[1]妊娠中の女性への複数の微量栄養素サプリのコクランレビュー
- 発表年
- 2019年
- 研究機関
- カナダ・トロント小児病院
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 68,801人
- 結果の向き
- 良い方向
18件の試験・68,801人のまとめで、低出生体重の赤ちゃんが12%少なかった。試験はすべて低・中所得国。

防げます。低体重で生まれる赤ちゃんが12%少なくなりました。
比べた相手は、何も飲まない人ではなく、鉄と葉酸だけを飲む人です。試験は低・中所得国で行われ、日本の妊婦は含まれていません。
日本の妊婦にも同じ差が出るかは、まだ確かめられていません。食事が偏りがちな人は、産婦人科でマルチビタミンが必要か相談してから始めましょう。複数のサプリを重ねると、同じ成分をとりすぎることがあるため、飲んでいるものは医師か薬剤師に見せてください。葉酸の飲み方は葉酸はいつから飲み始めると妊娠に良い?で。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 18.6 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 15.3 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 88.9 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。 根拠の研究が、この疑問の対象とは違う人たちのものだけなので、強度は B を上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
妊娠中のマルチビタミンは、ビタミンとミネラルを複数まとめて補うサプリです。妊婦向けの商品が多く、鉄と葉酸を含むものが一般的です。研究では「複数の微量栄養素」と呼ばれ、鉄と葉酸だけのサプリと比べる形で調べられてきました。注意点は、研究の多くが栄養不足の多い国で行われていることです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、カナダのトロント小児病院などの研究チームが2019年に発表したコクランレビューです [1]。コクランレビューとは、決めた手順で関連する試験を集めて結果をまとめる方法です。鉄と葉酸を含む複数の微量栄養素のサプリを、鉄(葉酸あり・なし)だけのサプリと比べた試験が集められました。
| 研究の種類 | 複数の微量栄養素のサプリを調べた試験のコクランレビュー(メタ解析) |
|---|---|
| 対象 | 妊婦(18件の試験・68,801人) |
| 比べたもの | 鉄と葉酸に複数のビタミン・ミネラルを足したサプリと、鉄(葉酸あり・なし)だけのサプリ |
| 結果 | 低出生体重の赤ちゃんが12%少なかった(リスク比0.88) |
リスク比の95%信頼区間は0.85から0.91で、研究の質は高いと評価されています。
ただし、集められた試験はすべて低・中所得国で行われ、日本の妊婦は含まれていません。英国の1件はプラセボとの比較で、低出生体重に大きな差は見られませんでした。
同じレビューで、早産はリスク比0.95でした。95%信頼区間は0.90から1.01で、統計的にはっきりした差はありません(18件の試験・91,425人)[1]。超音波で妊娠週数を確かめた7件の試験に絞っても、リスク比0.90で、差ははっきりしませんでした [3]。マルチビタミンは低体重の出産を減らしますが、早産を防ぐとは言えません。
15件の試験・61,204人の個人データの解析では、サプリを90%以上きちんと飲んだ人で出生体重が56 g増えました。60%未満しか飲まなかった人では、鉄・葉酸だけと差がありませんでした [4]。
バングラデシュの試験の解析では、低体重を減らす効果は、食事の種類が少ない妊婦ほど大きくなりました。食事の種類が最も少ない妊婦でリスク比0.86、種類が多い妊婦で0.92です [5]。栄養が足りている人ほど、差は小さくなる傾向が見られます。
ニジェールの農村の妊婦3,332人の試験では、複数のサプリと鉄・葉酸のサプリとで、出生体重に統計的な差はありませんでした(差は39 g)[6]。著者は、人数が足りず差を見つける力が限られていたと書いています。
出生体重の差は39 gで、統計的な差はありませんでした。
英国ケンブリッジの観察研究では、マルチビタミンを飲んだ妊婦の赤ちゃんは出生体重が大きい一方、妊娠糖尿病になる割合が高く(リスク比1.86)、体重の差の一部は妊娠糖尿病に関連していた可能性があります [7]。観察研究のため、飲んだことが原因とは言えません。
コクランレビューの試験は、いずれも栄養不足が多い地域の妊婦が対象でした。日本の妊婦に同じ差が出るかは、確かめられていません [1]。観察研究では、マルチビタミンと妊娠糖尿病の高さが関連していました [7]。サプリの種類や量は、持病や服薬の有無、妊娠の時期で変わります。始める前に、産婦人科の医師か薬剤師に確認してください。
何も飲まない場合との比較ではないため、結果をそのまま当てはめないでください。
妊娠中のマルチビタミンは、鉄と葉酸だけと比べて、低体重の出産を12%減らしました。
早産には、はっきりした差がなく、日本の妊婦での確認もまだです。
食事が偏りがちなら、産婦人科で相談してから選びましょう。
はっきりした差は見られていません。18件の試験・91,425人のまとめで、リスク比は0.95、信頼区間は0.90から1.01でした [[30873598]]。
研究では確かめられていません。コクランレビューの試験は、すべて低・中所得国で行われました [[30873598]]。
60%未満しか飲まなかった人では、鉄・葉酸だけと出生体重の差がありませんでした。90%以上飲んだ人では56 g増えました [[40451462]]。
研究で比べたのは、鉄と葉酸を含むマルチと、鉄・葉酸だけのサプリです。上乗せの要否は医師に相談してください。葉酸の記事は[こちら](/evidence/folic-acid-when-to-start)です。
18件の試験・68,801人のまとめで、低出生体重の赤ちゃんが12%少なかった。試験はすべて低・中所得国。
35件・98,926人のまとめで、SGAが少なかった(リスク比0.77)。ランダム化比較試験は4件だけ。
超音波で妊娠週数を確かめた試験に絞っても、低出生体重を減らす結果は同じだった。
15件の試験・61,204人の解析で、90%以上飲んだ人では出生体重が56 g増えた。
低出生体重を減らす効果は、食事の種類が少ない妊婦ほど大きかった。
ニジェールの妊婦3,332人で、出生体重に統計的な差はなかった(差は39 g)。
出生体重は大きかったが、妊娠糖尿病になる割合が高かった(リスク比1.86)。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。