[1]地域で暮らす高齢者の転倒を防ぐ運動
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- オーストラリア・シドニー大学
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 7,920人
- 結果の向き
- 良い方向
バランス運動・機能的な運動で、転倒の回数が24%少なかった。RCT39件・7920人。

減らせます。バランス運動で、転倒の回数は約24%減ります。
60歳以上で、主に自宅で暮らす人の話です。アプリでの自宅運動(最初の12か月)、つまずき練習、講習会で教わるだけの自宅運動は、転倒の回数に差が出ませんでした。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 18.6 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 93.3 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 2 本・RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
バランス運動は、片脚で立つ、足を踏み出す、立ち座りを繰り返すなど、体の安定を保つ力を鍛える運動です。転倒予防体操や機能的な運動とも呼ばれ、自治体の教室でもよく行われます。筋トレや太極拳と組み合わせる方法もあります。
答えの中心は、シドニー大学などの研究チームが2019年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で比較試験を集め、結果をまとめる方法です。60歳以上で地域に暮らす人のRCTが、全体で108件・23,407人(平均76歳、77%が女性)集められました。
| 研究の種類 | RCTを集めたコクランのレビュー(メタ解析) |
|---|---|
| 対象 | 60歳以上で地域に暮らす高齢者(バランス運動の解析は39件・7920人) |
| 比べたもの | バランス運動・機能的な運動と、運動をしない対照 |
| 結果 | 転倒の回数が24%少なかった |
研究の確実性は高いと評価されています [1]。
足を踏み出す練習だけを集めた2017年のメタ解析(RCT7件・660人)では、転倒の回数が約半分になりました [2]。障害物をよけるなど歩き方を状況に合わせる練習では、転倒の回数が42%少なくなりました [3]。
同じコクランのレビューで、バランス運動と筋トレなど複数の運動を組み合わせると、転倒の回数が34%少なくなりました(RCT11件・1374人、確実性は中程度) [1]。別のメタ解析(RCT10件・648人)でも、筋トレ・体幹・バランスを組み合わせ、週5回以上、32週以上続ける方法がより効果的でした [4]。
太極拳は、転倒の回数が19%少なくなりました(RCT7件・2655人) [1]。2023年のRCT24件のメタ解析も、転倒のリスクが低いと報告しています [5]。ただしコクランは、確実性を低いと評価しています。
どの運動でも減るわけではありません。個別の試験には、統計的な差が出なかったものがあります。
研究の対象は60歳以上で地域に暮らす人が中心です。転びやすい人を問診票で選んで運動を勧めた英国の70歳以上9803人(3群)の試験では、運動の群でも18か月の転倒の回数は減りませんでした [11]。運動が合うかは人によって違います。ふらつきや痛み、持病がある人、運動を始める前の人は、医師や理学療法士に確認してください。
壁や手すりのそばで、つかまれる状態から始めてください。
バランス運動で、高齢者の転倒の回数は減ります。
筋トレとの組み合わせや足を踏み出す練習が、より効果的です。
アプリや講習会だけで終わらせず、続けられる運動を、できれば指導を受けて始めましょう。
筋トレ・体幹・バランスを組み合わせ、週5回以上、32週以上続けた方法がより効果的でした [[34886293]]。ただし、何回から効くかを決めた研究ではありません。
介護施設で暮らす人では、運動期間中は転倒の回数が少なく、やめたあとの追跡期間では差がありませんでした [[38109410]]。続けることが大切です。
どちらも転倒の回数が減りましたが、直接比べた結果ではありません [[30703272]]。太極拳は根拠の確かさが低めです。
片脚立ちだけで転倒を測った研究は見つかっておらず、研究では確かめられていません。
バランス運動・機能的な運動で、転倒の回数が24%少なかった。RCT39件・7920人。
RCT7件・660人で、ステップ練習により転倒の回数が約半分だった。
RCT7件のメタ解析で、歩き方を状況に合わせる練習により転倒の回数が42%少なかった。
RCT10件・648人で、複合運動を週5回以上、32週以上続ける方法がより効果的だった。
RCT24件のメタ解析で、太極拳をした人は転倒のリスクが低かった。
70歳以上の503人で、アプリの運動は最初の12か月の転倒の回数に差が出なかった。
140人で、つまずき・滑りの練習を4回しても、転倒の回数に差が出なかった。
65歳以上の617人で、講習会で教わった自宅運動は12か月の転倒の回数に差が出なかった。
70歳以上の345人で、自宅での筋トレとバランス運動により、転倒の回数が少なかった。
介護施設の13件で、運動期間中は転倒の回数が少なく、やめたあとは差がなかった。
70歳以上の9803人で、運動を勧める方法は18か月の転倒の回数を減らさなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。