[1]トリファロテンはニキビ跡の凹みを減らすか、顔の左右で比べた試験
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- アメリカ・ダームドックス皮膚科センター
- 掲載誌
- Dermatology and therapy
- 研究の種類
- ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
- 対象
- 121人
- 結果の向き
- 良い方向
ニキビとニキビ跡のある121人の顔の左右で比べ、24週後の凹んだ跡の数はトリファロテン側で平均5.9個、基剤側で2.7個減った。

効きます。凹んだニキビ跡の数が減ります。
根拠は処方薬のレチノイドとレチナール入りクリームの研究です。
凹みや色素沈着が気になるなら、研究の条件に近いのは皮膚科で処方薬のレチノイドを相談する方法です。市販のレチノールを使うなら、夜に少量から始め、日焼け止めを併せて使い、刺激の出方を見ながら続けるのが一般に勧められています。深い凹みは、レーザーなど別の治療も皮膚科で相談できます。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 36 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 11.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 82.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 5 本。 この上限により、強度を A から C に下げました。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
レチノールは、ビタミンAの仲間で、化粧品に使われる成分です。肌のターンオーバーを助けるとされ、シワやニキビの悩みに使われます。同じ仲間に、処方薬のアダパレン・トリファロテン・トレチノイン・タザロテンと、化粧品成分のレチナールがあり、まとめて「レチノイド」と呼びます。刺激で赤みや皮むけが出やすいのが注意点です。
答えの中心は、アメリカのダームドックス皮膚科センターなどの研究チームが2023年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、くじ引きで薬の側と基剤の側に分けて比べる方法です。
| 研究の種類 | 顔の左右で比べたランダム化比較試験 |
|---|---|
| 対象 | 17〜34歳の中等度〜重度のニキビとニキビ跡がある121人 |
| 比べたもの | 処方薬のレチノイド(トリファロテン)と、有効成分の入っていない基剤 |
| 結果 | 24週(約6か月)後、凹んだ跡の数はトリファロテンの側で平均5.9個、基剤の側で2.7個減った |
処方薬のレチノイドの試験で、市販のレチノール化粧品そのものではありません。
アダパレンと過酸化ベンゾイルを混ぜた処方薬でも、同じ向きの結果が出ています。67人の試験では、24週後に凹んだ跡の数が配合ジェルの側で15.5%減り、基剤の側では14.4%増えました [2]。31人の試験では、6か月後の跡の数が配合ジェルの側で平均11.58個、基剤の側で13.55個でした [5]。韓国の49人の試験でも、24週後の跡の数は開始時に比べて配合ジェル群で27.3%、基剤群で96.5%でした [6]。ただし、どれも過酸化ベンゾイルが入った薬です。アダパレンだけの効果とは分けられません。
化粧品成分のレチナールでは、ニキビの治療歴がある145人が、レチナール0.1%・グリコール酸6%のクリームか基剤を毎晩3か月塗りました。きちんと塗った人では、跡の全体スコアが基剤より良くなり、主に赤みと色素沈着の改善によるものでした [7]。グリコール酸との配合で、凹みの改善とは言い切れません。
肌の色が濃い人のニキビ跡の色素沈着では、タザロテン0.1%クリームを毎日塗った74人で、18週以内に色素沈着の濃さと広さが基剤より大きく減りました [3]。黒人54人にトレチノイン0.1%クリームを40週間塗った試験では、色の測定で跡が40%薄くなり、基剤では18%でした [4]。こちらはニキビに限らない炎症後の色素沈着です。
一方、トリファロテンの123人の試験では、12週では基剤より色素沈着が改善しましたが、主な評価の24週では差がありませんでした [8]。炎症後の色素沈着の塗り薬を47研究でまとめた系統的レビューでは、質の高い研究が最も多かったのはレチノイド・ヒドロキシ酸・日焼け止めでした [9]。肌の色が濃い人の48研究のレビューは、どの治療も効果ははっきりしないとまとめています [10]。
日本人のニキビの126人の試験では、治療しない群は24週で凹んだ跡が3次元画像で悪化しました。アダパレン・過酸化ベンゾイル配合ジェル群は悪化せず、過酸化ベンゾイル単独の群も同じでした [11]。レチノイドを含まない薬でも同じ結果になるため、跡を増やさない効果がレチノイドによるものかは、この試験では分かりません。
配合ジェル群と過酸化ベンゾイル単独群は悪化せず、治療しない群は悪化しました。
凹んだ跡36人で、タザロテン0.1%ジェルを3か月塗った側とダーマローラーの施術をした側は、6か月後の改善が同じくらいでした。基剤との比較ではありません [12]。ニキビ治療をまとめたコクランの総まとめでは、塗るレチノイドは質の高い系統的レビューが足りず、結論をまとめられませんでした [13]。
試験の条件は、顔の半分ずつに毎日24週間塗る、保湿剤や日焼け止めなどのスキンケアを併せて使う、といったものでした [8]。レチノイドは赤みや皮むけなどの刺激が出ることがあり、日焼け止めの併用が勧められています。妊娠中・授乳中の人や、持病・服薬中の人は、使う前に医師か薬剤師に確認してください。
試験の多くは処方薬で、市販品の濃度や使い方とは違います。迷うときは皮膚科で相談してください。
処方薬のレチノイドとレチナール入りクリームは、凹んだニキビ跡の数を減らし、色素沈着も薄くする結果が出ています。
市販のレチノールそのものを基剤と比べた試験はないため、同じ効果とは言えません。
気になる跡は、処方薬も含めて皮膚科で相談するところから始めましょう。関連する話はレチノールは何%から小ジワに効く?市販品でも効く?、ハイドロキノンでシミや色素沈着は薄くなる?、アゼライン酸はニキビに効く?にあります。
市販のレチノールだけを基剤と比べた試験は、見つかっていません。試験は処方薬のレチノイドと、グリコール酸を混ぜたレチナールのクリームです。同じ効果とは言えません。
凹んだ跡の試験は、24週(約6か月)で評価したものが中心です [[37838987]]。レチナールのクリームの試験は、3か月でした [[17377389]]。人によって違い、研究から「何日で」とは言えません。
試験が調べたのは、凹んだ跡の数や全体スコアです。深い凹みが平らになるかは確かめられていません。タザロテンのジェルは、ダーマローラーの施術と同じくらいの改善でした [[30452511]]。深い跡は皮膚科で相談してください。
ニキビとニキビ跡のある121人の顔の左右で比べ、24週後の凹んだ跡の数はトリファロテン側で平均5.9個、基剤側で2.7個減った。
ニキビの67人で、24週後の凹んだ跡の数は配合ジェル側で15.5%減り、基剤側で14.4%増えた。
肌の色が濃い人のニキビの74人で、タザロテン0.1%クリームを塗ると、18週以内に色素沈着が基剤より大きく減った。
炎症後の色素沈着がある黒人54人で、トレチノイン0.1%クリームを40週間塗ると跡が40%薄くなり、基剤では18%だった。
ニキビの大人31人で、6か月後の凹んだ跡の数は配合ジェル側で平均11.58個、基剤側で13.55個だった。
韓国人49人で、24週後の凹んだ跡の数は配合ジェル群で開始時の27.3%、基剤群で96.5%だった。
ニキビの治療歴がある145人で、レチナール0.1%・グリコール酸6%のクリームを3か月塗ると、きちんと塗った人の跡のスコアが基剤より良くなった。
ニキビと色素沈着がある人で、トリファロテンは12週では基剤より改善したが、主な評価の24週では差がなかった。
炎症後の色素沈着の塗り薬を調べた47研究のまとめで、質の高い研究が最も多かったのはレチノイド・ヒドロキシ酸・日焼け止めだった。
肌の色が濃い人の48研究のまとめで、どの治療も効果ははっきりしないとされた。
日本人のニキビの126人の試験で、治療しない群は凹んだ跡が悪化し、配合ジェル群と過酸化ベンゾイル単独群は悪化しなかった。
凹んだニキビ跡の36人で、タザロテン0.1%ジェルを3か月塗った側と施術をした側の6か月後の改善は同じくらいだった。
コクランの総まとめで、塗るレチノイドは質の高い系統的レビューが足りず、結論をまとめられなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。