[1]カルシウム摂取と骨密度(系統的レビューとメタ解析)
- 発表年
- 2015年
- 研究機関
- ニュージーランド・オークランド大学
- 掲載誌
- BMJ (Clinical research ed.)
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 12,257人
- 結果の向き
- 良い方向
50歳以上のカルシウムのサプリで、全身5か所の骨密度が0.7〜1.8%増えたが、1年目以降は伸びなかった。

カルシウムのサプリで、50歳以上の骨密度は0.7〜1.8%上がりました。ビタミンD単独では上がりません。
50歳以上の人、特に閉経後の女性で確かめた結果です。
サプリに期待できるのは小さな上乗せです。ビタミンDだけを多めに足しても骨密度は上がらず、量が多いと手首の骨密度が下がった試験もあります [4]。骨粗しょう症と診断された人や薬を使っている人は、サプリを足す前に医師に相談を。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 8.6 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 83.6 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
カルシウムは骨をつくる主な材料のミネラル、ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を助けるビタミンです。骨を丈夫にするとされ、単独のサプリや、2つを組み合わせたサプリがあります。注意点は、とる量が多すぎると体に負担がかかる場合があることです。
答えの中心は、ニュージーランドのオークランド大学などの研究チームが2015年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ条件の研究の結果を集めて、まとめて計算し直す方法です。50歳以上を対象にした比較試験51件・12,257人が集められました。
| 研究の種類 | 比較試験をまとめたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 50歳以上の人(51件・12,257人) |
| 比べたもの | カルシウムのサプリ(ビタミンDとの併用を含む)と、偽薬や何も飲まない場合 |
| 結果 | 全身5か所の骨密度が0.7〜1.8%増えたが、増え方は1年目以降ほとんど大きくならなかった |
増え方は1年目と同じ程度で、飲み続けても伸びていません [1]。
著者は、増え方が小さく、骨折を大きく減らすほどではなさそうだと結論しています [1]。骨密度は「上がる」けれど、その幅は小さい、と読むのが正確です。
対象や部位をしぼると、結果は割れます。
骨盤の骨密度だけがわずかに上がり、腰椎などでは差がありませんでした [5]。
ビタミンDだけのサプリは、はっきりしています。成人の比較試験のうち骨密度を測った41件のまとめで、どの部位の骨密度にも臨床的に意味のある差は出ませんでした(1〜5年で差は-0.16%〜0.76%)[3]。
ビタミンD不足を条件に選んでいない男性50歳以上・女性55歳以上の771人に、ビタミンD3を毎日2000 IU、2年間飲んでもらった試験でも、背骨・股関節・全身の骨密度はプラセボと変わりませんでした [7]。
さらに、健康な55〜70歳の311人で、毎日4000 IUを3年間飲んだ人は、毎日400 IUの人より手首の骨の骨密度が低くなりました [4]。多く飲めば強くなる、という結果ではありません。
最新のメタ解析(2026年)は、カルシウムとビタミンDの併用で、何らかの骨折が統計上わずかに少ないと報告しました(リスク比0.91、15件・51,126人、確実性は高い)。ただし著者は、絶対的な差が小さく、意味のある効果はほとんど無いと結論しています [8]。ビタミンD単独では、骨折全体は減っていません [3]。
股関節骨折は、メタ解析で結果が割れています。減らなかったとする解析 [9] と、30%減ったとする解析 [10] があります。65歳を超える人を対象にした7件・12,620人のまとめでは、約25%少なくなりました(オッズ比0.75)[6]。
試験で使われた量は、ビタミンD3が毎日2000 IUを2年間 [7]、毎日4000 IUを3年間 [4] などです。毎日4000 IUや、さらに多い量では、とくに女性で骨密度の減りが大きい結果でした [11]。多いほど良いとは言えません。骨粗しょう症の薬を使っている人、持病や服薬がある人は、医師や薬剤師に確認してください。
自己判断でビタミンDを多めにとり続けるのは避け、医師に相談してください。
カルシウムのサプリで50歳以上の骨密度は0.7〜1.8%上がり、ビタミンD単独では上がりません。
当てはまるのは50歳以上の人で、閉経後の女性や骨粗しょう症の人では差がはっきりしない解析もあります。
期待は「小さな上乗せ」にとどめ、診断や治療中の人は医師に相談してから始めましょう。
強くなるという結果ではありません。毎日4000 IUを3年間飲んだ55〜70歳は、毎日400 IUの人より手首の骨の骨密度が低くなりました [[31454046]]。
骨粗しょう症のある閉経後の女性では、カルシウムとビタミンDの併用で上がったのは骨盤だけでした [[41063100]]。薬を使っている人も含め、医師に相談してください。
研究では確かめられていません。ここで集めた研究は、サプリを飲む群と飲まない群を比べたもので、食事の内容との比較は含まれていません。
50歳以上のカルシウムのサプリで、全身5か所の骨密度が0.7〜1.8%増えたが、1年目以降は伸びなかった。
閉経後の女性で、併用により骨密度は上がった。ただしサプリの形に限ると、全身の骨密度で差がはっきりしなかった。
41件の統合で、ビタミンDのサプリは骨密度にどの部位でも臨床的に意味のある差を生まなかった。
健康な55〜70歳311人で、毎日4000 IUを3年間飲んだ人は、毎日400 IUの人より手首の骨密度が低かった。
11件の統合で、骨盤の骨密度だけがわずかに上がり、骨折全体は減らなかった。
大腿骨頸部の骨密度を測った3件・483人では、はっきりした差が出なかった。股関節骨折は7件・12,620人で少なかった。
中高年771人でビタミンD3を毎日2000 IU、2年間。骨密度はプラセボと変わらなかった。
併用15件・51,126人で、骨折のリスク比は0.91。著者は意味のある効果はほとんど無いと結論した。
自宅で暮らす50歳を超える人で、カルシウムとビタミンDの併用は股関節骨折を減らさなかった。
中高年30,970人で、併用により骨折全体が15%、股関節骨折が30%少なかった。
同じ試験を男女別に見ると、毎日4000 IUや10,000 IUで骨密度が減ったのは女性で、男性では見られなかった (同じ試験の追加解析のため背景として表示)
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。