おくるみで赤ちゃんは寝つきやすくなる?

おくるみで赤ちゃんは寝つきやすくなる?
読了目安 4〜6分最終更新日 2026.11.05
答え良い関連がある

おくるみをした赤ちゃんは、静かな眠りが長く、目を覚ます回数が少ないことと関連しています。

根拠

おくるみと眠りを調べた系統的レビュー2本が、おくるみをした赤ちゃんは静かな眠りが長く、目を覚ます回数が少ないと報告しています [1] [2]。数値を統合した解析ではありません。根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、結果を数値でまとめていないためです。

この答えの範囲

1歳未満の健康な赤ちゃんの眠りの話です。寝つくまでの時間を直接測った研究は、今回集めた中にありません。

じゃあ、どうする?

使うなら、必ずあおむけで寝かせ、寝返りしそうな様子が見えたらすぐやめます [3]。足は伸ばして閉じた形で巻かず、ゆとりをもたせます [2]。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。低い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。10 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 61 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン2440いちばん信頼できる研究の種類
研究の量220研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度05信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 61 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 61 点です。 判定に使った研究は、観察研究 2 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

おくるみとは

おくるみは、赤ちゃんの体を薄い布でくるむ育児の方法です。包まれて安心し、眠りやすくなるとされています。腕ごと包む巻き方や、足をゆったり出す巻き方などがあります。注意点は、寝返りを始める前にやめることと、うつぶせで寝かせないことです。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

眠りについて

眠りの答えの中心は、イギリスのダーラム大学などの研究チームが2022年に発表した系統的レビューです [1]。系統的レビューとは、決めた手順で関連する研究を集め、結果を整理する方法です。2007年以降の研究6件が集められました。

研究の種類おくるみと眠りを調べた研究6件の系統的レビュー
対象1歳未満の赤ちゃん
比べたものおくるみをした場合と、しない場合
結果静かな眠りの時間が長く、おくるみに慣れていない赤ちゃんでは睡眠の状態の切り替わりが少ない
系統的レビューの結果おくるみをすると、静かな眠りの時間が長くなることと関連していました。

おくるみに慣れていない赤ちゃんでは、睡眠の状態の切り替わりも少なくなっていました [1]。

このレビューは数値を統合しておらず、効果の大きさは示されていません。2007年の別の系統的レビューも、おくるみをした赤ちゃんは全体として目を覚ますことが少なく、長く眠っていたとまとめています [2]。根拠の確かさは低めです。研究の数が少なく、結果を数値でまとめていないためです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

ふだんからおくるみをしている赤ちゃんでは、目覚めやすさは変わりませんでした [4]。おくるみに慣れていない赤ちゃんでは、生後3か月の静かな眠りの間に目覚めにくくなっていました。眠りが深くなる良い面に見えますが、研究者は突然死との関係を考えています。

ふだんから使う赤ちゃんの試験家でふだんおくるみをしている赤ちゃん15人としていない12人の比較です。

目覚めやすさは、おくるみの有無で変わりませんでした。

睡眠検査室で調べた赤ちゃん85人の試験では、自然に目を覚ます回数が毎時1.39回と、スリーパー (着る寝袋) の2.81回より少なくなっていました [5]。

泣く時間はどうなる?

よく泣く赤ちゃん398人の試験では、生活リズムを整えて刺激を減らす指導に、おくるみを加えても、全体では泣く時間はさらに減りませんでした [6]。ただし月齢で分けると、結果が違います。

  • 生後1〜7週: おくるみを加えたほうが、泣く時間がより多く減りました [6]
  • 生後8〜13週: おくるみを加えても上乗せはなく、加えない指導のほうが泣く時間がより多く減りました [6]

実際の泣く時間の差は10分ほどで、大きな差ではありません [6]。

おくるみを含むあやし方をまとめて教えた試験では、泣く時間が短くなった試験 [7] [8] と、差がなかった試験 [9] があります。どれも、おくるみだけの効果は分けられていません。

安全面 (突然死との関係)

乳幼児突然死症候群 (SIDS) とおくるみの関係は、寝かせる向きで大きく変わります。観察研究4件のメタ解析では、おくるみ全体のオッズ比は1.58 (95%信頼区間0.97〜2.58) で、統計的にははっきりしませんでした [10]。向き別では次のとおりです。

  • うつぶせ: 12.99倍
  • 横向き: 3.16倍
  • あおむけ: 1.93倍

おくるみをした赤ちゃんの突然死はまれだと報告されています。あおむけに寝かせ、寝返りしそうな様子が見えたらすぐやめることで、リスクを減らせるとされています [3]。生後6か月を超えると約2倍という限られた結果もあります [10]。

よく言われていることは本当?

  • モロー反射を防いで、ぐっすり長く眠れる研究が足りません。 モロー反射を直接調べた研究は、今回集めた中にありません。眠りが長くなることとの関連は見られています [1]。
  • 包まれて安心し、寝ぐずりや夜泣きが減る半分本当です。 全体では泣く時間の上乗せはなく、生後1〜7週に限って上乗せが見られました [6]。
  • 寝返りを始めたら、うつぶせだと危ない本当です。 うつぶせでは12.99倍と最も高くなっていました [10]。
  • きつく巻くと股関節の脱臼のおそれがある研究が足りません。 足を伸ばして閉じた形で巻くと股関節の脱臼のリスクが上がる、という系統的レビューの記述があります [2]。
  • 使うのは生後2〜3か月ごろまで研究が足りません。 何か月でやめるべきかを比べた研究は見つかっていません。

02注意点

研究の対象はどれも1歳未満の赤ちゃんです。突然死のリスクは、うつぶせや横向きで高くなります。寝返りしそうな様子が見えたら、その日からおくるみをやめてください [3]。足を伸ばして閉じた形で巻くのも避けます [2]。持病のある赤ちゃんや、使い方に迷うときは、小児科の医師や助産師に確認してください。

寝返りの兆しが見えたら、おくるみをやめる

うつぶせや横向きでは突然死との関連が高いため、必ずあおむけで寝かせてください。

03まとめ

おくるみは、静かな眠りが長いことと関連していますが、根拠の確かさは低めです。
泣く時間は、全体では上乗せがなく、生後1〜7週に限って上乗せが見られました。
使うなら、あおむけで、寝返りの兆しが出るまでにしましょう。

04よくある質問

Qおくるみで寝つきは早くなりますか?

寝つくまでの時間を測った研究は、今回集めた中にありません。分かっているのは、静かな眠りが長いことと、目を覚ます回数が少ないことの関連です [[36533224]]。

Qいつまで使えますか?

月齢ごとの区切りを調べた研究はありません。寝返りしそうな様子が見えたら、すぐやめるのが報告されている条件です [[24507866]]。

Qうつぶせにして寝かせても大丈夫ですか?

おすすめできません。おくるみをしたうつぶせは、突然死との関連が12.99倍と最も高くなっていました [[27244847]]。

05参照した論文

判定に使った主な論文(10本)

[1]おくるみが赤ちゃんの眠りと目覚めに与える影響の系統的レビュー

発表年
2022年
研究機関
イギリス・ダーラム大学
掲載誌
Frontiers in pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
研究6件を統合
結果の向き
良い方向

研究6件のレビューで、おくるみをすると静かな眠りの時間が長くなっていた。

[2]おくるみの系統的レビュー

発表年
2007年
研究機関
オランダ・ユトレヒト大学医療センター
掲載誌
Pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

おくるみをした赤ちゃんは全体として目を覚ますことが少なく、長く眠っていた。

[3]着る毛布・おくるみに関連した乳児の死亡とけがの報告

発表年
2014年
研究機関
アメリカ・チルドレンズ・ナショナル医療センター
掲載誌
The Journal of pediatrics
研究の種類
その他の研究上のどれにも当てはまらない研究。
対象
—
結果の向き
悪い方向

あおむけに寝かせ、寝返りしそうならすぐやめることでリスクを減らせるとしていた。

[4]突然死のリスクを減らすために、おくるみをするべきか

発表年
2009年
研究機関
オーストラリア・モナシュ大学
掲載誌
The Journal of pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
結果が割れている

おくるみに慣れていない赤ちゃんは、おくるみで静かな眠りの間に目覚めにくくなっていた。

[5]昔ながらの育児法おくるみの再評価

発表年
2011年
研究機関
ドイツ・カール・ティーム病院
掲載誌
World journal of pediatrics : WJP
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
85人
結果の向き
良い方向

赤ちゃん85人の睡眠検査で、おくるみをすると自然に目を覚ます回数が少なかった。

[6]よく泣く赤ちゃんへのあやし方の指導におくるみを加える効果の比較

発表年
2006年
研究機関
オランダ・ユトレヒト大学医療センター
掲載誌
The Journal of pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
398人
結果の向き
差なし

よく泣く赤ちゃん398人で、全体ではおくるみを加えても泣く時間は減らなかった。

[7]Effect of soothing techniques on infants' self-regulation behaviors (sleeping, crying, feeding): A randomized controlled study.

発表年
2019年
研究機関
トルコ・Öztürk Dönmez Rほかの研究チーム
掲載誌
Japan journal of nursing science : JJNS
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

おくるみ・横抱き・シーという音・揺らすの4つをまとめて母親に教えたところ、夜に起きる回数が減った。おくるみだけの効果は分けられない (上のレビューに含まれる研究)

[8]The Effects of Baby Calming Training Provided to Primiparous Mothers on Maternal Role Perception, Maternal Attachment, and Breastfeeding Self-Efficacy: A Randomized Controlled Trial.

発表年
2024年
研究機関
トルコ・Altay Gほかの研究チーム
掲載誌
Breastfeeding medicine : the official journal of the Academy of Breastfeeding Medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
84人
結果の向き
良い方向

おくるみ・ホワイトノイズの出る寝かしつけグッズ・冊子を使ったあやし方の指導で、赤ちゃんの合計の睡眠時間が長くなった。おくるみだけの効果は分けられない

[9]A randomized, controlled trial of a behavioral intervention to reduce crying among infants.

発表年
2010年
研究機関
アメリカ・McRury JMほかの研究チーム
掲載誌
Journal of the American Board of Family Medicine : JABFM
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
35人
結果の向き
差なし

おくるみを含むあやし方をビデオで教えても、赤ちゃんの1日の睡眠時間や泣く時間に差はなかった。おくるみだけの効果は分けられない (上のレビューに含まれる研究)

[10]おくるみと乳幼児突然死症候群のリスクのメタ解析

発表年
2016年
研究機関
イギリス・ブリストル大学
掲載誌
Pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
研究4件を統合
結果の向き
結果が割れている

観察研究4件の解析で、うつぶせ・横向きのおくるみは突然死が多いことと関連していた。

ほかに参考にした論文(2本)

判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。