[1]アゼライン酸の効果を調べた系統的レビュー
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- イギリス・ダーマティカ臨床研究所
- 掲載誌
- Journal of cosmetic dermatology
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 研究16件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
ニキビの16件の比較試験で、基剤より重症度と全体評価が改善した。

軽症〜中等症のニキビには効きます。研究は15〜20%の医薬品のジェル・クリームでの結果です。
軽症〜中等症のニキビと、主に15〜20%の医薬品のジェル・クリームの話です。
軽症〜中等症のニキビなら、試す価値があります。塗った場所の皮膚の反応は、215人の試験でアゼライン酸を塗った人の35.8%に出ました [4]。重いニキビや長引くニキビは、皮膚科で相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 8.3 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 83.3 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 83 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
アゼライン酸は、小麦や大麦などの穀物にも含まれる酸の一種です。ニキビや赤ら顔(酒さ)、肝斑に良いとされ、海外では医薬品のジェルやクリームとして皮膚科で使われ、国内では化粧品の成分として化粧水や美容液にも配合されています。研究でよく使われるのは、15〜20%のジェルやクリームです。注意点は、塗った場所に皮膚の反応が出ることがあることと、妊娠中や敏感肌の人は使う前に医師や薬剤師に確認することです。
答えの中心は、イギリスのダーマティカ臨床研究所などの研究チームが2023年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果をまとめて評価する方法です。アゼライン酸を6週間以上塗るランダム化比較試験が集められ、そのうちニキビの研究は16件でした。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験を集めた系統的レビュー(全43件のうちニキビは16件) |
|---|---|
| 対象 | ニキビ(尋常性ざ瘡)がある人 |
| 比べたもの | アゼライン酸の塗り薬 / 有効成分のない基剤 |
| 結果 | 全体的な評価とニキビの重症度が改善 |
効果の大きさの数値は、要旨には書かれていません。
大きさのめやすになるのは、個別の試験です。2007年にイランで行われた二重盲検の試験では、軽症〜中等症のニキビの60人が、20%のアゼライン酸ジェルか偽薬を45日間使いました。ニキビの総数はアゼライン酸で60.6%、偽薬で19.9%減りました [2]。基剤だけでも約2割は減っていた点は、結果を読むときの目安になります。
アゼライン酸は、ニキビのほかに毛穴・赤ら顔・美白にも良いと言われます。研究で確かめられているかを、主張ごとに見ます。
アゼライン酸を含む6種の塗り薬を集めたコクラン・レビュー(49件・3880人)では、本人の評価で、アゼライン酸は過酸化ベンゾイルよりおそらく効果が劣り、トレチノインとはおそらくほとんど差がありませんでした [3]。どちらも根拠の確実性は中程度です。
4週後の炎症のあるニキビの減り方は、配合剤で中央値52.6%、20%アゼライン酸で38.8%でした [4]。
一方、15%ゲルと5%過酸化ベンゾイルを比べた試験の統合結果では、炎症のあるニキビの減り方は同程度でした [11]。この試験は、人数(351人)から、コクラン・レビューが取り上げた試験と同じとみられます。比べる相手・濃度・評価の方法で見え方が変わります。ここで見た試験に、アゼライン酸が定番の薬を上回った結果はありません。偽薬よりは効き、定番の薬と同程度か、やや劣る結果が多い、というのが研究にもとづく見方です。
化粧水や美容液に近い製品での試験は、ここで確認できた範囲では小さなものだけです。どちらもアゼライン酸だけの効果ではありません。
どちらの試験も、アゼライン酸の濃度や単独の効果は分かりません。医薬品の結果を化粧品に当てはめることも、化粧品の結果を成分の効果と読むこともできません。
研究で使われたのは、主に15〜20%のジェルやクリームです。化粧水や美容液は濃度や処方が違うため、結果をそのまま当てはめられません。2024年の米国のニキビ診療ガイドラインでも、アゼライン酸の塗り薬は「条件付きの推奨」で、過酸化ベンゾイルなどの「強い推奨」より一段弱い扱いです [14]。妊娠中の人、敏感肌の人、ほかの治療薬を使っている人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。
医薬品の濃度での結果を、化粧品の結果として読み替えないでください。
アゼライン酸の塗り薬は、軽症〜中等症のニキビを偽薬より改善し、酒さや肝斑にも研究があります。
当てはまるのは医薬品の濃度での結果で、化粧品や毛穴の目立ちは研究が足りません。
まず皮膚科や薬剤師に相談し、肌に合うか見ながら使いましょう。
研究では確かめられていません。調べられたのは主に15〜20%のジェルやクリームで、化粧水・美容液の濃度や処方とは異なります。化粧品の試験は小さなものが二つあるだけで、アゼライン酸以外の成分も入っています。
コクラン・レビューでは、本人の評価でおそらく劣っていました [[32356369]]。ただし15%ゲルと5%過酸化ベンゾイルの試験では、炎症のあるニキビの減り方は同程度でした [[16281587]]。
研究では確かめられていません。試験は4週後(215人)[[26915831]]や45日間(60人)[[17456913]]などで評価しており、何日で効くとは言えません。
ニキビの16件の比較試験で、基剤より重症度と全体評価が改善した。
60人で、ニキビの総数が20%ジェルで60.6%、偽薬で19.9%減った。
49件・3880人の分析で、過酸化ベンゾイルよりおそらく劣り、トレチノインとはほぼ差がなかった。
215人で、4週後の炎症のあるニキビの減り方は配合剤が大きかった。
丘疹膿疱型の酒さで、本人の評価による改善はアゼライン酸のほうが偽薬より1.46倍多かった。
肝斑の673人(6件)で、重症度のスコアはハイドロキノンより平均1.23点低かった。
東南アジア系の女性の日光によるシミで、20%アゼライン酸の製剤は効果がみられなかった。
ニキビの65人で、アゼライン酸を塗ると皮脂の量が13.9〜15.2%減った。
ニキビのある若い女性120人で、アゼライン酸のピーリング後に脂っぽさは減ったが、ピルビン酸のほうが大きく減った。
大人の女性55人で、改善はアダパレンと同程度で、乾燥や皮むけはアゼライン酸のほうが少なかった。
過酸化ベンゾイルやクリンダマイシンと同程度に効いた。
ニキビ治療後の成人女性で、アゼライン酸とギンバイカエキスを配合した化粧品は再発が3人、保湿クリームは8人だった。
大人37人で、12週後のニキビの減り方は3ステップが36%、過酸化ベンゾイルが40%で、有意な差はなかった。
アゼライン酸の塗り薬は条件付きの推奨とされた。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。