大豆イソフラボンは更年期症状に効く?

大豆イソフラボンは更年期症状に効く?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

ほてりには効きます。回数は20.6%多く減りますが、差は小さめです。

根拠

更年期・閉経後の女性を対象にした比較試験13件のまとめで、大豆イソフラボンのサプリはプラセボ(偽薬)より、ほてりの回数を20.6%多く減らしました [1]。植物由来の療法62件・6653人のまとめでも、大豆イソフラボンで毎日のほてりが平均0.79回少なくなっています [2]。一方、コクランの系統的レビューは、植物エストロゲン全般では決定的な根拠は無いとしています。大豆だけをまとめた数値は出ていません [3]。

この答えの範囲

更年期・閉経後の女性のほてりの話です。女性ホルモンを補うわけではありません。

じゃあ、どうする?

試すなら、数週間で判断せず、長めに続けて様子を見ます。半分の効果に届くまで平均13.4週かかります [4]。ほてりが強く生活に支障があるときや、持病・服薬中のときは、先に婦人科や主治医に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。15 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量19.620研究件数と参加人数
一致度17.625結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 92.2 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

大豆イソフラボンとは

大豆イソフラボンは、大豆に含まれるポリフェノールの一種です。女性ホルモンに似た形をしているとされ、更年期のほてりや骨の健康に良いと言われます。サプリのほか、豆腐・納豆・豆乳などの食品でもとれます。注意点は、女性ホルモンそのものとして働くわけではないことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、日本の国立健康・栄養研究所などの研究チームが2012年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。ここでは、偽薬と比べた二重盲検の比較試験13件が集められました。

研究の種類二重盲検の比較試験13件をまとめた系統的レビュー
対象更年期・閉経後の女性
比べたもの大豆から抽出または合成したイソフラボンのサプリ(中央値54 mg/日)と、プラセボ
結果ほてりの回数が20.6%多く減り、強さも26.2%多く和らいだ
まとめて分析した結果サプリを6週間〜12か月とった群は、プラセボより、ほてりの回数が20.6%多く減りました [1]。

植物由来の療法62件・6653人の別のまとめでも、そのうち大豆イソフラボンで毎日のほてりが平均0.79回少なくなりました [2]。

20.6%は、プラセボでも起きる減り方を差し引いたあとの上乗せ分です。一方、後者のまとめは、74%の試験に偏りのおそれが大きかったと指摘しています [2]。「ほてりの回数は減る。ただし小さな差」と読むのが正確です。

効果が出るまで時間がかかる

16件の研究をモデルで解析した結果では、プラセボ分を除いた最大の減り方は25.2%で、エストラジオール(ホルモン剤)の効果の57%ほどでした。効果の半分に届くまで13.4週かかっています [4]。大豆以外の薬も含む39件の別の解析でも、最大25.0%で、半分に届くまで11.6週でした [5]。著者は、12週間の試験は短すぎ、最大の効果の80%に届くには少なくとも48週間かかると述べています [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ニュージーランドのオークランド大学などの研究チームによる2013年のコクランの系統的レビューは、植物エストロゲン全般のサプリがほてりや寝汗を減らす決定的な根拠は無いと結論しました。大豆だけをまとめた数値は出ていません [3]。プラセボでもほてりが1〜59%減る強いプラセボ効果があり、小さく偏りのおそれが大きい試験が多かったことも背景です。多くの試験は統合できず、統合していない4件では、ゲニステインが30 mg/日を超えるエキスが一貫してほてりを減らしていました。

コクランのレビュー更年期・閉経後の女性 4,364人(43件の試験)

決定的な根拠は無いと結論しました。プラセボでもほてりが減っています。

中国の内モンゴル医科大学付属病院などの研究チームが2025年に発表した、閉経前後の女性の研究12件のまとめでは、更年期症状全体はわずかに改善したものの、ほてり・発汗・不眠には有意な差がありませんでした [6]。サプリの種類、量、期間、対象者がそろっていないことが、結果が割れる理由と考えられます。

食べ物ではどうか

閉経後の女性101人に、市販の豆乳(イソフラボン10 mg/日・35 mg/日・60 mg/日)を12週間飲んでもらった比較試験では、更年期症状全体に差はありませんでした。ただし症状の重い人に限ると、35 mg/日の群でほてりなどが減っています [7]。低脂肪の菜食に毎日ゆで大豆(86 g)を加えた84人の試験では、中等度以上のほてりが88%減りました(食事を変えない群は34%)。食事全体を変えた試験なので、大豆だけの効果は分けられません [8]。豆乳とコレステロールの話は、豆乳を毎日飲むとコレステロールは下がる?で扱っています。

よく言われていることは本当?

  • 更年期のほてりを和らげる効きますが、効果は小さめです。 回数が20.6%多く減り、効果が出るまで数か月かかります [1] [4]。
  • 女性ホルモン(エストロゲン)を補うほぼウソです。 閉経後の女性の比較試験40件・3285人のまとめで、血液中のエストラジオールも子宮内膜の厚さも変わりませんでした [9]。
  • 骨粗しょう症を防ぐ(骨密度の低下を抑える)骨密度については効きますが、差は小さいです。 63件のまとめで、腰の骨の骨密度はプラセボより平均0.0175 g/cm2高く、12か月以上続けた場合に改善しました [10]。18件のまとめでは1.63%多く保たれました [11]。骨折が減るかは確かめられていません。
  • エクオールを作れる人にしか効かない研究では確かめられていません。 ゆで大豆の試験では、エクオールを作れるかどうかとほてりの減り方は関係していませんでした [8]。エクオールのサプリは、5件・728人のまとめでほてりの点数を下げましたが、5件のうち2件は有意な差がなく、筆頭著者はサプリメーカーの研究部門の所属です [12]。日本人女性57人の試験では、更年期症状が改善した人が81%対53%でした [13]。作れない人を作れる人に変えられた食事の工夫は、12件・730人のレビューで見つかっていません [14]。
  • 気分の落ち込み・イライラを和らげる結果が割れています。 4件・748人で気分の落ち込みが改善しました [6]。一方、豆乳の試験では気分に差がありませんでした [15]。

肌のハリ・しわについては、この記事では扱いません。

02注意点

研究で使われた量は、サプリで中央値54 mg/日を6週間〜12か月です [1]。サプリは、成分や量が製品でそろっていません。乳がんなど女性ホルモンに関わる病気がある人、持病や服薬がある人は、とる前に医師や薬剤師に確認してください。

ほてりが強いときは、サプリだけで済ませない

眠れないほどつらいときや生活に支障があるときは、婦人科で相談してください。

03まとめ

大豆イソフラボンは、ほてりの回数を減らしますが、差は小さく、根拠の確かさは中程度です。
女性ホルモンを補うわけではなく、効果は数か月かけて現れます。
試すなら長めに続けて様子を見て、つらいときは婦人科に相談しましょう。

04よくある質問

Qどのくらいで効果が出ますか?

ほてりを減らす効果の半分に届くまで、平均13.4週かかります [[25316502]]。著者は、最大の効果の80%に届くには少なくとも48週間かかると述べています。

Q寝汗にも効きますか?

植物エストロゲン全体のまとめでは、寝汗の回数に差はありませんでした [[27327802]]。ほてりと同じ効果は確かめられていません。

Q豆乳や納豆などの食べ物でも効きますか?

豆乳を12週間飲んだ試験では、更年期症状全体に差はありませんでした。症状の重い人に限ると、ほてりが減っています [[30863894]]。

Qエクオールのサプリのほうがよく効きますか?

ほてりの点数を下げるまとめはありますが、筆頭著者はサプリメーカーの所属で、5件のうち2件は有意な差がありませんでした [[30592686]]。大豆イソフラボンより効くかを直接比べた結果は、抽出できていません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(15本)

[1]抽出・合成した大豆イソフラボンが更年期のほてりを減らすか(比較試験のまとめ)

発表年
2012年
研究機関
日本・国立健康・栄養研究所
掲載誌
Menopause (New York, N.Y.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
良い方向

比較試験13件の統合で、ほてりの回数がプラセボより20.6%多く減り、強さも26.2%多く和らいだ。

[2]植物由来の療法と更年期症状(系統的レビュー・メタ解析)

発表年
2016年
研究機関
オランダ・エラスムス大学医療センター
掲載誌
JAMA
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
6,653人
結果の向き
良い方向

植物由来の療法62件・6653人の解析で、大豆イソフラボンは毎日のほてりを平均0.79回減らした。74%の試験に偏りのおそれがあった。

[3]更年期のほてり・寝汗に対する植物エストロゲン(コクランレビュー)

発表年
2013年
研究機関
ニュージーランド・オークランド大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,364人
結果の向き
差なし

43件・4,364人のレビューで、ほてりや寝汗を減らす決定的な根拠は無いと結論した。

[4]大豆イソフラボンがほてりに及ぼす効果の定量解析

発表年
2015年
研究機関
中国・上海中医薬大学
掲載誌
British journal of clinical pharmacology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,710人
結果の向き
良い方向

16件・1710人の解析で、最大25.2%減り、効果の半分に届くまで13.4週かかった。

[5]更年期のほてりに対する非ホルモン薬の効果比較

発表年
2016年
研究機関
中国・上海中医薬大学
掲載誌
European journal of clinical pharmacology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究39件を統合
結果の向き
良い方向

39件の解析で、大豆イソフラボンの効果は最大25.0%、半分に届くまで11.6週だった。

[6]閉経前後の女性の更年期症状に対する大豆イソフラボン(メタ解析)

発表年
2025年
研究機関
中国・内モンゴル医科大学付属病院
掲載誌
PeerJ
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究12件を統合
結果の向き
差なし

12件の解析で、ほてり・発汗・不眠に有意な差はなく、気分の落ち込みは4件・748人で改善した。

[7]豆乳の摂取と認知機能・更年期のほてり(無作為化試験)

発表年
2020年
研究機関
イギリス・アルスター大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
101人
結果の向き
差なし

閉経後の女性101人に豆乳を12週間。全体では差がなく、症状の重い人はほてりが減った。

[8]更年期のほてりに対する食事介入(無作為化試験)

発表年
2023年
研究機関
Barnard NDほかの研究チーム
掲載誌
Menopause (New York, N.Y.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
84人
結果の向き
良い方向

84人の試験で、菜食とゆで大豆を加えた群は中等度以上のほてりが88%減った。

[9]大豆イソフラボンが女性ホルモン様作用に与える影響(メタ解析)

発表年
2025年
研究機関
カナダ・トロント大学
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,285人
結果の向き
差なし

40件・3285人の解析で、血液中のエストラジオールなどは変わらなかった。

[10]イソフラボンと閉経後女性の骨密度(メタ解析)

発表年
2024年
研究機関
タイ・チェンマイ大学
掲載誌
Osteoporosis international : a journal established as result of cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究63件を統合
結果の向き
良い方向

63件の解析で、腰の骨の骨密度がプラセボより平均0.0175 g/cm2高かった。

[11]大豆イソフラボンと閉経後女性の骨量減少の予防(メタ解析)

発表年
2022年
研究機関
ポーランド・ルブリン医科大学
掲載誌
Journal of clinical medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究18件を統合
結果の向き
良い方向

18件の解析で、腰の骨の骨密度が対照より1.63%多く保たれた。

[12]エクオールは閉経後女性のほてりを減らす(メタ解析)

発表年
2019年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of medicinal food
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
728人
結果の向き
良い方向

5件・728人の解析で、ほてりの点数が有意に下がった。5件のうち2件は有意な差がなかった。

[13]エクオール含有サプリが閉経後女性のAGEsなどに与える影響

発表年
2021年
研究機関
日本・ハマサイトクリニック
掲載誌
PloS one
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
57人
結果の向き
良い方向

日本人女性57人の試験で、更年期症状が改善した人が81%対53%だった。

[14]エクオールを作れない人を作れる人に変えられるか(系統的レビュー)

発表年
2026年
研究機関
アメリカ・ピッツバーグ大学
掲載誌
Food science & nutrition
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
730人
結果の向き
差なし

12件・730人のレビューで、作れない人を作れる人に変えた介入は無かった。

[15]豆乳12週間が閉経後女性の日常の気分に与える影響

発表年
2019年
研究機関
イギリス・アルスター大学
掲載誌
Menopause (New York, N.Y.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
101人
結果の向き
差なし

101人の試験で、どの量でも気分に差はなかった。

ほかに参考にした論文(11本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。