睡眠時間は何時間がいちばん健康的?

睡眠時間は何時間がいちばん健康的?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え悪い関連がある

死亡リスクがいちばん低いのは約7時間で、短くても長くてもリスクが高いことと関連しています。

根拠

コホート研究79件のメタ解析で、1晩7時間未満の人は7〜8時間の人より死亡リスクが14%高く、9時間以上の人は34%高いことと関連していました [1]。用量反応のメタ解析でも、リスクがいちばん低いのは1日およそ7時間でした [2]。観察研究なので、睡眠時間が原因かどうかは分かりません。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

一般の成人を長く追跡した観察研究の話です。

じゃあ、どうする?

まず7時間前後を目安にしましょう。7時間から1時間短くなるごとの差は、リスク比1.06とごく小さい値です [2]。長く眠らないと疲れが取れない状態が続くときは、病気が隠れていることもあるので医師に相談を。眠りの質は 寝室を暗くすると眠りは良くなる? も参考になります。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。8 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量2020研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 84 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

睡眠時間と死亡リスクの研究とは

睡眠時間と健康の関係は、多くの人を長い年月追いかけ、あとから死亡した人の睡眠時間を比べる「コホート研究」で調べられてきました。人に睡眠時間を割り当てる試験ではないため、分かるのは「関連」までです。ここでの「死亡リスク」は、病気や事故などすべての原因を合わせた死亡のことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、アメリカのオクラホマ大学などの研究チームが2025年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の数値を合わせて分析する方法です。成人を1年以上追跡したコホート研究が集められました。

研究の種類コホート研究のメタ解析
対象成人を1年以上追跡したコホート研究(79件)
比べたもの1晩7時間未満、9時間以上の人と、7〜8時間の人
結果7時間未満は死亡リスクが14%高く、9時間以上は34%高い
まとめて分析した結果7〜8時間の人と比べて、7時間未満は死亡リスクが14%高く(ハザード比1.14)、9時間以上は34%高い(ハザード比1.34)ことと関連していました [1]。

短い側より長い側のほうが、差は大きくなっています。

別の大きなメタ解析も同じ向きです。前向きコホート研究153件のまとめで、睡眠が短い人の死亡リスクはリスク比1.12でした [3]。この153件は死亡以外の病気も調べた研究を含み、人数は全体で5,172,710人です。死亡だけを調べた人数ではありません。長い睡眠のほうも、137件のまとめでリスク比1.39でした [4]。

何時間がいちばん低い?

用量反応のメタ解析(睡眠時間を細かく刻んで、リスクの変わり方を見る方法)では、リスクがいちばん低いのは1日およそ7時間でした [2]。7時間未満では1時間短くなるごとにリスク比1.06、7時間を超えると1時間長くなるごとに1.13でした。日本・中国・シンガポール・韓国の9つのコホートをまとめた研究でも、リスクがいちばん低いのは7時間でした [5]。

よく言われていることは本当?

  • 理想は7時間前後で、短すぎても長すぎても寿命に響く本当です。 リスクがいちばん低いのは約7時間で、両側でリスクが高くなっています [2]。ただし観察研究なので、原因とまでは言えません。
  • 寝すぎ(9時間以上)も体に悪い関連は見られますが、原因とは言えません。 9時間以上でリスクは高い一方 [1]、病気のせいで長く眠っている人が含まれている可能性があります。著者も因果かどうかは今後の研究で確かめる必要があるとしています [4]。
  • 8時間睡眠が理想研究は支えていません。 リスクがいちばん低いのは約7時間で、7時間を超えると1時間ごとに1.13倍になります [2]。ただし8時間が悪いと言い切れる結果でもありません。
  • 睡眠不足だと糖尿病になりやすい関連は見られます。 コホート研究17件・737,002人のまとめで、睡眠6時間以下の人は2型糖尿病のリスク比が1.22でした [6]。153件のまとめでは、高血圧のリスク比も1.17でした [3]。
  • 睡眠不足は太りやすい関連は見られます。 153件のまとめで、睡眠が短い人の肥満のリスク比は1.38でした [3]。
  • 体質でショートスリーパーの人がいる研究が見つかりません。 健康への影響を調べた研究は、今回の調査では確認できませんでした。

体を動かす人は短い睡眠でも差が小さい

運動・座りがち・睡眠の組み合わせを調べた12件のうち5件を統合した解析では、よく体を動かして睡眠が普通の人と比べると、よく体を動かして睡眠が短い人も、死亡リスクの上昇がはっきりしませんでした(リスク比1.05)。体を動かさず睡眠も短い人では1.42でした [7]。睡眠時間だけでなく、運動などの生活全体と合わせて見る必要があります。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

長い睡眠と死亡の関連は、女性でより強かったとする解析があります [1]。一方、用量反応のメタ解析では男女でほとんど差がありませんでした [2]。アジアの9つのコホートをまとめた研究では、10時間以上眠る男性の死亡リスクが1.34倍でした [5]。

運動量で結果が分かれた解析運動・座りがち・睡眠の組み合わせを調べたコホート研究12件のうち5件を統合

よく体を動かす人では、短い睡眠でもリスクの上昇ははっきりしませんでした。

02注意点

数値はどれも集団の平均で、あなた個人の寿命を決めるものではありません。睡眠時間は多くの研究で質問票への自己申告です [8]。長く眠る人には、病気やうつなど眠りが増える原因を抱えた人が含まれている可能性があります。持病や服薬がある人、眠りの長さに悩む人は、医師や薬剤師に相談してください。

7時間は「守る数字」ではなく、目安

7時間から1時間ずれたときの差は小さく、短い睡眠を無理に延ばせば寿命が延びる、という結果でもありません。

03まとめ

死亡リスクがいちばん低いのは約7時間で、短くても長くてもリスクが高いことと関連しています。
観察研究なので、睡眠時間が原因とは言えず、長い睡眠は病気の影響も考えられます。
まず7時間前後を目安にして、日中の眠気や疲れが続くときは医師に相談しましょう。

04よくある質問

Q6時間睡眠は短すぎますか?

6時間は7時間未満に当たり、7〜8時間の人より死亡リスクが高いことと関連しています(ハザード比1.14)[[40072785]]。1時間短くなるごとの上がり方はリスク比1.06で、大きくはありません [[28889101]]。

Q10時間以上寝るのは危険ですか?

10時間以上眠る男性の死亡リスクは1.34倍でした [[34477853]]。ただし病気が原因で長く眠っている人も含まれ、長い睡眠そのものが原因かは確かめられていません [[28890167]]。長く眠る状態が続くなら医師に相談してください。

Q休日に寝だめをすると取り戻せますか?

研究では確かめられていません。今回の研究は、ふだんの睡眠時間と死亡の関連を調べたものです。

05参照した論文

判定に使った主な論文(8本)

[1]睡眠の偏りと死亡リスク14〜34%高めとの関連:メタ解析

発表年
2025年
研究機関
アメリカ・オクラホマ大学
掲載誌
GeroScience
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究79件を統合
結果の向き
悪い方向

コホート研究79件のまとめで、7時間未満は死亡リスクが14%高く、9時間以上は34%高かった。

[2]睡眠時間と全死亡・心血管イベントの関係:用量反応メタ解析

発表年
2017年
研究機関
中国・華中科技大学
掲載誌
Journal of the American Heart Association
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

死亡リスクがいちばん低いのは1日およそ7時間で、7時間未満は1時間短くなるごとに1.06倍だった。

[3]短い睡眠と健康への影響:系統的レビュー、メタ解析、メタ回帰

発表年
2017年
研究機関
日本・大分大学
掲載誌
Sleep medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,172,710人
結果の向き
悪い方向

前向きコホート研究153件のまとめで、睡眠が短い人は死亡リスクが高かった(リスク比1.12)。

[4]長い睡眠と健康への影響:系統的レビュー、メタ解析、メタ回帰

発表年
2018年
研究機関
日本・日本大学
掲載誌
Sleep medicine reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,134,036人
結果の向き
悪い方向

前向きコホート研究137件のまとめで、睡眠が長い人は死亡リスクが高かった(リスク比1.39)。

[5]日本・中国・シンガポール・韓国の成人における睡眠時間と死亡の関連

発表年
2021年
研究機関
日本・国立がん研究センター
掲載誌
JAMA network open
研究の種類
コホート研究生活習慣などの違いで集団を分け、長い期間追いかけて比べる研究。
対象
研究9件を統合
結果の向き
悪い方向

アジアの9つのコホートで、死亡リスクがいちばん低いのは7時間睡眠だった。

[6]睡眠時間と2型糖尿病の関連:コホート研究のメタ解析

発表年
2021年
研究機関
中国・西安交通大学
掲載誌
Journal of diabetes research
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
737,002人
結果の向き
悪い方向

コホート研究17件・737,002人のまとめで、睡眠が短い人は2型糖尿病のリスク比が1.22だった。

[7]身体活動・座りがち・睡眠と死亡や病気の関連:コホート研究のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
オーストラリア・ニューカッスル大学
掲載誌
Journal of activity, sedentary and sleep behaviors
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究12件を統合
結果の向き
結果が割れている

12件のうち5件を統合した解析で、よく体を動かす人では短い睡眠でも死亡リスクの上昇がはっきりしなかった。

[8]睡眠時間と全死亡:前向き研究の系統的レビューとメタ解析

発表年
2010年
研究機関
イギリス・ウォーリック大学
掲載誌
Sleep
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,382,999人
結果の向き
悪い方向

睡眠時間は質問票で答えたもの。短い睡眠も長い睡眠も死亡リスクが高かった。

ほかに参考にした論文(2本)

判定「悪い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。