エキストラバージンは普通のオリーブオイルより体にいい?

エキストラバージンは普通のオリーブオイルより体にいい?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

酸化した悪玉コレステロールが、精製オリーブオイルより低くなります。

根拠

ポリフェノールの多いエキストラバージンは、精製オリーブオイルより酸化LDL(酸化した悪玉コレステロール)が低いと、ランダム化比較試験をまとめた解析が報告しています [1]。ポリフェノールの少ない油との比較でも、2本のメタ解析で低い結果でした [2] [3]。根拠の確かさは低めです。健康な成人50人の試験では差が出ないなど、結果にばらつきがあるためです [4]。血圧は、メタ解析では上の血圧が約3 mmHg低く、2020年の試験では差がありませんでした [5]。

この答えの範囲

ポリフェノールの多いエキストラバージンと、精製オリーブオイルなどを比べた試験の話です。

じゃあ、どうする?

ふだんの油をエキストラバージンにする理由は、酸化の指標が下がる点にあります。血圧やコレステロールを下げる目的で選ぶほどの差は、研究では確かめられていません。試験で使われた量は、一日25〜60mLです [6] [4]。持病や服薬がある人は、医師に相談してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。8 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量16.620研究件数と参加人数
一致度20.325結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 91.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

エキストラバージンオリーブオイルとは

エキストラバージンオリーブオイルは、オリーブの実を搾ったままで、精製をしていないバージンオリーブオイルの一種です。ポリフェノールが多いのが特徴とされ、抗酸化作用があると紹介されます。精製オリーブオイルは、精製して風味や色を整えたものです。注意点は、同じエキストラバージンでもポリフェノールの量に差があることで、研究でも「多いもの」と「少ないもの」が分けて比べられています。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、ドイツのフライブルク大学などの研究チームが2019年に発表したネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、複数の油を同時に比べられるよう、試験の結果をまとめる方法です。

研究の種類ランダム化比較試験13件のネットワークメタ解析
対象主に健康な人(平均年齢26〜70歳、611人)
比べたもの精製・混合・ポリフェノールの少ない/多いバージンオリーブオイル(3週間以上)
結果ポリフェノールの多いものは、精製オリーブオイルより酸化LDLが低い傾向
まとめて分析した結果酸化LDLは、ポリフェノールの多いものが精製より低い値でした(標準化平均差 -0.68、95%信頼区間 -1.31〜-0.04)[1]。

ポリフェノールの少ない油と比べた26件の解析 [2] と8件の解析 [3] でも、酸化LDLは低い結果でした(8件の解析は平均0.29 U/L低い)。

根拠の確かさは低めです。健康な成人50人に、一日60mLを3週間ずつ交互にとってもらった2022年の試験では、全体で酸化LDLに差が出ませんでした [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

血圧は、同じ解析の中で割れています。バージンオリーブオイルは精製より、上の血圧が2.87〜2.99 mmHg低く(下の血圧に差なし)、ポリフェノールの多少による違いはありませんでした [1]。一方、ポリフェノールの多いものと少ないものを比べた2020年の試験(50人)では、血圧の変化に差がありませんでした [5]。精製との比較はメタ解析、多い・少ないの比較は個別の試験、という違いがあります。

差がなかった試験2型糖尿病の人116人(24週間)

エキストラバージンを使った群と精製オリーブオイル中心の群で、血圧は変わりませんでした [7]。

よく言われていることは本当?

  • ポリフェノールが多く、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ本当です。 上のとおり酸化LDLは低く、根拠の確かさは低めです [1]。
  • コレステロールを改善し、心臓病を防ぐ条件によります。 ポリフェノールの少ない油と比べた26件の解析ではHDL(善玉)が平均2.37 mg/dL高く [2]、13件の解析では総コレステロールとHDLに差がなく、LDLだけポリフェノールの多いものが少ないものより平均0.14 mmol/L低くなりました [1]。心臓病の発症そのものを精製と比べた研究は見つかっていません。詳しくはオリーブオイルは心臓病の予防に効く?へ。
  • 血圧を下げる条件によります。 メタ解析では上の血圧が約3 mmHg低く [1]、2020年の試験と2025年の試験は差なしでした [5] [7]。
  • 炎症を抑える効きます。 心臓病のリスクがある40人の6週間の試験で、エキストラバージンの群は精製の群よりCRPが下がりました [6]。安定した冠動脈疾患の28人の試験でも、IL-6とCRPが下がりました [8]。ただし小さな試験が中心で、根拠の確かさは低めです。健康な成人50人の試験では差が出ませんでした [4]。
  • 普通のオリーブオイルより栄養価(ビタミンE・ポリフェノール)が高い研究が見つかっていません。 成分量の違いを、人の健康の結果で比べた試験はありません。
  • 加熱すると栄養が損なわれるので、生で使うのがよい研究が見つかっていません。 加熱と生を比べた試験は無く、上の28人の試験は生のまま一日50mLをとっています [8]。
  • 便秘の解消に役立つ研究が見つかっていません。 エキストラバージンと精製で便通を比べた試験は見つかっていません。

02注意点

試験では、一日25mLを6週間 [6]、一日60mLを3週間 [4]など、ふだんの食事に加えた量が使われています。油はエネルギーが高いので、足すだけでは増えすぎることがあります。持病や服薬がある人は、医師や薬剤師に確認してください。

試験の対象に注意

炎症の改善は、心臓病の患者を対象にした小さな試験で見られた結果です。

03まとめ

酸化LDLの低さは、エキストラバージンのいちばん確かな利点です。
血圧とコレステロールは結果が割れ、病気の予防は研究が足りません。
ふだんの油の一部を置き換えて、酸化の指標の利点を取りましょう。

04よくある質問

Q炒め物に使っても大丈夫ですか?

加熱した場合と生の場合の健康の結果を比べた試験は見つかっていません。研究では生で使った試験もあります [[17375118]]。

Q精製オリーブオイルは体に悪いのですか?

このページで扱った試験は、精製オリーブオイルを比べる基準として使っています。精製が悪いと示した結果ではなく、エキストラバージンとの差が小さい項目があるという結果です。

Q心臓病は防げますか?

エキストラバージンと精製オリーブオイルで、心臓病の発症そのものを比べた研究は見つかっていません。[オリーブオイルは心臓病の予防に効く?](/evidence/olive-oil-cardiovascular)で、油全体の研究を扱っています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(8本)

[1]オリーブオイルの種類と心臓病の危険因子のネットワークメタ解析

発表年
2019年
研究機関
ドイツ・フライブルク大学
掲載誌
Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases : NMCD
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
611人
結果の向き
良い方向

13件・611人の試験をまとめ、ポリフェノールの多いバージンオリーブオイルは精製より酸化LDLが低い傾向でした。

[2]ポリフェノールの多いエキストラバージンオリーブオイルと心臓病の危険因子のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
オーストラリア・ラ・トローブ大学
掲載誌
Critical reviews in food science and nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究26件を統合
結果の向き
良い方向

26件の試験をまとめ、ポリフェノールの多いものは少ないものより酸化LDLが低くHDLが高い結果でした。

[3]オリーブオイルのフェノールと酸化ストレス指標のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
ドイツ・ボン大学
掲載誌
Food science & nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
良い方向

8件の臨床試験をまとめ、ポリフェノールの多いものは酸化LDLが平均0.29 U/L低い結果でした。

[4]ポリフェノールの多いエキストラバージンオリーブオイルと抗酸化状態の交差試験

発表年
2022年
研究機関
オーストラリア・ラ・トローブ大学
掲載誌
European journal of nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
50人
結果の向き
差なし

成人50人を対象に、多いものと少ないものを交互にとり、全体では差が出ませんでした。

[5]ポリフェノールの多いエキストラバージンオリーブオイルと血圧の交差試験

発表年
2020年
研究機関
オーストラリア・ラ・トローブ大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
50人
結果の向き
差なし

成人50人の試験で、血圧の変化に、油の種類による差は見られませんでした。

[6]心臓病リスクのある患者でのエキストラバージンオリーブオイルと脂質・炎症の試験

発表年
2021年
研究機関
イラン・シャヒード・ベヘシュティ医科大学
掲載誌
International journal of food sciences and nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
良い方向

40人の患者で、エキストラバージンの群は精製の群よりLDLとCRPが下がりました。

[7]ポリフェノール豊富なオリーブオイルと血糖管理のランダム化試験

発表年
2025年
研究機関
スペイン・ビーゴ大学
掲載誌
Food & function
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
116人
結果の向き
差なし

2型糖尿病の人116人を24週間比べ、コレステロールと血圧は変わりませんでした。

[8]安定した冠動脈疾患の患者でのバージンオリーブオイルの抗炎症作用

発表年
2008年
研究機関
スペイン・バルセロナ市立医学研究所
掲載誌
European journal of clinical nutrition
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
良い方向

患者28人で、バージンオリーブオイルのあとIL-6とCRPが下がりました。

ほかに参考にした論文(4本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。