[1]アレルギーを起こしやすい食べ物を始める時期と食物アレルギーのメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
- 掲載誌
- JAMA pediatrics
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 3,796人
- 結果の向き
- 良い方向
ピーナッツはRCT4件・3796人で、生後3〜10か月に始めるとアレルギーのリスクが0.31倍だった。

防げます。早く始めた赤ちゃんは、ピーナッツアレルギーのリスクが約3分の1に下がりました。
ピーナッツアレルギーの話です。重い湿疹や卵アレルギーのある赤ちゃんは、始める前に医師の評価が前提です。お母さんが妊娠中・授乳中に食べる影響は、この記事では扱いません。
始める時期は、生後3〜10か月が研究の範囲です。重い湿疹や卵アレルギーがあるなら、小児科かアレルギー科で相談してから。丸ごとのナッツは窒息の危険があるので、なめらかなペーストやパウダーを離乳食に混ぜます。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 13.7 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 93.7 点を、エビデンス強度 B の範囲(55〜84 点)に収めて、スコアは 84 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 2 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「中程度」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から B に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ピーナッツアレルギーは、ピーナッツを食べたときに起こる食物アレルギーです。以前は、アレルギーが心配なら食べさせるのを遅らせるのが安全と考えられていました。2015年に発表されたLEAP試験以降の研究は、離乳食の時期から少しずつ食べるほうが、アレルギーになりにくいことを示しています。国立成育医療研究センターの資料では、窒息の危険があるため、丸ごとのナッツではなく、なめらかなパウダーやペーストを離乳食に混ぜる与え方が示されています。
答えの中心は、インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、条件のそろった複数の試験の結果を統計でまとめる方法です。
| 研究の種類 | 食べ物を始める時期を比べたRCTのメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 乳児(ピーナッツはRCT4件・3796人) |
| 比べたもの | 生後3〜10か月で始める群と、遅く始める・避ける群 |
| 結果 | ピーナッツアレルギーのリスクが0.31倍 |
2024年にオーストラリアのボンド大学などが発表した別のメタ解析(RCT3件・4183人)でも0.31倍で、アレルギーになりやすさや始めた月齢による大きな差はありませんでした [2]。
どちらも、結果の向きがそろっています。「約3分の1」は、避けた場合と比べた割合の話です。
結果の土台になった試験の一つが、重い湿疹や卵アレルギーのある赤ちゃん640人を調べたLEAP試験です。皮膚テストが陰性だった530人では、60か月時点のピーナッツアレルギーが、避けた群で13.7%、食べた群で1.9%でした。重い有害事象に差はありませんでした [3]。
効果は長く続いていました。144か月まで追うと、元の避けた群は15.4%、元の食べた群は4.4%でした(497人)[4]。ただし、追跡した試験は1件で、根拠の確かさは低めです。5歳まで食べ続けた群が、そのあと12か月ピーナッツを避けても、72か月のアレルギーは4.8%で、避け続けた群の18.6%より少ないままでした [5]。
LEAP試験と、一般の母乳育ちの赤ちゃんを調べたEAT試験の個人データを合わせた解析では、早くから食べる群に割り付けられた子はピーナッツアレルギーが75%少なくなりました。湿疹のない子でも減っていました [6]。
ノルウェーとスウェーデンの一般の赤ちゃん2397人のPreventADALL試験では、生後3か月からピーナッツなど4種類を始めた群で、3歳時の食物アレルギーが減りました。重い有害事象はありませんでした [7]。
2021年の中国のレビューは、ピーナッツを早く始めることとアレルギーの間に、はっきりした関係は見つからないとしました。ピーナッツは研究の数が少なく、数値をまとめていないレビューです [8]。
また、EAT試験では、ピーナッツ・卵・牛乳など6種類を一度に早く始めるのは続けにくいことがわかりました。全員で比べると食物アレルギー全体の差ははっきりせず、決めたとおり食べられた子だけで見ると、ピーナッツアレルギーは0%対2.5%でした [9]。
6種類を一度に始める方法は続けにくく、全員での比較では差がはっきりしませんでした。
研究の対象は、生後3〜11か月ごろに始めた赤ちゃんです。LEAP試験では、生後4か月以上11か月未満の重い湿疹・卵アレルギーのある赤ちゃんを、60か月までピーナッツを食べる群と避ける群に分けました [3]。成長や栄養に差はありませんでした [10]。重い湿疹や卵アレルギーがある場合、すでにアレルギーがある場合は、自己判断で始めず、小児科やアレルギー科の医師に確認してください。丸ごとのナッツは窒息の危険があるため与えません。
重い湿疹や卵アレルギーがある赤ちゃんは、必ず相談してから始めてください。
ピーナッツを離乳食の時期から始めると、アレルギーのリスクは約3分の1になります。
重い湿疹や卵アレルギーがある赤ちゃんは、医師の評価が先です。
与えるときは、なめらかなペーストかパウダーで、少しずつ続けましょう。同じ考え方の卵は、離乳食で卵を早く始めると卵アレルギーは防げる?で解説しています。保湿との関係は、赤ちゃんの保湿でアトピーは予防できる?も読んでみてください。
湿疹のない子でもアレルギーが減った、という解析があります [[36435990]]。始める時期や量は、かかりつけの小児科で相談して決めてください。
LEAP試験の続きの研究では、5歳まで食べ続けた子が、そのあと12か月避けても、アレルギーは有意には増えませんでした [[26942922]]。始めてすぐやめた場合を調べた研究ではありません。
この記事の研究は赤ちゃん本人が食べる話です。お母さんの食事の影響は、ここでは確かめていません。
窒息の危険があるため、与えません。なめらかなペーストやパウダーを離乳食に混ぜる方法が、国立成育医療研究センターの資料で示されています。
ピーナッツはRCT4件・3796人で、生後3〜10か月に始めるとアレルギーのリスクが0.31倍だった。
ピーナッツはRCT3件・4183人で、早く始めるとアレルギーのリスクが0.31倍だった。
重い湿疹や卵アレルギーのある640人で、皮膚テスト陰性の530人は60か月時点のアレルギーが食べた群1.9%、避けた群13.7%だった。
144か月時点のアレルギーは元の食べた群4.4%、避けた群15.4%で、効果が続いていた。
72か月時点のアレルギーは食べていた群4.8%、避けていた群18.6%だった。
早く食べる群はピーナッツアレルギーが75%少なく、湿疹のない子でも減っていた。
一般の赤ちゃん2397人で、生後3か月から食べ物を始めた群は3歳時の食物アレルギーが減った。
ピーナッツを早く始めることとアレルギーの間に、はっきりした関係は見つからなかった。
母乳育ちの1303人で、6種類を早く始めるのは続けにくかった。決めたとおり食べた子ではピーナッツアレルギーが0%対2.5%だった。
640人で、ピーナッツを食べても成長やエネルギー摂取量に差はなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。