[1]母乳で育つ赤ちゃんへのビタミンD補給と、不足予防・骨の健康(コクランのレビュー)
- 発表年
- 2020年
- 研究機関
- マレーシア・RCSI・UCD
- 掲載誌
- The Cochrane database of systematic reviews
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 334人
- 結果の向き
- 良い方向
赤ちゃんに毎日400IUで濃度は平均22.63nmol/L高くなった。骨とくる病は判断できなかった。

血液中のビタミンDの濃度が上がり、足りない赤ちゃんが減ります。
母乳で育つ正期産の赤ちゃんの、血液中の濃度の話です。
研究で使われた量は毎日400IUです。多く飲ませても良い結果は増えず、1,200IUではアレルギーの感作が増えるおそれの指摘もあります [3]。量や始める時期は、小児科や乳児健診で相談して決めましょう。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 12 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 92 点を、エビデンス強度 C の範囲(30〜64 点)に収めて、スコアは 64 点です。 判定に使った研究は、ランダム化比較試験 3 本・RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「低い」で、これを強度の上限にしています。 この上限により、強度を A から C に下げました。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨をつくるのに欠かせない栄養素です。日光を浴びると皮膚でもつくられ、魚やきのこにも含まれます。母乳にはビタミンDが少ないとされ、母乳だけで育つ赤ちゃんは足りなくなりやすいと言われています。サプリは、赤ちゃんに直接飲ませるドロップなどがあります。注意点は、量を多くしても良い結果が増えないことです。
ここまでは一般的な説明で、研究で確かめたものではありません。
答えの中心は、マレーシアのRCSI・UCDなどの研究チームが2020年に発表したコクランのレビューです [1]。コクランのレビューとは、決めた手順で比較試験を集めて結果をまとめたものです。母乳で育つ赤ちゃんを対象にした試験が集められました。
| 研究の種類 | ランダム化比較試験のメタ解析(コクランのレビュー) |
|---|---|
| 対象 | 母乳で育つ正期産の赤ちゃん(6件・334人) |
| 比べたもの | 毎日400IUのビタミンD、飲ませない場合 |
| 結果 | 血液中のビタミンDの濃度が平均22.63nmol/L高い |
不足する割合も下がりました(相対リスク0.57、4件・274人)。
同じ結論は、あとの試験でも出ています。タイの母乳だけで育つ赤ちゃんでは、毎日400IUを飲ませた43人のうち6か月の時点で足りていた赤ちゃんは93.0%でした。飲ませなかった44人では43.2%で、足りない・欠乏の割合は88.7%減りました [2]。台湾の偽薬対照の試験でも、生後10日から飲ませると生後4か月の濃度が高くなりました [4]。
なお、根拠の確かさは低めです。試験の数が6件と少なく、人数も小さいためです。
「日光浴で足りる」と言われますが、インド北部の80人の試験(非盲検)では、サプリ群のほうが日光浴群より生後6か月の濃度が1.36倍高くなりました [5]。足りている赤ちゃんの割合は、サプリ群で10.8%から35.1%に増え、日光浴群は13.9%のままでした。日光浴は体の40%を週に30分以上日に当てる条件でした。実際に守れた割合は日光浴群のほうが低く、著者は差の理由を続けやすさの違いとしています。比べた相手が「飲ませない」ではなく、1本の試験で、日本とは日照の条件も違います。サプリの効果の大きさそのものではなく、日光浴だけでは足りないことがある、という読み方になります。
骨への効果は、研究が足りず確かめられていません。コクランのレビューでは、赤ちゃんへの補給で骨の量やくる病が減るかを判断するには研究が不足していました。この点を調べた結果の確かさは非常に低いとされています(19件・2837組のレビュー全体) [1]。
たとえば台湾の試験では、生後4か月の骨密度と身長に差は見られませんでした [4]。タイの試験でも、骨の代謝に関わる血液検査の値と体の成長に差はありませんでした [2]。ただし、これは「効かない」という意味ではありません。人数の少ない試験で差が見られなかっただけで、効くかどうかは判断できない、というのがコクランの結論です。インドの試験では、くる病になったのは日光浴群の2人でしたが、統計の比較はありません [5]。
授乳中のお母さんが飲んでも、赤ちゃんの濃度は上がります。コクランのレビュー(7件・597人)で、平均24.60nmol/L高くなりました [1]。ただし、対象はビタミンD不足になりやすい集団です。お母さんが毎日4000IU以上を飲むと、赤ちゃんに毎日400IUを飲ませたときと同じくらいの濃度でした。別のメタ解析では、お母さんの量を1000IU増やすごとに、赤ちゃんの濃度は2.7ng/mL上がりました [6]。お母さんが飲む量は、自己判断で決めず、医師に相談してください。
アレルギーになりやすい赤ちゃん(飲ませた97人と偽薬の98人)に生後6か月まで毎日400IUを飲ませた試験では、2.5歳まで追っても差はありませんでした [8]。この試験は、生まれたときにビタミンDが足りていた赤ちゃんだけが対象でした。一方、毎日1,200IUのような多い量は、アレルギーの感作を増やすおそれがあるとされています [3]。アレルギー予防の面では、赤ちゃんの保湿の記事も参考になります。
研究で使われた量は、毎日400IUを生後6か月まで、というものが中心です [1]。400IUより多く飲ませても良い結果は増えませんでした [3]。コクランのレビューは、高カルシウム血症などの副作用については、判断できないとしています [1]。市販のドロップは1滴あたりの量が商品で違うため、与える量は小児科の医師や薬剤師に確認してください。早産の赤ちゃんや持病がある赤ちゃんは、この研究の対象外です。
毎日400IUが研究の基準で、1,200IUでアレルギーの感作が増えるおそれの指摘があります。
母乳の赤ちゃんにビタミンDを毎日400IU飲ませると、血液中の濃度は上がります。
骨やくる病、アレルギーへの効果は、研究が足りず分かっていません。
始めるかどうかと量は、乳児健診や小児科で相談して決めましょう。
インド北部の1本の試験では、サプリ群のほうが日光浴群より濃度が1.36倍高くなりました。日光浴だけでは足りないことがあります。ただし、日光浴を守れた割合が低かったことも影響しています [[36148748]]。
研究の多くは生後6か月までです。やめる時期は、離乳食の進み具合を見ながら、小児科で相談してください [[33305822]]。
お母さんが毎日4000IU以上を飲むと、赤ちゃんに400IUを飲ませたときと同程度でした。対象は不足しやすい集団で、お母さんの量は医師に相談を [[33305822]]。
研究が足りず、減るとは言えませんでした [[28675776]]。多い量(毎日1,200IU)はアレルギーの感作を増やすおそれが指摘されています [[33741755]]。
赤ちゃんに毎日400IUで濃度は平均22.63nmol/L高くなった。骨とくる病は判断できなかった。
足りない・欠乏の割合が88.7%減った。骨の代謝の血液検査の値に差はなかった。
毎日400IUより多くても良い結果は増えず、1200IUは感作を増やすおそれがあるとした。
生後10日から毎日400IUで生後4か月の濃度が高くなった。骨密度と身長に差はなかった。
サプリ群のほうが日光浴群より濃度が1.36倍高かった。
お母さんの量を1000IU増やすごとに、赤ちゃんの濃度は2.7ng/mL上がった。
5件のレビューで、アレルギーの病気が減るとは言えなかった。確かさは非常に低い。
毎日400IUを飲ませても、2.5歳までのアレルギーの病気に差はなかった。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。