[1]肝斑に対するトラネキサム酸の投与方法を比べたメタ解析
- 発表年
- 2024年
- 研究機関
- インド・N.H.L.市立医科大学
- 掲載誌
- Indian dermatology online journal
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究28件を統合
- 結果の向き
- 差なし
RCT28件のメタ解析で、塗る方法は比べた治療との間に肝斑の改善の差がなかった。

塗ると肝斑は使う前より薄くなりますが、基剤やほかの治療に上乗せして効くことは確認されていません。
肝斑の話です。
塗って薄くなる人はいますが、塗るだけで効く保証はありません。肝斑が気になるなら、日焼け止めで悪化を防ぎつつ、皮膚科で飲む治療を含めて相談しましょう [3]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 9.8 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 19 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 2 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 80.8 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 81 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
トラネキサム酸は、もともと出血を抑える薬として使われてきた成分です。メラニン(シミの色のもと)が作られる流れを抑えるとされ、日本では飲み薬のほか、美白をうたう医薬部外品(薬用化粧品)にも配合されています。肝斑(顔の左右に出る、もやのようなシミ)の治療では、飲む・塗る・皮内注射など使い方が複数あります。注意点は、飲み薬は血栓のある人などで使えないことです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、インドのN.H.L.市立医科大学などの研究チームが2024年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ種類の研究の結果を集めて数字でまとめる方法です。肝斑の人を対象に、飲む・塗る・皮内注射のトラネキサム酸を比べたRCT28件がまとめられました。
| 研究の種類 | RCT(ランダム化比較試験)28件のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 肝斑のある人 |
| 比べたもの | 飲む・塗る・皮内注射のトラネキサム酸と、通常の治療や基剤 |
| 結果 | 塗る方法は、8週でも12週でも改善の差が確かめられなかった |
飲む方法では上回った一方、塗る方法と皮内注射では上回りませんでした [2]。
ここでの「効かない」は、塗っても無駄という意味ではありません。使う前と比べれば薄くなる人が多く、塗り薬45件・2359人をまとめた解析では、塗るトラネキサム酸は使う前より肝斑が改善し、改善の大きさはハイドロキノンと同じくらいでした [4]。ただしこれは使う前後の比較で、偽薬との比較ではありません。基剤を塗るだけでも薄くなる分があるため、「トラネキサム酸だから薄くなった」とは言い切れない、という結果です。
投与方法を比べたネットワークメタ解析では、塗るトラネキサム酸はプラセボ(有効成分のない薬)と比べて8週目から改善に差が出ました [5]。研究によって比べる相手が違うため、結論が割れています。まとめると、プラセボよりは良いが、基剤やほかの治療を上回るとは言えない、という位置づけです。
基剤と薄くなり方に差がなく、塗った側に赤みが出ました [6]。
肝斑の女性50人を、飲むグループと塗るグループ(5%クリームを1日2回)に分けた12週の試験では、肝斑の指標は飲むグループで58.86%、塗るグループで50.88%下がり、両者の差は統計的に意味のあるものではありませんでした [7]。一方、複数の試験をまとめた解析では、肝斑の改善の大きさは飲む方法、注射、塗る方法の順でした [3]。飲む方法は効き始めも早く、塗る方法では8週目からでした [5]。飲む方法はトラネキサム酸はシミや肝斑に効く?で扱っています。
ナイアシンアミド2%とトラネキサム酸2%を配合したクリームを8週塗った韓国の42人の試験では、基剤より顔の色むらが目立たなくなりました [9]。ただし、筆頭著者の所属は企業の研究所で、配合品の試験です。トラネキサム酸だけの効果は分けられないため、参考として見てください。
研究で使われた濃度は、多くが5%や10%などの医薬品に近いものでした。たとえば肝斑の女性23人の試験では、5%のゲルを日焼け止めと一緒に12週塗り、塗った側に赤みが出ました [6]。一方、塗り薬の解析では、トラネキサム酸で皮膚の刺激が出た割合は0.8%と低めでした [4]。赤み・かゆみが出たら使用を中止し、皮膚科で相談してください。持病や服薬がある人、妊娠中の人は、医師や薬剤師に確認してください。
シミにはいくつか種類があり、種類で治療が変わります。皮膚科で診断を受けると、無駄が減ります。
塗るトラネキサム酸で肝斑は使う前より薄くなりますが、基剤やほかの治療に上乗せして効くことは確認されていません。
日本の化粧品の濃度やそばかす、ニキビ跡については、研究が足りません。
肝斑が気になるときは、日焼け止めで悪化を防ぎつつ、皮膚科に相談しましょう。
無駄とは言えません。使う前より薄くなる人は多くいます [[36566490]]。ただ、基剤やほかの治療を上回る効果は確認されていません [[38283017]]。
研究では確かめられていません。塗るトラネキサム酸で新しいシミを防げるかを調べた比較試験は見つかっていません。日焼け止めのほうは[日焼け止めでシミ・シワは防げる?](/evidence/sunscreen-photoaging)で扱っています。
塗り薬45件の解析では、トラネキサム酸の改善の大きさはハイドロキノンと同じくらいでした [[36566490]]。[ハイドロキノンでシミや色素沈着は薄くなる?](/evidence/hydroquinone-pigmentation)や[ビタミンC美容液はシミに効く?](/evidence/vitamin-c-topical-skin)も参考になります。
RCT28件のメタ解析で、塗る方法は比べた治療との間に肝斑の改善の差がなかった。
RCT24件のメタ解析で、塗る方法は通常の治療を上回る改善が確かめられなかった。
改善の大きさは飲む方法、注射、塗る方法の順だった。
塗り薬45件のメタ解析で、塗るトラネキサム酸は使う前より肝斑が改善した。
塗る方法はプラセボと比べて8週目から差が出た。飲む方法は4週目から。
女性23人で、5%ゲルは基剤と薄くなり方に差がなく、塗った側に赤みが出た。
女性50人の12週の試験で、飲む方法と塗る方法の差は統計的に意味がなかった。
10%の美容液で、4週目から炎症のあるニキビの数がプラセボ側より少なくなった。
2%ナイアシンアミドと2%トラネキサム酸の配合クリームで、8週後に色むらが目立たなくなった。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。