[1]貧血はないが鉄が不足している成人の疲労と体力への鉄補充の効果
- 発表年
- 2018年
- 研究機関
- カナダ・マニトバ大学
- 掲載誌
- BMJ open
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 714人
- 結果の向き
- 良い方向
貧血ではない鉄不足の成人714人(RCT4件)で、自分で感じる疲労感は小さくなったが、体力の測定値に差はなかった。

鉄が不足している人には効きます。疲れの感じ方が軽くなります。
効くのは鉄が不足している人です。鉄不足を除くと効果は見られませんでした [2]。点滴や筋肉注射を含む研究もあり、飲むサプリだけの結果ではありません。
疲れが続くときは、まず血液検査でヘモグロビンとフェリチンを調べ、鉄不足かどうかを確かめましょう。不足していれば、試す価値があります。飲む鉄剤は便秘や下痢などお腹の不調が出やすいので [3]、続けるときは医師や薬剤師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 16.4 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 96.4 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 3 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
鉄は、血液の中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料になるミネラルです。不足すると疲れやだるさが出るとされ、月経のある女性は不足しやすいとされています。サプリは飲む鉄剤が中心で、硫酸鉄などの種類があります。注意点は、お腹の不調が出やすいことと、鉄が足りている人への効果が確かめられていないことです。
答えの中心は、カナダのマニトバ大学などの研究チームが2018年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。貧血ではないが鉄が不足している成人を対象にした、プラセボと比べる試験が集められました。
| 研究の種類 | プラセボと比べた試験の系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | 貧血ではないが鉄が不足している成人(疲労感は4件・714人) |
| 比べたもの | 鉄の補充(飲む鉄剤・筋肉注射・点滴)とプラセボ |
| 結果 | 自分で感じる疲労感が小さくなった(標準化平均差-0.38)。体力の測定値に差はなし |
一方、最大酸素摂取量など体力の客観的な測定値には、差がありませんでした [1]。
「疲れの感じ方は軽くなるが、体力そのものが上がるわけではない」と読むのが正確です。この研究は飲む鉄剤だけでなく、筋肉注射と点滴も含みます。サプリだけの結果を取り出したものではありません。
貧血ではない月経のある成人と子ども(18件・1408人)を集めた2025年のまとめでも、RCTでは鉄のサプリで疲労感が改善しました [2]。2026年のパキスタンの試験では、貧血ではないが鉄が不足している18〜45歳の女性164人が鉄剤かプラセボを2か月飲み、鉄剤のグループで疲労スコアが下がりました。ただし、要旨にはプラセボのグループとの差は示されていません [4]。
鉄不足の人を除くと、補充の効果は見られませんでした(疲労感だけを分けた結果ではありません) [2]。
スイスの試験では、原因不明の疲れがある貧血ではない女性144人が鉄を4週間飲み、疲労が減ったのはフェリチンが50以下の人だけでした [5]。フェリチンは、体にためた鉄の量の目安になる血液検査の値です。点滴の鉄を貧血ではない鉄不足の成人に使った11件・1074人のレビューは、疲労の結果の確実性が非常に低く、効果ははっきりしないとしています [6]。
飲む鉄剤のいちばんの注意は、お腹の不調です。成人のRCT 20件・3168人のまとめで、硫酸鉄を飲むとお腹の副作用が起こるオッズはプラセボの2.32倍で、便秘や下痢も増えました [3]。月経のある女性521人(5件)でも、副作用が出る割合は1.99倍でした [8]。貧血がある人、持病や服薬中の人は、自己判断で始めず、医師や薬剤師に確認してください。
鉄が足りている人には疲れへの効果が見られなかったため、血液検査の結果を見てから決めましょう。
鉄のサプリは、鉄が不足している人の疲れの感じ方を軽くします。
鉄が足りている人や、体力そのものを上げたい人には当てはまりません。
フェリチンなどの血液検査で鉄不足を確かめてから、試しましょう。
血液検査でフェリチンとヘモグロビンを調べます。スイスの試験では、フェリチンが低い人だけで疲労が減りました [[12763985]]。疲れに効く栄養素はほかにもあります。[ビタミンB群で疲れはとれる?](/evidence/vitamin-b-fatigue)でも扱っています。
試験では4週間から12週間(約3か月)で評価されています [[12763985]] [[22777991]]。何日で効くかは、研究からは言えません。
研究が足りず、まだ分かりません。記憶の検査が良くなった研究と、結果が食い違った研究があります [[40945632]] [[27087396]]。
この記事では、鉄のサプリと肌や抜け毛の研究を調べていません。抜け毛に関わる栄養素は[抜け毛に役立つ栄養素はどれ?](/evidence/nutrition-hair-loss)で扱っています。
貧血ではない鉄不足の成人714人(RCT4件)で、自分で感じる疲労感は小さくなったが、体力の測定値に差はなかった。
18件・1408人の解析で、RCTでは疲労感が改善した。鉄不足の人を除くと効果は見られなかった。
成人のRCT20件(3168人)で、硫酸鉄はプラセボよりお腹の副作用が2.32倍起こりやすかった。
貧血ではない鉄不足の女性164人のRCTで、鉄を飲んだグループは疲労スコアが下がった。
原因不明の疲れがある女性144人のRCTで、鉄を4週間飲んで改善したのはフェリチンが50以下の人だけだった。
11件・1074人のレビューで、疲労の結果は確実性が非常に低く、効果ははっきりしないとされた。
フランスの貧血ではない女性198人のRCTで、鉄を12週間飲むと疲労スコアの減り方がプラセボより大きかった。
月経のある女性の67件のRCTのレビュー。貧血は減り、お腹の副作用は増えた。
産後に貧血のある女性のRCT3件をまとめると、鉄のサプリを飲んだ人は対照より疲労スコアが平均1.85点低かった
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。