離乳食で卵を早く始めると卵アレルギーは防げる?

離乳食で卵を早く始めると卵アレルギーは防げる?
読了目安 6〜8分最終更新日 2026.11.06
答え効く

防げます。卵を生後3〜6か月ごろに始めると、卵アレルギーは約4割少なくなります。

根拠

始める時期を比べた無作為化比較試験9件・4811人のまとめで、生後3〜6か月に卵を始めた子は、卵アレルギーになるリスクが0.60倍でした [1]。別のまとめも0.56〜0.60倍で同じ向きですが、重なる試験が多く、独立した確認ではありません [2] [3]。「遅らせたほうが安全」という結果はありません。

この答えの範囲

よく加熱した卵を、生後3〜6か月ごろから始める話です。すでに卵アレルギーのある子を治す話ではありません。湿疹や家族のアレルギーがあるときは、始める前に医師へ。

じゃあ、どうする?

卵を遅らせる理由はありません。よく加熱した卵を、ごく少量から始めましょう。初回は平日の昼間に。湿疹がある・家族にアレルギーがある場合は、始める前に小児科やアレルギー科で相談を。症状が出たら食べさせるのをやめて、受診してください。

この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。

根拠の確かさ

エビデンス強度研究の種類・数・結果のそろい方から、根拠の確かさを「高い・中程度・低い・限定的」の4段階で示します。高い
根拠の論文判定に使った論文の数です。まとめ論文 (多くの試験を集めたもの) も 1 本と数えます。14 本
研究間の一致研究どうしの結果が、同じ方向にそろっているかを示します。おおむね一致
判定の内訳を見る(スコア 96 / 100)
項目点配点何を見るか
研究デザイン4040いちばん信頼できる研究の種類
研究の量15.920研究件数と参加人数
一致度2525結果の向きがそろっているか
新しさ1010最新の研究が何年以内か
精度55信頼区間が「差なし」をまたがないか

合計 95.9 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。

配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。

卵アレルギーとは

卵アレルギーは、卵のたんぱく質に体が反応して、じんましんや嘔吐などが出る食物アレルギーです。離乳食で卵を初めて食べたときに気づくことがあります。「早く少量から食べて慣らす」という考え方が、予防になるかどうかが調べられてきました。

目次
  1. 01研究でわかったこと
  2. 02注意点
  3. 03まとめ
  4. 04よくある質問
  5. 05参照した論文

01研究でわかったこと

答えの中心は、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験の結果をまとめて分析する方法です。

研究の種類無作為化比較試験(RCT)のメタ解析
対象乳児(試験9件・4811人)
比べたもの生後3〜6か月に卵を始める場合と、遅らせる場合
結果卵アレルギーのリスクが0.60倍(0.46〜0.77倍の範囲)
まとめて分析した結果**卵を生後3〜6か月に始めた赤ちゃんは、卵アレルギーになるリスクが0.60倍、約4割少なくなりました** [1]。

2016年と2018年の別のメタ解析も0.56倍と0.60倍で同じ向きでしたが、重なる試験が多く、独立した確認ではありません [3] [2]。

「遅らせたほうが安全」と思われがちですが、結果はその逆です。

湿疹のある赤ちゃんでは

湿疹のある赤ちゃんを対象にした、日本のPETIT試験があります。生後4〜5か月から湿疹をしっかり治療しながら、生後6〜9か月は加熱した卵の粉を1日50mg、その後12か月までは1日250mg食べました。1歳で卵アレルギーだったのは、卵の群で60人中5人(8%)、偽の粉の群で61人中23人(38%)でした [4]。イギリスのEAT試験でも、始めた時点で中等度の湿疹があった子では、早く始めた群の卵アレルギーが16.1%、標準の群が43.3%でした [5]。

早く始めると、反応は増える?

早く始めると、反応で続けられなくなる子は増えます。ただし、一般の赤ちゃんで複数の食べ物を始めたEAT試験とPreventADALL試験では、EAT試験は安全と報告し、PreventADALL試験は重い有害事象が見られなかったと報告しています。

複数のアレルギーを起こしやすい食べ物を生後2〜12か月に始める試験のまとめ(RCT5件・4703人)では、途中でやめる人が2.29倍でした。確実性は中程度です。やめた理由は要旨に書かれていません [1]。

  • 低温殺菌した生卵の粉を毎日: 反応でやめた子が、STEP試験で407人中25人(6.1%)、米の粉の群は413人中6人(1.5%)でした [6]。中等度〜重度の湿疹があるSTAR試験では、卵の粉の群の31%(49人中15人)が反応して続けられませんでした [7]。BEAT試験でも8.5%が続けられませんでした [8]。
  • 加熱した卵をごく少量から: PETIT試験で、粉を食べたあとの急な症状は同じくらいでしたが(卵の群15%、偽の粉の群18%)、入院は卵の群だけにありました。入院は卵の群で60人中6人(10%)、偽の粉の群は0人でした。入院の理由は要旨に書かれていません [4]。
  • 複数の食べ物を生後3か月から: EAT試験は、6つの食べ物を全部続けるのは簡単ではなかったが、安全だったと報告しています [9]。PreventADALL試験でも、ピーナッツ・牛乳・小麦・卵を始めて、重い有害事象は見られませんでした [10]。

欧州アレルギー臨床免疫学会の指針のためのレビューは、よく加熱した卵は卵アレルギーのリスクを「おそらく下げる」、低温殺菌した生卵では下がるとは言えない、と整理しています [11]。反応についての根拠の確かさは低めです。試験ごとに粉の種類・量・対象が違い、結果にばらつきがあるためです。

ほかの研究では、結果が異なる場合も

メタ解析では差が出ましたが、個々の試験では差がはっきりしないものもあります。STEP・STAR・BEATは、低温殺菌した生卵の粉を使った試験です。指針のためのレビューは、よく加熱した卵と生卵を分けて評価しています [11]。

差がはっきりしなかった試験生卵の粉を毎日食べた、STAR・STEP・BEATの3試験

卵アレルギーの割合は卵の群のほうが低めでしたが、差ははっきりしませんでした(STEPは7.0%と10.3%)[6]。

EAT試験も、全員での解析では6つの食べ物全体の食物アレルギーに差がなく、決めた量を食べられた子だけで見ると卵アレルギーが1.4%と5.5%でした [9]。

よく言われていることは本当?

  • 卵を生後5〜6か月ごろから少しずつ食べさせると、卵アレルギーを防げる本当です。 リスクは約4割少なくなりました。ゼロになるわけではありません [1]。
  • アレルギーが心配なら、卵を遅らせたほうが安全ほぼウソです。 遅らせて安全になる結果はなく、早く始めた群のほうがアレルギーは少なくなりました [1]。
  • 湿疹のある赤ちゃんは、湿疹を治療しながら早めに始めると特に予防になる予防にはなりますが、「特に」とは言えません。 湿疹のある子でも予防になりました(PETIT試験で8%と38%)[4]。ただしメタ解析では、なりやすさによる効果の違いは見られませんでした [12]。アレルギーの病気や家族のアレルギーがある赤ちゃんでも、生後6か月より前に始めるとリスクは0.55倍でした [13]。
  • 卵は固ゆでの卵黄を、耳かき1杯ほどの少量から始めれば安全研究が足りません。 卵黄から始める順番そのものを比べた研究は見つかっていません。加熱卵をごく少量から始めたPETIT試験では、急な症状は偽の粉と同じくらいでしたが、入院は卵の群だけにありました [4]。
  • ピーナッツも早めに始めると、ピーナッツアレルギーを防げる本当です。 リスクは0.31倍で、卵よりさらに大きく下がりました。RCT4件・3796人のまとめです [1]。

02注意点

試験の対象は、生後3〜6か月ごろから始めた赤ちゃんです。ドイツのHEAP試験では、始める前の検査で406人中23人(5.7%)がすでに卵の抗体を持っていました。負荷試験を受けた17人のうち16人が卵アレルギーと確かめられ、11人はアナフィラキシーでした [14]。始める前からアレルギーのある子がいるため、少量から、体調のよい平日の昼間に始める方法が一般に勧められています。症状が出たら食べさせるのをやめて、小児科を受診してください。

湿疹や家族のアレルギーがあるときは、始める前に相談を

湿疹がある、家族にアレルギーがある、食べ物で症状が出たことがある場合は、自己判断で始めず、小児科やアレルギー科の医師に相談してください。

03まとめ

卵は遅らせても防げず、生後3〜6か月ごろから始めたほうが、卵アレルギーは約4割少なくなります。
湿疹がある・家族にアレルギーがある赤ちゃんも、医師と相談して、湿疹を治療しながら始めます。
よく加熱した卵を少量から、平日の昼間に始めましょう。

04よくある質問

Q卵黄から始めるのと、全卵から始めるのとで、予防の効果は違いますか?

卵黄から卵白へ進める順番そのものを比べた研究は見つかっていません。日本では固ゆでの卵黄から少量ずつ始める進め方が一般に紹介されていますが、その順番が予防に効くかどうかは、研究では確かめられていません。

Q6か月を過ぎて始めた場合は、もう遅いですか?

この記事の研究は、生後3〜6か月ごろから始めた試験が中心です。6か月を過ぎて始めた場合に予防の効果があるかを比べた結果は、ここでは確かめられていません。6か月を過ぎていても、自己判断で止めたり避けたりせず、小児科やアレルギー科の医師に始め方を相談してください。

Q生卵の粉を毎日食べさせるほうが効きますか?

研究によって評価が分かれます。低温殺菌した生卵の粉を毎日食べた試験では、反応でやめる子が多く、卵アレルギーが減るかどうかもはっきりしませんでした。予防になりそうなのは、よく加熱した卵のほうです [[32396244]]。

Q家庭で始めるとき、研究から言えることは何ですか?

研究で調べられたのは、加熱した卵や粉を、少量から段階的に増やす方法です [[27939035]]。量やペースの違いで結果が変わるかは、ここでは確かめられていません。湿疹や家族のアレルギーがあるときは、医師に相談してから始めてください。

05参照した論文

判定に使った主な論文(14本)

[1]アレルギーを起こしやすい食べ物を始める時期と食物アレルギーのメタ解析

発表年
2023年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
JAMA pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
4,811人
結果の向き
良い方向

RCT9件・4811人のまとめで、生後3〜6か月に卵を始めると、卵アレルギーになるリスクが0.60倍でした。

[2]卵を早く始めることと卵アレルギーの関係を調べたメタ解析

発表年
2018年
研究機関
サウジアラビア・キング・ファイサル専門病院・研究センター
掲載誌
International archives of allergy and immunology
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
3,032人
結果の向き
良い方向

RCT6件・3032人のまとめで、生後3〜6か月に卵を始めると卵アレルギーのリスクが0.60倍でした。

[3]アレルギーを起こしやすい食べ物を始める時期とアレルギー・自己免疫疾患のメタ解析

発表年
2016年
研究機関
イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
掲載誌
JAMA
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
1,915人
結果の向き
良い方向

試験5件・1915人のまとめで、生後4〜6か月に卵を始めると卵アレルギーのリスクが0.56倍でした。

[4]湿疹のある赤ちゃんで卵を2段階で始めるPETIT試験

発表年
2017年
研究機関
日本・国立成育医療研究センター
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
147人
結果の向き
良い方向

湿疹のある赤ちゃんで、加熱卵の粉をごく少量から始めた群は、1歳の卵アレルギーが60人中5人(8%)で、偽の粉の群の61人中23人(38%)より少なかった。

[5]EAT試験の、アレルギーになりやすい赤ちゃんでの解析

発表年
2019年
研究機関
イギリス・ロンドン大学セント・ジョージ校
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
良い方向

始めた時点で中等度の湿疹があった赤ちゃんでは、早く始めた群の卵アレルギーが16.1%、標準の群が43.3%でした。

[6]卵の粉を毎日食べるSTEP試験

発表年
2017年
研究機関
オーストラリア・西オーストラリア大学
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

生卵の粉を毎日食べた群の卵アレルギーは7.0%、米の粉の群は10.3%で差はなく、反応でやめた子は6.1%と1.5%でした。

[7]湿疹のある赤ちゃんで卵を定期的に食べるSTAR試験

発表年
2013年
研究機関
オーストラリア・西オーストラリア大学
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

中等度〜重度の湿疹がある赤ちゃんで、卵の群の31%(49人中15人)が卵の粉に反応して続けられませんでした。

[8]生後4か月から卵を始めるBEAT試験

発表年
2017年
研究機関
オーストラリア・シドニー大学
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
—
結果の向き
差なし

家族にアレルギーがある赤ちゃんで、卵の粉の群の8.5%は反応するなどして続けられませんでした。

[9]母乳で育つ赤ちゃんでアレルギーを起こしやすい食べ物を早く始める無作為化試験

発表年
2016年
研究機関
イギリス・セント・ジョージ大学ロンドン
掲載誌
The New England journal of medicine
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
1,303人
結果の向き
結果が割れている

決めた量を食べられた子だけで見ると、卵アレルギーは1.4%と5.5%でした。6つの食べ物を全部続けるのは簡単ではなかったが、安全でした。

[10]一般の赤ちゃんで食べ物を生後3か月から始めるPreventADALL試験

発表年
2022年
研究機関
ノルウェー・オスロ大学病院
掲載誌
Lancet (London, England)
研究の種類
ランダム化比較試験(クラスター)学校や病院などの単位でくじ引きのように分け、結果を比べる試験。
対象
2,397人
結果の向き
良い方向

一般の赤ちゃんで、生後3か月からピーナッツ・牛乳・小麦・卵を始めた試験で、重い有害事象は見られませんでした。

[11]乳幼児期の食物アレルギー予防に関するRCTの系統的レビュー

発表年
2020年
研究機関
イギリス・de Silva Dほかの研究チーム
掲載誌
Pediatric allergy and immunology : official publication of the European Society of Pediatric Allergy and Immunology
研究の種類
システマティックレビュー関連する研究を決まった方法で集め、結果を整理した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

よく加熱した卵を4〜6か月から始めると卵アレルギーのリスクがおそらく下がるが、低温殺菌した生卵ではそうとは言えない、と整理されました。

[12]アレルギーを起こしやすい食べ物を早く始めることと、アレルギー・自己免疫疾患のメタ解析

発表年
2024年
研究機関
オーストラリア・ボンド大学
掲載誌
BMJ evidence-based medicine
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
5,193人
結果の向き
良い方向

RCT8件・5193人のまとめで、卵を早く始めると卵アレルギーのリスクが0.58倍でした。始めた月齢やなりやすさによる効果の違いは見られませんでした。

[13]乳児への食べ物の導入時期と食物アレルギーのメタ解析

発表年
2021年
研究機関
中国・北京大学第三病院
掲載誌
Zhonghua er ke za zhi = Chinese journal of pediatrics
研究の種類
システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
対象
—
結果の向き
良い方向

アレルギーの病気や家族のアレルギーがある赤ちゃんでも、生後6か月より前に卵を始めるとリスクが0.55倍でした。

[14]一般の赤ちゃんで卵の粉を食べるHEAP試験

発表年
2017年
研究機関
ドイツ・シャリテ大学医学部
掲載誌
The Journal of allergy and clinical immunology
研究の種類
ランダム化比較試験参加者をくじ引きのように分け、条件の違いによる結果を比べる試験。
対象
383人
結果の向き
差なし

始める前の検査で、406人中23人(5.7%)がすでに卵の抗体を持っていました。

ほかに参考にした論文(2本)

判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。