[1]体外受精に併用する鍼の妊娠への効果のまとめ
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- 中国・北京青年政治学院
- 掲載誌
- Chinese journal of integrative medicine
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 10,968人
- 結果の向き
- 良い方向
体外受精を受けた女性10,968人の試験58件で、鍼をした人は出産に至る率が1.11倍だった。

体外受精中の人には効きます。出産に至る率が1.11倍になります。ただし偽の鍼と比べると差はありません。
体外受精・顕微授精を受けている女性の話です。
体外受精中に試したい場合は、効果は小さいと知ったうえで、主治医に伝えて決めましょう。早い時期の流産が増えたというまとめもあるので、時期や回数は医師と相談を [3]。自然妊娠が目的なら、鍼灸に頼らず、まず産婦人科で原因を調べるのが近道です。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 20 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 16.1 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 91.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 1 本・RCT のメタ解析 4 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を B から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
鍼灸は、体のツボに細い鍼を刺したり、もぐさを燃やして温めたりする、東洋医学の施術です。妊活では、血の巡りや体調を整えるとされ、体外受精と並行して受ける人もいます。この記事では、鍼と電気を流す鍼を調べた研究を中心に見ます。ここに書いた鍼灸の説明は一般によく紹介されているもので、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、中国の北京青年政治学院などの研究チームが2023年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。体外受精中の女性に鍼をした比較試験58件が集められました。
| 研究の種類 | 体外受精中に鍼をした比較試験の系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | 体外受精を受けた女性(58件・10,968人。出産に至る率は23の比較) |
| 比べたもの | 鍼をした群と、鍼なしなどの対照群 |
| 結果 | 鍼をした人は出産に至る率が1.11倍(確実性は低い) |
臨床妊娠率は1.19倍でしたが、こちらは確実性が非常に低いと評価されています [1]。
1.11倍は小さな差です。ほかのまとめも、鍼なしなどとの比較では同じ向きの結果を報告しています [3] [4]。
皮膚に刺さらない偽の鍼を使った群と比べると、結果が変わります。偽の鍼と比べた試験だけを集めたまとめでは、出産に至る率に差はなく、確実性は高いと評価されました [2]。オーストラリアとニュージーランドの848人の試験でも、出産に至った人は鍼で18.3%、偽の鍼で17.8%でした [5]。
偽の鍼と比べると差が消えます。鍼なしとの比較で出た差は、鍼そのものの効果とは言い切れません。胚移植の前後の処置188件を比べた大きなまとめでも、鍼は妊娠率をはっきり高めませんでした [6]。
出産に至る率は鍼で18.3%、偽の鍼で17.8%と差がありませんでした。
排卵が起こりにくい女性では、研究の結果が割れています。134人の試験では、排卵誘発剤に本物の鍼を足した群の治療周期あたりの妊娠率が56.72%、偽の鍼の群が29.85%でした [14]。一方、926人の大きな試験を含むまとめでは、本物と偽の鍼に差はありませんでした [8]。鍼だけと排卵誘発剤だけを比べた試験では鍼のほうが妊娠率が高く [9]、鍼を含む治療で妊娠率が1.84倍になったというまとめもありますが、含まれた試験は質に不明な点が多いものでした [15]。質は低めです。
体外受精を受けた女性の試験42件のまとめ(計7400人)では、鍼のグループで早い時期の流産が1.51倍に増えていました [3]。一方、偽の鍼と比べた試験のまとめでは、流産に差は出ていません(確実性は高い) [2]。27件のまとめでも流産に有意な差はなく [16]、流産への影響ははっきりしていません。
副作用の中身は、軽〜中等度の局所の反応が中心です [3]。不妊の女性27件のまとめでは、副作用が1.65倍多く、差は小さいとは言えません [16]。多嚢胞性卵巣症候群のまとめでも、本物の鍼は偽の鍼より副作用がやや多い結果でした [8]。体外受精の治療中の人、持病や服薬のある人は、主治医に相談してから受けてください。
体外受精の時期と鍼の時期が重なるので、受ける日程は医師と相談してください。
体外受精中の鍼灸は、鍼なしと比べて出産に至る率が1.11倍で、小さく効きます。
偽の鍼と比べると差がないので、鍼灸だけで成功率が大きく変わるとは言えません。
受けるなら主治医に伝え、費用と時間に見合うかを自分で決めましょう。
研究では確かめられていません。排卵が起こりにくい女性でも、本物と偽の鍼で出産に至る率に差はありませんでした [[31264709]]。
研究では、胚移植の前後に受ける形が多く調べられています。ただし胚移植の前後の鍼は妊娠率をはっきり高めませんでした [[35325124]]。時期は主治医と相談してください。
不安は小さく下がりましたが、確実性は非常に低いと評価されています [[35570176]]。リラックスのために受けるのは選択肢の一つです。
この記事で見た研究は、鍼と電気を流す鍼が中心です。お灸だけの結果は確かめていません。
体外受精を受けた女性10,968人の試験58件で、鍼をした人は出産に至る率が1.11倍だった。
偽の鍼と比べた試験だけを集めると、出産に至る率に差はなかった。確実性は高い。
42件の試験(計7400人)で、鍼をした人は臨床妊娠率が1.19倍。早い時期の流産も1.51倍だった。
10,776人の37件の試験で、鍼をした人は出産に至る率が1.287倍だった。
848人の試験で、出産に至った人は鍼で18.3%、偽の鍼で17.8%と差がなかった。
胚移植の前後の処置を比べた大規模なまとめで、鍼は臨床妊娠率をはっきり高めなかった。
140人の試験で、出産に至る率は21.43%と15.71%で、はっきりした差はなかった。
本物の鍼と偽の鍼で、出産に至る率に差はなかった。926人の結果で、確実性は低い。
排卵誘発剤に鍼を足しても、妊娠率に差はなかった。鍼だけの比較では鍼のほうが高かった。
1785人の8件の試験で、鍼をした人は不安がわずかに小さかった。確実性は非常に低い。
不妊の女性1930人の12件の試験で、鍼をした人は不安と抑うつの点数が改善していた。
鍼と子宮内膜の10本のレビューは、すべて方法の質が非常に低いと評価された。
70人の試験で、内膜の厚さや妊娠率・出産率に差はなかった。
134人の試験で、鍼を足した群の治療周期あたりの妊娠率は56.72%、偽の鍼の群は29.85%だった。
鍼を含む治療の群は妊娠率が1.84倍だったが、含まれた試験は質に不明な点が多い。
27件の試験で、鍼をした人は出産率が1.34倍で、副作用も1.65倍多かった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。