牛乳や乳製品を摂ると骨密度は上がる?

牛乳や乳製品を摂ると骨密度は上がる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

上がります。ただし骨密度の上がり幅は小さめです。

根拠

閉経後の女性を対象にしたRCT6件のメタ解析で、乳製品(主に牛乳)を摂った人は腰の骨や股関節の骨密度が高くなりました [1]。大人へのRCT20件のメタ解析でも、股関節と腰の骨でわずかな上昇が確認されています [2]。根拠の確かさは中程度です。

この答えの範囲

主に閉経後の女性など、中高年の骨密度の話です。

じゃあ、どうする?

食事に乳製品を足す価値はあります。ただし上がり幅は1〜2年で0.6〜1.8%と小さく、骨折を減らすほどではないとされています [3]。牛乳だけに頼らず、骨粗しょう症の診断や治療を受けている人は医師に相談を。牛乳が合わない人は、ヨーグルトやチーズでも骨折が少ないという関連が見られています [4]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量19.520研究件数と参加人数
一致度16.125結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 90.6 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

牛乳・乳製品とは

牛乳・ヨーグルト・チーズなどの乳製品は、カルシウムとたんぱく質を多く含む食品で、骨を丈夫にする食品として知られています。ここは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。注意点は、骨密度が上がることと、骨折が減ることは別の話だという点です。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

研究で確かめられたこと

答えの中心は、中国の北京協和医学院などの研究チームが2020年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の試験の結果をまとめて分析する方法です。健康な閉経後の女性を対象にしたRCT(くじ引きで分けて比べる試験)6件・618人が集められました。

研究の種類RCTのメタ解析
対象健康な閉経後の女性(6件・618人)
比べたもの乳製品(主に牛乳)を摂った人と、摂らなかった人
結果腰の骨、股関節、全身の骨密度が、乳製品を摂った人で高かった
まとめて分析した結果乳製品を摂った人は腰の骨の骨密度が高く、股関節や全身の骨密度も高くなりました [1]。

股関節の差は、12か月以降に見られました。

上がり幅はどのくらい?

上がり幅は大きくありません。大人に牛乳を飲んでもらったRCT20件のメタ解析では、股関節で+0.004 g/cm2、腰の骨で+0.025 g/cm2とわずかに上がりました。全身と大腿骨頸部(脚の付け根の細い部分)は変わりませんでした [2]。

50歳を超える人1533人(RCT15件)で、乳製品など食事からのカルシウムを増やした研究のまとめでは、骨密度は1年で0.6〜1.0%、2年で0.7〜1.8%上がりました。ただし、骨折を減らすほどの大きさではないとされています [3]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

健康な女性を対象にしたRCT60件・6284人(平均54.2歳)のネットワークメタ解析では、乳製品や大豆の食品はどれも、何もしない場合と比べて骨密度を有意に改善しませんでした。牛乳とヨーグルトの組み合わせは、順位では最も上でした [5]。

差がはっきりしなかった解析健康な女性 6284人(RCT60件)

食品の種類ごとに比べると、どれも何もしない場合との差は有意ではありませんでした。

結果が分かれる理由は、この記事で見た研究だけでは断定できません。「少し上がる」という向きは多くの研究で見られますが、差が小さいため、対象や解析のしかたで結果が変わりうる点は押さえておきましょう。

よく言われていることは本当?

  • 牛乳・乳製品を摂ると骨密度が上がる上がります。 ただし上がり幅は小さいです。上の解析のとおり、骨密度は1〜2年でわずかに上がりました [3]。
  • 牛乳を飲むと骨粗しょう症・骨折を防げる条件によります。 オーストラリアの介護施設で、入居者7195人(平均86.0歳)が2年間、牛乳・ヨーグルト・チーズを追加したRCTでは、骨折が33%、股関節の骨折が46%少なくなりました。この試験の対象は、もともとカルシウムとたんぱく質の摂取が少ない高齢者です [6]。一方、観察研究20件のメタ解析では、牛乳をよく飲む人で骨折が少ないという関連は見られませんでした [7]。
  • 牛乳を飲みすぎるとかえって骨折が増えるまだ言い切れません。 コホート研究13件のメタ解析は、牛乳が1日200g増えるごとに股関節の骨折が7%多いという関連を示しました。400gでは15%多い関連でした [4]。ただし観察研究のため、牛乳が原因とは言えません。牛乳と股関節の骨折に差がなかったとするメタ解析もあります [8]。
  • ヨーグルトやチーズなど発酵した乳製品も骨に良い股関節の骨折との良い関連が見られています。 ヨーグルトを1日250g多く食べるごとに骨折が少ない関連があり、チーズも1日43gごとに少ない関連がありました。ただし、社会経済的な状況は調整されていません [4]。閉経後の女性では、ヨーグルトをよく食べる人で股関節の骨折のリスクが低い結果でした [9]。ヨーグルトと股関節の骨折に関連はなかったとするメタ解析もあり、結果はそろっていません [10]。
  • 牛乳のカルシウムはほかの食品より吸収がよい骨密度や骨折で比べた研究は、今回の調査では見つかっていません。

02注意点

研究で使われた量は、対象と方法で違います。介護施設の試験では、牛乳・ヨーグルト・チーズの追加でカルシウムを1日562mg、たんぱく質を12g増やしました [6]。飲み方の目安は研究によって異なり、1つの量に決められません。

骨粗しょう症の治療中の人、腎臓の病気などの持病がある人、薬を飲んでいる人は、食事を大きく変える前に医師や薬剤師に確認してください。

骨折の予防は、牛乳だけで決まりません

骨密度の上がり幅は小さいので、骨粗しょう症が気になる人は検査や治療について医師に相談しましょう。

03まとめ

牛乳や乳製品を摂ると、骨密度はわずかに上がります。
上がり幅は1〜2年で0.6〜1.8%と小さく、骨折が減るかどうかは研究で分かれています。
乳製品は食事に足す選択肢の一つとして取り入れ、骨が心配なときは医師に相談しましょう。

04よくある質問

Q牛乳は1日にどのくらい飲めば骨密度が上がりますか?

研究によって量や期間はまちまちで、これだけ飲めば上がるという量は決められません。試験の期間は1か月から36か月まで幅がありました [[34792092]]。

Qヨーグルトやチーズでも同じ効果がありますか?

骨密度への上乗せは小さいと報告されています。ヨーグルトの骨密度への影響はごくわずかで、臨床的に意味がないとされました [[41098795]]。骨折との関連は研究によって結果が分かれます。

Qフレイルの予防にも乳製品は役立ちますか?

この記事の研究は骨密度と骨折が対象で、フレイルを調べたものではありません。運動と栄養の組み合わせについては、[フレイルは運動と栄養をあわせると予防しやすい?](/evidence/frailty-exercise-nutrition-combined)で扱っています。

Q子どもの成長期に牛乳を飲むと骨は強くなりますか?

この記事は中高年が対象です。成長期の子どもでは、乳製品を足すと骨の量がわずかに増えたというRCTのメタ解析があります [[37414219]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]健康な閉経後の女性に乳製品が骨密度へ与える影響(RCTのメタ解析)

発表年
2020年
研究機関
中国・北京協和医学院
掲載誌
Archives of osteoporosis
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
618人
結果の向き
良い方向

健康な閉経後の女性618人(RCT6件)で、乳製品を摂った人は腰の骨や股関節の骨密度が高かった。

[2]大人の骨の指標に牛乳が与える影響(RCTのメタ解析)

発表年
2022年
研究機関
中国・蘇州大学
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究20件を統合
結果の向き
良い方向

RCT20件で、牛乳を足すと股関節と腰の骨の骨密度がわずかに上がった。全身と大腿骨頸部は変わらなかった。

[3]カルシウム摂取と骨密度(系統的レビューとメタ解析)

発表年
2015年
研究機関
ニュージーランド・オークランド大学
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,533人
結果の向き
良い方向

50歳を超える人1533人(RCT15件)で、食事からのカルシウム増で骨密度が1年で0.6〜1.0%、2年で0.7〜1.8%上がった。

[4]乳製品の摂取と股関節の骨折(486,950人の用量反応メタ解析)

発表年
2023年
研究機関
アメリカ・メリーランド大学
掲載誌
Journal of nutritional science
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
486,950人
結果の向き
悪い方向

コホート研究13件で、牛乳が1日200g増えるごとに股関節の骨折が7%多い関連があった。

[5]女性の骨に乳製品と大豆が与える影響(ネットワークメタ解析)

発表年
2025年
研究機関
中国・中国農業大学
掲載誌
Nutrients
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
6,284人
結果の向き
差なし

健康な女性6284人(RCT60件)で、乳製品や大豆の食品はどれも骨密度をはっきり改善しなかった。

[6]介護施設の高齢者の骨折と転倒に食品由来のカルシウムとたんぱく質が与える影響

発表年
2021年
研究機関
オーストラリア・メルボルン大学
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
ランダム化比較試験(クラスター)学校や病院などの単位でくじ引きのように分け、結果を比べる試験。
対象
7,195人
結果の向き
良い方向

介護施設の高齢者7195人の2年間のRCTで、骨折が33%、股関節の骨折が46%少なかった。

[7]牛乳をよく飲むことと骨折リスクの関連(メタ解析)

発表年
2022年
研究機関
ポーランド・ヤギェウォ大学
掲載誌
Folia medica Cracoviensia
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究20件を統合
結果の向き
差なし

観察研究20件のメタ解析で、牛乳をよく飲む人で骨折が少ないという関連は見られなかった。

[8]乳製品の摂取と股関節の骨折のリスク(メタ解析)

発表年
2018年
研究機関
中国・天津医科大学第二病院
掲載誌
BMC public health
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究18件を統合
結果の向き
差なし

コホート研究で、牛乳をいちばん多く飲む人と少ない人で股関節の骨折のリスクに差はなかった。

[9]閉経後の女性の骨と発酵乳製品(系統的レビュー)

発表年
2020年
研究機関
カナダ・マギル大学
掲載誌
Advances in nutrition (Bethesda, Md.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
102,819人
結果の向き
良い方向

閉経後の女性102,819人(コホート研究3件)で、ヨーグルトをよく食べる人は股関節の骨折のリスクが低かった。

[10]ヨーグルトの摂取と骨の健康の指標(系統的レビューとメタ解析)

発表年
2025年
研究機関
スペイン・アストゥリアス乳製品研究所
掲載誌
Frontiers in nutrition
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究6件を統合
結果の向き
差なし

コホート研究6件で、ヨーグルトを食べる量と股関節の骨折のリスクに関連は見られなかった。

ほかに参考にした論文(9本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。