生姜は吐き気をおさえる?

生姜は吐き気をおさえる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

つわりの吐き気はおさえます。嘔吐の回数は減りません。

根拠

つわりの妊婦1174人(研究13件)のメタ解析で、生姜はプラセボより吐き気の強さを和らげました。嘔吐の回数には有意な差がありませんでした [1]。別の1278人(RCT12件)の解析も同じ向きです [2]。根拠の確かさは低めです。メタ解析の評価で、研究の確実性が低いとされているためです [3]。

この答えの範囲

つわりの吐き気の話です。

じゃあ、どうする?

つわりで試すなら、毎日の量が1500mg未満の研究のほうが吐き気に良い傾向でした [2]。妊娠中は、使う前に医師か助産師に相談を。抗がん剤の治療中は、自己判断で足さず主治医に確認してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。12 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量17.820研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 97.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

生姜とは

生姜は、料理や生姜湯に使われる根茎です。昔から吐き気や胃の不快感に良いとされ、粉末やカプセルのサプリもあります。研究では、粉末やカプセルを決まった量で飲む形がよく使われています。なお、ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心になった研究

答えの中心は、中国の鄭州大学などの研究チームが2022年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験の結果をまとめて計算する方法です。

研究の種類つわりの妊婦を対象にしたRCT(くじ引きで分けた試験)のメタ解析
対象つわりのある妊婦1174人(研究13件)
比べたもの生姜と、プラセボ(偽薬)またはビタミンB6
結果生姜は吐き気の強さを和らげたが、嘔吐の回数には有意な差がなかった
まとめて分析した結果生姜は、プラセボより吐き気の強さを和らげました [1]。

嘔吐の回数を減らす効果は、統計的にははっきりしませんでした。

中国の成都中西医結合医院などによる2023年の解析でも、生姜はプラセボより吐き気の強さ(VAS)が平均1.21点低くなりました [3]。南アフリカのステレンボッシュ大学などによる2014年の解析(1278人)も、吐き気は改善し、嘔吐の回数の減少は有意ではありませんでした [2]。

根拠の確かさは低めです。解析ごとに、研究の確実性が低いと評価されているためです。一方、生姜の系統的レビュー24件をまとめた研究では、生姜の効果のうち最も強い根拠は妊婦の吐き気をおさえる効果でした [4]。つまり、生姜の研究の中ではいちばん厚い分野です。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

つわりでも、評価が割れる場面があります。2015年のコクランレビュー(41件・5449人)は、生姜は役に立つ可能性があるものの、効果の証拠は限られ一貫していないとしました [5]。

評価が慎重だったレビュー妊娠初期の吐き気を調べた41件・5449人のレビュー

生姜は役に立つ可能性があるが、証拠は限られ一貫していないとされました。

よく言われていることは本当?

  • つわりのムカムカを和らげる効きます。 吐き気の強さは軽くなりますが、嘔吐の回数は有意に減っていません [1]。根拠の確かさは低めです。
  • 手術後の吐き気をおさえる条件によります。 手術を受けた1417人(研究14件)では、吐き気の強さが平均0.71点低くなりました [6]。ただし18報・2199人のネットワークメタ解析では、吐き気を減らす点で、どの生姜の製剤もプラセボより有意に優れていませんでした [7]。効果があっても小さい、と読むのが正確です。
  • 抗がん剤の吐き気を和らげる結果は割れています。 吐き気止めの薬と生姜のカプセルを併用すると、重い吐き気が起こる割合が下がったメタ解析があります(リスク比0.19)[8]。一方、RCT23件のレビューでは、吐き気・嘔吐の割合に有意な差はありませんでした [9]。2023年のMASCC/ESMOのガイドラインは、結果が食い違うため、飲む生姜は推奨も否定もできないとしています [10]。
  • 乗り物酔いを防ぐ条件によります。 荒れた海に出た海軍の訓練生80人では、生姜の粉末が嘔吐しそうな感じと冷や汗を減らしましたが、吐き気の差は有意ではありませんでした [11]。映像で酔いを起こした13人の実験室の試験では、吐き気が軽くなりました [12]。どちらも古く小さな試験です。
  • 胃の働きを助け、消化を促すこの疑問(吐き気)では確かめていません。 胃の動きを調べた小規模な実験が中心で、ここでは答えを出せません。

何が違う?

つわりでは吐き気の「強さ」に効き、「回数」には効いていません。手術後と抗がん剤では、強さや重い吐き気では良い結果が出る一方、吐き気が起こる割合では差が出ない解析があり、測る物差しで結論が変わります。

02注意点

研究で使われた量は、つわりの解析(RCT12件)で毎日1500mg未満のほうが吐き気に良い傾向でした [2]。量を増やせば効く、という結果ではありません。妊娠中の人、持病や服薬のある人、抗がん剤治療中の人は、生姜のサプリを使う前に医師や薬剤師に確認してください。冷え性との関係は冷え性に生姜は効く?で扱っています。

治療中の吐き気は、まず主治医に

生姜は吐き気止めの薬の代わりではなく、使う場合も相談のうえで併用してください。

03まとめ

生姜は、つわりの吐き気の強さを和らげます。ただし嘔吐の回数は減らず、根拠の確かさは低めです。
手術後は効果が小さく、抗がん剤は結果が割れ、乗り物酔いは研究が古く少ない、と分けて考えるのが正確です。
試すなら、つわりの吐き気に、少なめの量から、医師や助産師に相談してからにしましょう。

04よくある質問

Q生姜湯や生姜飴でも吐き気に効きますか?

研究で調べられたのは、主に粉末やカプセルを決めた量で飲む形です。生姜湯や飴の効果は、ここで紹介した研究では確かめられていません。

Q乗り物酔いの予防に使えますか?

研究は古く少なく、結果は条件で分かれました。海上の試験では嘔吐しそうな感じは減りましたが、吐き気の差は有意ではありませんでした [[3277342]]。

Q抗がん剤の吐き気に生姜を足してよいですか?

結果が割れており、ガイドラインも推奨も否定もしていません [[38102373]]。足す前に主治医に相談してください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]しょうがをビタミンB6・プラセボと比べたメタ解析

発表年
2022年
研究機関
中国・鄭州大学
掲載誌
The journal of maternal-fetal & neonatal medicine : the official journal of the European Association of Perinatal Medicine, the Federation of Asia and Oceania Perinatal Societies, the International Society of Perinatal Obstetricians
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,174人
結果の向き
良い方向

妊婦1174人(研究13件)で、生姜は吐き気の強さを和らげたが、嘔吐の回数には有意な差がなかった。

[2]妊娠中の吐き気と嘔吐に対する生姜の効果と安全性のメタ解析

発表年
2014年
研究機関
南アフリカ・ステレンボッシュ大学
掲載誌
Nutrition journal
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,278人
結果の向き
良い方向

妊婦1278人(RCT12件)で、生姜は吐き気を改善した。嘔吐の回数の減少は有意ではなかった。

[3]妊娠中の吐き気と嘔吐に対する補完代替療法の有効性と安全性のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
中国・成都中西医結合医院
掲載誌
Frontiers in public health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究33件を統合
結果の向き
良い方向

生姜はプラセボより吐き気の強さ(VAS)が平均1.21点低かった。研究の確実性は低い。

[4]口から摂る生姜と健康のアンブレラレビュー

発表年
2022年
研究機関
オーストラリア・ボンド大学
掲載誌
The American journal of clinical nutrition
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

生姜の系統的レビュー24件をまとめ、最も強い根拠は妊婦の吐き気をおさえる効果だった。

[5]妊娠初期の吐き気と嘔吐に対する対処法のコクランレビュー

発表年
2015年
研究機関
アイルランド・ダブリン・シティ大学
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

41件・5449人のレビューで、生姜は役に立つ可能性があるが証拠は限られ一貫していないとされた。

[6]手術後の吐き気と嘔吐の予防における生姜の効果のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
中国・四川大学
掲載誌
Journal of nursing scholarship : an official publication of Sigma Theta Tau International Honor Society of Nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,417人
結果の向き
良い方向

手術を受けた1417人(研究14件)で、手術後の吐き気の強さが平均0.71点低かった。

[7]手術後の吐き気予防の生姜製剤を比べたネットワークメタ解析

発表年
2023年
研究機関
中国・中国医科大学
掲載誌
Journal of ethnopharmacology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
2,199人
結果の向き
差なし

2199人(18報)で、吐き気を減らす点ではどの生姜の製剤もプラセボより有意に優れていなかった。

[8]抗がん剤による吐き気・嘔吐に対する生姜の効果と安全性のメタ解析

発表年
2025年
研究機関
台湾・台北医学大学
掲載誌
Cancer nursing
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究22件を統合
結果の向き
良い方向

生姜のカプセルを吐き気止めの薬と併用すると、重い吐き気が起こる割合が下がった(リスク比0.19)。

[9]抗がん剤による吐き気・嘔吐に対する生姜の効果の系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
韓国・嘉泉大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究23件を統合
結果の向き
差なし

RCT23件で、吐き気・嘔吐の起こる割合は生姜群と対照群で有意な差がなかった。

[10]2023年MASCC/ESMOの統合療法・非薬物療法の吐き気止めガイドライン

発表年
2023年
研究機関
イギリス・ダービー大学
掲載誌
Supportive care in cancer : official journal of the Multinational Association of Supportive Care in Cancer
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

結果が食い違うため、飲む生姜は推奨も否定もできないとされた。

[11]船酔いに対する生姜の根:外洋での対照試験

発表年
1988年
研究機関
デンマーク・スベンボー病院
掲載誌
Acta oto-laryngologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
80人
結果の向き
結果が割れている

海軍の訓練生80人で、生姜の粉末は嘔吐しそうな感じと冷や汗を減らしたが、吐き気の差は有意ではなかった。

[12]回転する縞模様の映像で起こした乗り物酔いへの生姜の効果

発表年
2003年
研究機関
台湾・台中退役軍人総合病院
掲載誌
American journal of physiology. Gastrointestinal and liver physiology
研究の種類
ランダム化比較試験(クロスオーバー)参加者が順番を変えながら複数の条件を体験し、結果を比べる試験。
対象
13人
結果の向き
良い方向

乗り物酔いしやすい13人で、前もって生姜を飲むと吐き気が軽くなった。

ほかに参考にした論文(6本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。