[1]肝斑治療のエビデンスに基づく総説
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- アメリカ・テキサス大学サウスウェスタン医療センター
- 掲載誌
- American journal of clinical dermatology
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 6,897人
- 結果の向き
- 良い方向
肝斑の比較試験113件・6897人をまとめ、ハイドロキノン単独と三つの成分を組み合わせたクリームが最も効果がある治療とされました。

肝斑は薄くなります。配合クリームなら、単独より薄くなった人が多いです。
肝斑(かんぱん)の話です。日光によるシミは小さな試験が中心です。くすみには効きません。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.6 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「非常に低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ハイドロキノンは、肌の色のもとになるメラニンがつくられる働きを抑えるとされる成分です。シミを薄くするとされ、ハイドロキノンだけの塗り薬や化粧品のほか、トレチノインとステロイドを加えた3剤配合クリームがあります。注意点は、赤みやかぶれなどの刺激が出ることがあること、長く使うと色素が残る例が報告されていることです。
答えの中心は、アメリカのテキサス大学サウスウェスタン医療センターなどの研究チームが2020年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。2018年までに発表された、肝斑の治療を調べた比較試験113件・6897人が集められました。
| 研究の種類 | 肝斑の治療を調べた比較試験の系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | 肝斑のある人(113件・6897人) |
| 比べたもの | ハイドロキノン単独、3剤配合クリーム、ケミカルピーリング、レーザー・光治療など |
| 結果 | ハイドロキノン単独と3剤配合クリームが、最も効果があり最もよく研究された治療 |
評価者に治療内容を伏せたランダム化比較試験36件だけを集めた2022年の解析も、ハイドロキノンは肝斑を薄くすると結論しています [2]。
塗る薬全体を調べた45件・2359人のメタ解析(治療の前後を見たもの)でも、ハイドロキノン単独で重症度のスコアは下がりました(標準化平均差 -1.3)[6]。
3剤配合クリーム(ハイドロキノン・トレチノイン・ステロイド)は、2010年のコクランレビュー(20件・2125人)で、ハイドロキノン単独より肝斑が薄くなった人が多いとされました(この比較のリスク比1.58、95%信頼区間1.26〜1.97)。ただしレビュー自身は、研究の質が全体に低いと評価しています [3]。
実際の数字では、中国の233人の試験で、手順を守った人の総合的な有効率が配合クリームで68.57%、プラセボで0.94%でした [7]。ただし、肝斑が完全に消える人は一部です。 641人の試験では、8週間後に完全に消えた人は3剤配合で26.1%、二つの成分の組み合わせで4.6%でした [8]。
59件のランダム化比較試験を使った2021年のネットワークメタ解析では、プラセボと比べた効果の順位で、14の治療のうちハイドロキノン単独は下位でした。上位はレーザーや、3つの成分を組み合わせたクリームでした [9]。
プラセボと比べた順位は下位で、副作用はハイドロキノンで18.2%に出ました。
副作用も報告されています。肝斑のある30人を2群に分けた2003年の試験では、ハイドロキノン4%を夜に3か月塗った群で76.9%の改善が見られた一方、25%に副作用が出ました [4]。3剤配合クリームを8週間塗った233人の試験では、30.1%に副作用が出ましたが、ほとんどは軽いものでした [7]。
長く使う場合は、顔に青黒い色素が残る外因性組織褐変症にも注意が必要です。56件・126人の症例報告をまとめたレビューでは、4%を超える濃度や3か月を超える使用と関連しうるとされました [5]。持病や服薬がある人、使い方に迷う人は、皮膚科の医師や薬剤師に確認してください。
4%を超える濃度や3か月を超える使用は、自己判断で続けず、皮膚科で相談しましょう。
肝斑にはハイドロキノンが効きますが、ほかの美白成分より何倍も効くわけではありません。
3剤配合クリームは単独より薄くなった人が多く、日光のシミは小さな試験が中心で、ニキビ跡は研究が足りず、くすみには効きません。
使うなら研究の濃度と期間を目安にし、迷ったら皮膚科へ。ほかの選択肢はトラネキサム酸はシミ(肝斑)に効く?もどうぞ。
研究では、8週間から3か月ほど塗って効果を評価した試験が多くありました [[25265986]] [[12709008]]。何週間で薄くなるかは、研究では確かめられていません。
試験で多く使われたのは4%で、2%の試験もありました [[12709008]] [[12941090]]。濃度ごとの効き方の違いは、研究では確かめられていません。
PubMed の検索では、脇・デリケートゾーン・乳首の黒ずみが薄くなることを示した試験は見つかりませんでした。使う前に皮膚科で相談してください。
肝斑の比較試験174件を整理した系統的レビューでは、日焼け止めもハイドロキノンと同じ最も高い推奨とされました [[38099013]]。手の甲のシミの50人の試験では、試験の最後には日焼け止めだけの群でもシミの数が減っていました [[24684165]]。
肝斑の比較試験113件・6897人をまとめ、ハイドロキノン単独と三つの成分を組み合わせたクリームが最も効果がある治療とされました。
評価者に治療内容を伏せたRCT36件で、ハイドロキノンは肝斑を薄くすると結論。確実性は比較によってばらつきます。
20件・2125人のうち、三つの成分を組み合わせたクリームはハイドロキノン単独より肝斑が薄くなった人が多い結果(リスク比1.58)でした。研究の質は全体に低い評価です。
肝斑の30人の試験で、ハイドロキノン4%の群は76.9%の改善を示し、25%に副作用が出ました。
症例報告56件・126人で、4%を超える濃度や3か月を超える使用と関連しうるとされました。
塗る薬全体で45件・2359人。ハイドロキノン単独は治療前より重症度スコアが下がりました(標準化平均差 -1.3)。対照群との比較ではありません。
中等症〜重症の肝斑の233人で、配合クリームの有効率は68.57%、プラセボは0.94%でした。
641人で、8週間後に肝斑が完全に消えた人は三つの成分を組み合わせたクリームで26.1%、二つの成分の組み合わせで4.6%でした。
59件のRCTで、プラセボと比べた順位は14の治療のうちハイドロキノン単独が下位でした。
30人で、2%を塗った腕の日光によるシミは薄くなり、塗らなかった腕は変わりませんでした。
光治療を受けた36人で、併用した人はプラセボより色素沈着のスコアが低い結果でした。
50人で、最初の2週間はシミの数が減ったのは配合クリームの群だけでしたが、最後には日焼け止めだけの群も減っていました。
48件・1356人で、ハイドロキノンは効果が低めの治療とされ、どの治療もはっきりした効果は示されませんでした。
RCT7件で、システアミン5%とハイドロキノン4%の肝斑への効果に有意な差はなく、副作用の頻度も同程度でした。
6件・673人で、重症度の点数はアゼライン酸が1.23点低く、副作用には差がありませんでした。
アジア人女性51人で、ハイドロキノン2%は機器で測ったメラニン量を有意に下げませんでした。
ハイドロキノン4%とレチノール0.3%の配合クリームは、トレチノイン0.05%クリームより色むらなどを減らしました。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。