[1]健康な閉経後の女性に乳製品が骨密度へ与える影響(RCTのメタ解析)
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- 中国・北京協和医学院
- 掲載誌
- Archives of osteoporosis
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 618人
- 結果の向き
- 良い方向
健康な閉経後の女性618人(RCT6件)で、乳製品を摂った人は腰の骨や股関節の骨密度が高かった。

上がります。ただし骨密度の上がり幅は小さめです。
主に閉経後の女性など、中高年の骨密度の話です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 16.1 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 90.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品は、カルシウムとたんぱく質を多く含む食品で、骨を丈夫にする食品として知られています。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。注意点は、骨密度が上がることと、骨折が減ることは別の話だという点です。
答えの中心は、中国の北京協和医学院などの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果をまとめて分析する方法です。健康な閉経後の女性を対象にしたRCT(くじ引きで分けて比べる試験)6件・618人が集められました。
| 研究の種類 | RCTのメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 健康な閉経後の女性(6件・618人) |
| 比べたもの | 乳製品(主に牛乳)を摂った人と、摂らなかった人 |
| 結果 | 腰の骨、股関節、全身の骨密度が、乳製品を摂った人で高かった |
股関節の差は、12か月以降に見られました。
上がり幅は大きくありません。大人に牛乳を飲んでもらったRCT20件のメタ解析では、股関節で+0.004 g/cm2、腰の骨で+0.025 g/cm2とわずかに上がりました。全身と大腿骨頸部(脚の付け根の細い部分)は変わりませんでした [2]。
50歳を超える人1533人(RCT15件)で、乳製品など食事からのカルシウムを増やした研究のまとめでは、骨密度は1年で0.6〜1.0%、2年で0.7〜1.8%上がりました。ただし、骨折を減らすほどの大きさではないとされています [3]。
健康な女性を対象にしたRCT60件・6284人(平均54.2歳)のネットワークメタ解析では、乳製品や大豆の食品はどれも、何もしない場合と比べて骨密度を有意に改善しませんでした。牛乳とヨーグルトの組み合わせは、順位では最も上でした [5]。
食品の種類ごとに比べると、どれも何もしない場合との差は有意ではありませんでした。
結果が分かれる理由は、この記事で見た研究だけでは断定できません。「少し上がる」という向きは多くの研究で見られますが、差が小さいため、対象や解析のしかたで結果が変わりうる点は押さえておきましょう。
研究で使われた量は、対象と方法で違います。介護施設の試験では、牛乳・ヨーグルト・チーズの追加でカルシウムを1日562mg、たんぱく質を12g増やしました [6]。飲み方の目安は研究によって異なり、1つの量に決められません。
骨粗しょう症の治療中の人、腎臓の病気などの持病がある人、薬を飲んでいる人は、食事を大きく変える前に医師や薬剤師に確認してください。
骨密度の上がり幅は小さいので、骨粗しょう症が気になる人は検査や治療について医師に相談しましょう。
牛乳や乳製品を摂ると、骨密度はわずかに上がります。
上がり幅は1〜2年で0.6〜1.8%と小さく、骨折が減るかどうかは研究で分かれています。
乳製品は食事に足す選択肢の一つとして取り入れ、骨が心配なときは医師に相談しましょう。
研究によって量や期間はまちまちで、これだけ飲めば上がるという量は決められません。試験の期間は1か月から36か月まで幅がありました [[34792092]]。
骨密度への上乗せは小さいと報告されています。ヨーグルトの骨密度への影響はごくわずかで、臨床的に意味がないとされました [[41098795]]。骨折との関連は研究によって結果が分かれます。
この記事の研究は骨密度と骨折が対象で、フレイルを調べたものではありません。運動と栄養の組み合わせについては、[フレイルは運動と栄養をあわせると予防しやすい?](/evidence/frailty-exercise-nutrition-combined)で扱っています。
この記事は中高年が対象です。成長期の子どもでは、乳製品を足すと骨の量がわずかに増えたというRCTのメタ解析があります [[37414219]]。
健康な閉経後の女性618人(RCT6件)で、乳製品を摂った人は腰の骨や股関節の骨密度が高かった。
RCT20件で、牛乳を足すと股関節と腰の骨の骨密度がわずかに上がった。全身と大腿骨頸部は変わらなかった。
50歳を超える人1533人(RCT15件)で、食事からのカルシウム増で骨密度が1年で0.6〜1.0%、2年で0.7〜1.8%上がった。
コホート研究13件で、牛乳が1日200g増えるごとに股関節の骨折が7%多い関連があった。
健康な女性6284人(RCT60件)で、乳製品や大豆の食品はどれも骨密度をはっきり改善しなかった。
介護施設の高齢者7195人の2年間のRCTで、骨折が33%、股関節の骨折が46%少なかった。
観察研究20件のメタ解析で、牛乳をよく飲む人で骨折が少ないという関連は見られなかった。
コホート研究で、牛乳をいちばん多く飲む人と少ない人で股関節の骨折のリスクに差はなかった。
閉経後の女性102,819人(コホート研究3件)で、ヨーグルトをよく食べる人は股関節の骨折のリスクが低かった。
コホート研究6件で、ヨーグルトを食べる量と股関節の骨折のリスクに関連は見られなかった。
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