ロイテリ菌で赤ちゃんの夜泣き(コリック)は減る?

ロイテリ菌で赤ちゃんの夜泣き(コリック)は減る?
読了目安 5〜7分最終更新日 2026.11.06
答え効く

減ります。主に母乳の赤ちゃんで、泣く時間が短くなります。

根拠

コリック(長く泣く状態)の赤ちゃんでロイテリ菌とプラセボ(偽薬)を比べたランダム化比較試験11件・555人のまとめで、泣く時間が半分以下になった子が増えました(オッズ比6.98)[1]。4件・345人の個人データを統合した解析でも、21日目の泣く時間の減り方がプラセボより平均25.4分大きく、効果は母乳の赤ちゃんで大きく、ミルクの赤ちゃんではっきりしませんでした [2]。

この答えの範囲

コリックと診断された赤ちゃんに飲ませた場合の話です。ミルクの赤ちゃんは結果がそろっていません。

じゃあ、どうする?

母乳の赤ちゃんで、泣き方が強く悩んでいるなら、試す価値があります。ミルクの赤ちゃんでは期待しすぎないでください。コリックは、何も飲まなくても治まる子が多い面があります [3]。始める前に、かかりつけの小児科で相談を。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 94 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量14.120研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 94.1 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 94 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 4 本。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

ロイテリ菌とコリックとは

ロイテリ菌は、人の腸にもすむ乳酸菌の仲間です。赤ちゃん向けのドロップ状のサプリで、研究では DSM 17938 という菌株がよく使われています。コリックは、健康なのに長い時間激しく泣き続ける、生後数か月までの赤ちゃんの状態です。親が「夜泣き」と呼ぶ悩みの多くがここに当てはまりますが、研究が測っているのは夜だけでなく一日の泣く時間です。ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イタリアのローマ・サピエンツァ大学などの研究チームが2026年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、似た試験の結果を統計でまとめ直す方法です。ロイテリ菌だけを使い、プラセボと比べたランダム化比較試験が集められました。

研究の種類プラセボ対照のランダム化比較試験のメタ解析
対象コリックの赤ちゃん(11件・555人)
比べたものロイテリ菌 DSM 17938 とプラセボ
結果泣く時間が半分以下になった赤ちゃんが、ロイテリ菌のほうで多かった
まとめて分析した結果ロイテリ菌を飲んだ赤ちゃんは、泣く時間が半分以下になる子が多く(オッズ比6.98)、毎日の泣く時間も短くなりました [1]。

オッズ比は、1より大きいほど「半分以下になった」割合がプラセボより高いことを表します。

泣く時間の短縮は、別のまとめ研究でも出ています。2023年までの試験を集めたメタ解析では、ロイテリ菌で毎日の泣く時間が平均64.66分減りました [4]。2016年までの7件・471人の系統的レビューでは、飲み終わった時点で平均49分短くなりました [5]。どれも向きはそろっています。

母乳とミルクで結果が違う

ここは読む前に知っておきたい点です。効果が見られたのは、主に母乳の赤ちゃんでした。

  • 母乳だけの赤ちゃん: ロイテリ菌に限らないプロバイオティクス全体で、毎日の泣く時間が74.28分減りました [4]
  • 個人データの統合解析(4件・345人): 母乳の赤ちゃんで効果が大きく、ミルクの赤ちゃんでははっきりしませんでした [2]
  • 古いメタ解析: ミルクの赤ちゃんへの根拠は決着していないとされました [6]

ミルクの赤ちゃんで効かない、と言い切れる研究もありません。分かっているのは「母乳では効果が確かめられ、ミルクでは確かめられていない」ことです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

オーストラリアの地域の赤ちゃん167人(母乳とミルクの両方)の試験では、1か月後に、ロイテリ菌群のほうが泣いたりぐずったりする時間が49分長くなりました [7]。差はおもにぐずりで、特にミルクの赤ちゃんで目立ちました。アメリカの母乳の赤ちゃん20人の小さな試験でも泣く時間に差はなく、プラセボでも66%が3週間以内に治まりました [3]。

悪化が見られた試験オーストラリアの赤ちゃん167人(母乳・ミルク両方)

1か月後の泣いたりぐずったりする時間が、ロイテリ菌群のほうで49分長くなりました。

予防はどうか

生まれてすぐから飲ませて、コリックそのものを防げるかは別の話です。コリックでない新生児を対象に、ロイテリ菌を含むプロバイオティクスを調べた3件・1148人のコクランのレビューでは、コリックになる割合に差は見られませんでした(リスク比0.46)[8]。根拠の確かさは低めです。結果のばらつきが大きいためです。一方、毎日の泣く時間はロイテリ菌で平均44.26分短くなりました [8]。イタリアの新生児589人の試験でも、生後3か月の泣く時間は38分と71分で、ロイテリ菌のほうが短くなっています [9]。「なる割合は変わらないが、泣く時間は短い」という結果です。

夜の睡眠はどうか

睡眠時間は変わりません。上のオーストラリアの試験では、睡眠時間を含むほかの評価項目は、ロイテリ菌群とプラセボ群で同じくらいでした [7]。抗菌薬の治療を受けた新生児89人の試験でも、睡眠時間がやや長い傾向はあったものの、どの時点でも統計的な差はありませんでした [10]。ミルクでの系統的レビューも、夜の睡眠に効果なしでした [11]。夜泣きが減って夜よく眠る、とは言えません。

よく言われていることは本当?

  • 泣く時間が短くなる本当です。 コリックの赤ちゃんで、複数のまとめ研究が短くなると報告しています [1] [4]
  • 生まれてすぐ飲ませるとコリックになりにくいほぼウソです。 コリックになる割合に差は見られませんでした。根拠の確かさは低めです [8]
  • 夜泣きが減って夜よく眠る効きません。 睡眠時間や夜の眠りに差はありませんでした [7] [11]
  • 母乳の赤ちゃんで特に効く本当です。 母乳の赤ちゃんで効果が大きく、ミルクでははっきりしません [2]
  • 吐き戻しが減る研究があります。 イタリアの589人の試験では、一日の吐き戻しが2.9回と4.6回でロイテリ菌のほうが少なくなりました [9]。この疑問は別の記事で扱います
  • 便秘がよくなる研究があります。 この疑問も別の記事で扱います

02注意点

この結果は、コリックと診断された、生後数か月までの赤ちゃんの試験によるものです。毎日決まった量を飲む形で調べられています。コリックは月齢とともに軽くなり、プラセボ群でも泣く時間は減っていました [12]。ほかの菌の組み合わせと直接比べた2024年の試験では、別の菌のほうが泣く時間が短くなりました [13]。ロイテリ菌が最良とは言えません。母乳の赤ちゃんを対象に根拠の確かさを評価したメタ解析では、泣く時間の根拠の確かさは「非常に低い」とされています [14]。効果の大きさは幅をもって受け止めてください。安全面では、新生児を対象にしたコクランのレビューで重い副作用に差は見られませんでした(確実性は低い)[8]。

赤ちゃんの様子がいつもと違うとき

発熱や嘔吐、哺乳が減るなどがあれば、コリックと決めつけず小児科で診てもらってください。

03まとめ

ロイテリ菌は、コリックの赤ちゃんの泣く時間を短くします。
効果が確かめられているのは主に母乳の赤ちゃんで、ミルクの赤ちゃんや夜の睡眠、コリックの予防は別の話です。
試すかどうかは、かかりつけの小児科で相談してから決めましょう。

04よくある質問

Q夜泣きにも効きますか?

研究が調べているのは、一日の泣く時間です。夜の睡眠時間には差がなく [[24690625]]、夜泣きが減って夜よく眠るとは言えません。

Qミルクの赤ちゃんにも効きますか?

研究では確かめられていません。効果が見られたのは主に母乳の赤ちゃんで、ミルクの赤ちゃんは結果がはっきりしません [[29279326]]。

Qどのくらいで泣く時間が短くなりますか?

個人データの統合解析では、21日目の時点でプラセボより平均25.4分大きく減っていました [[29279326]]。一方、飲まなくても治まる子は多くいます。

Qほかの乳酸菌でも同じですか?

菌株ごとに結果は違います。この記事はロイテリ菌 DSM 17938 の話です。ほかの乳酸菌の例は [乳酸菌で花粉症は楽になる?](/evidence/probiotics-hay-fever) でも、菌株で結果が分かれています。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]ロイテリ菌DSM 17938がコリックの赤ちゃんと早産児に効くかを調べたメタ解析

発表年
2026年
研究機関
イタリア・ローマ・サピエンツァ大学
掲載誌
Nutrition (Burbank, Los Angeles County, Calif.)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
555人
結果の向き
良い方向

コリックの赤ちゃん555人(11件)で、泣く時間が半分以下になる子が多く、毎日の泣く時間も短かった。

[2]ロイテリ菌が赤ちゃんのコリックに効くかを調べた個人データのメタ解析

発表年
2018年
研究機関
オーストラリア・マードック小児研究所
掲載誌
Pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
345人
結果の向き
良い方向

赤ちゃん345人(4件)で、21日目の泣く時間の減りがプラセボより平均25.4分大きかった。

[3]コリックの母乳の赤ちゃんにロイテリ菌を飲ませた二重盲検試験

発表年
2017年
研究機関
アメリカ・テキサス大学ヒューストン健康科学センター
掲載誌
The Journal of pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

20人の試験で泣く時間に差はなく、プラセボでも66%が3週間以内に治まった。

[4]赤ちゃんのコリックにプロバイオティクスは効くかを調べたメタ解析

発表年
2024年
研究機関
ブラジル・ゴイアス連邦大学
掲載誌
Acta paediatrica (Oslo, Norway : 1992)
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

ロイテリ菌では毎日の泣く時間が平均64.66分減り、母乳だけの赤ちゃんでは74.28分減った。

[5]赤ちゃんのコリックへのプロバイオティクスを調べた系統的レビュー

発表年
2018年
研究機関
ポーランド・ワルシャワ医科大学
掲載誌
Archives of medical science : AMS
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
471人
結果の向き
良い方向

7件・471人で、泣く時間がプラセボより平均49分短かった。効果は主に母乳の赤ちゃん。

[6]赤ちゃんのコリックへのプロバイオティクスの系統的レビュー

発表年
2013年
研究機関
サウジアラビア・アルハバブ医療グループ
掲載誌
BMC pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

母乳の赤ちゃんには有効だが、ミルクの赤ちゃんへの根拠は決着していないとされた。

[7]ロイテリ菌でコリックを治療する二重盲検のランダム化比較試験

発表年
2014年
研究機関
オーストラリア・王立小児病院
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
悪い方向

赤ちゃん167人で、1か月後の泣いたりぐずったりする時間がロイテリ菌群で49分長かった。

[8]コリック予防のためのプロバイオティクスを調べたコクランのレビュー

発表年
2019年
研究機関
イギリス・ブラックプール・ビクトリア病院
掲載誌
The Cochrane database of systematic reviews
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,148人
結果の向き
差なし

新生児1148人(3件)で、コリックになる割合に差はなかった。確実性は低い。

[9]コリック・吐き戻し・便秘の予防にプロバイオティクスを使うランダム化比較試験

発表年
2014年
研究機関
イタリア・バーリ大学
掲載誌
JAMA pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

新生児の生後3か月の泣く時間は、ロイテリ菌群38分、プラセボ群71分だった。

[10]抗菌薬を受けた新生児へのロイテリ菌のランダム化比較試験

発表年
2024年
研究機関
スロベニア・リュブリャナ大学医療センター
掲載誌
Beneficial microbes
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
89人
結果の向き
結果が割れている

新生児89人で、睡眠時間や泣く時間にどの時点でも統計的な差はなかった。

[11]乳児用ミルクにプロバイオティクスを加えるかを調べた系統的レビュー

発表年
2017年
研究機関
ポーランド・ワルシャワ医科大学
掲載誌
Beneficial microbes
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
差なし

ロイテリ菌入りのミルクは、夜の睡眠に効果がなかった。

[12]赤ちゃんのコリックの予防と治療の系統的レビュー

発表年
2020年
研究機関
スウェーデン・サックス小児病院
掲載誌
Acta paediatrica (Oslo, Norway : 1992)
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

ロイテリ菌は泣く時間を短くする中程度に強い根拠があるとされた。治療群も対照群も月齢で泣く時間は大きく減った。

[13]別の菌の組み合わせとロイテリ菌を比べたランダム化比較試験

発表年
2024年
研究機関
スペイン・ナバラ大学クリニック
掲載誌
European journal of pediatrics
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
悪い方向

別の菌の組み合わせのほうが、反応率が高く泣く時間の減りも大きかった。

[14]Evidence of Lactobacillus reuteri to reduce colic in breastfed babies: Systematic review and meta-analysis.

発表年
2021年
研究機関
ブラジル・Dos Reis Buzzo Zermiani APほかの研究チーム
掲載誌
Complementary therapies in medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

母乳の赤ちゃんでロイテリ菌は泣く時間を減らしたが、泣く時間の根拠の確実性は非常に低いと評価されたメタ解析(ランダム化試験だけかが要旨で分からず、他のメタ解析と研究が重なるため背景扱い)

ほかに参考にした論文(13本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。