[1]つわりと重いつわりの治療を調べた系統的レビュー
- 発表年
- 2016年
- 研究機関
- イギリス・ニューカッスル・アポン・タイン病院群
- 掲載誌
- JAMA
- 研究の種類
- システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
- 対象
- 8,930人
- 結果の向き
- 良い方向
つわりの治療を広く調べ、軽いつわりの吐き気にはピリドキシンがプラセボより良い傾向でした。根拠の質は低めです。

つわりの吐き気には効きます。吐く回数と重いつわりには効きません。
妊娠初期の軽い〜中くらいのつわりで、B6を単独で飲む話です。入院が必要な重いつわりや、薬との配合は別です。
試すなら、妊娠中の摂取は医師・助産師に相談してからにしましょう。高用量のB6はしびれなどの神経症状の報告があるので、量は自己判断で増やさないでください [5]。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 19.9 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 0 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 94.9 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本・観察研究 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ビタミンB6(ピリドキシン)は、たんぱく質の代謝に関わるビタミンです。魚や肉、野菜などの食品に含まれ、サプリメントにもなっています。つわりの吐き気を和らげるとされ、海外では医師が処方する薬の成分にも使われます。注意点は、摂りすぎるとしびれなどの神経症状が報告されていることです。ここまでは一般的な説明で、この記事の研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、イギリスのニューカッスル・アポン・タイン病院群などの研究チームが2016年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。つわりと重いつわり(妊娠悪阻)の治療を調べた78件・8930人が集められました。
| 研究の種類 | つわりと重いつわりの治療を調べた系統的レビュー |
|---|---|
| 対象 | つわりのある妊婦(78件・8930人) |
| 比べたもの | ビタミンB6、しょうが、抗ヒスタミン薬、吐き気止めなどとプラセボ |
| 結果 | 軽いつわりの吐き気・嘔吐には、ビタミンB6はプラセボより良い結果 |
研究のばらつきが大きく、数値をまとめる解析はできませんでした。根拠の質は全体として低いと評価されています。
別の解析も同じ向きです。ビタミンB6を単独、またはほかの成分と併用して飲んだ18件をまとめると、吐き気のスコア(Rhodesスコア)が0.78点改善しました [2]。2024年までの研究を対象にしたネットワークメタ解析でも、ビタミンB6は吐き気・嘔吐を和らげる方法の一つとされましたが、不確かさが大きいと注記されています [6]。
根拠の確かさは低めです。理由は、研究どうしの結果のばらつきが大きく、数値をまとめる解析ができなかったことです [1]。個別の試験では、妊娠17週以下の342人に毎日30mgを5日間飲んでもらった試験では、吐き気のスコアの下がり方がプラセボより大きくなりました [7]。
59人の試験では、吐き気が強い人ではビタミンB6のほうがプラセボより吐き気が軽くなりましたが、軽い〜中くらいの人や全体では差がありませんでした [8]。対象者の吐き気の強さで、結果が変わることが示された試験です。
再入院は、B6群で37.5%、プラセボ群で21.1%で、統計的に意味のある差はありませんでした。
コクランのレビュー(41件・5449人)は、ビタミンB6などの薬が軽い〜中くらいの吐き気・嘔吐を和らげることを支持する根拠は限られていた、と結論しています [4]。効かないという意味ではなく、強い根拠がないという評価です。
研究で使われた量は、25mgを8時間ごとに72時間(3日)[8]、40mgを1日2回 [10]、毎日30mgを5日間 [7]などです。いずれも短い期間の試験で、長く飲み続けた結果ではありません。高用量では神経症状の報告があります [5]。これらは試験で使われた量で、同じ量を自己判断で飲んでよいという意味ではありません。妊娠中にサプリを使うかどうか、量をどうするかは、医師・助産師に相談してください。
量を自己判断で増やさず、つわりが重いときは早めに受診してください。
ビタミンB6は、軽いつわりの吐き気を和らげます。
吐く回数や重いつわりには効かず、根拠の確かさも低めです。
使うかどうかは、医師・助産師と量を確かめて決めましょう。
研究では、3日から5日ほど飲んで吐き気を評価した試験があります [[2047064]] [[7573262]]。何時に飲むと効くかは、研究では確かめられていません。
しょうがとビタミンB6を比べたまとめ研究では、症状・吐き気・嘔吐のいずれにも有意な差はありませんでした [[31937153]]。77人の試験でも、両者の合計スコアに差はありませんでした [[28629250]]。
入院が必要な重いつわりでは、B6を加えても再入院や吐く回数は改善しませんでした [[19077388]]。水分がとれないほど重いときは、早めに受診してください。
食事で吐き気が和らぐかどうかは、この記事の研究では確かめられていません。研究で調べられたのはサプリや錠剤です。
つわりの治療を広く調べ、軽いつわりの吐き気にはピリドキシンがプラセボより良い傾向でした。根拠の質は低めです。
18件をまとめ、ビタミンB6の単独または併用で吐き気のスコアが有意に改善しました。
入院した92人で、ピリドキシンを加えても再入院・吐く回数・吐き気は改善しませんでした。
41件・5449人を調べ、ビタミンB6などの薬を支持する根拠は限られるとしました。
摂りすぎの報告1226人中164人に、しびれやふらつきなどの神経症状が出ていました。
RCT24件・3017人をまとめ、ビタミンB6は和らげる方法の一つとされましたが、不確かさが大きい結果です。
妊娠17週以下の342人で、毎日30mgを飲んだ人は吐き気のスコアの下がり方が大きくなりました。
59人で、3日後に吐いた人はB6群31人中8人、プラセボ群28人中15人でした。
配合薬はプラセボより症状を大きく改善しました。ピリドキシン単独の効果ではありません。
77人で、B6はプラセボより症状を和らげ、しょうがと差はありませんでした。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。