[1]鉄不足の女性での、連日と隔日・朝一回と朝夕二回の鉄の吸収の比較
- 発表年
- 2017年
- 研究機関
- スイス・チューリッヒ工科大学
- 掲載誌
- The Lancet. Haematology
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 40人
- 結果の向き
- 良い方向
鉄が不足している女性40人で、隔日に飲んだほうが、吸収された鉄の割合も合計量も多かった。

隔日に飲むと、鉄の吸収が増えます。貧血の改善は、毎日と差がありませんでした。学術論文としては、まだ断定できていません。
飲む間隔の結果は、鉄が不足している大人の女性と、鉄欠乏性貧血の人で確かめたものです。量の比較は、妊婦で確かめた結果です。
隔日にするか毎日にするかは、胃腸の負担や続けやすさで選べます。毎日2回に分ける飲み方は、吸収を高める根拠がありません。貧血と診断されている人は、量と期間を医師や薬剤師に確認してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 17.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 2 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 84.1 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から D に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
鉄のサプリは、赤血球の材料になる鉄を補う食品や薬です。鉄が足りないと貧血になりやすく、疲れや動悸の原因になるとされています。飲む間隔や量の違いが、吸収や貧血の改善にどう影響するかが、この記事の疑問です。ここまでの説明は一般的な知識で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、インドの全インド医科大学デオガル校などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [2]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験の数値をまとめて分析する方法です。
| 研究の種類 | 隔日と毎日を比べたRCTのメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 鉄欠乏性貧血の人(RCT11件・1014人) |
| 比べたもの | 鉄を隔日に飲む場合と、毎日飲む場合 |
| 結果 | ヘモグロビンの上がり方に、はっきりした差はなかった |
研究の質は非常に低いと評価されています。フェリチンなど鉄の指標にも差はなく、副作用の頻度も同程度でした。
貧血の改善では、隔日が優れるとも毎日が優れるとも言えない、というのが今の到達点です。
スイスのチューリッヒ工科大学の研究チームは、鉄が不足している18〜40歳の女性40人に、目印をつけた鉄を飲んでもらい、吸収量を測りました [1]。毎日14日間飲む組と、隔日に28日間飲む組を比べています。
鉄を飲むと、鉄の吸収を抑えるホルモン(ヘプシジン)が上がり、次の日の吸収が下がります。60mg以上の鉄を飲んだ24時間後は、次の鉄の吸収の割合が35〜45%下がっていました [3]。隔日はこの落ち込みを避ける飲み方です。吸収が増えても貧血の改善に差が出なかった理由は、研究では確かめられていません。
同じ試験で、朝に一回まとめて飲むのと、朝夕の毎日2回に分けるのとでは、吸収量に差がありませんでした。分けるとヘプシジンはむしろ高くなりました [1]。
妊婦2726人(RCT15件)のメタ解析では、毎日60mg以下と60mgより多い量とで、ヘモグロビンの変化に差はありませんでした(確実性は中程度)[4]。ただしフェリチンなどの鉄の指標は、60mgより多い量で高くなりました。60mgと30mgの比較では、60mgのほうがヘモグロビンの変化がよい結果でした。妊娠していない女性の研究ではない点に注意が必要です。
吸収の面でも、鉄の量を40mgから240mgに6倍にしても、吸収された鉄は6.7mgから18.1mgと約3倍にしか増えませんでした [3]。
鉄が不足している18〜45歳の女性60人の試験では、毎日60mgのほうが、隔日120mgより赤血球の指標(MCV・MCH)がよく改善しました。鉄の指標や副作用には差がありませんでした [5]。期間は14日間と短く、小規模な予備的な試験です。
赤血球の指標は、毎日60mgのほうが隔日120mgより改善しました。
貧血の治療は、原因によって対応が変わります。この記事の研究は、鉄が不足している人や貧血の人が対象でした。たとえば鉄欠乏性貧血の大人を対象にしたメタ解析では、金属の味が出る人が毎日のほうに多くいました [2]。隔日のほうが吐き気などが少なかったとする系統的レビューもあります [8]。鉄は摂りすぎると害があるため、検査で不足を確かめてから飲み、持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
鉄を長く飲み続ける前に、量と期間を医師に相談してください。
隔日に飲むと、毎日飲むより鉄の吸収が増えます。貧血の改善は、隔日でも毎日でも差がありませんでした。
量を増やしても吸収は比例して増えず、毎日2回に分けても吸収は増えません。分けると貧血の改善が早かったとする小さな試験は1件あるだけです。
胃腸の負担と続けやすさで飲み方を選び、貧血の人は医師の指示を優先しましょう。
貧血の改善では、毎日と隔日でヘモグロビンの上がり方にはっきりした差はありませんでした [[40841680]]。吸収の量は隔日のほうが多いのですが、改善の速さには結びついていません。
ヘモグロビンの差は平均0.14g/dLで、著者は臨床的に意味の薄い差としています [[40765927]]。ビタミンCの摂り方は、[ビタミンCは1日どれくらいとると効果的?](/evidence/vitamin-c-intake-dose) もあわせてどうぞ。
吸収量に差はありませんでした [[29032957]]。毎日2回に分けた試験でヘモグロビンの上昇が早かったとする小さな試験もありますが [[31811360]]、62人と小規模です。
鉄が不足している女性40人で、隔日に飲んだほうが、吸収された鉄の割合も合計量も多かった。
鉄欠乏性貧血の人1014人(RCT11件)で、隔日と毎日のヘモグロビンの上がり方に、はっきりした差はなかった。
60mg以上の鉄を飲んだ24時間後は、次の鉄の吸収の割合が35〜45%下がった。
妊婦2726人(RCT15件)で、毎日60mg以下と60mgより多い量とで、ヘモグロビンの変化に差はなかった。
鉄が不足している18〜45歳の女性60人で、毎日60mgのほうが隔日120mgより赤血球の指標がよく改善した。
鉄にビタミンCを足すとヘモグロビンが平均0.14g/dL多く上がったが、著者は臨床的に意味のない小さな差とした。
貧血の人905人(7件)で、鉄にビタミンCを足してもヘモグロビンにはっきりした差はなかった。
毎日と隔日でヘモグロビンに差はなく、隔日のほうが吐き気などの副作用が少なかった。
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。