[1]抽出・合成した大豆イソフラボンが更年期のほてりを減らすか(比較試験のまとめ)
- 発表年
- 2012年
- 研究機関
- 日本・国立健康・栄養研究所
- 掲載誌
- Menopause (New York, N.Y.)
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究13件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
比較試験13件の統合で、ほてりの回数がプラセボより20.6%多く減り、強さも26.2%多く和らいだ。

ほてりには効きます。回数は20.6%多く減りますが、差は小さめです。
更年期・閉経後の女性のほてりの話です。女性ホルモンを補うわけではありません。
試すなら、数週間で判断せず、長めに続けて様子を見ます。半分の効果に届くまで平均13.4週かかります [4]。ほてりが強く生活に支障があるときや、持病・服薬中のときは、先に婦人科や主治医に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 17.6 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92.2 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
大豆イソフラボンは、大豆に含まれるポリフェノールの一種です。女性ホルモンに似た形をしているとされ、更年期のほてりや骨の健康に良いと言われます。サプリのほか、豆腐・納豆・豆乳などの食品でもとれます。注意点は、女性ホルモンそのものとして働くわけではないことです。
答えの中心は、日本の国立健康・栄養研究所などの研究チームが2012年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。ここでは、偽薬と比べた二重盲検の比較試験13件が集められました。
| 研究の種類 | 二重盲検の比較試験13件をまとめた系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | 更年期・閉経後の女性 |
| 比べたもの | 大豆から抽出または合成したイソフラボンのサプリ(中央値54 mg/日)と、プラセボ |
| 結果 | ほてりの回数が20.6%多く減り、強さも26.2%多く和らいだ |
植物由来の療法62件・6653人の別のまとめでも、そのうち大豆イソフラボンで毎日のほてりが平均0.79回少なくなりました [2]。
20.6%は、プラセボでも起きる減り方を差し引いたあとの上乗せ分です。一方、後者のまとめは、74%の試験に偏りのおそれが大きかったと指摘しています [2]。「ほてりの回数は減る。ただし小さな差」と読むのが正確です。
16件の研究をモデルで解析した結果では、プラセボ分を除いた最大の減り方は25.2%で、エストラジオール(ホルモン剤)の効果の57%ほどでした。効果の半分に届くまで13.4週かかっています [4]。大豆以外の薬も含む39件の別の解析でも、最大25.0%で、半分に届くまで11.6週でした [5]。著者は、12週間の試験は短すぎ、最大の効果の80%に届くには少なくとも48週間かかると述べています [4]。
ニュージーランドのオークランド大学などの研究チームによる2013年のコクランの系統的レビューは、植物エストロゲン全般のサプリがほてりや寝汗を減らす決定的な根拠は無いと結論しました。大豆だけをまとめた数値は出ていません [3]。プラセボでもほてりが1〜59%減る強いプラセボ効果があり、小さく偏りのおそれが大きい試験が多かったことも背景です。多くの試験は統合できず、統合していない4件では、ゲニステインが30 mg/日を超えるエキスが一貫してほてりを減らしていました。
決定的な根拠は無いと結論しました。プラセボでもほてりが減っています。
中国の内モンゴル医科大学付属病院などの研究チームが2025年に発表した、閉経前後の女性の研究12件のまとめでは、更年期症状全体はわずかに改善したものの、ほてり・発汗・不眠には有意な差がありませんでした [6]。サプリの種類、量、期間、対象者がそろっていないことが、結果が割れる理由と考えられます。
閉経後の女性101人に、市販の豆乳(イソフラボン10 mg/日・35 mg/日・60 mg/日)を12週間飲んでもらった比較試験では、更年期症状全体に差はありませんでした。ただし症状の重い人に限ると、35 mg/日の群でほてりなどが減っています [7]。低脂肪の菜食に毎日ゆで大豆(86 g)を加えた84人の試験では、中等度以上のほてりが88%減りました(食事を変えない群は34%)。食事全体を変えた試験なので、大豆だけの効果は分けられません [8]。豆乳とコレステロールの話は、豆乳を毎日飲むとコレステロールは下がる?で扱っています。
肌のハリ・しわについては、この記事では扱いません。
研究で使われた量は、サプリで中央値54 mg/日を6週間〜12か月です [1]。サプリは、成分や量が製品でそろっていません。乳がんなど女性ホルモンに関わる病気がある人、持病や服薬がある人は、とる前に医師や薬剤師に確認してください。
眠れないほどつらいときや生活に支障があるときは、婦人科で相談してください。
大豆イソフラボンは、ほてりの回数を減らしますが、差は小さく、根拠の確かさは中程度です。
女性ホルモンを補うわけではなく、効果は数か月かけて現れます。
試すなら長めに続けて様子を見て、つらいときは婦人科に相談しましょう。
ほてりを減らす効果の半分に届くまで、平均13.4週かかります [[25316502]]。著者は、最大の効果の80%に届くには少なくとも48週間かかると述べています。
植物エストロゲン全体のまとめでは、寝汗の回数に差はありませんでした [[27327802]]。ほてりと同じ効果は確かめられていません。
豆乳を12週間飲んだ試験では、更年期症状全体に差はありませんでした。症状の重い人に限ると、ほてりが減っています [[30863894]]。
ほてりの点数を下げるまとめはありますが、筆頭著者はサプリメーカーの所属で、5件のうち2件は有意な差がありませんでした [[30592686]]。大豆イソフラボンより効くかを直接比べた結果は、抽出できていません。
比較試験13件の統合で、ほてりの回数がプラセボより20.6%多く減り、強さも26.2%多く和らいだ。
植物由来の療法62件・6653人の解析で、大豆イソフラボンは毎日のほてりを平均0.79回減らした。74%の試験に偏りのおそれがあった。
43件・4,364人のレビューで、ほてりや寝汗を減らす決定的な根拠は無いと結論した。
16件・1710人の解析で、最大25.2%減り、効果の半分に届くまで13.4週かかった。
39件の解析で、大豆イソフラボンの効果は最大25.0%、半分に届くまで11.6週だった。
12件の解析で、ほてり・発汗・不眠に有意な差はなく、気分の落ち込みは4件・748人で改善した。
閉経後の女性101人に豆乳を12週間。全体では差がなく、症状の重い人はほてりが減った。
84人の試験で、菜食とゆで大豆を加えた群は中等度以上のほてりが88%減った。
40件・3285人の解析で、血液中のエストラジオールなどは変わらなかった。
63件の解析で、腰の骨の骨密度がプラセボより平均0.0175 g/cm2高かった。
18件の解析で、腰の骨の骨密度が対照より1.63%多く保たれた。
5件・728人の解析で、ほてりの点数が有意に下がった。5件のうち2件は有意な差がなかった。
日本人女性57人の試験で、更年期症状が改善した人が81%対53%だった。
12件・730人のレビューで、作れない人を作れる人に変えた介入は無かった。
101人の試験で、どの量でも気分に差はなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。