子どもの冬の乾燥肌は保湿剤を塗ると良くなる?

子どもの冬の乾燥肌は保湿剤を塗ると良くなる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.06
答え効く

良くなります。ローション・クリーム・軟膏のどれでも、症状に差は出ていません。

根拠

乾燥肌のある2〜6歳の子ども251人の試験で、保湿剤を28日間塗ると、中身のない基剤より乾燥が改善し、改善した子の割合は66.1%と45.6%でした。塗るのをやめると乾燥が再発しました [1]。赤ちゃんの試験でも、肌の水分量が増えました [2] [3]。根拠の確かさは低めです。試験の数が少なく、新生児や乳児が中心で、幼児の冬の乾燥肌そのものを調べた試験は無いためです。

この答えの範囲

アトピー性皮膚炎に伴う乾燥肌のある2〜6歳と、健康な新生児・乳児の試験の話です。幼児の冬の乾燥肌だけを調べた試験は無く、湿疹の予防は別の話です。

じゃあ、どうする?

毎日塗るのが基本です。ローション・クリーム・軟膏の種類で症状に差は出なかったので、子どもが嫌がらず続けられる使い心地のものを選べば十分です [4]。オイル類は、とくに新生児の肌のバリアの発達に悪影響が出るかもしれないとされているので、乾燥のケアには保湿剤を [5]。赤みや湿疹が続くときは、小児科か皮膚科で相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。一部で結果が異なる
判定の内訳を見る(スコア 64 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン3640いちばん信頼できる研究の種類
研究の量11.720研究件数と参加人数
一致度18.125結果の向きがそろっているか
新しさ610最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 71.8 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 4 本。 この上限により、強度を B から C に下げました。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

子どもの乾燥肌と保湿剤とは

保湿剤は、肌の水分を保ち、表面を油分で覆う塗り薬や化粧品の総称です。ローション・クリーム・軟膏など形がいくつかあり、ワセリンやグリセリンを含むものが代表的です。注意点は、植物のオイル類は保湿剤とは別に考える必要があることです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、フランスのボルドー大学病院などの研究チームが2014年に発表したランダム化比較試験です [1]。ランダム化比較試験とは、くじ引きのようにグループを分けて結果を比べる方法です。

研究の種類ランダム化比較試験(二重盲検)
対象アトピー性皮膚炎に伴う乾燥肌のある2〜6歳の子ども251人
比べたものグリセリンとパラフィン入りの保湿剤と、中身のない基剤を28日間
結果保湿剤のほうが乾燥がよく改善し、改善した子の割合は66.1%と45.6%
試験の結果保湿剤を塗った子は、基剤だけの子より乾燥がよく改善しました [1]。

塗るのをやめると乾燥が再発し、塗り直すと改善が戻りました。

対象は、アトピー性皮膚炎に伴う乾燥肌のある子です。ふつうの冬の乾燥肌とは同じではありません。ただ、乾燥肌のある子どもで毎日の保湿剤が16週で症状スコアを下げた試験もあります [6]。

赤ちゃんでも同じ向きです。健康な生後3か月の赤ちゃん227人では、ローションを毎日塗り入浴を1日おきにしたグループは、顔と体の角層の水分量が多くなりました [2]。健康な新生児64人では、入浴とクリームを週2回続けたグループが、8週後に水分の蒸発量が少なく、水分量が多くなりました [3]。見た目の肌の状態のスコアには差がありませんでした。

種類で差は出る?

ローション・クリーム・軟膏のどれが効くかは、湿疹のある子ども550人の試験で比べられています。4種類のどれでも16週間の症状スコアに差はなく、軟膏とローションの差は-0.01点でした。満足度はローションとジェルが最も高い結果でした [4]。乾燥肌の2〜6歳で植物由来とワセリン系の保湿剤を比べた試験でも、どちらも肌の状態が良くなりました。16週の時点の角層の水分量は植物由来のほうが多い結果でした [7]。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

オリーブ油やひまわり油などのオイル類は、保湿剤と同じ結果ではありません。新生児の試験では、肌の水分量は増えたものの、バリアの構造の発達は、油を塗らない赤ちゃんより劣りました [5]。赤ちゃんのスキンケアをまとめたレビューも、乾燥肌へのオリーブ油やひまわり油はバリア機能に悪影響があるかもしれないと指摘しています [8]。ただし、油入りの入浴を続けた赤ちゃん2153人の試験では、3か月と6か月の時点で乾燥肌の子が少なかった一方、水分の蒸発量はやや多く、結果はそろっていません [9]。

悪影響が見られた試験健康な新生児115人(オリーブ油・ひまわり油・油なしの3グループ)

水分量は増えましたが、角層の脂質の並びの発達は油なしの赤ちゃんより劣りました。

よく言われていることは本当?

  • 毎日保湿剤を塗ると乾燥肌が良くなる本当です。 乾燥肌のある子どもの試験で改善が確かめられています。ただ、根拠の確かさは低めです [1]
  • 冬は軟膏やクリームのほうがローションより効くほぼウソです。 4種類を比べた試験で症状に差はありませんでした [4]
  • 赤ちゃんから毎日保湿するとアトピーを予防できる研究では逆の結果もあります。 健康な赤ちゃん3075人のまとめでは、湿疹のリスクはおそらく変わらず、肌の感染症はおそらく増えました [10]。詳しくは赤ちゃんの保湿でアトピーは予防できる?で解説しています
  • 入浴後5分以内に塗ると効果が高い研究が見つかっていません。 塗るタイミングを比べた試験は確認できませんでした
  • 加湿器で湿度を50%以上に保つと防げる研究が見つかっていません。 子どもの乾燥肌で加湿を比べた試験は確認できませんでした
  • 肌着は綿にし、裏起毛は避ける研究が見つかっていません。 衣類の素材と子どもの乾燥肌を比べた研究は確認できませんでした

02注意点

試験の多くは、新生児や乳児、またはアトピー性皮膚炎のある子が対象で、期間は28日間から16週間です。副作用の報告は少ないものの、塗って赤みやかゆみが出たら使うのをやめてください。湿疹がひどい、かゆみで眠れないなど症状が強いときは、小児科か皮膚科の医師に相談してください。

乾燥は塗るのをやめると戻る

効果は使っている間の話なので、冬のあいだは続けて塗ることが前提です。

03まとめ

保湿剤を塗ると、子どもの乾燥肌は良くなります。
種類による症状の差は見られず、オイル類は保湿剤の代わりにしないほうが安心です。
子どもが嫌がらない使い心地のものを選び、毎日続けましょう。

04よくある質問

Qローションとクリームと軟膏は、どれを選べばいい?

湿疹のある子ども550人の試験では、4種類の保湿剤で16週間の症状に差はありませんでした。満足度が高かったのはローションとジェルです。子どもが嫌がらず毎日続けられるものを選べば十分です。

Qお風呂上がりすぐに塗らないと効果は下がる?

研究では確かめられていません。塗るタイミングを比べた試験は見つかりませんでした。

Qベビーオイルやオリーブ油を塗ってもいい?

新生児の試験では、オリーブ油やひまわり油を塗ると水分量は増えましたが、バリアの構造の発達は油なしの赤ちゃんより劣りました。乾燥のケアには保湿剤を使うほうが無難です。

Q保湿をやめるとどうなる?

2〜6歳の子ども251人の試験では、塗るのをやめると乾燥が再発し、塗り直すと改善が戻りました。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]アトピー性皮膚炎に伴う乾燥肌の子どもで、保湿剤を長く使う効果

発表年
2014年
研究機関
フランス・ボルドー大学病院
掲載誌
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology : JEADV
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
251人
結果の向き
良い方向

乾燥肌のある2〜6歳の子ども251人で、保湿剤は基剤より乾燥をよく改善し、やめると再発した。

[2]生後3か月の赤ちゃんの保湿ケアが肌のバリアに与える影響

発表年
2018年
研究機関
日本・東京大学
掲載誌
The Journal of dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
227人
結果の向き
良い方向

健康な赤ちゃん227人で、ローションを毎日塗り入浴を1日おきにすると角層の水分量が多くなった。

[3]新生児の部位ごとの肌のバリアと標準的なスキンケア

発表年
2010年
研究機関
ドイツ・シャリテ医科大学ベルリン
掲載誌
Pediatric dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
64人
結果の向き
良い方向

健康な新生児64人で、入浴とクリームを週2回続けると8週後に水分の蒸発量が少なく、水分量が多かった。

[4]子どもの湿疹にローション・クリーム・ジェル・軟膏を比べた試験

発表年
2023年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
Health technology assessment (Winchester, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
550人
結果の向き
差なし

湿疹のある子ども550人で、4種類の保湿剤の16週間の症状スコアに差はなかった。

[5]赤ちゃんの乾燥肌にオリーブ油・ひまわり油・油なしを比べた試験

発表年
2016年
研究機関
イギリス・マンチェスター大学
掲載誌
Acta dermato-venereologica
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
115人
結果の向き
結果が割れている

健康な新生児で、油を塗ると水分量は増えたが、バリアの構造の発達は油なしより劣った。

[6]乾燥肌の子どもの症状をアトピーの指標で測った試験

発表年
2016年
研究機関
ドイツ・シャリテ医科大学ベルリン
掲載誌
Skin pharmacology and physiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

乾燥肌のある乳幼児で、毎日保湿剤を塗ると16週で肌の症状スコアが下がった。

[7]乾燥肌の子どもに保湿剤を毎日使う試験

発表年
2014年
研究機関
ドイツ・シャリテ医科大学ベルリン
掲載誌
Skin pharmacology and physiology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

乾燥肌のある2〜6歳で、植物由来の保湿剤とワセリン系の保湿剤のどちらでも肌の状態が良くなった。

[8]健康な赤ちゃんのスキンケアの系統的レビュー

発表年
2018年
研究機関
イギリス・マンチェスター大学
掲載誌
Midwifery
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

赤ちゃんの乾燥肌にオリーブ油やひまわり油を使うと、バリア機能に悪い影響があるかもしれないとされた。

[9]Frequent oil baths and skin barrier during infancy in the PreventADALL study.

発表年
2024年
研究機関
ノルウェー・Rehbinder EMほかの研究チーム
掲載誌
The British journal of dermatology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

一般の赤ちゃん2153人で、生後2週から8か月まで週4回オイル入りのお風呂にすると、3か月と6か月の時点で乾燥肌の子が少なかったが、水分の蒸発量はやや多かった

[10]赤ちゃんのスキンケアによる湿疹と食物アレルギーの予防

発表年
2022年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,075人
結果の向き
差なし

健康な赤ちゃん3075人で、保湿などのスキンケアは湿疹のリスクをおそらく変えず、肌の感染症はおそらく増えた。

ほかに参考にした論文(10本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。