[1]サルコペニア肥満の薬以外の対策を比べたメタ解析
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- 香港・香港理工大学
- 掲載誌
- Experimental gerontology
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 863人
- 結果の向き
- 差なし
サルコペニア肥満の人の比較試験12件・863人をまとめ、高たんぱくの食事は除脂肪量を増やさなかった。

筋肉を守る主役は筋トレです。プロテインを足すだけでは効きません。
食事制限で減量する50歳以上の人(主に太りぎみ)の話です。
減量中は、プロテインを足すより先に、筋トレを予定に入れるのが研究に沿った使い方です。食事だけを減らすと筋肉が減りやすいので、体を動かす計画とセットで始めましょう。持病や服薬がある人は、食事を変える前に医師や管理栄養士に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 16.2 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 18.9 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 90.1 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本・RCT のメタ解析 2 本。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
プロテインは、たんぱく質を手軽にとれるように、粉末や飲料にした食品です。牛乳由来のホエイや大豆などの種類があり、筋肉の材料になるとされています。減量中は食事の量が減るため、たんぱく質を補う目的で使われます。注意点は、持病がある人や服薬中の人は、量を増やす前に医師へ相談することです。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、香港の香港理工大学などの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た試験の結果をまとめて分析する方法です。サルコペニア肥満(筋肉が少なく脂肪が多い状態)の人を対象に、運動や食事の工夫などを調べた比較試験12件・863人が集められ、期間は8〜28週でした。このうち、低カロリー・高たんぱくの食事と低カロリー・低たんぱくの食事の比較が、ここでの答えの根拠です。
| 研究の種類 | 比較試験のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | サルコペニア肥満の人(メタ解析全体で12件・863人。たんぱく質の比較に使われた数は要旨に書かれていません) |
| 比べたもの | 低カロリー・高たんぱくの食事と、低カロリー・低たんぱくの食事 |
| 結果 | 高たんぱくの食事は、除脂肪量を増やさなかった |
別のメタ解析も、低カロリー・高たんぱくの食事は脂肪を減らしたものの、筋肉量や握力には影響しなかったと報告しています [4]。
試験の単位でも同じ傾向です。アメリカのジョージア大学などが2021年に発表した試験では、平均69.2歳の閉経後の女性72人が6か月減量し、高たんぱく食でも脚の筋肉量の変化はふつうのたんぱく質の食事と差がありませんでした [2]。運動をしない試験でも、閉経後の太りぎみの女性54人で、体重1kgあたり1.5gの高たんぱく食の除脂肪量の減り方は、ふつうのたんぱく質の食事と同じでした [5]。
2016年のメタ解析(比較試験20件)は、50歳以上の減量で、たんぱく質が多い食事のほうが除脂肪量が多く残ったと報告しています [6]。肥満と2型糖尿病のある高齢者123人の試験では、運動を含む生活改善の中でロイシンとビタミンDを加えたホエイたんぱく飲料を飲んだ人のほうが、手足の筋肉量が0.36kg多くなりました [7]。
13週の生活改善中に、ロイシンとビタミンDを加えたたんぱく質飲料の人は同じカロリーの飲料の人より手足の筋肉量が0.36kg多くなりました。
試験ごとに、対象(サルコペニア肥満か、ふつうの肥満か)、運動の有無、飲料の中身が違います。
肥満の高齢者の食事制限に筋トレを加えると、食事制限で減る除脂肪量の93.5%を防げました。これはたんぱく質ではなく筋トレの効果です [3]。55〜70歳の太りぎみの人を対象にしたネットワークメタ解析は、食事制限だけでは筋肉量が減りやすく、食事制限に筋トレなどの運動と高たんぱく食を組み合わせるのが最も効果的だったとしています [8]。2021年の試験は、減量中は運動が筋力を保つ鍵で、高たんぱく食は運動と組み合わせても筋肉量や筋力に影響しなかったと結論しています [2]。筋トレの回数は 筋トレは週何回がいい? で解説しています。
筋力は、プロテインを足しても変わらない試験が多く、根拠の確かさは低めです。研究の数が4件と少ないためです。閉経後の肥満女性70人の試験では、ホエイプロテインは筋力に影響しませんでした [9]。一方、運動をしない閉経後の女性54人の12週の試験では、ふつうのたんぱく質の減量食で握力が1.7kg下がり、高たんぱく食では変わりませんでした [5]。一方、体の動きが衰えた肥満の高齢者67人が6か月減量した試験では、毎食たんぱく質を30g以上とった人の体の動きの点数が+2.4点で、ふつうの減量の+0.9点より大きく改善しました [10]。ただし、1本の小さな試験の結果です。
研究の対象は、主に太りぎみ・肥満の50歳以上で、女性だけの試験も多くあります。たんぱく質を増やした量は試験ごとに違い、たとえば閉経後の女性の試験では体重1kgあたり1.5gの食事が12週続けられました [5]。副作用は、この記事で使った要旨には書かれていません。持病がある人、服薬中の人、食事の量を大きく減らす人は、医師や管理栄養士に確認してください。
食事だけを減らすと筋肉が減りやすいので、運動を合わせる計画を医師や管理栄養士と立ててください。
食事制限中の高齢者の筋肉は、プロテインを足すだけでは守れず、守る主役は筋トレです。
当てはまるのは減量する50歳以上の人で、たんぱく質の適切な量は研究で確かめられていません。
プロテインを買う前に、筋トレを減量の予定に入れましょう。
運動をしない試験で、体重1kgあたり1.5gの高たんぱく食でも除脂肪量の減り方は同じでした [[33975325]]。筋トレの代わりにはなりません。
量を比べた試験は無く、研究では確かな目安は言えません。減量中の肥満の高齢者60人の探索的な分析に1.2g/kgの数字がありますが [[25788405]]、これは目安を探る段階の結果です。
高たんぱく食と腎臓の関係は [高たんぱく食は腎臓に悪いって本当?](/evidence/high-protein-kidney-myth) で解説しています。腎臓に持病がある人は、医師に相談してから量を変えてください。
年齢を限らない場合は [ダイエット中にプロテインを飲む意味はある?](/evidence/protein-during-diet) で扱っています。この記事は50歳以上が対象です。
サルコペニア肥満の人の比較試験12件・863人をまとめ、高たんぱくの食事は除脂肪量を増やさなかった。
閉経後の女性72人が6か月減量し、高たんぱく食でも脚の筋肉量の変化に差はなかった。
食事制限に筋トレを加えると、食事制限で減る除脂肪量の93.5%を防げた。
低カロリー・高たんぱくの食事は脂肪を減らしたが、筋肉量や握力には影響しなかった。
太りぎみの女性54人で、運動なしの高たんぱく減量食でも除脂肪量の減り方は同じだった。
比較試験20件をまとめ、たんぱく質が多い食事で除脂肪量が多く残り、体脂肪が多く減った。
高齢者123人で、たんぱく質飲料の人は手足の筋肉量が0.36kg多かった。
食事制限に運動と高たんぱく食を組み合わせるのが、ほぼすべての結果で最も効果的だった。
閉経後の肥満女性70人で、減量中のホエイプロテインは筋力に影響しなかった。
高齢者67人で、毎食たんぱく質を30g以上とった人の体の動きの点数がより改善した。
高齢女性60人で、除脂肪量は3群で差がなく、加水分解ホエイの群は体脂肪がより減った。
高齢者60人で、体重あたり1.2g/kgより多くとった人は手足の筋肉が増えた人の割合が高かった。
判定「効かない」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。