レチノールは何%から小ジワに効く?市販品でも効く?

レチノールは何%から小ジワに効く?市販品でも効く?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.01
答え低い濃度でも効く

市販品に多い0.1%前後の濃度でも、小ジワに効きます。濃度を上げても、効果に差は見つかっていません。

根拠

顔の光老化に塗る成分を比べたネットワークメタ解析(RCT23件・3905人)で、レチノールは小ジワを有意に改善しました [1]。日本人の中年女性57人が0.075%を26週塗った試験では、小ジワが改善した人が50%(プラセボ側24%)でした [2]。0.1%を8週塗った試験でも、プラセボより改善しています [3]。濃度どうしを比べた試験は小さく、0.15%と0.3%でも差は見られませんでした [4]。一方、市販品の二重盲検RCT9件を見直したレビューは、4件は差なし、残りも方法に大きな問題があり、良い結果の信頼性にも疑問が残ると結論しています [5]。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

主に目尻などの細かい小ジワの話です。濃度を比べた試験は小さく、レチナールの試験も含みます。特定の商品の効果は評価していません。

じゃあ、どうする?

試す価値があります。選ぶときの条件は次の3つです。

  • 濃度は0.075〜0.1%前後。この濃度で効いた試験があります [2] [3]
  • 続ける期間は8週以上。効果を見た試験は8週から26週です [3] [2]
  • 高い濃度を選んでも効果が大きくなる根拠はなく、赤みなどの刺激が増えた試験があります [6]

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。12 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量18.220研究件数と参加人数
一致度18.725結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 86.9 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

レチノールとは

レチノールは、ビタミンAの一種で、肌の中でレチノイン酸に変わって働くと考えられている成分です。小ジワなど肌の老化を和らげるとされ、化粧品に使われるのはレチノールやレチナールなどで、表示の%は製品に含まれるレチノールの割合です。医薬品のトレチノイン(レチノイン酸)は処方箋が必要ですが、レチノールは処方箋なしで使え、作用はより穏やかとされています [7] [2]。注意点は、赤みなどの刺激が出ることがあることと、妊娠中や授乳中は医師や薬剤師に確認が必要なことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、中国の中山大学などの研究チームが2025年に発表したネットワークメタ解析です [1]。ネットワークメタ解析とは、複数の成分を比べた試験をまとめて、成分どうしの効き方を並べる方法です。光老化は、日光による肌の老化のことです。

研究の種類顔の光老化に塗る成分を比べたネットワークメタ解析
対象顔の光老化がある人(RCT23件・3905人)
比べたものレチノール、トレチノイン、イソトレチノインなどの塗る成分
結果レチノールは小ジワを有意に改善した
まとめて分析した結果レチノールは小ジワを有意に改善しました [1]。

人数はレビュー全体の数で、濃度は書かれていないため、濃度ごとの試験を次に見ます。

何%から効く?

濃度ごとの試験では、低めの濃度で効いています。

  • 0.075%: 日本人の中年女性57人が26週塗り、小ジワが改善した人は50%(プラセボ側は24%)でした [2]
  • 0.1%: 8週で、プラセボよりシワやハリなどが改善しました [3]。48人の9か月の試験でも、目の下のシワや小ジワが改善しています [8]
  • 0.04%: 13週の別の試験では、小ジワの改善は0.075%より控えめでした [2]

0.04%は期間も短い別の試験で、濃度だけの違いとは言えません。0.002%の美容液を56日使った試験では、目尻のシワの面積と額のシワは減りましたが、目尻のシワの数やきめは減りませんでした [9]。何%からという境目を、濃度を段階的に変えて調べた試験は見つかっていません。

濃度を上げると、もっと効く?

濃度を直接比べた試験では、効果に差が見つかっていません。

  • 0.15%と0.3%を顔の左右に8週塗った試験: 左右の差は見られませんでした [4]
  • 0.3%と0.5%を左右で比べた37人の試験: どちらの側もシワやしみが徐々に減りました [10]
  • レチノールの仲間のレチナールの0.1%と0.05%を比べた40人の3か月の試験: どちらも改善し、差はありませんでした [11]
  • 0.104%と0.247%を比べた28人の12週の試験: 使った人の評価で効果は同程度でした。0.247%はなめらかさが上で、赤みも多くなりました [6]

どの試験も小さく、「差がない」と証明されたわけではありません。

市販品の試験は信頼できる?

市販品の試験を見直したレビュー市販のレチノール製品とプラセボを比べた二重盲検RCT9件 [5]

4件は差がなく、残り5件も小ジワへの弱い根拠で、方法に大きな問題がありました。

レビューは、良い結果の信頼性にも疑問が残ると結論しています [5]。0.1%の2本の試験は、企業に所属する研究者が行ったものです [3] [8]。低い濃度で効いたという結果と、市販品の試験の質の問題は、並べて読む必要があります。

よく言われていることは本当?

  • 市販の低濃度でもシワに効く小ジワへの効果を示した試験があります [1]。 ただし市販品の試験の質には問題があります [5]
  • 濃度が高いほど効果が高い研究では、差が見つかっていません [4] [11]
  • 濃度が高いほど刺激が出やすい増えた試験があります。 0.5%の側は症状が多く強く [10]、0.247%の側は赤みが多くなりました [6]。一方、0.15%と0.3%の試験 [4] や0.5%の8週の試験 [12] では、刺激はわずかでした
  • メーカーの試験で効果が確かめられている根拠は弱いです。 市販品の試験は、方法に大きな問題がありました [5]
  • 濃度より処方や安定性が大事同じ濃度で処方だけを変えて比べたヒトの試験は、見つかっていません

02注意点

刺激は、濃度が高い側で増えた試験があります [10] [6]。0.075%を26週塗った試験でも、57人中3人が刺激で途中でやめています [2]。0.104%と0.247%を比べた試験の著者は、使い始めには0.104%のほうが効果と刺激の釣り合いが良いとまとめています [6]。妊娠中や授乳中の人、持病や服薬がある人、赤みやヒリヒリが続く人は、皮膚科の医師や薬剤師に確認してください。

高い濃度を選ぶ前に、低い濃度で効いた試験を思い出す

濃度を上げて効果が大きくなる根拠はなく、刺激が増えた試験があります。

03まとめ

レチノールは、0.075%や0.1%の低い濃度でも小ジワに効いた試験があります。
濃度を上げても効果に差は見つかっておらず、市販品の試験には方法の問題が多いことも頭に入れておきましょう。
まずは低い濃度を8週以上続け、赤みが続くときは医師や薬剤師に相談しましょう。

04よくある質問

Q0.5%や1%のほうが効きますか?

0.3%と0.5%を左右で比べた試験では、どちらの側もシワが徐々に減りました [[32428912]]。0.5%と1%を直接比べた試験は見つかっていません。1%は、対照のない小さな予備試験で多くの人が改善しています [[23652947]]。高い濃度のほうが効くとは確かめられていません。

Qどのくらいで効果が出ますか?

0.1%の保湿剤の試験では、プラセボとの差の多くは4週の時点で見られ、8週まで改善が進みました [[19852122]]。

Q初めてなら何%から始めればいいですか?

初めての人だけで濃度を比べた試験はありません。先に見た試験では、0.075%や0.1%で効いており [[20078381]] [[19852122]]、0.04%の試験では刺激がわずかでした [[20078381]]。使い慣れていない人や肌が敏感な人は、低い濃度から始めて赤みが出ないかを見る進め方が、試験の結果に合っています。

Q処方薬のトレチノインと比べて、効き目は弱いですか?

レチノールは、トレチノインより作用がおだやかとされています [[20078381]]。ただ、0.25%・0.5%・1.0%のレチノールを、対応する濃度のトレチノインと顔の左右で比べた65人の12週の試験では、小ジワなどの改善に差はありませんでした [[25607905]]。ゆっくり放出する特別な処方の製品の試験なので、一般の市販品にそのまま当てはまるとは限りません。

05参照した論文

判定に使った主な論文(12本)

[1]顔の光老化に塗る成分を比べたネットワークメタ解析

発表年
2025年
研究機関
中国・中山大学
掲載誌
Scientific reports
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,905人
結果の向き
良い方向

RCT23件・3905人をまとめ、レチノールは小ジワを有意に改善した。

[2]日本人女性の光老化に対するレチノールクリームの試験

発表年
2009年
研究機関
日本・東北大学
掲載誌
The Journal of dermatological treatment
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
57人
結果の向き
良い方向

57人が26週塗り、小ジワが改善した人は50%(プラセボ側24%)だった。

[3]0.1%レチノール保湿剤を8週間調べたプラセボ対照試験

発表年
2009年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of drugs in dermatology : JDD
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

0.1%レチノール入り保湿剤は、8週でプラセボよりシワなどを改善した。

[4]0.15%と0.3%のレチノールを顔の左右で比べた予備試験

発表年
2020年
研究機関
ポーランド・ウッチ医科大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
差なし

顔の左右に8週塗り、左右の差は見られなかった。

[5]市販のビタミンA化粧品の効果を批判的に見直した系統的レビュー

発表年
2021年
研究機関
アラブ首長国連邦・キングス・カレッジ病院ロンドン(ドバイ)
掲載誌
The Journal of clinical and aesthetic dermatology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究9件を統合
結果の向き
結果が割れている

市販品の二重盲検RCT9件のうち4件は差がなく、残りも方法に大きな問題があった。

[6]0.104%と0.247%のレチノールクリームを比べた試験

発表年
2026年
研究機関
ポーランド・ポズナン医科大学
掲載誌
International journal of molecular sciences
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
28人
結果の向き
結果が割れている

28人が12週使い、効果は同程度で、0.247%は赤みが多かった。

[7]処方箋なしのレチノールと処方薬のトレチノインを比べた試験

発表年
2012年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of drugs in dermatology : JDD
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

処方箋なしで使えるレチノールと、処方薬のトレチノインを比べた試験。効果に差はありませんでした。

[8]0.1%レチノール製品を9か月調べたプラセボ対照試験

発表年
2009年
研究機関
フランス・企業の研究部門
掲載誌
Skin pharmacology and physiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
48人
結果の向き
良い方向

48人が9か月使い、目の下のシワや小ジワなどが改善した。

[9]環状ペプチドとレチノールを比べた二重盲検試験

発表年
2025年
研究機関
中国・企業の研究部門
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

0.002%のレチノール美容液を56日間使い、目尻と額のシワの一部が減った。

[10]0.3%と0.5%のレチノール美容液を比べた試験

発表年
2020年
研究機関
ポーランド・ウッチ医科大学
掲載誌
Skin pharmacology and physiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
37人
結果の向き
良い方向

37人が12週使い、どちらもシワが減ったが、刺激は0.5%の側が多く強かった。

[11]レチナール0.1%と0.05%のクリームを比べた試験

発表年
2018年
研究機関
韓国・カトリック大学
掲載誌
Journal of cosmetic dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
40人
結果の向き
差なし

40人が3か月塗り、どちらも改善して濃度による差はなかった。

[12]0.5%レチノール製剤を8週間調べた試験

発表年
2013年
研究機関
アメリカ・企業の研究部門
掲載誌
Journal of drugs in dermatology : JDD
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

0.5%レチノールの8週の試験で、ヒリヒリ・かゆみ・乾燥・赤みはわずかだった。

ほかに参考にした論文(4本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。