[1]オリーブオイルの摂取と心臓・血管の病気、がん、全死亡の関連のメタ解析
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- 中国・鄭州大学
- 掲載誌
- Food & function
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 2,710,351人
- 結果の向き
- 良い方向
前向きコホート研究30本のメタ解析。オリーブオイルを多くとる人は心臓・血管の病気のリスクが低い関連(相対リスク0.85)。

オリーブオイルを多くとる人ほど、心臓・血管の病気が少ないと関連しています。
心臓・血管の病気のない一般の成人が、ふだんの食事でとる場合の話です。オリーブオイル単独を足した試験はなく、飲むだけの効果は分かりません。
炒め物やドレッシングの油の一部を、オリーブオイルに替える使い方が研究の条件に近いです。1日およそ20gを超えると、それ以上の低下は見られにくいので、たくさんとる必要はありません [3]。持病や服薬がある人は医師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 84 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、観察研究 3 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
オリーブオイルは、オリーブの実をしぼった油で、地中海沿岸の食事で昔から使われてきました。心臓や血管に良いとされ、しぼったままのエキストラバージンと、精製したものなどがあります。エキストラバージンはポリフェノールが多いのが特徴です。注意点は、油なので、とりすぎるとエネルギーのとりすぎになることです。
答えの中心は、中国の鄭州大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法です。成人を追跡した前向きコホート研究30本が集められました。前向きコホート研究は、食事を調べた人たちを何年も追い、病気になった人を数える観察研究です。
| 研究の種類 | 前向きコホート研究30本のメタ解析(観察研究) |
|---|---|
| 対象 | 成人(30本・約271万人) |
| 比べたもの | オリーブオイルを多くとる人と、少ない人 |
| 結果 | 心臓・血管の病気にかかるリスクが低い(相対リスク0.85) |
オリーブオイルが1日10g多いごとに7%低い関連で、リスクが低い関連が見られたのは1日0〜18gの範囲でした。
観察研究なので、オリーブオイルをとる人は野菜や運動など、ほかの習慣も違うことがあります。「オリーブオイルのおかげで病気が減る」とは言い切れず、「とる量が多い人ほど病気が少ない」という関連が一貫している、と読むのが正確です。
多くとるほど下がり続けるわけではなく、ふつうの食事の量で差が出て、それを超えると上乗せは小さくなります。
スペインのグラナダ大学などの研究チームが2026年に発表した分析では、PREDIMED試験の参加者を種類別に見ました [5]。エキストラバージンを最も多くとる群(平均1日49.2g)は、心臓・血管の病気のリスクが25%低い関連でした。ふつうのオリーブオイルでは、はっきりした関連がありませんでした。この分析は、参加者の食事量を毎年調べた観察の分析で、ランダム化した比較ではありません。
オリーブオイルを足す食事の効果を、ランダム化して調べた大きな試験があります。
地中海食にエキストラバージンオリーブオイルを加えた群は、脂肪を減らす食事の群より、心筋梗塞・脳卒中・心血管死が少なく、ハザード比は0.69でした [6]。
ただし、これは地中海食の指導とセットの試験で、オリーブオイル単独の効果ではありません。割り付けの手順に問題があり、2013年の報告を取り下げて解析し直した版です。地中海食のコクランレビューでも、脳卒中は減りましたが(ハザード比0.60)、心血管死と全死亡ははっきり減りませんでした [7]。
2014年のメタ解析では、脳卒中を含む心臓・血管の病気のリスクは低い関連(相対リスク0.82)でしたが、冠動脈の心臓病(心筋梗塞など)だけでは有意な関連がありませんでした [8]。病気の種類によって、関連の出方が違う可能性があります。
脳卒中を含めると低い関連でしたが、冠動脈の心臓病だけでは有意ではありませんでした。
オリーブオイルは「悪玉コレステロールを下げる」とよく言われますが、試験の結果は割れています。
一方、ポリフェノールが多いエキストラバージンは、酸化LDL(体の中でさびた悪玉コレステロール)を下げます。ランダム化比較試験26本のまとめで、ポリフェノールが少ないオリーブオイルより下がりました(標準化平均差-0.44)[12]。611人の13本の分析でも、精製したオリーブオイルより低い結果でした [13]。根拠の確かさは低めです。8本のまとめでは差が境界線上(p = 0.05)で、試験によって結果にばらつきがあるためです [14]。酸化LDLは検査の数値で、心臓病そのものが減るかを測った結果ではありません。
研究で調べられたのは、ふだんの食事でとる量です。PREDIMED試験は、心臓病の危険が高い55〜80歳が対象で、追跡は中央値4.8年でした [6]。健康な若い人や、すでに心臓病のある人に同じ結果が当てはまるかは、ここでは確かめていません。オリーブオイルをとる量を増やすなら、ほかの油や食べものと置き換える形が、研究の条件に近い使い方です。血をサラサラにする薬などを使っている人、心臓病で治療中の人は、食事を変える前に医師や薬剤師に確認してください。
研究では、1日およそ20gを超えると、それ以上の低下は見られにくくなりました。
オリーブオイルを多くとる人ほど、心臓・血管の病気が少ないと関連しています。
この結果は観察研究が中心で、オリーブオイル単独の効果が確かめられたわけではありません。
油を置き換える形で、1日およそ20gを目安に取り入れましょう。
飲む方法を比べた研究は、この記事では確かめていません。観察研究が調べたのは、料理も含めたふだんの食事でのとる量です。
PREDIMEDの参加者の分析では、エキストラバージンを多くとる群でリスクが低い関連があり、ふつうのオリーブオイルではっきりした関連はありませんでした [[40907633]]。種類を直接ランダムに比べた心臓病の試験は、確かめられていません。
量を増やしても、LDLとHDLはほぼ変わりませんでした [[36408701]]。コレステロールが目的なら、別の食品の研究も参考になります。たとえば [豆乳を毎日飲むとコレステロールは下がる?](/evidence/soy-milk-cholesterol) を見てください。
PREDIMEDは地中海食とセットの試験で、オリーブオイル単独の効果は切り分けられていません [[29897866]]。魚・野菜・ナッツなど、食事全体の違いも含まれます。
前向きコホート研究30本のメタ解析。オリーブオイルを多くとる人は心臓・血管の病気のリスクが低い関連(相対リスク0.85)。
コホート研究24本とPREDIMED報告3本のメタ解析。1日25g多いごとに心臓・血管の病気のリスクが16%低い関連。
前向きコホート研究13本のまとめ。およそ20g/日を超えると、それ以上の低下はほとんど見られなかった。
研究7本のメタ解析で、心臓・血管の病気で亡くなるリスクが低い関連(ハザード比0.84)。
最も多くとる群(平均1日49.2g)で心臓・血管の病気のリスクが25%低い関連。ふつうのオリーブオイルでははっきりしなかった。
心臓病の危険が高い55〜80歳7447人の試験。地中海食とエキストラバージンの群はハザード比0.69。
PREDIMEDの地中海食で脳卒中は減ったが、心血管死と全死亡ははっきり減らなかった。
脳卒中を含む心臓・血管の病気は低い関連(相対リスク0.82)。冠動脈の心臓病だけでは有意な関連がなかった。
ランダム化比較試験34本・1730人で、1日10g増やしてもLDLとHDLはほとんど変わらなかった。
ランダム化比較試験27本で、LDLの下がり方はほかの植物油より4.2mg/dL小さく、HDLは多く上がった。
ランダム化比較試験13本で、キャノーラ油のほうがLDLを6.13mg/dL多く下げた。
ランダム化比較試験26本で、ポリフェノールの多いオリーブオイルは酸化LDLを下げた(標準化平均差-0.44)。
ランダム化比較試験13本・611人で、ポリフェノールの多いエキストラバージンは精製したものより酸化LDLが低かった。
クロスオーバー試験8本で、酸化LDLの低下は小さく、統計的にぎりぎり(p = 0.05)だった。
判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。