[1]アレルギーを起こしやすい食べ物を始める時期と食物アレルギーのメタ解析
- 発表年
- 2023年
- 研究機関
- イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドン
- 掲載誌
- JAMA pediatrics
- 研究の種類
- システマティックレビュー・メタ解析関連する試験を決まった方法で集め、結果をまとめて分析した研究。
- 対象
- 4,811人
- 結果の向き
- 良い方向
RCT9件・4811人のまとめで、生後3〜6か月に卵を始めると、卵アレルギーになるリスクが0.60倍でした。

防げます。卵を生後3〜6か月ごろに始めると、卵アレルギーは約4割少なくなります。
よく加熱した卵を、生後3〜6か月ごろから始める話です。すでに卵アレルギーのある子を治す話ではありません。湿疹や家族のアレルギーがあるときは、始める前に医師へ。
卵を遅らせる理由はありません。よく加熱した卵を、ごく少量から始めましょう。初回は平日の昼間に。湿疹がある・家族にアレルギーがある場合は、始める前に小児科やアレルギー科で相談を。症状が出たら食べさせるのをやめて、受診してください。
この記事は、成分や方法について公開されている研究を整理したものです。特定の商品の効果を評価したものではなく、個別の診断・治療の助言でもありません。
| 項目 | 点 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 研究デザイン | 40 | 40 | いちばん信頼できる研究の種類 |
| 研究の量 | 15.9 | 20 | 研究件数と参加人数 |
| 一致度 | 25 | 25 | 結果の向きがそろっているか |
| 新しさ | 10 | 10 | 最新の研究が何年以内か |
| 精度 | 5 | 5 | 信頼区間が「差なし」をまたがないか |
合計 95.9 点を、エビデンス強度 A の範囲(75〜100 点)に収めて、スコアは 96 点です。 判定に使った研究は、RCT のメタ解析 1 本。 論文の著者自身による確実性の評価は「高い」で、これを強度の上限にしています。
配点の決まりは 評価方法について に公開しています。計算はプログラムが行い、広告や商品のデータは使いません。
卵アレルギーは、卵のたんぱく質に体が反応して、じんましんや嘔吐などが出る食物アレルギーです。離乳食で卵を初めて食べたときに気づくことがあります。「早く少量から食べて慣らす」という考え方が、予防になるかどうかが調べられてきました。
答えの中心は、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが2023年に発表したメタ解析です [1]。メタ解析とは、同じ疑問を調べた複数の試験の結果をまとめて分析する方法です。
| 研究の種類 | 無作為化比較試験(RCT)のメタ解析 |
|---|---|
| 対象 | 乳児(試験9件・4811人) |
| 比べたもの | 生後3〜6か月に卵を始める場合と、遅らせる場合 |
| 結果 | 卵アレルギーのリスクが0.60倍(0.46〜0.77倍の範囲) |
2016年と2018年の別のメタ解析も0.56倍と0.60倍で同じ向きでしたが、重なる試験が多く、独立した確認ではありません [3] [2]。
「遅らせたほうが安全」と思われがちですが、結果はその逆です。
湿疹のある赤ちゃんを対象にした、日本のPETIT試験があります。生後4〜5か月から湿疹をしっかり治療しながら、生後6〜9か月は加熱した卵の粉を1日50mg、その後12か月までは1日250mg食べました。1歳で卵アレルギーだったのは、卵の群で60人中5人(8%)、偽の粉の群で61人中23人(38%)でした [4]。イギリスのEAT試験でも、始めた時点で中等度の湿疹があった子では、早く始めた群の卵アレルギーが16.1%、標準の群が43.3%でした [5]。
早く始めると、反応で続けられなくなる子は増えます。ただし、一般の赤ちゃんで複数の食べ物を始めたEAT試験とPreventADALL試験では、EAT試験は安全と報告し、PreventADALL試験は重い有害事象が見られなかったと報告しています。
複数のアレルギーを起こしやすい食べ物を生後2〜12か月に始める試験のまとめ(RCT5件・4703人)では、途中でやめる人が2.29倍でした。確実性は中程度です。やめた理由は要旨に書かれていません [1]。
欧州アレルギー臨床免疫学会の指針のためのレビューは、よく加熱した卵は卵アレルギーのリスクを「おそらく下げる」、低温殺菌した生卵では下がるとは言えない、と整理しています [11]。反応についての根拠の確かさは低めです。試験ごとに粉の種類・量・対象が違い、結果にばらつきがあるためです。
メタ解析では差が出ましたが、個々の試験では差がはっきりしないものもあります。STEP・STAR・BEATは、低温殺菌した生卵の粉を使った試験です。指針のためのレビューは、よく加熱した卵と生卵を分けて評価しています [11]。
卵アレルギーの割合は卵の群のほうが低めでしたが、差ははっきりしませんでした(STEPは7.0%と10.3%)[6]。
EAT試験も、全員での解析では6つの食べ物全体の食物アレルギーに差がなく、決めた量を食べられた子だけで見ると卵アレルギーが1.4%と5.5%でした [9]。
試験の対象は、生後3〜6か月ごろから始めた赤ちゃんです。ドイツのHEAP試験では、始める前の検査で406人中23人(5.7%)がすでに卵の抗体を持っていました。負荷試験を受けた17人のうち16人が卵アレルギーと確かめられ、11人はアナフィラキシーでした [14]。始める前からアレルギーのある子がいるため、少量から、体調のよい平日の昼間に始める方法が一般に勧められています。症状が出たら食べさせるのをやめて、小児科を受診してください。
湿疹がある、家族にアレルギーがある、食べ物で症状が出たことがある場合は、自己判断で始めず、小児科やアレルギー科の医師に相談してください。
卵は遅らせても防げず、生後3〜6か月ごろから始めたほうが、卵アレルギーは約4割少なくなります。
湿疹がある・家族にアレルギーがある赤ちゃんも、医師と相談して、湿疹を治療しながら始めます。
よく加熱した卵を少量から、平日の昼間に始めましょう。
卵黄から卵白へ進める順番そのものを比べた研究は見つかっていません。日本では固ゆでの卵黄から少量ずつ始める進め方が一般に紹介されていますが、その順番が予防に効くかどうかは、研究では確かめられていません。
この記事の研究は、生後3〜6か月ごろから始めた試験が中心です。6か月を過ぎて始めた場合に予防の効果があるかを比べた結果は、ここでは確かめられていません。6か月を過ぎていても、自己判断で止めたり避けたりせず、小児科やアレルギー科の医師に始め方を相談してください。
研究によって評価が分かれます。低温殺菌した生卵の粉を毎日食べた試験では、反応でやめる子が多く、卵アレルギーが減るかどうかもはっきりしませんでした。予防になりそうなのは、よく加熱した卵のほうです [[32396244]]。
研究で調べられたのは、加熱した卵や粉を、少量から段階的に増やす方法です [[27939035]]。量やペースの違いで結果が変わるかは、ここでは確かめられていません。湿疹や家族のアレルギーがあるときは、医師に相談してから始めてください。
RCT9件・4811人のまとめで、生後3〜6か月に卵を始めると、卵アレルギーになるリスクが0.60倍でした。
RCT6件・3032人のまとめで、生後3〜6か月に卵を始めると卵アレルギーのリスクが0.60倍でした。
試験5件・1915人のまとめで、生後4〜6か月に卵を始めると卵アレルギーのリスクが0.56倍でした。
湿疹のある赤ちゃんで、加熱卵の粉をごく少量から始めた群は、1歳の卵アレルギーが60人中5人(8%)で、偽の粉の群の61人中23人(38%)より少なかった。
始めた時点で中等度の湿疹があった赤ちゃんでは、早く始めた群の卵アレルギーが16.1%、標準の群が43.3%でした。
生卵の粉を毎日食べた群の卵アレルギーは7.0%、米の粉の群は10.3%で差はなく、反応でやめた子は6.1%と1.5%でした。
中等度〜重度の湿疹がある赤ちゃんで、卵の群の31%(49人中15人)が卵の粉に反応して続けられませんでした。
家族にアレルギーがある赤ちゃんで、卵の粉の群の8.5%は反応するなどして続けられませんでした。
決めた量を食べられた子だけで見ると、卵アレルギーは1.4%と5.5%でした。6つの食べ物を全部続けるのは簡単ではなかったが、安全でした。
一般の赤ちゃんで、生後3か月からピーナッツ・牛乳・小麦・卵を始めた試験で、重い有害事象は見られませんでした。
よく加熱した卵を4〜6か月から始めると卵アレルギーのリスクがおそらく下がるが、低温殺菌した生卵ではそうとは言えない、と整理されました。
RCT8件・5193人のまとめで、卵を早く始めると卵アレルギーのリスクが0.58倍でした。始めた月齢やなりやすさによる効果の違いは見られませんでした。
アレルギーの病気や家族のアレルギーがある赤ちゃんでも、生後6か月より前に卵を始めるとリスクが0.55倍でした。
始める前の検査で、406人中23人(5.7%)がすでに卵の抗体を持っていました。
判定「効く」は、公開している評価方法に沿ってプログラムが算出しています。