アゼライン酸はニキビに効く?

アゼライン酸はニキビに効く?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

軽症〜中等症のニキビには効きます。研究は15〜20%の医薬品のジェル・クリームでの結果です。

根拠

ニキビの比較試験16件をまとめた系統的レビューで、アゼライン酸の塗り薬は、有効成分のない基剤よりニキビの重症度と全体的な評価を改善しました [1]。60人の二重盲検試験では、ニキビの総数が20%ジェルで60.6%、偽薬で19.9%減っています [2]。ほかの塗り薬との比べ方では、結果が分かれます [3]。

この答えの範囲

軽症〜中等症のニキビと、主に15〜20%の医薬品のジェル・クリームの話です。

じゃあ、どうする?

軽症〜中等症のニキビなら、試す価値があります。塗った場所の皮膚の反応は、215人の試験でアゼライン酸を塗った人の35.8%に出ました [4]。重いニキビや長引くニキビは、皮膚科で相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 83 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量8.320研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 83.3 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 83 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

アゼライン酸とは

アゼライン酸は、小麦や大麦などの穀物にも含まれる酸の一種です。ニキビや赤ら顔(酒さ)、肝斑に良いとされ、海外では医薬品のジェルやクリームとして皮膚科で使われ、国内では化粧品の成分として化粧水や美容液にも配合されています。研究でよく使われるのは、15〜20%のジェルやクリームです。注意点は、塗った場所に皮膚の反応が出ることがあることと、妊娠中や敏感肌の人は使う前に医師や薬剤師に確認することです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イギリスのダーマティカ臨床研究所などの研究チームが2023年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果をまとめて評価する方法です。アゼライン酸を6週間以上塗るランダム化比較試験が集められ、そのうちニキビの研究は16件でした。

研究の種類ランダム化比較試験を集めた系統的レビュー(全43件のうちニキビは16件)
対象ニキビ(尋常性ざ瘡)がある人
比べたものアゼライン酸の塗り薬 / 有効成分のない基剤
結果全体的な評価とニキビの重症度が改善
まとめて分析した結果アゼライン酸は、基剤よりニキビの重症度と全体的な評価を改善していました [1]。

効果の大きさの数値は、要旨には書かれていません。

大きさのめやすになるのは、個別の試験です。2007年にイランで行われた二重盲検の試験では、軽症〜中等症のニキビの60人が、20%のアゼライン酸ジェルか偽薬を45日間使いました。ニキビの総数はアゼライン酸で60.6%、偽薬で19.9%減りました [2]。基剤だけでも約2割は減っていた点は、結果を読むときの目安になります。

よく言われていることは本当?

アゼライン酸は、ニキビのほかに毛穴・赤ら顔・美白にも良いと言われます。研究で確かめられているかを、主張ごとに見ます。

  • ニキビを改善する確かめられています。 上で見た16件のまとめのとおりです [1]。
  • 赤ら顔(酒さ)の赤みやブツブツを抑える確かめられています。 酒さ20件のまとめでは、赤みの重さも偽薬より改善していました [1]。ブツブツの出る型の酒さでは、本人が改善したと感じた人が偽薬の1.46倍で、根拠の質は高いとされました(試験4件) [5]。
  • 肝斑(かんぱん)を薄くする確かめられています。 肝斑の6件・673人のまとめでは、美白剤のハイドロキノンと比べて、重症度のスコアが平均1.23点低くなりました。改善の判定と副作用には差がありませんでした [6]。ハイドロキノン側の研究はハイドロキノンでシミや色素沈着は薄くなる?で扱っています。ただし研究の中心は肝斑で、ニキビ跡の色素沈着だけを調べた試験は見つかりません。日光によるシミでは、小規模な試験で効果がみられませんでした [7]。
  • 皮脂を抑えてテカリを防ぐ小さな研究がある段階です。 ニキビの65人の試験(アゼライン酸の群は25人)では、塗ったあと皮脂が13.9〜15.2%減りました [8]。ただ、群どうしの統計的な比較は要旨にありません。ピーリングの試験でも脂っぽさは減りましたが、ピルビン酸のほうが大きく減りました [9]。
  • 毛穴の目立ちを改善する研究が見つかりません。 毛穴の目立ちを結果として報告した研究は、検索では確認できませんでした。
  • 刺激が少なく使いやすい比べる相手しだいです。 大人の女性55人の試験では、アダパレンより乾燥や皮むけが少なく [10]、15%ジェルの統合結果では、刺激感が過酸化ベンゾイルより少なく、クリンダマイシンより多い結果でした [11]。一方、ニキビの215人の試験では、皮膚の反応はアゼライン酸で35.8%、配合剤で15.7%でした [4]。

ほかの塗り薬と比べると、結果は分かれます

アゼライン酸を含む6種の塗り薬を集めたコクラン・レビュー(49件・3880人)では、本人の評価で、アゼライン酸は過酸化ベンゾイルよりおそらく効果が劣り、トレチノインとはおそらくほとんど差がありませんでした [3]。どちらも根拠の確実性は中程度です。

過酸化ベンゾイル配合剤に劣った試験12〜45歳の軽症〜中等症のニキビの215人

4週後の炎症のあるニキビの減り方は、配合剤で中央値52.6%、20%アゼライン酸で38.8%でした [4]。

一方、15%ゲルと5%過酸化ベンゾイルを比べた試験の統合結果では、炎症のあるニキビの減り方は同程度でした [11]。この試験は、人数(351人)から、コクラン・レビューが取り上げた試験と同じとみられます。比べる相手・濃度・評価の方法で見え方が変わります。ここで見た試験に、アゼライン酸が定番の薬を上回った結果はありません。偽薬よりは効き、定番の薬と同程度か、やや劣る結果が多い、というのが研究にもとづく見方です。

化粧品の試験はある?

化粧水や美容液に近い製品での試験は、ここで確認できた範囲では小さなものだけです。どちらもアゼライン酸だけの効果ではありません。

  • ニキビの治療後の成人女性が16週間使った試験(化粧品26人・保湿クリーム27人)では、再発した人は、アゼライン酸とギンバイカエキスを配合した化粧品で3人、保湿クリームで8人でした。ただし全体の評価に有意な差はありませんでした [12]。
  • アゼライン酸・サリチル酸・レチノールを使う3ステップのスキンケアと、市販の過酸化ベンゾイルのスキンケアを、顔の左右で比べた試験(大人37人、最後まで参加したのは21人)では、12週後のニキビの減り方は36%と40%で、有意な差はありませんでした [13]。

どちらの試験も、アゼライン酸の濃度や単独の効果は分かりません。医薬品の結果を化粧品に当てはめることも、化粧品の結果を成分の効果と読むこともできません。

02注意点

研究で使われたのは、主に15〜20%のジェルやクリームです。化粧水や美容液は濃度や処方が違うため、結果をそのまま当てはめられません。2024年の米国のニキビ診療ガイドラインでも、アゼライン酸の塗り薬は「条件付きの推奨」で、過酸化ベンゾイルなどの「強い推奨」より一段弱い扱いです [14]。妊娠中の人、敏感肌の人、ほかの治療薬を使っている人は、使う前に医師や薬剤師に確認してください。

研究の濃度と、手元の製品を分けて考える

医薬品の濃度での結果を、化粧品の結果として読み替えないでください。

03まとめ

アゼライン酸の塗り薬は、軽症〜中等症のニキビを偽薬より改善し、酒さや肝斑にも研究があります。
当てはまるのは医薬品の濃度での結果で、化粧品や毛穴の目立ちは研究が足りません。
まず皮膚科や薬剤師に相談し、肌に合うか見ながら使いましょう。

04よくある質問

Q美容液や化粧水でも同じように効きますか?

研究では確かめられていません。調べられたのは主に15〜20%のジェルやクリームで、化粧水・美容液の濃度や処方とは異なります。化粧品の試験は小さなものが二つあるだけで、アゼライン酸以外の成分も入っています。

Q過酸化ベンゾイルより効きますか?

コクラン・レビューでは、本人の評価でおそらく劣っていました [[32356369]]。ただし15%ゲルと5%過酸化ベンゾイルの試験では、炎症のあるニキビの減り方は同程度でした [[16281587]]。

Q効果はいつから出ますか?

研究では確かめられていません。試験は4週後(215人)[[26915831]]や45日間(60人)[[17456913]]などで評価しており、何日で効くとは言えません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]アゼライン酸の効果を調べた系統的レビュー

発表年
2023年
研究機関
イギリス・ダーマティカ臨床研究所
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究16件を統合
結果の向き
良い方向

ニキビの16件の比較試験で、基剤より重症度と全体評価が改善した。

[2]軽症〜中等症のニキビへのアゼライン酸ジェルの試験

発表年
2007年
研究機関
イラン・イスファハン医科大学
掲載誌
Indian journal of dermatology, venereology and leprology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
60人
結果の向き
良い方向

60人で、ニキビの総数が20%ジェルで60.6%、偽薬で19.9%減った。

[3]ニキビに対する6種の塗り薬のコクラン・レビュー

発表年
2020年
研究機関
中国・南京大学医学院金陵病院
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,880人
結果の向き
結果が割れている

49件・3880人の分析で、過酸化ベンゾイルよりおそらく劣り、トレチノインとはほぼ差がなかった。

[4]過酸化ベンゾイル配合剤と20%アゼライン酸の比較試験

発表年
2016年
研究機関
ドイツ・テュービンゲン大学
掲載誌
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology : JEADV
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
215人
結果の向き
悪い方向

215人で、4週後の炎症のあるニキビの減り方は配合剤が大きかった。

[5]酒さの治療のランダム化比較試験を集めたコクラン・レビュー

発表年
2015年
研究機関
オランダ・ライデン大学医療センター
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
13,631人
結果の向き
良い方向

丘疹膿疱型の酒さで、本人の評価による改善はアゼライン酸のほうが偽薬より1.46倍多かった。

[6]肝斑に対するアゼライン酸とハイドロキノンの比較のメタ解析

発表年
2023年
研究機関
エジプト・アレクサンドリア大学
掲載誌
Cureus
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
673人
結果の向き
良い方向

肝斑の673人(6件)で、重症度のスコアはハイドロキノンより平均1.23点低かった。

[7]老人性のシミに美白化粧品が効くかを調べた予備的な試験

発表年
2002年
研究機関
ベルギー・リエージュ大学病院
掲載誌
Dermatology (Basel, Switzerland)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

東南アジア系の女性の日光によるシミで、20%アゼライン酸の製剤は効果がみられなかった。

[8]ニキビの3つの塗り薬の皮脂を抑える働きと効果の比較

発表年
2007年
研究機関
イタリア・ウーディネ大学
掲載誌
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology : JEADV
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
65人
結果の向き
差なし

ニキビの65人で、アゼライン酸を塗ると皮脂の量が13.9〜15.2%減った。

[9]アゼライン酸とピルビン酸のピーリングの比較試験

発表年
2020年
研究機関
ポーランド・オポーレ大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
120人
結果の向き
結果が割れている

ニキビのある若い女性120人で、アゼライン酸のピーリング後に脂っぽさは減ったが、ピルビン酸のほうが大きく減った。

[10]大人の女性のニキビで、アゼライン酸ジェルとアダパレンを比べた試験

発表年
2015年
研究機関
ドイツ・オットー・フォン・ゲーリケ大学マグデブルク
掲載誌
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology : JEADV
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
55人
結果の向き
差なし

大人の女性55人で、改善はアダパレンと同程度で、乾燥や皮むけはアゼライン酸のほうが少なかった。

[11]15%アゼライン酸ジェルの2件の比較試験の統合結果

発表年
2004年
研究機関
ドイツ・マグデブルク大学
掲載誌
Journal der Deutschen Dermatologischen Gesellschaft = Journal of the German Society of Dermatology : JDDG
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

過酸化ベンゾイルやクリンダマイシンと同程度に効いた。

[12]アゼライン酸を含む化粧品で、ニキビ治療後の再発を調べた試験

発表年
2023年
研究機関
ブラジル・サンパウロ連邦大学
掲載誌
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology : JEADV
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

ニキビ治療後の成人女性で、アゼライン酸とギンバイカエキスを配合した化粧品は再発が3人、保湿クリームは8人だった。

[13]アゼライン酸などを使う3ステップのスキンケアと過酸化ベンゾイルの比較試験

発表年
2024年
研究機関
アメリカ・ノースウェスタン大学
掲載誌
Archives of dermatological research
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
37人
結果の向き
差なし

大人37人で、12週後のニキビの減り方は3ステップが36%、過酸化ベンゾイルが40%で、有意な差はなかった。

[14]尋常性ざ瘡の診療ガイドライン

発表年
2024年
研究機関
アメリカ・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター
掲載誌
Journal of the American Academy of Dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

アゼライン酸の塗り薬は条件付きの推奨とされた。

ほかに参考にした論文(20本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。