オリーブオイルは心臓病の予防に効く?

オリーブオイルは心臓病の予防に効く?
読了目安 6〜8分最終更新日 2026.11.01
答え良い関連がある

オリーブオイルを多くとる人ほど、心臓・血管の病気が少ないと関連しています。

根拠

前向きコホート研究30本をまとめた2024年のメタ解析で、オリーブオイルを多くとる人は心臓・血管の病気にかかるリスクが低く、相対リスクは0.85でした [1]。別のメタ解析も、1日25g多いごとに16%低いと報告しています [2]。どちらも食事を調べた観察研究で、オリーブオイルそのものの効果を確かめた試験ではありません。

この答えの範囲

心臓・血管の病気のない一般の成人が、ふだんの食事でとる場合の話です。オリーブオイル単独を足した試験はなく、飲むだけの効果は分かりません。

じゃあ、どうする?

炒め物やドレッシングの油の一部を、オリーブオイルに替える使い方が研究の条件に近いです。1日およそ20gを超えると、それ以上の低下は見られにくいので、たくさんとる必要はありません [3]。持病や服薬がある人は医師に相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量2020研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 84 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、観察研究 3 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

オリーブオイルとは

オリーブオイルは、オリーブの実をしぼった油で、地中海沿岸の食事で昔から使われてきました。心臓や血管に良いとされ、しぼったままのエキストラバージンと、精製したものなどがあります。エキストラバージンはポリフェノールが多いのが特徴です。注意点は、油なので、とりすぎるとエネルギーのとりすぎになることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、中国の鄭州大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法です。成人を追跡した前向きコホート研究30本が集められました。前向きコホート研究は、食事を調べた人たちを何年も追い、病気になった人を数える観察研究です。

研究の種類前向きコホート研究30本のメタ解析(観察研究)
対象成人(30本・約271万人)
比べたものオリーブオイルを多くとる人と、少ない人
結果心臓・血管の病気にかかるリスクが低い(相対リスク0.85)
まとめて分析した結果オリーブオイルを多くとる人は、心臓・血管の病気にかかるリスクが低いと関連していました [1]。

オリーブオイルが1日10g多いごとに7%低い関連で、リスクが低い関連が見られたのは1日0〜18gの範囲でした。

観察研究なので、オリーブオイルをとる人は野菜や運動など、ほかの習慣も違うことがあります。「オリーブオイルのおかげで病気が減る」とは言い切れず、「とる量が多い人ほど病気が少ない」という関連が一貫している、と読むのが正確です。

どのくらいの量から?

  • 1日25g多いごとに心臓・血管の病気のリスクが16%低い関連でした。コホート研究24本とPREDIMED試験の報告3本のまとめです [2]
  • 別のコホート研究13本のまとめでは、およそ20g/日を超えると、それ以上の低下はほとんど見られませんでした [3]
  • 成人7本のまとめでは、心臓・血管の病気で亡くなるリスクも低い関連でした(ハザード比0.84)[4]

多くとるほど下がり続けるわけではなく、ふつうの食事の量で差が出て、それを超えると上乗せは小さくなります。

エキストラバージンなら差があるの?

スペインのグラナダ大学などの研究チームが2026年に発表した分析では、PREDIMED試験の参加者を種類別に見ました [5]。エキストラバージンを最も多くとる群(平均1日49.2g)は、心臓・血管の病気のリスクが25%低い関連でした。ふつうのオリーブオイルでは、はっきりした関連がありませんでした。この分析は、参加者の食事量を毎年調べた観察の分析で、ランダム化した比較ではありません。

地中海食の試験では?

オリーブオイルを足す食事の効果を、ランダム化して調べた大きな試験があります。

PREDIMED試験(地中海食の試験)心臓病の危険が高い55〜80歳の7447人を、追跡の中央値4.8年で調べました。

地中海食にエキストラバージンオリーブオイルを加えた群は、脂肪を減らす食事の群より、心筋梗塞・脳卒中・心血管死が少なく、ハザード比は0.69でした [6]。

ただし、これは地中海食の指導とセットの試験で、オリーブオイル単独の効果ではありません。割り付けの手順に問題があり、2013年の報告を取り下げて解析し直した版です。地中海食のコクランレビューでも、脳卒中は減りましたが(ハザード比0.60)、心血管死と全死亡ははっきり減りませんでした [7]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

2014年のメタ解析では、脳卒中を含む心臓・血管の病気のリスクは低い関連(相対リスク0.82)でしたが、冠動脈の心臓病(心筋梗塞など)だけでは有意な関連がありませんでした [8]。病気の種類によって、関連の出方が違う可能性があります。

冠動脈の心臓病だけを見た結果病気の種類を分けたメタ解析(2014年)

脳卒中を含めると低い関連でしたが、冠動脈の心臓病だけでは有意ではありませんでした。

コレステロールや酸化LDLでは?

オリーブオイルは「悪玉コレステロールを下げる」とよく言われますが、試験の結果は割れています。

  • 量を増やした試験34本・1730人のまとめでは、1日10g増やしても、LDL(悪玉)の差は0.04mg/dL、HDL(善玉)の差は0.22mg/dLで、どちらも有意ではありませんでした。研究の質は非常に低いと評価されています [9]
  • ほかの植物油と比べた試験27本では、HDLは1.37mg/dL多く上がる一方、LDLの下がり方は4.2mg/dL小さくなりました [10]
  • キャノーラ油と比べた13本では、キャノーラ油のほうがLDLを6.13mg/dL多く下げました [11]

一方、ポリフェノールが多いエキストラバージンは、酸化LDL(体の中でさびた悪玉コレステロール)を下げます。ランダム化比較試験26本のまとめで、ポリフェノールが少ないオリーブオイルより下がりました(標準化平均差-0.44)[12]。611人の13本の分析でも、精製したオリーブオイルより低い結果でした [13]。根拠の確かさは低めです。8本のまとめでは差が境界線上(p = 0.05)で、試験によって結果にばらつきがあるためです [14]。酸化LDLは検査の数値で、心臓病そのものが減るかを測った結果ではありません。

よく言われていることは本当?

  • 心臓病・動脈硬化を防ぐ食事でとる量が多い人ほど、心臓・血管の病気が少ないと関連しています。 ただし観察研究が中心で、オリーブオイル単独の試験はありません [1]
  • オレイン酸が悪玉コレステロールを下げ、善玉を上げる量を増やしても、LDLもHDLもほぼ変わりませんでした [9]。 ほかの植物油と比べると、LDLの下がり方はむしろ小さい結果です [10]
  • 抗酸化作用で体のさびを防ぐポリフェノールが多いエキストラバージンは、酸化LDLを下げます。 根拠の確かさは低めです [12]
  • 朝に飲むと便秘が解消するこの記事では確かめていません。 心臓の疑問とは別の話なので、扱っていません
  • 血糖値を下げ、糖尿病を防ぐこの記事では確かめていません。 2022年のメタ解析は2型糖尿病も扱っています [2]
  • 摂りすぎると太るこの記事では確かめていません。 量の目安は、上に書いた研究の範囲です

02注意点

研究で調べられたのは、ふだんの食事でとる量です。PREDIMED試験は、心臓病の危険が高い55〜80歳が対象で、追跡は中央値4.8年でした [6]。健康な若い人や、すでに心臓病のある人に同じ結果が当てはまるかは、ここでは確かめていません。オリーブオイルをとる量を増やすなら、ほかの油や食べものと置き換える形が、研究の条件に近い使い方です。血をサラサラにする薬などを使っている人、心臓病で治療中の人は、食事を変える前に医師や薬剤師に確認してください。

「多いほど良い」わけではない

研究では、1日およそ20gを超えると、それ以上の低下は見られにくくなりました。

03まとめ

オリーブオイルを多くとる人ほど、心臓・血管の病気が少ないと関連しています。
この結果は観察研究が中心で、オリーブオイル単独の効果が確かめられたわけではありません。
油を置き換える形で、1日およそ20gを目安に取り入れましょう。

04よくある質問

Qオリーブオイルは毎日飲んだほうがいいですか?

飲む方法を比べた研究は、この記事では確かめていません。観察研究が調べたのは、料理も含めたふだんの食事でのとる量です。

Qエキストラバージンでないと意味がありませんか?

PREDIMEDの参加者の分析では、エキストラバージンを多くとる群でリスクが低い関連があり、ふつうのオリーブオイルではっきりした関連はありませんでした [[40907633]]。種類を直接ランダムに比べた心臓病の試験は、確かめられていません。

Qコレステロールが気になる場合も、オリーブオイルを増やせばいいですか?

量を増やしても、LDLとHDLはほぼ変わりませんでした [[36408701]]。コレステロールが目的なら、別の食品の研究も参考になります。たとえば [豆乳を毎日飲むとコレステロールは下がる?](/evidence/soy-milk-cholesterol) を見てください。

Q地中海の人に心臓病が少ないのは、オリーブオイルのおかげですか?

PREDIMEDは地中海食とセットの試験で、オリーブオイル単独の効果は切り分けられていません [[29897866]]。魚・野菜・ナッツなど、食事全体の違いも含まれます。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]オリーブオイルの摂取と心臓・血管の病気、がん、全死亡の関連のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
中国・鄭州大学
掲載誌
Food & function
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,710,351人
結果の向き
良い方向

前向きコホート研究30本のメタ解析。オリーブオイルを多くとる人は心臓・血管の病気のリスクが低い関連(相対リスク0.85)。

[2]オリーブオイルの摂取と心臓病、がん、2型糖尿病、死亡の系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
スペイン・ナバラ大学
掲載誌
Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
806,203人
結果の向き
良い方向

コホート研究24本とPREDIMED報告3本のメタ解析。1日25g多いごとに心臓・血管の病気のリスクが16%低い関連。

[3]オリーブオイルの摂取と心臓・血管の病気、全死亡のコホート研究のメタ解析

発表年
2022年
研究機関
中国・西南医科大学附属病院
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
良い方向

前向きコホート研究13本のまとめ。およそ20g/日を超えると、それ以上の低下はほとんど見られなかった。

[4]オリーブオイルの摂取と全死亡、心臓・血管、がんによる死亡の関連のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
スペイン・IMDEA食品研究所
掲載誌
Food & function
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究7件を統合
結果の向き
良い方向

研究7本のメタ解析で、心臓・血管の病気で亡くなるリスクが低い関連(ハザード比0.84)。

[5]PREDIMED試験におけるエキストラバージンオリーブオイルと心臓・血管のさまざまな結果

発表年
2026年
研究機関
スペイン・グラナダ大学
掲載誌
American heart journal
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
7,102人
結果の向き
良い方向

最も多くとる群(平均1日49.2g)で心臓・血管の病気のリスクが25%低い関連。ふつうのオリーブオイルでははっきりしなかった。

[6]エキストラバージンオリーブオイルまたはナッツを加えた地中海食による心臓病の予防

発表年
2018年
研究機関
スペイン・PREDIMED研究ネットワーク
掲載誌
The New England journal of medicine
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
7,447人
結果の向き
良い方向

心臓病の危険が高い55〜80歳7447人の試験。地中海食とエキストラバージンの群はハザード比0.69。

[7]心臓・血管の病気の予防のための地中海式の食事のコクランレビュー

発表年
2019年
研究機関
イギリス・ウォーリック大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

PREDIMEDの地中海食で脳卒中は減ったが、心血管死と全死亡ははっきり減らなかった。

[8]オリーブオイルの摂取と冠動脈の心臓病・脳卒中のリスクのメタ解析

発表年
2014年
研究機関
スペイン・ナバラ大学
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

脳卒中を含む心臓・血管の病気は低い関連(相対リスク0.82)。冠動脈の心臓病だけでは有意な関連がなかった。

[9]オリーブオイルの摂取が血中の脂質に与える影響のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
イラン・テヘラン医科大学
掲載誌
The British journal of nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,730人
結果の向き
差なし

ランダム化比較試験34本・1730人で、1日10g増やしてもLDLとHDLはほとんど変わらなかった。

[10]オリーブオイルとほかの植物油の血中脂質への効果の比較

発表年
2019年
研究機関
イラン・シーラーズ医科大学
掲載誌
Critical reviews in food science and nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,089人
結果の向き
結果が割れている

ランダム化比較試験27本で、LDLの下がり方はほかの植物油より4.2mg/dL小さく、HDLは多く上がった。

[11]キャノーラ油とオリーブオイルの血中脂質への影響の比較

発表年
2023年
研究機関
イラン・イラン医科大学
掲載誌
Critical reviews in food science and nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究13件を統合
結果の向き
悪い方向

ランダム化比較試験13本で、キャノーラ油のほうがLDLを6.13mg/dL多く下げた。

[12]ポリフェノールの多いエキストラバージンオリーブオイルと心臓病の危険因子のメタ解析

発表年
2019年
研究機関
オーストラリア・ラ・トローブ大学
掲載誌
Critical reviews in food science and nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究26件を統合
結果の向き
良い方向

ランダム化比較試験26本で、ポリフェノールの多いオリーブオイルは酸化LDLを下げた(標準化平均差-0.44)。

[13]オリーブオイルの種類と心臓病の危険因子のネットワークメタ解析

発表年
2019年
研究機関
ドイツ・フライブルク大学
掲載誌
Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases : NMCD
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
611人
結果の向き
良い方向

ランダム化比較試験13本・611人で、ポリフェノールの多いエキストラバージンは精製したものより酸化LDLが低かった。

[14]ポリフェノールの多いオリーブオイルと心臓病の危険因子のメタ解析

発表年
2015年
研究機関
ドイツ・シャリテ大学医学センター
掲載誌
Phytomedicine : international journal of phytotherapy and phytopharmacology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
300人
結果の向き
差なし

クロスオーバー試験8本で、酸化LDLの低下は小さく、統計的にぎりぎり(p = 0.05)だった。

ほかに参考にした論文(3本)

判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。