[1]日中の眠気を伴ういびき・軽〜中等度の無呼吸へのマウスピースの試験
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- スウェーデン・ウメオ大学
- 掲載誌
- JAMA internal medicine
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 96人
- 結果の向き
- 良い方向
96人をマウスピースと偽の装置に分けて比べ、マウスピースの人のほうがいびきが少なかった。

下あごを前に出すマウスピースは、いびきに効きます。
いびきだけの人から、睡眠時無呼吸のある人までを含む研究です。いびきの回数・大きさの話で、無呼吸そのものの治療の話ではありません。
確かめられているのは、マウスピースです。歯科や睡眠外来で、自分の歯に合わせて作るタイプを相談してみてください。お湯で形を合わせるタイプより、オーダーメイドのほうがいびきを大きく減らしました [10]。横向き寝、舌やのどの筋トレ、体重管理、寝る前のお酒を控えることは、費用をかけずに試せますが、根拠は弱めです。枕と口テープは結果が割れていて、口テープは鼻づまりがあると窒息の危険も指摘されています。鼻に貼るテープは後回しで構いません。昼間の強い眠気や息の止まりがあるときは、睡眠時無呼吸の検査を医療機関で受けましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 36 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 13 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 16.1 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 71.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 8 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
いびきは、眠っているときに空気の通り道が狭くなり、のどの粘膜が震えて出る音です。肥満、お酒、鼻づまり、あおむけ寝などで起こりやすいとされます。対策には、マウスピース、横向き寝、枕、鼻に貼るテープ、口テープ、舌の筋トレ、体重管理などがあります。注意点は、いびきの陰に睡眠時無呼吸が隠れていることがあり、昼間の強い眠気があるときは検査が必要なことです。
方法ごとに、よく言われていること、研究で分かったこと、根拠の確かさを同じ順で並べます。根拠の確かさは「効きます」「効果が確認されていません」「結果が割れています」「研究が足りません」で示します。体重とお酒は、減らした・控えた効果を直接比べた研究ではないので「関連」と書きます。
どう言われているか 眠るときに下あごを前に出した位置に保つ装置です。歯科で作るオーダーメイドと、お湯で形を合わせるタイプがあります。
研究で分かったこと 答えの中心は、スウェーデンのウメオ大学などの研究チームが2015年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、くじ引きのように参加者を分けて結果を比べる方法です。
| 研究の種類 | マウスピースを調べたランダム化比較試験 |
|---|---|
| 対象 | 日中に眠気があり、いびきまたは軽〜中等度の睡眠時無呼吸のある大人(96人) |
| 比べたもの | オーダーメイドの調整式マウスピース / 偽の装置 |
| 結果 | マウスピースを着けた人は、偽の装置の人よりいびきが少なかった |
重い睡眠時無呼吸の150人の試験でも、いびきの症状が改善しています [2]。
マウスピースの試験は8件(439人)あり、多くでいびきが減りました。米国睡眠医学会などの診療ガイドラインも、無呼吸のないいびきの治療を希望する大人に、何もしないよりマウスピースを勧めています [11]。オーダーメイドは、お湯で形を合わせるタイプよりいびきを大きく減らしました [10]。くわしくはマウスピースはいびきに効く?でも解説しています。
マウスピースのほうが低い傾向でしたが、偽の装置との差は統計的にはっきりしませんでした。
無呼吸のないいびきや軽い無呼吸の人の2010年の試験では、対照の装置も同じようにいびきを減らし、両者に差はありませんでした [12]。
根拠の確かさ 効きます。ただし根拠の確かさは低めです。参加者が数十人の試験が中心で、偽の装置との差がはっきりしなかった試験もあるためです。
どう言われているか あおむけで寝るとのどが狭くなりやすいため、横向きで寝るといびきが減るとされます。振動で寝返りを促す首かけ式の器具もあります。
研究で分かったこと 仰向けで悪化するタイプの睡眠時無呼吸の120人が、首かけ式の器具を3か月使うと、ベッドパートナーが「いびきが良くなった」と報告しました [4]。一方、症状のない男性のいびき20人の試験では、いちばんよい寝る向きで寝ても、いびきの回数は変わりませんでした [5]。
根拠の確かさ 効きます。ただし根拠の確かさは低めです。回数が変わらなかった試験もあり、研究の数が少ないためです。
どう言われているか 鼻の穴を広げて息の通りを良くするとされる、市販のテープや拡張器です。
研究で分かったこと 17件・496人のまとめ分析で、使った人と使わなかった人のいびきの指標に、はっきりした差はありませんでした [9]。いびきのある40人の試験でも、音の測定でも本人・パートナーの評価でも、いびきは減りませんでした [13]。慢性鼻炎の12人では偽物のテープより回数が少なかった試験がありますが、小さな試験です [14]。
根拠の確かさ 効果が確認されていません。根拠の確かさは低めです。いびきだけの人と睡眠時無呼吸の人を一緒にまとめた分析で、小さな試験が多いためです。
どう言われているか 頭の向きや位置を変える枕で、いびきが減るとされます。
研究で分かったこと 頭の向きを横に変える枕で、無呼吸のないいびきの22人は、いびきの回数が減り、同室の人の評価でも減りました [6]。頭の位置を整える枕は、40人の試験で使わない場合と差がありませんでした [13]。
根拠の確かさ 結果が割れています。比べる相手のある試験が2件だけで、枕の種類も違うためです。
どう言われているか 寝るときに口をテープで閉じて、鼻で息をする方法です。
研究で分かったこと 研究10件(213人)のレビューで、睡眠中の呼吸が改善したのは2件だけで、ほかの研究では差がありませんでした。鼻づまりがあると窒息の危険もあると指摘されています [7]。
根拠の確かさ 研究ごとに結果が割れています。研究が少なく、多くは鼻づまりのある人を除いているためです。
どう言われているか 舌・口・のどの筋肉を鍛えて、いびきを減らす方法です。
研究で分かったこと 睡眠時無呼吸のある大人のコクラン・レビュー(2件・67人)では、いびきの回数はわずかに減りましたが、確実性は非常に低い結果です [8]。いびきのある92人が舌と口の筋トレを6週間続けた試験では、指の運動の人よりいびきのスコアが2.3点低く、回数などの測定値には差がありませんでした [15]。無呼吸のないいびきの人がのどの筋トレを4週間続けた試験では、健康教育だけの人よりいびきの回数・大きさ・量がはっきり減りました [16]。
根拠の確かさ 研究が足りません。減ったという報告はありますが、まとめた研究の確実性が非常に低いためです。
どう言われているか 体重が増えるとのどが狭くなりやすいため、やせるといびきが減るとされます。
研究で分かったこと 太り気味のいびきの人や軽い睡眠時無呼吸の人のうち、食事の指導を受けた36人は、いびきの自己評価スコアが良くなっていました。比較グループの36人では変わりませんでした [17]。体重の変化は、要旨に書かれていません。
根拠の確かさ 良い関連があります。ただし根拠の確かさは低めです。研究が1件だけで、体重が実際に減ったかも分からないためです。
どう言われているか お酒を飲むといびきが悪化するとされ、寝る前は控えるよう勧められます。
研究で分かったこと 13件・279人のまとめ分析で、お酒を飲んだ夜は飲まない夜より、睡眠中に呼吸が止まる・浅くなる回数が1時間あたり平均3.98回多く、いびきも悪化すると結論づけています [18]。控えるといびきが減るかを直接調べた研究ではありません。
根拠の確かさ 悪い関連があります。ただし根拠の確かさは低めです。飲んだ夜と飲まない夜を比べた研究で、控えた効果を調べたものではないためです。
マウスピースの試験で使われたのは、歯科で作るオーダーメイドの装置です。よくある副作用として、唾液が増えることやあごの関節の痛みが報告されています [3] [19]。いびきの陰に睡眠時無呼吸が隠れていることもあります。持病がある人や、昼間の眠気が強い人は、医師や歯科医師に相談してください。
自己流の対策の前に、睡眠外来や耳鼻咽喉科で検査を受けてください。
いびきに効くと確かめられた方法は、下あごを前に出すマウスピースです。
横向き寝と減量は根拠の確かさが低めで、舌やのどの筋トレは研究が足りず、枕と口テープは結果が割れています。
まずは歯科や睡眠外来でマウスピースを相談し、ほかの方法は無理のない範囲で試しましょう。
いびきのある40人の自宅での試験で、スプレーは使わない場合と比べていびきを減らしませんでした [[15195048]]。
無呼吸のないいびきの人の試験で、鼻腔拡張テープ・鼻洗浄・口テープ・横向き寝を組み合わせた方法でもいびきは減りました。ただ、同室の人が良くなったと評価した割合は、マウスピースで91%、組み合わせで58%でした [[38780959]]。
子どもでは18人の小さな試験が1件あるだけです [[29357293]]。大人の結果は当てはまらないので、小児科や耳鼻咽喉科に相談してください。
96人をマウスピースと偽の装置に分けて比べ、マウスピースの人のほうがいびきが少なかった。
重い睡眠時無呼吸の150人で、マウスピースは偽の装置よりいびきの症状を改善した。
20人の試験で、いびきはマウスピースのほうが低かったが、偽の装置との差ははっきりしなかった。
120人で、首に付ける器具を使うと、ベッドパートナーがいびきが良くなったと報告した。
20人の試験で、いちばんよい寝る向きで寝ても、いびきの回数は変わらなかった。
無呼吸のないいびきの22人で、頭の向きを横に変える枕を作動させるといびきの回数が減りました。
口テープの研究10件(213人)を見直し、睡眠時無呼吸の指標が改善したのは2件だけでした。
睡眠時無呼吸のある大人67人(2件の試験)で、偽のトレーニングと比べていびきの回数がわずかに減りましたが、確実性は非常に低い結果です。
17件・496人のまとめ分析で、鼻腔拡張器を使った人と使わなかった人のいびきの指標に差はなかった。
35人の試験で、オーダーメイドのほうがいびきを大きく減らした。
無呼吸のないいびきの治療を希望する大人に、何もしないよりマウスピースを勧めている。
マウスピースも対照の装置もいびきの症状を減らし、両者に差はなかった。
40人の試験で、鼻に貼るテープなどの市販グッズにいびきを減らす効果は見られなかった。
慢性鼻炎の12人で、鼻に貼るテープは偽物のテープよりいびきの回数が少なかった。
いびきのある92人で、舌と口の筋トレを6週間続けた人は、指の運動をした人よりいびきのスコアが2.3点低くなりました。
いびきだけの人で、のどの筋トレを4週間続けた人は、健康教育だけの人よりいびきの回数・大きさ・量が減った。
食事の指導を受けた群は、いびきの自己評価スコアが良くなった。受けなかった群は変わらなかった。
13件・279人のまとめで、お酒を飲んだ夜は飲まない夜より、呼吸が止まる・浅くなる回数が1時間あたり平均3.98回多くなりました。
無呼吸のないいびきに限った研究は少ないが、手に入る根拠はマウスピースの使用を支持している。
本人の評価ではいびきが良くなったが、機械で測ったいびきでは偽の装置との差がはっきりしなかった。
同室の人の報告で、マウスピースは偽の装置よりいびきの頻度と大きさを減らした。
使い続けている15人で、着けた夜は1時間あたりのいびきが中央値193回から20回に減った。
57人で、マウスピースを着けるといびきの回数と大きないびきの割合が減った。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。