離乳食でピーナッツを早く始めるとアレルギーは防げる?

離乳食でピーナッツを早く始めるとアレルギーは防げる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

防げます。早く始めた赤ちゃんは、ピーナッツアレルギーのリスクが約3分の1に下がりました。

根拠

生後3〜10か月にピーナッツを始めた群と、遅く始める・避ける群を比べたRCT4件・3796人のメタ解析で、ピーナッツアレルギーのリスクは0.31倍でした [1]。別のメタ解析(RCT3件・4183人)も0.31倍で一致しています [2]。根拠の確かさは中程度です。2本のうち片方は確実性が高く、もう片方は中程度と評価されたためです。

この答えの範囲

ピーナッツアレルギーの話です。重い湿疹や卵アレルギーのある赤ちゃんは、始める前に医師の評価が前提です。お母さんが妊娠中・授乳中に食べる影響は、この記事では扱いません。

じゃあ、どうする?

始める時期は、生後3〜10か月が研究の範囲です。重い湿疹や卵アレルギーがあるなら、小児科かアレルギー科で相談してから。丸ごとのナッツは窒息の危険があるので、なめらかなペーストやパウダーを離乳食に混ぜます。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。中程度
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 84 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量13.720研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 93.7 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

早く始めるとは

ピーナッツアレルギーは、ピーナッツを食べたときに起こる食物アレルギーです。以前は、アレルギーが心配なら食べさせるのを遅らせるのが安全と考えられていました。2015年に発表されたLEAP試験以降の研究は、離乳食の時期から少しずつ食べるほうが、アレルギーになりにくいことを示しています。国立成育医療研究センターの資料では、窒息の危険があるため、丸ごとのナッツではなく、なめらかなパウダーやペーストを離乳食に混ぜる与え方が示されています。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、条件のそろった複数の試験の結果を統計でまとめる方法です。

研究の種類食べ物を始める時期を比べたRCTのメタ解析
対象乳児(ピーナッツはRCT4件・3796人)
比べたもの生後3〜10か月で始める群と、遅く始める・避ける群
結果ピーナッツアレルギーのリスクが0.31倍
まとめて分析した結果早く始めた赤ちゃんは、ピーナッツアレルギーのリスクが0.31倍でした [1]。

2024年にオーストラリアのボンド大学などが発表した別のメタ解析(RCT3件・4183人)でも0.31倍で、アレルギーになりやすさや始めた月齢による大きな差はありませんでした [2]。

どちらも、結果の向きがそろっています。「約3分の1」は、避けた場合と比べた割合の話です。

重い湿疹や卵アレルギーのある子では

結果の土台になった試験の一つが、重い湿疹や卵アレルギーのある赤ちゃん640人を調べたLEAP試験です。皮膚テストが陰性だった530人では、60か月時点のピーナッツアレルギーが、避けた群で13.7%、食べた群で1.9%でした。重い有害事象に差はありませんでした [3]。

効果は長く続いていました。144か月まで追うと、元の避けた群は15.4%、元の食べた群は4.4%でした(497人)[4]。ただし、追跡した試験は1件で、根拠の確かさは低めです。5歳まで食べ続けた群が、そのあと12か月ピーナッツを避けても、72か月のアレルギーは4.8%で、避け続けた群の18.6%より少ないままでした [5]。

湿疹のない子では

LEAP試験と、一般の母乳育ちの赤ちゃんを調べたEAT試験の個人データを合わせた解析では、早くから食べる群に割り付けられた子はピーナッツアレルギーが75%少なくなりました。湿疹のない子でも減っていました [6]。

ノルウェーとスウェーデンの一般の赤ちゃん2397人のPreventADALL試験では、生後3か月からピーナッツなど4種類を始めた群で、3歳時の食物アレルギーが減りました。重い有害事象はありませんでした [7]。

よく言われていることは本当?

  • 早く始めるとアレルギーを防げる本当です。 リスクが0.31倍に下がりました [1]。
  • アレルギーが心配なら遅らせるほうが安全ほぼウソです。 避けた群・遅く始めた群のほうが、ピーナッツアレルギーが多くなりました [1]。
  • 重い湿疹や卵アレルギーがあるなら、早い時期に始めるとよい本当です。 LEAP試験がこの子たちを対象にしていて、食べた群のほうが少なくなりました。ただし、始める前に医師の評価を受けてください [3]。
  • 早く始めた効果は、大きくなっても続く研究では続いていました。 ただし追跡した試験は1件で、根拠の確かさは低めです [4]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

2021年の中国のレビューは、ピーナッツを早く始めることとアレルギーの間に、はっきりした関係は見つからないとしました。ピーナッツは研究の数が少なく、数値をまとめていないレビューです [8]。

また、EAT試験では、ピーナッツ・卵・牛乳など6種類を一度に早く始めるのは続けにくいことがわかりました。全員で比べると食物アレルギー全体の差ははっきりせず、決めたとおり食べられた子だけで見ると、ピーナッツアレルギーは0%対2.5%でした [9]。

差がはっきりしなかった試験母乳育ちの赤ちゃん1303人(EAT試験)

6種類を一度に始める方法は続けにくく、全員での比較では差がはっきりしませんでした。

02注意点

研究の対象は、生後3〜11か月ごろに始めた赤ちゃんです。LEAP試験では、生後4か月以上11か月未満の重い湿疹・卵アレルギーのある赤ちゃんを、60か月までピーナッツを食べる群と避ける群に分けました [3]。成長や栄養に差はありませんでした [10]。重い湿疹や卵アレルギーがある場合、すでにアレルギーがある場合は、自己判断で始めず、小児科やアレルギー科の医師に確認してください。丸ごとのナッツは窒息の危険があるため与えません。

始める前に、医師の評価を受ける

重い湿疹や卵アレルギーがある赤ちゃんは、必ず相談してから始めてください。

03まとめ

ピーナッツを離乳食の時期から始めると、アレルギーのリスクは約3分の1になります。
重い湿疹や卵アレルギーがある赤ちゃんは、医師の評価が先です。
与えるときは、なめらかなペーストかパウダーで、少しずつ続けましょう。同じ考え方の卵は、離乳食で卵を早く始めると卵アレルギーは防げる?で解説しています。保湿との関係は、赤ちゃんの保湿でアトピーは予防できる?も読んでみてください。

04よくある質問

Q湿疹がない赤ちゃんも早く始めたほうがいいですか?

湿疹のない子でもアレルギーが減った、という解析があります [[36435990]]。始める時期や量は、かかりつけの小児科で相談して決めてください。

Q一度やめても大丈夫ですか?

LEAP試験の続きの研究では、5歳まで食べ続けた子が、そのあと12か月避けても、アレルギーは有意には増えませんでした [[26942922]]。始めてすぐやめた場合を調べた研究ではありません。

Qお母さんが妊娠中・授乳中に食べると影響しますか?

この記事の研究は赤ちゃん本人が食べる話です。お母さんの食事の影響は、ここでは確かめていません。

Qピーナッツの粒をそのまま与えてもいいですか?

窒息の危険があるため、与えません。なめらかなペーストやパウダーを離乳食に混ぜる方法が、国立成育医療研究センターの資料で示されています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]アレルギーを起こしやすい食べ物を始める時期と食物アレルギーのメタ解析

発表年
2023年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
JAMA pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,796人
結果の向き
良い方向

ピーナッツはRCT4件・3796人で、生後3〜10か月に始めるとアレルギーのリスクが0.31倍だった。

[2]アレルギーを起こしやすい食べ物を早く始めることと、アレルギー・自己免疫疾患のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
オーストラリア・ボンド大学
掲載誌
BMJ evidence-based medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,183人
結果の向き
良い方向

ピーナッツはRCT3件・4183人で、早く始めるとアレルギーのリスクが0.31倍だった。

[3]ピーナッツアレルギーになりやすい乳児がピーナッツを食べる無作為化試験(LEAP)

発表年
2015年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
The New England journal of medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
640人
結果の向き
良い方向

重い湿疹や卵アレルギーのある640人で、皮膚テスト陰性の530人は60か月時点のアレルギーが食べた群1.9%、避けた群13.7%だった。

[4]ピーナッツを早く始めたあと思春期まで追跡した研究

発表年
2024年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
NEJM evidence
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
497人
結果の向き
良い方向

144か月時点のアレルギーは元の食べた群4.4%、避けた群15.4%で、効果が続いていた。

[5]早くピーナッツを食べたあと避けた場合のアレルギー(LEAP-On)

発表年
2016年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
The New England journal of medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
550人
結果の向き
良い方向

72か月時点のアレルギーは食べていた群4.8%、避けていた群18.6%だった。

[6]LEAPとEATのデータを合わせたピーナッツ早期導入の解析

発表年
2023年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
Allergy
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

早く食べる群はピーナッツアレルギーが75%少なく、湿疹のない子でも減っていた。

[7]一般の赤ちゃんで食べ物を生後3か月から始めるPreventADALL試験

発表年
2022年
研究機関
ノルウェー・オスロ大学病院
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験(クラスター)学校や病院などの単位でくじ引きのように分け、結果を比べる試験。
対象
2,397人
結果の向き
良い方向

一般の赤ちゃん2397人で、生後3か月から食べ物を始めた群は3歳時の食物アレルギーが減った。

[8]乳児への食べ物の導入時期と食物アレルギーのメタ解析

発表年
2021年
研究機関
中国・北京大学第三病院
掲載誌
Zhonghua er ke za zhi = Chinese journal of pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究8件を統合
結果の向き
差なし

ピーナッツを早く始めることとアレルギーの間に、はっきりした関係は見つからなかった。

[9]母乳で育つ赤ちゃんでアレルギーを起こしやすい食べ物を早く始める無作為化試験

発表年
2016年
研究機関
イギリス・セント・ジョージ大学ロンドン
掲載誌
The New England journal of medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,303人
結果の向き
結果が割れている

母乳育ちの1303人で、6種類を早く始めるのは続けにくかった。決めたとおり食べた子ではピーナッツアレルギーが0%対2.5%だった。

[10]LEAP試験でのピーナッツ摂取の実行しやすさ・成長・栄養

発表年
2016年
研究機関
イギリス・キングス・カレッジ・ロンドン
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
640人
結果の向き
差なし

640人で、ピーナッツを食べても成長やエネルギー摂取量に差はなかった。

ほかに参考にした論文(4本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。