medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 504人
- 結果の向き
- 良い方向
牛乳の代わりに豆乳を飲むと、LDLが平均0.19 mmol/L下がった(RCT17件・504人)。

牛乳の代わりに豆乳を毎日飲むと、悪玉コレステロールは平均0.19 mmol/L下がります。大豆たんぱくでも下がります。
大人が、牛乳などの代わりに豆乳を飲んだ試験の話です。心臓病や脳卒中が減るかは、ここでは確かめていません。
牛乳などの代わりに豆乳を選ぶのが、研究の条件に近い使い方です。ただし試験の量は中央値500mLで、豆乳のイソフラボンは100gあたり平均24.8mgのため、毎日500mL飲むと安全な摂取目安量の上限(70〜75mg/日)を超える場合があります。コップ一杯の置き換えから始め、ほかの大豆食品との合計で考えてください。善玉や中性脂肪には効かないので、期待は悪玉コレステロールだけに。持病や服薬がある人は、医師や薬剤師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 18.1 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 88.4 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
豆乳は、大豆をすりつぶして煮出し、こして作る飲み物です。食品で、大豆たんぱくやイソフラボンを含み、コレステロールを下げるとされています。大豆と水だけの無調整豆乳、砂糖や塩などを加えた調製豆乳、果汁やコーヒーなどを加えた豆乳飲料などの種類があります。注意点は、大豆アレルギーの人は飲めないこと、大豆イソフラボンには安全な摂取量の上限が決められていることです。
答えの中心は、カナダのトロント大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験をまとめて分析する方法です。
| 研究の種類 | 牛乳を豆乳に置き換えたランダム化比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 健康状態がさまざまな大人(17件・504人) |
| 比べたもの | 毎日、中央値500mLの豆乳(大豆たんぱく22g)と、同じ量の牛乳。3週間以上 |
| 結果 | LDL(悪玉)コレステロールが平均0.19 mmol/L低い |
この解析の確実性は高いと評価されましたが、ほかの解析とは下がり幅に開きがあります。
下がり幅は大きくなく、著者も「小さいが重要な低下」と表現しています。
ドイツのフライブルク大学などが2026年に発表した解析(14件・543人)では、毎日500mLの牛乳を豆乳に替えると、LDLが平均0.47 mmol/L下がる可能性が示されました。ただし確実性は低いと評価されています [3]。
LDLの低下を報告したのは3件で、別の3件はどの脂質も改善しませんでした [4]。
試験で確かめられた量は、中央値500mLです [1]。大豆たんぱくでは、中央値25g/日を6週間とると、LDLが平均4.76 mg/dL(約3〜4%)下がりました [2]。量を増やすほど下がるかは、食い違っています。41件の解析では量との関係は見られず [2]、別の41件では量が多いほど変化が大きくなりました [5]。豆乳で500mLより増やした効果を比べた試験は、要旨では見つかっていません。
豆乳に限らない大豆食品35件のまとめでは、LDLの下がり方は、コレステロールが高い人で平均7.47 mg/dL、健康な人で2.96 mg/dLでした [6]。大豆たんぱくの41件の解析でも、高い人ほど下がり方が大きくなりました [2]。LDLが高めの人のほうが、数値の変化は大きい傾向です。
しくみの全体像は確かめられていません。わかっているのは次の2点です。
豆乳の試験は牛乳との比較が中心で、脂肪の差と大豆の働きは分けられていません。
豆乳・大豆などの丸ごとの大豆食品でLDLが平均11.06 mg/dL、大豆の抽出物では3.17 mg/dL下がりました(豆乳だけの結果ではなく、ばらつきも大きい解析です)。イソフラボンのサプリだけでは、血中脂質に効果がありませんでした [6]。
試験の多くは、中央値500mLを3週間以上続けたものです [1]。食品安全委員会は、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限を、アグリコン換算で70〜75mg/日と設定しています。豆乳100gに含まれる量は、3検体の平均で24.8mg(7.6〜59.4mg)と、製品で大きく違います。500mLは約500gなので、毎日飲むと上限に近づくか、超える場合があります。ほかの大豆食品とサプリも合わせて考えてください。持病や服薬中、妊娠中の人、大豆アレルギーのある人は、医師や薬剤師に確認してください。
サプリや、ほかの大豆食品をとる人は、合計で考えてください。
牛乳などの代わりに豆乳を毎日飲むと、悪玉コレステロールは小さく下がります。根拠の確かさは低めです。
善玉や中性脂肪には効かず、LDLが高めの人のほうが変化は大きい傾向です。
コップ一杯の置き換えから始め、イソフラボンの合計量に気をつけて、健診の数値で見ましょう。
研究では確かめられていません。試験は毎日飲み続けた条件で、時間帯を比べた試験は要旨では見つかっていません。
甘味を加えた豆乳でも結果はほぼ同じでした [[39169353]]。2つを直接比べた試験は見つかっていません。
豆乳の試験は3週間以上 [[39169353]]、大豆たんぱくの解析は中央値6週間 [[31006811]]で、LDLの変化を測っています。何週間で何%下がるとは、研究からは言えません。
牛乳の代わりに豆乳を飲むと、LDLが平均0.19 mmol/L下がった(RCT17件・504人)。
大豆たんぱく中央値25g/日で、LDLが平均4.76 mg/dL下がった(41件)。
牛乳を豆乳に替えるとLDLが平均0.47 mmol/L下がる可能性(確実性は低い)。RCT14件・543人。
豆乳のRCT8件(263人)で、結果は一致していなかった。
大豆たんぱくのサプリを加えたRCT41件で、LDLが平均4.25 mg/dL下がった。
大豆食品のRCTでLDLが平均4.83 mg/dL下がった。丸ごとの大豆食品のほうが下がり方は大きかった。
RCT11件で、大豆イソフラボンはLDLを0.13 mmol/L下げた。HDLと中性脂肪は変わらなかった。
甲状腺ホルモンは変わらず、TSHがごくわずかに(0.248 mIU/L)上がった(18本)。
男性の研究41件(1753人)で、大豆やイソフラボンは男性ホルモンを変えなかった。
閉経前の女性でFSH・LHが下がり、月経周期が1.05日長くなった(47件)。
大豆はLDLを平均0.17 mmol/L(4.3%)下げた。動物性食品の置き換え分を合わせると7.9〜10.3%と推定。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。