[1]画面を見る作業の人がまぶたを温めると、涙の膜と目の生活の質はどう変わるか
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- 台湾・長庚記念病院
- 掲載誌
- Scientific reports
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 45人
- 結果の向き
- 良い方向
画面作業で目の不調がある45人を、まぶたを温める群と使わない群に分けた。温めた群は生活の質のスコアが改善した。

目の疲れと、近くの見え方に効きます。ドライアイの症状にも効きます。
画面作業の人の目の症状と近くの見え方の話です。ドライアイの研究の対象はマイボーム腺機能不全の患者です。
夕方に目が重いときや、寝る前に10分ほど温めて休む使い方が、研究の条件に近いです。熱すぎない温度で、目に痛みや赤みが出たらやめて眼科へ。目のかすみや痛みが続くときは、温める前に眼科で原因を確かめましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 30 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 7.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 6 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 68.6 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・観察研究 1 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ホットアイマスクは、蒸気や発熱材で目元を温めるアイマスクです。目の疲れや寝つきに良いとされ、使い捨てタイプと繰り返し使えるタイプがあります。温めることで目の周りの血行が良くなる、と説明されることが多いのですが、研究で確かめたものではありません。注意点は、熱すぎる温度や長時間の使用で、肌や目に負担がかかることです。
答えの中心は、台湾の長庚記念病院などの研究チームが2020年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、参加者をくじ引きのように2つの群に分けて結果を比べる方法です。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験 |
|---|---|
| 対象 | 画面作業で目の不調と涙の膜の不安定さがある45人 |
| 比べたもの | まぶたを温める蒸気の器具を2週間使う群(22人)と使わない群(23人) |
| 結果 | 温めた群は、目の症状による困りごとの点数が改善した |
温めない群との比較で出た結果ですが、参加者は45人と少数です。
もう1本は、日本の東京慈恵会医科大学などの研究チームが2005年に発表した研究です [2]。健康な男性10人が、7時間のパソコン作業のあと、温めシートを10分当てた日と、アイマスクで目を閉じて休むだけの日を比べました。温めた日は、直後も90分後も近くの見え方が良く、目を閉じて休むだけより上回りました。目の疲れで落ちやすい、近くにピントを合わせる力に当たります。
根拠の確かさは低めです。目の疲れを主に調べた比較試験は1本で、もう1本は10人の小さな研究だからです。
ドライアイでは研究がずっと多くあります。スペインのカタルーニャ工科大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析は、マイボーム腺機能不全の患者でRCT7件・367人をまとめました [3]。メタ解析とは、複数の研究の結果をまとめて分析する方法です。まぶたを温める器具は対照より、ドライアイの症状の質問票の改善が大きい結果でした(標準化平均差0.91)。
ただし但し書きがあります。同じ解析で、全体の有効性の比較では、はっきりした差は出ませんでした [3]。対象もマイボーム腺機能不全の患者で、疲れ目の人とは違います。ドライアイにも効きますが、「誰にでも大きく効く」とは読めません。
子どもの研究では、近視または近視予備軍の68人が蒸気アイマスクを使ったあと、目の疲れの症状スコアが60.75%下がりました [7]。ただし比べる群がなく、企業の研究部門による研究です。温めた効果とは言い切れません。
症状の変化は温めた効果と切り分けられていません。
研究で使われた条件は、まぶたを温める蒸気の器具を2週間使うものでした [1]。温めシートは10分でした [2]。それ以上の長時間や高温での安全性は、これらの研究では確かめられていません。目の痛み、赤み、かすみが続く人、コンタクトレンズを使う人、目の病気で治療中の人は、眼科医に確認してください。
疲れ目に見える症状に、別の目の病気が隠れていることがあります。
目の疲れと近くの見え方には効きますが、根拠の確かさは低めです。
ドライアイの症状にも効くのは、マイボーム腺機能不全の患者の研究です。
まず10分ほど温めて休み、不調が続くなら眼科で相談しましょう。
温めシートの研究は10分でした [[15885788]]。蒸気の器具の試験は2週間の使用です [[33037255]]。それより長い使い方が良いかは、研究では確かめられていません。
研究では確かめられていません。血流やクマを主な結果にした比較試験は見つかっていません。
マイボーム腺機能不全の患者では症状の点数が改善しましたが、全体の有効性の比較ではっきりした差は出ませんでした [[39986438]]。症状が強いときは眼科で診てもらってください。
研究では、寝る前に10分ほど使った条件が多く [[29234416]]、着けたまま寝る場合の安全性は確かめられていません。
画面作業で目の不調がある45人を、まぶたを温める群と使わない群に分けた。温めた群は生活の質のスコアが改善した。
健康な日本人男性10人が7時間のパソコン作業のあと、温めシートを10分当てた日は、目を閉じるだけの日より近見視力が良かった。
RCT7件・367人のメタ解析。温める器具は対照よりドライアイの症状の質問票の改善が大きかったが、全体の有効性の比較では差は出なかった。
寝つきに少し悩みのある女性64人を4週間追い、温めた群は偽のアイマスクの群より不眠の点数が低かった。
ときどき寝つけない女性38人で、寝る前10分のホットアイマスクは偽のアイマスクより心地よく、朝のすっきり感が良かった。
ふつうの蒸気アイマスクを2週間使った群で、リラックス感・心地よさ・すっきり感は変わらなかった。
近視または近視予備軍の子ども68人が使ったあと、目の疲れの症状スコアが60.75%下がった。比べる群はない。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。