[1]おしゃぶりは乳幼児突然死症候群のリスクを下げるか:メタ解析
- 発表年
- 2005年
- 研究機関
- アメリカ・バージニア大学
- 掲載誌
- Pediatrics
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 研究7件を統合
- 結果の向き
- 良い方向
症例対照研究7件のメタ解析で、最後に眠ったときにおしゃぶりを使っていた赤ちゃんのSIDSのオッズは0.39倍でした。

寝るときにおしゃぶりを使う赤ちゃんは、突然死が少ないことと関連しています。
1歳未満の赤ちゃんが寝るときの話です。「関連」であり、使えば防げるという意味ではありません。添い寝のときだけ関連した英国の結果や、関連が薄れたという英国の結果もあります。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 24 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 6.1 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 70.1 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、観察研究 4 本。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
おしゃぶりは、赤ちゃんが吸って落ち着くための育児用品です。乳幼児突然死症候群(SIDS)は、それまで元気だった赤ちゃんが、主に眠っている間に突然亡くなり、調べても原因が見つからない病気です。おしゃぶりを寝るときに使うと少ないとされ、母乳育児や歯並びへの影響が心配されることもあります。
答えの中心は、アメリカのバージニア大学などの研究チームが2005年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、複数の研究の結果を統計的にまとめる方法です。亡くなった赤ちゃんの家族と、そうでない赤ちゃんの家族に、あとから寝たときの様子を聞いて比べる症例対照研究が集められました。
| 研究の種類 | 症例対照研究のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 1歳未満の赤ちゃん(症例対照研究7件) |
| 比べたもの | 最後に眠ったときにおしゃぶりを使っていたか、使っていなかったか |
| 結果 | 使っていた赤ちゃんのSIDSのオッズが0.39倍(信頼区間0.31〜0.50) |
1966年から2004年5月までの研究が対象で、前向きの観察研究は含まれていませんでした [1]。
オッズは、起こりやすさの比べ方の一つです。1より小さいほど、使っていた赤ちゃんに突然死が少なかったことを表します。
2024年にまとめられた、メタ解析8件(元の論文152件)のアンブレラレビューでも、おしゃぶりのオッズは0.44倍で同じ向きでした。あおむけ寝は0.48倍でした。ただしこの評価では、おしゃぶりの根拠の強さは「弱い」とされています [2]。アメリカ・カリフォルニア州の研究では、亡くなった赤ちゃん185人と対照の312人で0.08倍でした [6]。ドイツの研究でも0.39倍でした [7]。
コクランの系統的レビューは、おしゃぶりとSIDSを調べたランダム化比較試験を1件も見つけられませんでした [3]。観察研究では、おしゃぶりを使う家庭と使わない家庭で、ほかの育児の習慣も違う可能性があります。そのため「使ったから減った」とは言い切れません。
英国の2つの症例対照研究を統合した解析では、おしゃぶりの使用がリスク低下と関連していたのは、添い寝をしていた赤ちゃんだけでした [8]。英国南西部の研究では、10年前の同じ地域の研究と比べて、おしゃぶりの使用などの要因の重要性が薄れていました [9]。
関連が見られたのは、添い寝の赤ちゃんだけでした。
理由は研究ではまだ確かめられていません。健康な赤ちゃん30人の睡眠検査では、おしゃぶりを使っても自然な目覚めの回数は変わりませんでした [10]。目覚めやすくなるから、という説明は、この試験では支持されませんでした。
母乳で育てている健康な赤ちゃん1228人(ランダム化比較試験2件)では、おしゃぶりを使っても、3か月時点で母乳だけで育っている割合は変わりませんでした(リスク比1.01)[4]。ランダム化比較試験10件のメタ解析でも、2・3・4・6か月のどの時点でも、おしゃぶりを控えた群と自由に使った群の母乳育児の割合は同じくらいでした [11]。
観察研究などのメタ解析で、おしゃぶりを毎日使う子どもは、前歯が閉じない開咬のオッズが10.22倍でした(信頼区間5.36〜19.49、研究3件)[5]。研究17件の系統的レビューも、おしゃぶりの使用が開咬と奥歯の交叉咬合(噛み合わせのずれ)に関連すると結論しています [12]。癖の期間が長いほど、噛み合わせの問題が出やすいという報告もあります [13]。これも観察研究が中心で、根拠の確かさは低めです。
研究で調べられたのは、「最後に眠ったときに使っていたか」です。カリフォルニア州の研究は、保護者への聞き取りで比べました [6]。副作用として、毎日使う場合の開咬との関連があります。使うか迷う人、赤ちゃんの睡眠環境に不安がある人は、小児科の医師に相談してください。歯並びが気になるときは、歯科医にも相談できます。
おしゃぶりだけでなく、あおむけ寝も同じ向きの関連が報告されています [2]。
寝るときのおしゃぶりは、SIDSが少ないことと関連していますが、因果は確かめられていません。
母乳育児の割合は変わらず、毎日の長い使用は開咬と関連します。
使うなら、小児科医・歯科医と相談しながら、使い方を決めましょう。
防げるとは言えません。観察研究で少ないことと関連していますが、ランダム化比較試験は1件もありません [[28378502]]。
母乳で育てている赤ちゃん1228人の試験で、3か月時点の母乳育児の割合は変わりませんでした [[27572944]]。
英国の統合解析では、関連が見られたのは添い寝の赤ちゃんだけでした [[25238618]]。
やめる時期そのものを比べた研究は確認できていません。使う期間が長いほど噛み合わせの問題が出やすいという報告があります [[38548628]]。
症例対照研究7件のメタ解析で、最後に眠ったときにおしゃぶりを使っていた赤ちゃんのSIDSのオッズは0.39倍でした。
メタ解析8件をまとめ、おしゃぶりの使用はSIDSのオッズ0.44倍と関連。根拠の強さは弱いと評価されました。
おしゃぶりとSIDSを調べたランダム化比較試験は1件も見つかりませんでした。
1228人(RCT2件)で、おしゃぶりを使っても3か月時点で母乳だけで育つ割合は変わりませんでした。
おしゃぶりを毎日使う子どもは、開咬のオッズが10.22倍でした(研究3件)。
亡くなった赤ちゃん185人と対照312人の比較で、SIDSのオッズが0.08倍でした。
最後に眠ったときにおしゃぶりを使っていた赤ちゃんのSIDSのオッズは0.39倍でした。
おしゃぶりの使用がSIDSのリスク低下と関連したのは、添い寝の赤ちゃんだけでした。
10年前の同じ地域の研究と比べ、おしゃぶりの使用などの要因の重要性が薄れていました。
健康な赤ちゃん30人の睡眠検査で、おしゃぶりを使っても自然な目覚めの回数は変わりませんでした。
ランダム化比較試験10件のメタ解析で、母乳育児の割合は2・3・4・6か月のどの時点でも同じくらいでした。
研究17件のレビューで、おしゃぶりの使用は開咬と交叉咬合に関連していました。
研究21件のレビューで、癖の期間が長いほど噛み合わせの問題が出やすいという結果でした。
判定「良い関連がある」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。