[1]ビタミンEが精液の質に与える影響のメタ解析
- 発表年
- 2022年
- 研究機関
- 中国・天津医科大学総合病院
- 掲載誌
- Urology journal
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 459人
- 結果の向き
- 結果が割れている
不妊の男性459人(RCT8件)で、精子の総数はわずかに増えたが、濃度や運動率に差はなかった。

不妊の男性が飲むと、精子の総数がわずかに増えました。運動率や濃度、妊娠率には差がありませんでした。
主に、不妊に悩む男性がサプリで飲んで確かめた結果です。女性の結果は、排卵誘発中の人の小さなRCT2件です。
男性側の原因が分かっているなら、飲む前に泌尿器科や不妊外来で相談を。ビタミンEの量は、医師と相談して決めるのが安全です。研究でも、男性が飲んだ場合の結果が中心です [1]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 14.5 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 8.8 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 78.3 点を、エビデンス強度 D の範囲(5〜39 点)に収めて、スコアは 39 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 3 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ビタミンEは、ナッツ類や植物油に多く含まれる脂溶性のビタミンです。抗酸化作用があるとされ、妊活では精子や卵子を守る成分として紹介されます。サプリでは、天然型と合成型があります。注意点は、とりすぎないことと、ほかの成分との組み合わせサプリでは効果が分けにくいことです。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、Wang らの研究チームが2022年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験の結果を、まとめて計算し直す方法です。不妊の男性を対象にした、ビタミンEとプラセボなどを比べるRCT(くじ引きで群を分ける比較試験)8件・459人が集められました。
| 研究の種類 | RCTをまとめたメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 不妊の男性(RCT8件・459人) |
| 比べたもの | ビタミンEを飲む群と、プラセボなどの対照群 |
| 結果 | 精子の総数はわずかに増加。精液量は減少。濃度と運動率に差はなし |
精液量は減り、精子の濃度や運動率には統計的に意味のある差がありませんでした。
SMDは、単位の違う測定値をそろえて比べるための数字です。0.23は小さい差で、「増えた」と言えるのは総数だけです。6か月飲んだ研究に限ると、まっすぐ進む精子の割合が改善していました [1]。
2025年のデンマークのオールボー大学の研究チームは、不妊の男性にサプリをプラセボと12週間以上比べたRCTをまとめました。ビタミンEでは、精子の数や運動率などの改善は見られませんでした [2]。一方、ビタミンEとビタミンCをまとめたRCT11件・832人のメタ解析では、まっすぐ進む精子の割合が改善し(SMD 0.38)、副作用の報告はありませんでした [4]。
結果が分かれる理由として、集めた試験の範囲や条件の違いが考えられます(2025年の解析は12週間以上の試験だけ)。ビタミンEだけを取り出して調べたのは、2022年の最初のメタ解析と2025年のメタ解析です。ビタミンCとまとめた解析は、ビタミンE単独の効果とは言えません。
合成ビタミンE 400 IU/日を8週間飲んでも、精子の量・数・運動率・形に変化はありませんでした [3]。
ビタミンEとビタミンCのメタ解析では、ビタミンE群のパートナーの妊娠率が高い結果でした(相対リスク1.86、95%信頼区間1.02〜3.41)[4]。ただし信頼区間の下限が1.02とぎりぎりです。根拠の質は「中程度から低い」とされています。
個々のRCTでは差が出ていません。体外受精の124組では結果に差がなく [3]、ビタミンEを含む抗酸化成分の組み合わせサプリを男性が飲んだ試験でも、6か月の出産率は上がりませんでした(サプリ群15%、プラセボ群24%)[5]。女性では、原因不明の不妊で排卵誘発と人工授精を受ける人で、妊娠継続率に差がありませんでした(オッズ比1.43、95%信頼区間0.49〜4.1)[6]。PCOSの女性でも、周期あたりの妊娠率はビタミンE群7%、対照群4.5%で差がありませんでした [7]。
排卵誘発中の女性の小さなRCT2件では、ビタミンEを飲んだ群の子宮内膜が厚くなりました [6] [7]。ただし、どちらもプラセボを使っておらず、妊娠率は上がっていません。2026年のメタ解析でも、プラセボと比べた解析で内膜が厚くなったのはN-アセチルシステインで、ビタミンEは無治療との比較を含めた解析でのみ良い差が見られ、仮説の段階とされています [8]。
研究で使われた量は、合成ビタミンE 400 IU/日を8週間飲む試験が代表的です [3]。PCOSの試験では1500 IU/日を3周期のあいだ追加しています [7]。妊活の試験では副作用の報告は見つかっていませんが、安全性を調べた試験ではありません。持病や服薬のある人、ビタミンEを含むサプリを複数飲んでいる人は、医師や薬剤師に確認してください。
研究の量をそのまま飲む前に、不妊外来や薬剤師に相談してください。
ビタミンEを不妊の男性が飲むと、精子の総数はわずかに増え、運動率と妊娠率は変わりませんでした。
当てはまるのは、不妊に悩む男性が飲んだ場合の話で、根拠の確かさは低めです。
試す前に、原因の検査と医師への相談から始めましょう。
研究が多いのは男性です。女性は排卵誘発中の小さなRCTが中心で、妊娠率は上がっていません [[22302530]]。
葉酸については、[葉酸は男性の精子の質に効く?](/evidence/folic-acid-sperm-quality) と [葉酸で妊娠しやすくなる?](/evidence/folic-acid-fertility) で扱っています。
精子の運動率でビタミンEとセレンまたは亜鉛の組み合わせが上位になった解析があります [[37495550]]。ただしビタミンE単独の効果ではありません。
不妊の男性459人(RCT8件)で、精子の総数はわずかに増えたが、濃度や運動率に差はなかった。
不妊の男性のRCTをまとめ、ビタミンEでは精子の数や運動率などの改善は見られなかった。
体外受精を受ける不妊の男性124人で、ビタミンEを8週間飲んでも精子の変化はなかった。
不妊の男性832人(研究11件)で、まっすぐ進む精子の割合が改善した。妊娠率は相対リスク1.86。
抗酸化成分の組み合わせサプリで、6か月の出産率は上がらなかった(サプリ群15%、プラセボ群24%)。
ビタミンEを飲んだ群は子宮内膜が厚かったが、妊娠継続率に差はなかった(オッズ比1.43)。
ビタミンEを追加した群は子宮内膜が厚かったが、周期あたりの妊娠率はビタミンE群7%、対照群4.5%で差がなかった。
子宮内膜が厚くなったのはN-アセチルシステインで、ビタミンEは仮説の段階とされた。
この記事のエビデンス強度は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。